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シーズン10 第8話
The One With the Late Thanksgiving (感謝祭にリベンジ!)
原題は「遅れた感謝祭の話」
セントラルパークに入ってきたチャンドラーとモニカは、「今年は、みんなを感謝祭に招待しない」とフレンズたちに宣言します。
どうして? 冗談でしょ、と口々に言うフレンズたちですが、
フィービー: Well, personally I think it's great you're giving yourself a break. (そうね、個人的には、モニカが休憩するのはいいことだと思うわ。)
モニカ: Thank you, Pheebs! (ありがとう、フィービー!)
フィービー: Sure. It's just as well. I mean, last year wasn't very good. I think she's losing her touch. (ええ。それがかえって好都合だわ。だって、去年はあまり良くなかった。彼女は腕が落ちてきてる、って思うの。)
モニカ: What? You are way off, lady! (何ですって? 全然違ってるわよ、レディー!)
フィービー: Am I? Really? Am I? Well, why don't you cook Thanksgiving dinner and prove me wrong! Well, think about it, think about it. You'd be trying to top what you did last year. You'd be in competition... with yourself. (違う? ほんとに? 私が? 感謝祭のディナーを作って、私が間違っているのを証明したらどう? 考えてみて、考えてみてよ。去年あなたがやったことに勝つように頑張ることになるのよ。あなたは競うことになるわ…あなた自身とね。)
モニカ: That's my favorite kind! Okay, we are doing this! (それって私の好きなタイプのことだわ! オッケー、私たちはこれをやるわ!)
チャンドラー: Don't let yourself get manipulated this way! (こんな風に自分を操作されるなよ。)
モニカ: Hey, stay out of this, Chandler! This is between me... and ME! (ちょっと、この件には口出ししないで、チャンドラー! これは私と…私の問題なの!)
チャンドラー: We are supposed to make these decisions together! Did you not watch the Dr. Phil I taped for you? (こういう決定は一緒にすることになってるだろ! 俺が君のために録画しておいた、ドクター・フィルを見なかったの?)
今年はうちの感謝祭にみんなを呼ばない、というのを聞いて、フレンズたちは口々に不満を言うのですが、フィービーだけは、personally I think it's great you're giving yourself a break. とモニカたちに好意的な意見を述べます。
give someone a break の break は「コーヒー・ブレイク」などの break 「休み・休憩」のことなので、「人に休み・休憩を与える、人に一息入れさせる」という意味になります。
フィービーのセリフを直訳すると、「個人的には、あなたがあなた自身に休憩を与える予定であることは素敵(素晴らしいこと・いいこと)だと思う」になるでしょう。
毎年、モニカはみんなのために感謝祭の料理を作ってくれているけれど、今年は休んだらいいと思うわ、という同意ですね。
「私の意見に賛成してくれてありがとう」のように、モニカが感謝を述べると、フィービーは、Sure. It's just as well. と返します。
It's just as well. は、「それがかえって幸い・好都合だ」というような意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
it's just as well : used to say that it is lucky that something has happened in the way it did, because there might have been problems it if had happened another way.
例) It's just as well you didn't go to the party. It was boring.
つまり、「何かが実際にそのように起こったことはラッキーであると言うために使われる。違う形で起こっていたら、問題だったかもしれないという理由で」。例文は、「君があのパーティーに行かなかったのは、かえって良かったよ。退屈だったんだ」。
モニカが感謝祭の準備をしてくれないことでフレンズたちは文句を言っているのに、フィービーだけが「モニカが感謝祭をやってくれなくてかえって好都合」と言っていることになります。
その理由が、I mean 以下で語られていて、「去年(の感謝祭)はあまり良くなかった(から)」と言っていますね。
she's losing her touch の lose one's touch は「下手になる、腕・技量が落ちる」という意味。
この touch は「筆致」などのような「手際、(芸術的)技巧」という意味になります。
LAAD では、
touch : ABILITY TO DO SOMETHING your ability to do something
例) Judging from his latest novel, Goldman hasn't lost his touch.
