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ロスがもらえるかもしれない研究助成金の運営者がベンジャミンだとわかったので、ロスの今カノであり、ベンジャミンの元カノであるチャーリーが、二人の仲を取り持とうと3人で会食しているところ。
チャーリー: Ross, why don't you tell Benji about your proposal while I go to the ladies' room? (ロス、私がお手洗いに行ってる間に、あなたの提案をベンジーに話したらどうかしら?)
ベンジャミン: So tell me about it. (それじゃあ、その件について話してくれ。)
ロス: Okay, well, I would like to do a dig in the Painted Desert. (わかりました。あのー、ペインテッド砂漠で発掘したいと思っています。)
ベンジャミン: M-m. (んーん。)
ロス: See, there are still several areas that haven't been fully excavated. (完全には発掘されていない箇所が、まだいくつかありますから。)
ベンジャミン: Break up with Charlie. (チャーリーと別れろ。)
ロス: What? (何?)
ベンジャミン: What? (何?)
ロス: Did you just say "Break up with Charlie"? (今、「チャーリーと別れろ」って言いました?)
ベンジャミン: Well, yes and no. Yes, I did say it. And no, I didn't not say it. (あぁ、イエスでありノーだ。イエス、私はそう言った。そして、ノー、私はそう言わないことはなかった。)
ロス: Kind of inappropriate, don't you think? (ちょっと不適切だとは思いませんか?)
ベンジャミン: Listen, I'm sorry. I just haven't seen her for so long! All these feelings are rushing back! I'm starting to realize how much I've missed her. And I'm gonna need you to break up with her. (あぁ、すまない。彼女とは久しぶりだったから! こういう気持ちが一気に戻ってきてるんだ! 僕が彼女をどれほど恋しいと思っていたかが、今わかり始めてるんだ。だから、僕は君に彼女と別れてもらうことが必要になるんだよ。)
ロス: Are you serious? (本気ですか?)
ベンジャミン: If you say yes then I'm serious, if you say no then I'm joking! (もし君がイエスと言うなら僕は本気だよ。もし君がノーと言うなら冗談だ。)
ロス: No! (ノーですよ!)
ベンジャミン: Joking it is! (冗談だよ。)
チャーリーは、「私がお手洗いに行く間に、あなたの提案についてベンジー(ベンジャミン)に話してみたらどう?」と提案して、席を立ちます。
ベンジャミンは、、自ら「じゃあ、それについて僕に話してくれ」とロスの話を聞こうとする意志を見せ、ロスは、早速、「ペインテッド砂漠で発掘したいと思っています」と語り始め、「完全には発掘されていない箇所が、まだいくつかありますので」と続けます。
excavate は「(穴などを)掘る」「掘り出す、発掘する」という意味。
その前に出てきた dig 「掘る」という単語を、専門的に言い換えた感覚ですね。
そんな風に、自分の研究の話を真剣に語っていると、ベンジャミンは、Break up with Charlie. 「チャーリーと別れろ」というセリフをさらっと言います。
思いがけないことを言われたので、ロスが What? と聞き返し、それに対して言った当人のベンジャミンが What? と瞬時に返すのが面白いですね。
自分で言っておきながら、「僕、何か言ったっけ?」みたいに、すっとぼけているような感じです。
ロスがはっきりと、「あなたは今、”チャーリーと別れろ”って言いましたよね?」と尋ねると、ベンジャミンは、yes and no. 「イエスでありノーだ」と答えますが、その後の、イエス&ノーの説明が面白いです。
Yes, I did say it. And no, I didn't not say it. を直訳すると、「イエス(そうだ)、僕はそう言った。そして、ノー(違う)、僕はそれを言わないことはなかった」になりますね。
no, I didn't say it. なら、通常の否定文で、「いや、私はそんなことは言わなかった」になるわけですが、そこを、And no, I didn't NOT say it. のように、not を強く発音することで、「私はそんなことを”言わない”ことはなかった」→「実際に言った」のように、ノーと言いながらもやはり自分はそう言ったということを認めた発言になるわけですね。
イエスであり、ノーである、のように最初に言ったことで、「イエス、僕はそう言った。ノー、僕はそう言わなかった」のような答えが続くのかと一瞬想像されますが、それだと、両立しえない反対のことを言ったという矛盾発言になってしまいます。
No の後は流れとして否定文が続くことになりますが、実際にはそう言ったのに「言わなかった」と嘘をつくわけにもいかないので、「言わないことはなかった」と二重否定で表現することで、「確かに僕はそう言った」ということを認めたということですね。
