2015年11月26日

頭の中では一度もノーと言ったことない フレンズ9-24その5

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は4位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


「レイチェルはジョーイを男性として好きである」ことがジョーイ本人にわかってしまい、ジョーイもレイチェルのことが好きなものの、「こういうことはいけないよ」と必死に止めようとしています。
そう言われても、レイチェルはあきらめがつかないらしく、
レイチェル: Why, why not? (どうして、どうしてダメなの?)
ジョーイ: Because, look, no one wants this to happen more than me, okay? (in a trembling voice) I have gone over this moment in my head a hundred times and not once did I ever say no! (sighs) I couldn't do it to Ross! (だって、ほら、俺よりそれを望む人なんていないよ[俺が一番、そうなって欲しいと思ってるよ]。[震える声で] 俺はこの瞬間を、頭の中で100回も繰り返してきた、そして、ノーと言ったことなんて一度もないんだ! [ため息をついて] ロスに対してそんなことはできないよ!)
レイチェル: But that wasn't gonna stop you before! (でも、以前は、ロスのことがあなたを止めることにはならなかったでしょ!)
ジョーイ: I know, I know! But I've thought about it a lot since, and it just wouldn't be right. (painfully) I'm sorry. (わかってる、わかってるよ! でもそれ以来、俺はそのことをいっぱい考えてきた、そしてそういうのは正しくないと思うんだよ。[苦しげに] ごめんよ。)
レイチェル: (regretful) I'm sorry too. (they look at each other sadly, then she recollects, and puts her hands over her eyes) OH GOD! I shouldn't have said anything! ([後悔している様子で] 私もごめんなさい。[二人はお互いを悲しげに見つめて、それからレイチェルは思い出し、目の上に手を乗せる] なんてこと! 私は何も言うべきじゃなかったのに!)
ジョーイ: NO! No-no-no-no-no-no! Hey! Hey, we'll be fine! Li... Hey. Like you said, it's no big deal! (そんなことないよ! ないないない! ねぇ! ねえ、俺たちは大丈夫だよ。君が言ったように、大したことない!)
レイチェル: It's not a big deal! (大したことないわ!)
ジョーイ: No big deal! (全く大したことない!)
レイチェル: It's so not a big deal! (ものすごく、大したことない!)
ジョーイ: Yeah! I'll see ya later! All right, hey. (そうだよ! じゃあ後でね。よし。)
レイチェル: Okay, great. (いいわ、良かった。)
(They shake hands, he walks out and shuts the door, then seems to change his mind, moves to open the door, than changes his mind again and leans over the door. Just then, Rachel opens the door)
二人は握手し、ジョーイは部屋から出て行き、ドアを閉める。それから気持ちが変わった様子で、ドアを開けようと動くが、また考えを変えて、ドアにもたれる。ちょうどその時、レイチェルがドアを開ける。
レイチェル: Okay-- (あの…)
(Joey falls backwards into the room)
ジョーイは後ろ向きに、部屋の中に倒れる。
レイチェル: AAAHHHH! (ああーーー!)
(Joey hurriedly stands up, arms akimbo, gives her an embarrassed look and walks away)
ジョーイは急いで立ち上がり、手を腰に当てて、レイチェルに恥ずかしそうな顔をして、歩いて去る。

「レイチェルと俺とが、恋愛関係になるとか、付き合うとか、そういうのは絶対だめだ!」とジョーイが必死に否定するので、レイチェルは「どうしてだめなの?」と理由を問うています。
Why? に対して、定石通りの Because... で理由を述べようとしているジョーイですが、because 以下で語られた内容は、直接の理由というよりは、まずは今の自分の気持ちがどういうものであるかを、レイチェルに説明しようとしている感じですね。

no one wants this to happen more than me, okay? は、no one という否定語と more than という比較級を組み合わせて、「〜(という人)より…する人はいない」と表現することで、「〜という人が一番…する」と最上級を表わす仕組みですね。
拙著「読むだけ なるほど! 英文法」の p.162 でも、『「否定+比較級」で「最上級」を表わす』という項目で、そのような例文をいくつかご紹介しています。

否定語と比較級の意味をそのまま出して直訳すると、「俺よりも、このことが起こって欲しいと思う人間は誰もいない」になりますね。
「俺よりもそのことをより(強く)願う・欲する人間はいない」ということはつまり、「俺が一番そうなって欲しいと願っている人間である」ということですね。
this 「このこと」というのは、ジョーイとレイチェルが、友達から恋愛関係に進むことを指し、「二人がそういう関係になっちゃダメ?」とレイチェルに聞かれて、「絶対にだめだ!」と言っている、まさしくこの俺が、一番そういう関係になりたいと願ってるんだよ、とまずは言っていることになります。
そうなりたいと願ってるのは、誰よりこの俺なんだ、ということですね。

その後の、I have gone over... のセリフが、何とも切ないですよね。
go over は「繰り返す、読み返す、見返す、思い返す」のような感覚ですから、I have gone over this moment in my head a hundred times は、「この瞬間を自分の頭の中で、100回、繰り返してきた」と言っていることになるでしょう。
レイチェルに「私もジョーイのことが好きよ」と言われる瞬間を、何度も頭の中で繰り返しイメージしてきた、ということですね。

