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助成金の最終面接で、ベンジャミンはロスに対してだけ専門分野とは関係ない質問をして、ロスを困らせます。その後のシーン。
セントラルパークにチャーリーがいて、そこにロスが入ってきます。
ロス: Your ex-boyfriend is insane. (君の元カレは変だよ[おかしいよ]。)
チャーリー: Did you get the grant? (助成金はもらえたの?)
ロス: No, I didn't. And you wanna know why? Because your ex-boyfriend is still in love with you. (いいや、もらえなかった。そして、その理由を知りたい? その理由は、君の元カレが君のことをまだ愛してるからだ。)
チャーリー: What? (何ですって?)
ロス: Yeah. He wouldn't give me the grant, because I wouldn't give you up. (そうだよ。彼は僕に助成金を与えようとしなかったんだ、僕が君をあきらめようとしなかった、という理由でね。)
チャーリー: Benji isn't in love with me. I mean, he broke up with me. And besides, he's a very ethical man. (ベンジーは私を愛してないわ。ほら、彼が私を振ったのよ。それに加えて、彼はとっても倫理的な[道徳的に正しい]人だから。)
ロス: Really? Is it ethical to ask someone in a grant review: "Who was the voice of Underdog?" (ほんとに? 助成金の審査で、人にこんなことを尋ねるのが倫理的なの? 「アンダードッグの声優は誰だった?」って。)
チャーリー: I'm sure he was just joking, Ross. (彼はただ冗談を言ってるんだと思うわ、ロス。)
ロス: If you don't believe me, let's go talk to him, okay? I'm telling you, he didn't ask me one paleontological question. (僕の言うことを信じないなら、彼に話しに行こうよ。言っとくけど、彼は僕に古生物学の質問を一つもしなかった。)
チャーリー: Seriously? (本当に?)
ロス: Oh, I'm sorry. No, he did ask me one: "How do you spell Boscodictiasaur?" (いや、ごめん。違う、彼は確かに一つだけ僕に質問したよ。「ボスコディクティアサウルスのスペル(綴り)は?」って。)
チャーリー: Well, if it's like the Lake Mbosco in Congo, then M-B-O-- (そうねぇ、もしコンゴのボスコ湖のようだとしたら、それなら、M-B-O…)
ロス: Damn it! (くそっ!)
ロスはチャーリーを見るなり、「君の元カレは insane だ」と言っています。
insane は「おかしい、正気でない」という意味ですね。
助成金はもらえたの? とチャーリーが尋ねると、ロスは「もらえなかった。理由を知りたい? それは君の元カレが君のことをまだ愛してるからだ」と答えます。
He wouldn't give me the grant, because I wouldn't give you up. では、wouldn't が2回使われていますが、これは、「どうしても〜しようとはしなかった」というような「拒絶の意志」を表わす表現になります。
「チャーリーをあきらめようとしなかったから[チャーリーと別れろと言われて、僕がそれを頑として拒んだから]、彼は僕に助成金を与えようとしなかったんだ」と言っていることになるでしょう。
それを聞いたチャーリーは、「ベンジーは私を愛してないわ。だって、彼が私を振ったのよ」と言った後、And besides, he's a very ethical man. とも言っています。
ethic は「倫理、道徳律」で、その形容詞の ethical は「倫理的な、道徳的に正しい」という意味ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
ethical : morally good or correct
例) This type of advertisement may be legal, but is it ethical?