自分の発言に矛盾がないようにした、頭の回転の速い人の言葉遊びみたいなものだと言えるでしょう。
そうやってはっきりと、「確かに僕は今、”チャーリーと別れろ”と君に言った」ことをベンジャミンが認めたので、チャーリーの今カレであるロスは、「ちょっと不適切だと思いませんか?」と言っています。
そう言われたベンジャミンは、素直に自分の不適切発言を認めるように、まずは謝罪し、そんなことをつい口走ってしまった理由を述べています。
I just haven't seen her for so long! は、「僕はただ、彼女を非常に長い間、見ていなかった」→「ものすごく久しぶりに彼女に会った(再会した)」
All these feelings are rushing back! は、「この全ての感情が急激に戻ってきている」→「彼女に対するこういう(恋愛)感情が僕の心に急によみがえってきた」
I'm starting to realize how much I've missed her. 「どんなに彼女を恋しいと思っていたかに、僕は今気づき始めている」
ということですね。
現在完了形と現在進行形の使い分けに、ネイティブ英語っぽい感覚がよく出ているように思います。
現在完了形は、「彼女と別れてから今までの期間」のことを言っていて、「今再会するまでのこれまでの間、長く彼女とは会っていなかった」「その間、どれほど彼女のことを愛しいと思っていたか、彼女がいなくてどれくらい寂しかったか」を語っていることになりますね。
そして現在進行形の方は、まさに今、ベンジャミンの心の中で起こっている進行中のことを語っている感覚となり、「こういう感情が、今急速によみがえってきている」「彼女のことをどんなに愛しいと思っていたかについて気づき始めている」と、刻々と変化する、時間の経過とともに強くなっていっている気持ちを表現していることになるでしょう。
「久しぶりに再会して、彼女に対する気持ちがよみがえってきて、ついあんなことを口走ってしまったんだ」のように反省の弁を述べているようなベンジャミンですが、その後、And I'm gonna need you to break up with her. と付け加えているのが面白いですね。
つまり、「(僕のチャーリーを愛する気持ちがまた再燃してしまったから)僕は、君が彼女と別れることを必要とするようになる」と言っていることになります。
「ついあんなことを言ってしまって」と反省しているかのように見せておいて、「僕の気持ちはこういうことなんで、君にはチャーリーと別れてもらわないといけないんだ」のように、自分の都合のいい方向にちゃっかりと話を持って行っている強引さとずうずうしさが面白いということですね。
専門分野においてはいくら相手の方が格上とは言え、男女の恋愛関係にまでそういう上下の関係を持ち込み、相手を自分の言いなりにしようとするような相手の発言と態度に、ロスはさすがにムッとした様子で、「あなた本気ですか? それは冗談ではなく本気で言ってるんですか?」と問い詰めます。
それに対するベンジャミンの返事がまた、「イエスでありノーだ」の発言と似た感じの、言葉遊びっぽいセリフとなっていて面白いです。
If you say yes... 以下のセリフを直訳すると、「もし君がイエスと言うのなら(それなら・その場合は)僕は真剣だ。もし君がノーと言うのなら(それなら)僕は冗談を言っているんだ」になりますね。
つまり、相手の答えに合わせて、自分の発言が真剣か冗談かを使い分けていることになります。
ロスがイエス、つまり「チャーリーと別れます」と言った場合は、「チャーリーと別れろ」と言った僕の発言は真剣なものとなるので、「チャーリーと別れろ、に対してロスがイエスと言ったことで、二人は別れることになる」。
ロスがノー、つまり「チャーリーとは別れません」と言った場合は、「チャーリーと別れろ」と言った僕の発言は「ただの冗談だよ」となるので、「チャーリーとは別れません、と言ったロスの発言は何の意味も持たないし、何の効力もない。ベンジャミンもそのロスの発言を意味のあるものとして受け止める必要がなくなる。”チャーリーと別れてくれ”という発言そのものが、あれはただの冗談だったとして、存在しなかったものになる」。
ということになるでしょう。
ロスはベンジャミンの発言を聞いた後、一瞬、考えを巡らせてから、No! と強い調子で返事します。
それを聞いたベンジャミンは、「君がノーって言ったから、(僕がさっき言った通りで)あれは冗談だよ」と笑いながら返します。
「ただの冗談だから、あの発言はなかったことにしてくれ。忘れてくれ」という感じですね。
if you say no then I'm joking という条件付けがなければ、ベンジー:「チャーリーと別れてくれ」、ロス:「チャーリーとは別れません」という会話が成立し、「ベンジーの頼みをロスが拒絶した」という事実ができてしまいます。
ロスが拒絶したということを事実として受け入れないで済むように、自分の発言そのものを冗談としてなかったことにしようとしているわけですね。
「もし〜なら」と条件付けをした上で、それぞれの結論を用意し、どっちに転んでも自分が損にならないように話を持って行っているところが、頭の切れる人っぽい部分が出ていて、非常に面白いセリフだなと思いました。
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2016年02月22日
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