2016年04月13日

医者じゃないことを手術で証明してもいい フレンズ10-9その5

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養子縁組斡旋事務所で、赤ちゃんを妊娠中の女性エリカと契約寸前の状態のチャンドラーとモニカ。
ですが、事務所の手違いで、エリカは「チャンドラーを医者、モニカを牧師」だと勘違いしており、嘘をついたまま契約するわけにはいかない、と、二人は真実をエリカに告げると決心します。
エリカが持ってきてくれていた赤ちゃんの超音波写真を、モニカは長い間じっと見てから、隣のチャンドラーにそれを見せます。
モニカ: Look, doctor! (見て、ドクター!)
チャンドラー: (Chandler takes Monica's hand, and gets serious) Look, before we sign anything, we really have to talk. (pause) We're not who you think we are. ([チャンドラーはモニカの手を取って、真剣な顔で] あの、何かにサインする前に、話しておかないといけないことがあるんです。[間があって] 僕たちは君が思っている人間じゃない。)
斡旋の男性: I don't understand. (どういうことですか?)
チャンドラー: The agency must have made some mistake. My wife is not a reverend and I'm not a doctor. (エージェンシーで、何らかの間違いがあったに違いありません。僕の妻は牧師じゃないし、僕も医者じゃありません。)
エリカ: What? (何ですって?)
斡旋の男性: That's impossible. (そんなこと、ありえない。)
チャンドラー: I could perform an operation on you and prove it if you'd like. (お望みなら、あなたに手術を実施して、それを証明することだってできますよ。)
斡旋の男性: I have to check your file. Excuse me. (あなたがたのファイルをチェックしないと。失礼。[男性は去る])
エリカ: So who are you? (それじゃあ、あなたがたは誰なんですか?)
チャンドラー: Well, our names really are Monica and Chandler. We're from New York. (あぁ、僕たちの本当の名前はモニカとチャンドラーです。ニューヨークから来ました。)
モニカ: Yeah, but the important thing to know about us, is how much we would care for this little baby. (holds up the sonogram) (えぇ、でも私たちについて知っておくべき[知っておいてほしい]重要なことは、私たちがこの小さな赤ちゃんをどれほど愛するか、ということよ。[その超音波写真を掲げる])
エリカ: So you lied to me before? (それじゃあ、さっき、あなたたちは私に嘘をついたの?)
モニカ: Well, we... (makes quotation signs in the air) "bore false witness." See? I could be a reverend. (あぁ、私たちは… [空中で引用符サインを作って] いわゆる”嘘の証言(偽証)をした”ってことね。ほら、私は牧師になれるわよ。)
エリカ: I can't believe this. (こんなの信じられないわ。)
モニカ: But we were hoping that since we told you the truth that you still might consider-- (でも私たちは願っていたの、私たちが本当のことを話したら、まだ考えてくれる可能性があるって…)
エリカ: Giving you my baby? You think I'd give you my child after this? (あなたたちに私の赤ちゃんをあげることを(考えるですって)? こんなことがあった後で、自分の子供をあなたたちに渡すと思うの?)
モニカ: Well, you don't have to decide right now. But if you could just look at our file-- (あの、今ここで決めなくてもいいの。でももし私たちのファイルをちょっと見てくれたら…)
エリカ: I don't want to look at your file! This is over. (あなたたちのファイルなんか見たくないわ! これでおしまいよ。)
エリカは部屋を出て行く。

エリカに真実を話す、と決めた後で、モニカは赤ちゃんの超音波写真を愛おしそうに見つめています。
「ほら、こんなに小さいのよ」みたいに隣のチャンドラーにもその写真を見せるのですが、その時に、"Look, doctor!" と呼び掛けるのが、フレンズ的なジョークであると同時に、とても切ないセリフですね。
「あなたがドクターだってふりをし続ければ、私たちはこの子の親になれる」という思い、あきらめきれない気持ちがよく出ています。

チャンドラーは、隣のモニカの手をしっかり握って、「契約する前に話しておくべきことがある」と言い、エリカに、We're not who you think we are. と告げます。
直訳すると、「君が”僕たちが〜という人である”と思っている人とは違うんだ」というところ。
DVDの日本語訳にあるように、「僕らを人違いしてる」ということです。

The agency must have made some mistake. の must have p.p. (過去分詞)は、「〜したに違いない」なので、「エージェンシーは何かの間違いを犯したに違いない」→「エージェンシー側で、きっと何らかの間違い・ミスが起こったんですよ」ということ。
妻は牧師じゃないし、僕は医者じゃない、と真実を告げて、エリカと業者が驚くと、チャンドラーは、I could perform... のセリフを言っています。
こういう深刻な状況ですが、いつものチャンドラーっぽいジョークになっていますね。
文の最後の部分の if you'd like は、if you want のような意味で、「もし望むなら、あなたがそれをお望みなら」。
I could... は「あなたに手術を行なって、それを証明することができる」になります。
could は「あなたがお望みなら、私はそういうことをやろうと思えばできるんですよ」という仮定のニュアンスですね。
prove it の it は、今、話の焦点となっている事柄で、つまりは「僕は医者じゃない」ということ。
「僕は医者じゃない」と言った僕の言葉を信じられないと言うなら、僕があなたを手術して、「やっぱり医者じゃなかった」ということを証明してもいいですが…みたいに言ったことになります。

