2015年11月02日

thongとthongs フレンズ9-23その1

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シーズン9 第23話
The One In Barbados - Part 1 (運命のカリビアン・ナイト part 1)
原題は「バルバドスの話 パート1」


古生物学者であるロスは、カリブ海のバルバドス(英語の発音は、バーベイドスという感じ)で行われる学会の基調講演をすることになります。
その姿を見てもらおうと、ロスはフレンズたち全員をバルバドスに招待します。
[Scene: Joey in his hotel room in Barbados]
ジョーイはバルバドス島のホテルの部屋にいる。
(Trying on a hat and talking to his own reflection in the mirror)
(白い)帽子をかぶって、鏡に映った自分の姿に話しかけているところ。
ジョーイ: Yeah! How you doin'? Yeah alright! (やあ! 元気か〜い? やあ!)
(Charlie comes out the bathroom)
チャーリーがバスルームから出てくる。
ジョーイ: Hey, hey! You said you're gonna wear a thong. Where's the thong? (おいおい! a thong (Tバック)を着るって言ってたじゃないか。Tバックはどこ?)
チャーリー: (laughing) I didn't mean a thong. I meant thongs. ([笑いながら] a thong って言ったんじゃないのよ。私が言ったのは、thongs (サンダル)よ。)
ジョーイ: You really should have been more clear about that! (そこのところ、君はもっとはっきり(明瞭に)しとくべきだったね。)
(Someone knocks the door, Joey goes to open it and Ross is on the other side)
誰かがドアをノックする。ジョーイがドアを開けにいくと、相手側にロスがいる(その相手はロスである)。
ロス: Hey! (やあ!)
ジョーイ: Hey! (やあ!)
ロス: (Excited) You're never gonna guess who I just saw downstairs! ([興奮して] 下の階で僕が誰にあったか、君には想像できないと思うな!)
ジョーイ: Oh! ah! eh... Britney Spears!? (あぁ、! あぁ… ブリトニー・スピアーズ?)
ロス: Yeah. She never misses these conferences! (then to Charlie) No, I just saw Dr. Kenneth Schwartz! (そうだね。彼女はこういう会議を決して(見)逃したりしないもんね(こういう会議にはいつも来てるもんね)。[それからチャーリーに向かって] 違うんだ、たった今、ケネス・シュワルツ博士に会ったんだよ!)
チャーリー: Oh, my God! (なんてこと!)
ロス: I know! (そうだろ!)
チャーリー: Did you talk to him? (彼に話しかけたの?)
ロス: Oh, yeah. What am I gonna say to Kenneth Schwartz? (あぁ。僕がケネス・シュワルツに何て言うんだよ?)
ジョーイ: You could say, "Hey, Kenny, how come you're not Britney Spears?" (looks at Ross matter-of-factly) (こんな風に言えるんじゃないか。「やあ、ケニー、どうしてあんたはブリトニー・スピアーズじゃないの?」 [ロスを事もなげに見る])

いかにもカリブ海に来ました的な、「白い帽子に青いシャツ、柄物のショートパンツ」姿のジョーイは、鏡に映った自分に向かって、How you doin'? と言っています。
これは、彼がナンパする時の決め台詞で、「この格好の俺もなかなかイケてるよな」とご満悦な感じが出ています。
ジョーイは今、ロスの同僚の教授であるチャーリーと付き合っているので、同じ部屋に泊まっています。
そのチャーリーがバスルームから出てきたのを見て、ジョーイは、"You said you're gonna wear a thong. Where's the thong?" と言っていますね。
それを聞いたチャーリーが笑いながら、I didn't mean a thong. 以下のセリフを言っていますが、とりあえず、キーワードとなっている、a thong/thongs は英語のままで、他の部分を日本語に訳すと、
ジョーイ: 君は a thong を身に付けるって言ってたじゃないか。a thong はどこだよ?(a thong を身に付けてないよ)。
チャーリー: 私は a thong とは言ってない。私が言ったのは、thongs (という複数形)だった。
と言っていることになります。
単数形ではなくて、複数形であることをはっきりさせるために、thongs の -s 「ズ」の部分を、特に強調していますね。
仮に thong の意味がわからないにしても、ジョーイが期待していたのは a thong で、チャーリーが言っていたのは thongs の方だった、そして、a thong じゃなくて、thongs なら、ジョーイは嬉しくない、ということがまずはわかれば良いでしょう。