つまり、「道徳的に(見て)良いまたは正しい」。例文は「この手の広告は法的には合法かもしれないが、でも倫理的(と言える)かな?」。
「僕と別れなければ、助成金を与えない、とベンジャミンが言うんだ」と言うので、「彼は助成金の話と恋愛感情とをごっちゃにするような、非倫理的な人じゃない、道徳的に問題ありのそんな発言を言う人ではない」とチャーリーは言いたいわけですね。
彼はとても倫理的・道徳的な人だわ、と言うチャーリーに、「へぇ〜、じゃあ、助成金の審査でこんなことを質問するのが、倫理的だっていうの?」と言って、ベンジャミンが面接で出した質問を例に挙げています。
Who was the voice of Underdog? は「アンダードッグの声は誰だった?」ということですから、「アンダードッグの声優をしていたのは誰?」ということですね。
アンダードッグはアメリカで放映されていたアニメ。
フレンズ1-9 のタイトルは、The One Where the Underdog Gets Away (アンダードッグが逃げた話)でしたが、これは、感謝祭パレードで、アンダードッグのバルーンの紐が切れて飛んで行ったことを語る、"The most unbelievable thing has happened! Underdog has gotten away!" というセリフから来ています。
チャーリーは、ベンジャミンが変な質問をしたと聞いて、「彼はただ冗談を言ってるだけよ」と言うのですが、ロスはさらに、「君が信じないなら、彼に話しに行こうよ」と言って、「彼は古生物学の質問を一つもしなかった」と言っています。
「ほんとに?」と聞かれたロスは「あ、ごめん、それは間違いだ。確かに彼は一つだけ古生物学に関する質問をしたよ」と言って、"How do you spell Boscodictiasaur?" という質問を挙げています。
このシーンより前に出てきた実際の面接のやりとりは、以下のようになっていました。
ベンジャミン: Spell "Boscodictiasaur." (「ボスコディクティアサウルス」を綴れ[綴りを言いなさい]。)
ロス: (annoyed) um... I've never heard of a "Boscodictiasaur." ([困って] うーんと、「ボスコディクティアサウルス」は今まで聞いたことありません。)
ベンジャミン: Yeah, I just made it up. Spell it. (あぁ、僕がたった今、作った。その綴りを言いなさい。)
ロス: (stares at him angrily) Okay. (determined to spell it correctly) B-O-S-- ([彼を怒ったように見つめて] わかりました。[それを正しく綴ろうと固く心に決めて] B-O-S--)
ベンジャミン: No, it starts with a silent M. (いいや、発音されないM で始まるんだ。)
ロス: Oh, come on!! (あぁ、もう!)
古生物学に関する質問として、恐竜の名前の綴りを聞かれたのですが、ベンジャミンの発音の通りに、最初は B で始めようとしたところ、「その綴りは、サイレントM で始まる」と言われてしまったわけですね。
この場合の silent は、「(文字が)発音されない、黙音の」という意味。
LAAD の例文では、The "b" at the end of "thumb" is silent. 「thumb の最後の b はサイレントである[発音されない]」という例文が出ています。
ベンジャミン自身が言っていたように、「僕が今(即興で)作った名前」であり、架空の名前なわけですが、ロスとしては、「そんな架空の名前の綴りにサイレントM が付いてるかどうかなんてわかるかよ! そんなの、言った者勝ちじゃないか!」というところでしょう。
ロスはそんないじわるな質問をされていたわけですが、今回のシーンではそれがまたネタとして使われた上に、ロスに対してよりショックな結果となっている、というのが、このセリフの面白さだと言えるでしょう。
ロスは、ベンジャミンの質問が理不尽だと言いたげに、「ボスコディクティアサウルスの綴りは? って聞かれて、B で始めようとしたら、サイレントM がついてる、なんてナンセンスなことを言うんだよ」とボヤこうと思っていたことでしょう。
それが、その質問を聞いた、ベンジャミンの元カノのチャーリーは、ただ B から始めようとはせずに、ちょッと考えを巡らせて、Well, if it's like the Lake Mbosco in Congo, then M-B-O-- と答えることになります。
直訳すると、「そうねぇ、もしそれがコンゴのボスコ湖のようなら、それなら M-B-O…(という綴りになる)」ということですね。
さすがは元カノというか、ベンジャミンの引っかけの意図を瞬時に見抜き、似たような音の湖の名前を思い出して、サイレントM を含めた綴りを言ってみせたわけですね。
ちなみにこの「コンゴのボスコ湖」ですが、実際にはそういう名前の湖は存在しないようです。
つまり、脚本の流れとして、「似たような音の湖が存在するから、その恐竜の名前もそれと同じ綴りで、サイレントM がある」という風に話を持って行くための、架空の湖の名前だということですね(実在していたら、より面白かったのでしょうが、、、)
最初、面接でその質問をされた時のロスは、「サイレントM がついてるなんて、そんなのわかるわけない」という気持ちだったはずですが、チャーリーにはそれがわかってしまった、というところが、ロス的には何ともシャクだったことでしょう。
今は自分の彼女であるチャーリーが、元カレのベンジャミンと発想が同じであり、それも「コンゴのボスコ湖の綴りはサイレントM で始まる」というような(架空の設定とはいえ)学問的知識を必要とする発想なだけに、「わかる人にはわかる」という空気の中、自分だけが取り残されたような感じがして、Damn it! と言うしかなくなるということですね。
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2016年02月26日
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