つまり、「何かをするための能力」。例文は「彼の最新刊の小説から判断すると、ゴールドマンは技量が落ちてしまった(ようだ)」。
ですから、I think she's losing her touch. は、「私は彼女の腕が落ちてきている[落ちつつある]と思う」になるでしょう。
目の前にいるモニカのことを、she と呼んでいることになりますが、これは、去年の感謝祭の料理を作ったモニカのことを、少し距離感を出して she と呼んでいる感覚になるだろうと思います。
去年のモニカを頭の中にイメージして、「あのモニカは年々技量が落ちてきている」と言っているニュアンスでしょう。
そんなことを言われて、モニカは、You are way off, lady! と怒っています。
way off の off は「離れて」という意味で、この場合の way は名詞「道」ではなく、副詞や前置詞を強める役割の副詞「ずっと、うんと、はるかに」という意味ですね。
ですから、way off は「ずっと・うんと離れて」ということで、「大きく外れて、とんでもない間違いで」のように、「真実・正解からものすごくかけ離れている」ことを言っていることになります。
「フィービー」ではなく、lady と言っているのも、「そんなこと言うなんて、友達とは思えない」という感覚で、人間的な距離感を出して、よそよそしく「あなた」と言っている感じになるでしょう。
You are way off と言われたフィービーは、Am I? Really? Am I? と強めのトーンで返しています。
「私が間違ってる、ですって? ほんとに? 私が間違ってる、って?」のように、You are way off と言われたことを全面否定している、私の言っていることは全然外れていない、真実だわ、と主張している感覚になるでしょう。
「私が間違ってるって言うの?」と言った後、フィービーは、why don't you...? という提案のフレーズを使って、「あなたが感謝祭のディナーを作って、私が間違ってると証明してみなさいよ」と言っています。
そして、「考えてみてよ」と言った後で、You'd be という表現を2回使っていますね。
You'd be = You would be で、これは「自分の腕が落ちていないことを証明するために、もしあなたが今年も感謝祭ディナーを作るとしたら、あなたは〜という状態になる(でしょう)」と、仮定のニュアンスを込めている感覚になります。
最初の文の top は「トップ・首位に立つ」という感覚から、「〜を超える、〜を上回る、〜に勝つ」という意味になるので、「あなたが去年したことを超えるように頑張ることになる」というニュアンスになるでしょう。
2つ目の文は、「あなたは…と競争する・競うことになるのよ、あなた自身とね」ということですね。
それを聞いたモニカは、なるほど、という顔で立ち上がって、That's my favorite kind! と言っています。
favorite kind 「好きな(好みの)種類」なので、「それって、私が好きなたぐい・タイプのものね」→「そういうたぐいのこと、私、大好き」と言っていることになるでしょう。
Don't let yourself get manipulated this way! の manipulate は「操る、操作・操縦する、巧みに扱う」ということですから、直訳すると、「こんな風に、自分を巧みに操られる状態にさせるな」ということですね。
みんなのために感謝祭ディナーは作らない、と宣言したのに、「去年の自分との競争よ」と言われて、負けず嫌いのモニカはその話に乗ってしまった、、、そのことを、フィービーの口車に乗せられ、いいように言いくるめられて、フィービーの思うままに操られちゃだめだ、と言っているわけですね。
そのように注意してくれたチャンドラーに、モニカは、stay out of this と言っています。
「これより外にとどまっていて」ということですから、「この件についてはかかわらないで。口を挟まないで。口出ししないで」ということですね。
そして、This is between me... and ME! と言っています。
「これは私…と私の間のこと」というところで、「私と私の問題、私と私の戦い」のニュアンスで言っていることになるでしょう。
「去年の自分に勝とうとするチャンス」みたいにフィービーに言われたことで、「これは今の私と去年の私との戦いだから、部外者のあなたは口を挟まないで」と言っているわけですね。
それを聞いたチャンドラーは、「こういう意思決定は俺たち二人で一緒にすることになってるはずだ」と言っています。
感謝祭にフレンズたちを招待するかどうか、ということは二人で決めることだったはず、なのに、俺をのけ者にして一人で決めちゃうのはおかしい、ということですね。
その後、Did you not watch the Dr. Phil I taped for you? と続けています。
「俺が君のためにビデオテープに録画した、あの Dr. Phil を君は見なかったの?」ということですね。
Dr. Phil はイタリックになっているので、「ドクター・フィル、フィル博士」というのはただの人名ではなくて、tape に録画して、watch するような「テレビ番組のタイトル」であることが想像されます。
DVDの日本語訳も「(字幕)”フィル博士の人生相談”見た?/見なかったのか? ドクター・フィルの人生相談」となっていて、「ドクター・フィルの人生相談」のようなテレビ番組が存在することが示唆されていました。
その番組は、以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版 : Dr. Phil (TV series)
フィル・マグロー(Phil McGraw)という人が、臨床心理学者(a clinical psychologist)、法廷心理学者(a forensic psychologist)としてアドバイスするという、2002年放映開始の番組。
心理学者なので、ドクター・フィルと呼ばれていて、番組のタイトルにもなっているということです。
フィルさん自身のウィキペディアは以下。
Wikipedia 英語版 : Phil McGraw
90年代後半に、オプラ・ウィンフリーさんの番組(The Oprah Winfrey Show)に出演したことで有名になったとのことで、2015年には、フォーブス(Forbes)誌の The World's Highest-Paid Celebrities(世界で最も稼いだセレブ)の15位にランクされているような、有名な方なんですね。
そのフォーブスのリストは以下。
The World's Highest-Paid Celebrities List : Forbes
「こういう家庭のことは、夫婦二人で決めようって言ってたじゃないか。ドクター・フィル(の人生相談)、見なかったの?」というチャンドラーのセリフの流れからも、「大事なことは二人で相談して決めるのが、夫婦円満のコツ」のようなアドバイスがその番組で語られていたであろうと想像できますね。
「何でも二人で決めようって約束したじゃないか」というところまでは、夫らしい発言のように思えるのですが、それが「心理学者がアドバイスする番組」の受け売りだったとわかる、誰かが言ったマニュアル通りに行動しようとしている感じがして、それがオチになっている、ということですね。
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