その上で、thong という単語を見てみると、thong は元々「革ひも」という意味で、身に付ける服装の話だと、「Tバック」という意味になります。
そして、thong にはまた「サンダル」という意味があって、その場合は「2つで1足」という靴の習性上、thongs という複数形で使われます。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
thong [noun]
1. [countable] a piece of underwear or the bottom half of a bikini that has a single string instead of the back part
2. thongs [plural] a type of shoe that covers the bottom of your foot, with a strap that goes between your toes to hold it on your foot as you walk (SYN: flip-flops)

つまり、1. は、「下着の一つ、またはビキニの下部分で、後ろ部分の代わりに1本の紐があるもの」。2. は、「足の底をカバーするタイプの履物で、歩く時に足に固定するように、足の指の間を通るストラップがついているもの。(類義語 flip-flops (サンダル))」
私が PC にインストールしている LAAD では、thongs の説明の後、「→ see picture at shoe」と書いてあり、実際に shoe を見てみると、靴・履物の一覧の図があります。
全部で絵は8種類(8足分)載っているのですが、thongs はプールサイドで履くようなまさに「ビーチサンダル、ビーサン」の絵が載っていました。

最初に説明したように、thong は「革ひも」という意味でした。
Tバックの場合は、お尻の部分をカバーする布地が紐(ひも)状になっている、ビーサンの場合は指を固定する部分が(日本の下駄や草履の鼻緒のように)紐状になっている、だからそれぞれ、紐(ひも)を意味する thong という名前が付いている、ということのようですね。
ちなみに、和英辞典で調べると、日本の草履の鼻緒もやはり、thong と言うそうです。fix a thong だと「鼻緒をすげる」という意味になります。

過去のフレンズでも、Tバックの意味の thong が出てきていました。
まずは、フレンズ5-8 のセリフをご紹介したいのですが、過去記事では解説を飛ばした部分ですので、「ジョーイがTバックについて話している」この機会に、ここで併せて解説しておきます。
フレンズ5-8 は感謝祭のエピソードで、「一人一人が感謝することを言っていくゲームをしよう」ということになり、
ジョーイ: Ooh-ooh, I! I am thankful for this beautiful fall we've been having. (あーあー! 俺! 俺は(俺たちがずっと持っている、今ある)この美しい秋に感謝してる。)
モニカ: That's very nice. (それってすごくいいわね。)
チャンドラー: That's sweet, Joey. (それって素敵だよ、ジョーイ。)
ジョーイ: Yeah, the other day, I was at the bus stop and this lovely fall breeze came in out of nowhere and blew this chick's skirt right up. Oh! Which reminds me, I'm also thankful for thongs. (あぁ、ある日、俺がバス停にいると、どこからともなく素敵な秋のそよ風が吹いてきて、女の子のスカートを吹き上げた(風がスカートをめくり上げた)んだ。あぁ! それで思い出したけど、俺はTバックにも感謝してるよ。)

ジョーイが「美しい秋に感謝してる」などと柄にもないことを言うのには、やはりオチがあった、というところですね。
「スカートをめくってくれた秋のそよ風に感謝してる」の流れで、「そう言えば、Tバックにも感謝してる」と思い出したということは、その時にジョーイが見たその女性がはいていた下着がTバックだった、ということですね。
ここでは thongs という複数形になっていますが、「Tバックというもの」を全体的に指すイメージから複数形になっているのであって、複数形だからと言って「サンダル」を意味しているわけではありません。
I'm also thankful for thongs. という1文だけを提示された場合には、「サンダル」の意味に考えることも可能ですが、その直前に「風がスカートをめくった」という話がありましたので、サンダルではなくTバックの方だとわかる、ということですね。