後半の not once did I ever say no! について。
not once は「一度も〜しない」というニュアンス。
once は「一度」という副詞なので、否定文で使うと、「ただの一度も〜しない」という意味になります。
このセリフは、否定語の not once が前に出た形になっており、否定語が前に出たことで、後ろの文が倒置になっています。
このような否定語句の倒置については、数研出版「基礎と完成 新英文法」の p.533 「倒置」の項目で、「強調のための倒置 <否定語句+V+S>」として説明されています。
今回と同じような「否定の副詞語句が文頭に置かれた形の倒置」としては、以下の例文が挙げられています。
In no way can John be held responsible. 「どう見てもジョンの責任を問うことはできない」。

否定語句が前に来たため倒置になった構文としては、No sooner A than B 「AするやいなやBする」の構文もありますね。
その構文については、研究社 新英和中辞典の以下の説明がわかりやすいと思います。

no sooner…than…=[接続詞に用いて] …するとすぐ、…するやいなや (比較:as soon as よりも文語的)
He had no sooner arrived than he fell sick.=No sooner had he arrived than he fell sick. 「彼は到着するやいなや病気になった」
(用法:no sooner が文頭にくる時には倒置される)


今回のジョーイのセリフも、「たったの一度だって、ノーと言ったことなんてない」のように、強調のために not once が文頭に来ることで、後ろの文章が倒置されていることになります。

頭の中で何回もこういう場面を想像してきたけど、ノーと言ったことは一度もない、ということはつまり、答えはいつもイエスだった、と言っているわけですね。
それなのに、実際には今はこうしてノーと言わなければならない理由として、I couldn't do it to Ross! 「ロスに対して、俺はこんなことできない」とジョーイは言っています。

それを聞いたレイチェルは、But that wasn't gonna stop you before! と返します。
that は直前のジョーイの発言を指しており、「そのこと(ロスに対してそんなことできない、ということ)は、前にはあなたを止めることにはならなかった」ということですね。
前に私に告白してくれた時も、ロスのことが気になっていたはず、それでもあの時は告白してくれたのに、どうして今回はダメなの? というところでしょう。

ジョーイは、I know! 「そうだよ、わかってるよ」と言って、「あれ以来、そのことについてたくさん考えてきた。ただそういうことをするのは正しくないって思うんだ」と言い、苦しそうに「ごめん」と謝ります。
レイチェルも「私もごめんなさい」と謝り、その後、I shouldn't have said anything. と言っていますね。
shouldn't have said は「(あの時)何も言うべきではなかったのに(私は言ってしまった)」という感覚で、言わなくてもいいことを言ってしまった、あなたのことが好きとか言うんじゃなかった、と後悔しているニュアンスになります。

Like you said, it's no big deal! は、「レイチェルが言ったように、大したことない[大ごとじゃない]!」ということですね。
大ごとにするようなことじゃないから、お互い気にしないでおこう! というように、二人は big deal であることをとにかく否定するセリフを重ね、二人が握手した後、ジョーイは部屋を出て行きます。
ト書きにあるように、ドアを出て行った後も、ジョーイはドアの外で葛藤しています。
ジョーイが悩みながらドアにもたれていると、中からレイチェルがドアを開けたので、ジョーイはドアにもたれた状態のまま、後ろ向きに部屋の中に倒れます。
レイチェルは、あー! と声を上げるのですが、ジョーイはすっくと立ち上がり、むっとした顔のままで、そのまますたすたと去って行ってしまいます。

ト書きの arms akimbo は、「両手を腰に当ててひじを張って」というしぐさ。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
akimbo [adjective] :
(with) arms akimbo
with your hands on your hips so that your elbows point away from your body

つまり、「ひじが体から突き出すように、手を腰に当てること」。

見事に倒れてしまったことは恥ずかしいけれど、今、レイチェルに何も言えないジョーイとしては無言でそのまま去るしかなかった、、ということですね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 15:07| Comment(4) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。

現在、趣味のプログラミングを生かして、
海外ドラマ(ビッグバンセオリー)のセリフを引用した
英語学習ゲームのアプリを作ろうとしています。(私的利用目的のアプリはもう開発しました)そんながっつり勉強しようというものではなくあくまで楽しんでもらうことに重きを置いてます。

そこで質問させてください。
南谷さんのように海外ドラマのスクリプトを引用する場合、著作物使用の許可を原作者の方にとることは必要でしょうか?また、セリフを引用する場合に留意する点などがございましたらご教示願います。

急にご連絡してすみませんでした。
Posted by コボちゃん at 2015年11月27日 17:36
こんにちは。コメントありがとうございます。

私はこのようなブログを書き、またそれを元にした本を出版していることもありますので、出版を契機としてそれ以降は、著作権に詳しい専門家の方からの法的アドバイスに則って、ブログを運営しております。

ただ、実際に私が著作権に関してどのようなことを行なっているかなどの具体的な事柄に関しましては、いわば会社で言うところの「企業秘密」のようなものなので、他の方にお伝えすることはできかねます。
その専門家の方からも、「南谷がこう言っていた、というような内容が、本人の知らないところで勝手に一人歩きする可能性もあるので、回答は控えるように」と注意されています。

そのような状況なので、私からは参考になるようなことは何も申し上げることができません。
お力になれず申し訳ありませんでした。
Posted by Rach at 2015年11月28日 11:18
ありがとうございました。
急に連絡して申し訳ございませんでした。
いろいろな可能性を探ってみたいと思います。

失礼します。
Posted by コボちゃん at 2015年11月28日 19:00
コボちゃんさんへ
こちらこそ、お役に立てず、申し訳ありませんでした。

わざわざのご丁寧なお返事、ありがとうございました。
Posted by Rach at 2015年11月29日 11:04
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。