ファイルを確認するために、斡旋の男性が部屋を出て行った後、エリカは「私が思っていた人じゃないとしたら、じゃあ、あなたたちは誰なんですか?」と尋ねます。
チャンドラーが名前と出身地を告げた後、モニカは the important thing... のセリフを言います。
直訳すると、「私たちについて知っておくべき重要なことは、私たちがこの小さな赤ちゃんをどれほど愛するか、ということである」になります。
そう言って、エリカが用意してくれていた、赤ちゃんの超音波写真を示していますね。
sonogram 「(お腹にいる赤ちゃんの)超音波写真」という単語は、フレンズ1-2 の英語タイトルにも出てきていました。
そのタイトルは、The One With the Sonogram at the End 「最後に超音波映像がある話」でしたね。

モニカは「私たちが誰かっていうことは重要ではなくて、この赤ちゃんをどれだけ愛せる人間かってことが大事だと思うの。私たちはこの子をものすごく愛するから」と訴えていることになります。
ですがエリカは、嘘をつかれていたことがとにかくショックで、モニカのその訴えに心を動かされる様子はありません。
「じゃあ、さっきの面談では、あなたたちは私に嘘をついてたの?」と言われ、モニカは、指で引用符のジェスチャーをしながら、"bore false witness" という表現を言っています。
false は「虚偽の、嘘の、偽りの」、witness は「証言」なので、false witness は「嘘の証言、偽証」を指します。
bore は、「〜を産む」という意味の他動詞 bear の過去形で、bear witness の形で「証言する」という意味で使われます。

モニカは「嘘をついた」ことを「偽証した」と表現して、さらにはその言葉を言う際に、指で引用符のジェスチャーをしていますので、「嘘をついたのね、と言われれば、確かに私たちは、いわゆる”偽証した”っていうことをしたわね」と言ったことになります。
その後、「ほらね? 私は牧師に(なろうと思えば)なれるわよ」みたいに言っていることから、モニカが引用符を使って表現した部分の bore false witness が、牧師が言いそうな言葉であることが想像できるでしょう。

Google 検索で、bear false witness まで入れると、サジェストの候補として、続けて bible と出てくるものがあります。
そこで、bear false witness bible というキーワードで検索してみると、
"You shall not bear false witness against your neighbor."
という言葉がいくつもヒットしました。
ちなみに、その古語バージョンは、
"Thou shalt not bear false witness against thy neighbour."
になります。(thou = you, thy = your は、シェークスピアでも使われている古語)

旧約聖書の出エジプト記(Exodus)に書かれている、モーセの十戒(the Ten Commandments)のうちの、the Ninth Commandment を指すようですね。
日本語だと、「あなたは隣人について偽証してはならない(汝、隣人について偽証するなかれ)」に当たります。

lie 「嘘をつく」という言葉を、十戒に出てくる表現(bear false witness)を使って言い換えたことで、聖書的、キリスト教的言い回しになったことを、「ほら私、今でも牧師っぽい言い方できるでしょ、私、牧師になれそうよね」と言ってみせたわけですね。
bear false witness は、牧師さんだけではなく、一般に広く使われる表現のようで、辞書にも普通に載っていますが、ここでは、引用符のジェスチャーをつけて、lie をわざわざその表現に言い換えたことで、「ちょっとこんな言い方してみた」感を強調したことになるでしょう。

何とか冗談で和まそうとしても、やはりエリカの怒りは収まらない様子。
次にモニカは、自分の正直な気持ちを訴えます。
「私たちがあなたに真実を話せば、まだ考えてくれるかもしれないって、私たちは願っていた」ということですね。
consider-- で、モニカのセリフは終わっていて、その consider 以下の内容を、エリカが giving という -ing 形(動名詞)を使って、続けて言っていることになります。
「〜することを(よく)考える」と言う場合、consider doing のように、後ろには動名詞が続く形を取りますが、その動名詞部分を、エリカが giving... で続けているわけですね。
あきれた口調で言っている Giving you my baby? は、「私の赤ちゃんをあなたたちにあげることを、私が考えるかもしれない、って言いたいわけ?」というニュアンスです。

You think I'd give you my child after this? は、「この後で(こんなことがあった後で)、私があなたたちに私の子供をあげるだろうって、あなたたちは思うわけ?」というところ。
嘘をつかれていたと知った後で、嘘をついていた人に自分の子供をホイホイ渡すとでも思ってるの? みたいに言ったことになるでしょう。

モニカは、「今すぐにここで決める必要はないのよ。でもちょっと私たちのファイルを見てくれたら…」と言いかけるのですが、激怒していて聞く耳持たないエリカは、「あなたたちのファイルなんか見たくないわ! これで終わりよ・おしまいよ」と言って、部屋を出て行くことになります。


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posted by Rach at 15:26| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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