また、別のエピソードでは、過去記事、フレンズ2-13その16 でも、thong=Tバック、の意味で出てきました。
ジョーイ: I'm getting heat from the guy in the hot pink thong. (ホットなピンクのTバックをはいてる男から熱さを分けてもらえるからね。)
ジュリア・ロバーツ演じるスージーに騙されて、女物の下着を履くはめになったチャンドラーをからかってのセリフでした。
その同じエピソード、フレンズ2-13その17 では、以下のセリフもありました。
フィービー: I think I want to write a song about all this. Except one of the strings on my guitar is broken. Chandler, can I borrow your G-string? (今までのこと全部を歌にしたいなと思ってるの。ただ、私のギターの弦がひとつ壊れてるのよね。チャンドラー、あなたのGストリングを借りてもいい?)
この G-string というのも、「Tバック」を指しています。
G-string は、フレンズ6-3 で以下のやりとりで出てきました。
ジョーイがルームメイト候補に質問しているシーンで、
ジョーイ: Now, I'm gonna say a word and then you say the first thing that comes to mind. (じゃあ、俺が今から、一つの単語を言うから、その後、君が頭に浮かんだ最初のもの(言葉・単語)を言って。)
ルームメイト候補(The Potential Roommate): I can do that. (できるわ。)
ジョーイ: Okay, here we go. Pillow. (よし、いくよ。ピロー(枕)。)
ルームメイト候補: Fight. (ファイト。)
ジョーイ: Very good. Okay. "G." (非常によろしい。オッケー。”G”)
ルームメイト候補: String? (ストリング?)
ジョーイ: Excellent! (素晴らしい!)

「枕と言えば…?」「枕投げ(ピローファイト)」と答えるような、ジョーイと同じ発想の持ち主(笑)を、ジョーイはルームメイトとして迎えたいと思っていて、「Gと言えば…?」「Gストリング(Tバック)」と答えてくれたので、ジョーイは大喜びしていたわけですね。

そんな風に、これまでのフレンズでも、ジョーイは何度か Tバック(a thong または G-string)の話をしていましたので、今回、Tバック(a thong)だと期待していたのに、ビーサン(thongs)だとわかってがっかりした、という話も、ジョーイらしいなぁ〜と笑えるわけですね。

You really should have been more clear about that! の、should have been は、「should have+過去分詞」の形ですから、「(過去のあの時)〜であるべきだったのに(実際にはそうしなかった)」と言っていることになります。
「それについてもっとクリアーであるべきだった」というのは、「もっと、はっきりと・明瞭であるべきだった」ということで、複数形の語尾の -s がよく聞き取れず、単数形の a thong と聞き間違えるような言い方を君はすべきじゃなかった、複数形なら複数形であると、明瞭に thongs と発音すべきだった、と言っていることになるでしょう。

そんな話をしていると、ドアにノックがあり、ドアを開けるとロスが興奮した表情で、「僕が下の階でたった今、誰に会ったかを君は決して想像できないだろう」と言います。
You're never gonna guess... は「君には決して想像できない」→「君が驚くようなすごい人に会ったんだ!」と言っていることになりますね。
「すごい人に会ったんだよ、誰だと思う?」と言われたので、ジョーイは guess してみせるのですが、それがブリトニー・スピアーズだったので、ロスはあきれた顔をしています。
こういう会議、とは、ロスが基調講演を行う古生物学者が集まる会議のことで、miss は「機会を逃す、見逃す」ということですから、She never misses these conferences! を直訳すると、「彼女は決して、こういう古生物学の会議を逃さない(見逃さない)」になります。
もちろん、それは皮肉で、「歌手のブリトニー・スピアーズが、自分とは何の関係もない(そして恐らく興味もない)、古生物学者の集まる会議に来るわけないじゃないか」とロスは思っているわけですが、それをあきれた顔で、「あぁ、そうだよね。スピアーズはこういう会議には、いつも欠かさず出席するもんねぇ」みたいに皮肉っぽく返したことになります。

ジョーイでは話にならないと思ったロスは、一言皮肉を言った後、チャーリーの方を向いて、「僕はたった今、ケネス・シュワルツ博士に会ったんだ!」と興奮気味に語っています。
それを聞いたチャーリーの反応からも、彼らの世界ではかなりの有名人であることがわかりますね。
「彼に会った(彼を見た)のなら、彼に話した? 話しかけた?」と尋ねるチャーリーに、ロスは「僕がケネス・シュワルツに何て言うんだ?」と言っています。
あまりに凄すぎる相手で、話すと言っても、何を話したらいいかわからないよ、僕からあんなすごい人に声を掛けるなんてできないよ、ということですね。
そんな話を聞いていたジョーイは、「こんな風に言えるんじゃないか。こんな風に言えばいいじゃん」と言って、「どうしてあんたはブリトニー・スピアーズじゃないの?」と言っています。
how come は「どうして…?」という意味で、why と同じようなニュアンスで使われます。
ジョーイにしてみれば、そんな聞いたことないおじさん(笑)よりも、ブリトニー・スピアーズとかの方が良かったのに、、ということで、「どうしてあんたはブリトニーじゃないの? 俺、どうせ有名人に会うのなら、ブリトニーの方が良かったんだけど…」みたいに言ってみせたことになりますね。

ト書きの matter-of-factly は「事もなげに、淡々と、事務的に、感情を交えずに」というニュアンス。
専門分野での有名人の話なので、それを知らないジョーイは黙っていればいいものを、今自分の恋人であるチャーリーが、自分の知らないことでロスと盛り上がっているのもしゃくなのか、「何大騒ぎしてんだよ。”あんたよりブリトニーの方が良かった”って言ってやれば?」みたいに言った、ということですね。


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posted by Rach at 15:10| Comment(2) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは。いつもためになる解説ありがとうございます。今回のthong(s)も私は言葉としては初めて知りましたが、
G-string 他いろいろとこの深いバラエティーに富む関連解説を読んでもう完全に覚えました。それがいつも思っているRachさんの素晴らしいところ(の一つ)です。
今回は少し前のMet(s)の続きとしてscenario writerがこだわった場面だろうということも興味深かったです。

もうシリーズ9も最後のほうになり、ファイナルが近付いてきましたが、引き続き楽しい解説楽しみにしております。よろしくお願い申し上げます。
Posted by koroyakun at 2015年11月10日 07:17
koroyakunさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。

「ジョーイがあんなにガッカリしている理由は、thong(s) という単複の使い分けにある」とわかったりするのは、英語のセリフを学ぶ楽しみの一つでもありますね。
G-string の時も、いろいろなジョークネタとして使われていましたが、そういうのをまとめてご紹介することで、「フレンズ的ジョーク、フレンズっぽい笑い」というものが掴める気がしました。そういう「過去のセリフとの関連」をシェアして楽しめるのが、シリーズものの醍醐味ですよね。

Met(s) の単複の違いも実に英語っぽくて面白かったですよね。Met(s) も thong(s) もどちらもチャーリーとジョーイの会話で、「全く同じパターン」なわけですが、野球(スポーツ)と下着のように少しジャンルが違うのが楽しいですし、また、スポーツと下着の話にしか聞こえないところもジョーイっぽく、本当に良くできた脚本だなぁ、と思いました。

気がつけばもう、シーズン9も終わりですね。ここまで読み続けて下さったことを本当にありがたく嬉しく思っています。
解説を書くのは本当に楽しいです。読む方にも楽しんでいただけるような記事が書けるように、これからも頑張ります!
こちらこそ、今度ともよろしくお願い申し上げます(^^)
Posted by Rach at 2015年11月11日 15:52
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