2016年05月30日

繰り返すこれは演習ではない フレンズ10-12その3

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フィービーの結婚式当日。ニューヨークはここ20年で一番の大雪に見舞われ、橋は封鎖、街のほとんどが停電となってしまいます。
「雪はほとんどやんでいるし、きれいな雪景色となっている外で結婚式をやったら?」というレイチェルの提案にみんなが賛成し、急遽、セントラルパークの外で路上結婚式をすることになります。
モニカ: Level one alert! I repeat, level one, this is not a drill! Okay, we've got a situation. The minister just called. He's snowed in, he can't make it. (レベル1非常警報発令! 繰り返す。レベル1。これは演習ではない! 大変な状況になった。司祭からたった今電話があった。彼は雪で足止めされて、こちらに来られない。)
マイク: Oh, no! (あぁ、なんてこった!)
ジョーイ: Oh, hey, don't worry. I'm still ordained from your wedding. (あぁ、ねぇ、心配いらないよ。俺は君ら[モニカたち]の結婚式から、まだ司祭に任命されたままの状態だよ。)
モニカ: Really? (ほんとに?)
ジョーイ: Yeah. You think I'd give up being a minister and start paying to ride the subway? Uhh-uh... (あぁ。俺が司祭でいることをやめて、地下鉄に乗るのに金を払い始めたりすると思うか?)
ロス: Uhm, ministers don't ride the subway for free. (えーっと、司祭は地下鉄をタダで乗らないよ。)
ジョーイ: I had to read the Bible pretty carefully, but... yeah, we do. (聖書をかなり注意深く読まないといけなかったんだけど、でも… そうだよ、司祭はみんなそうしてる。)

頭にヘッドセットをつけたモニカは、Level one alert! と叫んでいます。
口調からもわかるように、このセリフも軍隊っぽい言い方ですね。
直訳すると、「レベル1非常警報(発令)! 繰り返す、レベル1、これは演習ではない」。
drill にはまず、日本の小学生が学校で使う「計算ドリル、漢字ドリル」のような「反復練習」としてのドリルの意味があります。
ここでは軍隊用語としての「訓練、演習」を指しています。
日本語訳を聞くと、何となくイメージが湧きますが、「繰り返す、これは演習ではない」というのは、軍隊のような組織が出てくる作品での決まり文句ですよね。
私がこの言い回しを初めて意識したのは、私が中2の秋(笑)、超時空要塞マクロス第1話「ブービー・トラップ」での
早瀬未沙中尉:本艦は現在、異星人と交戦中である。これは演習ではない。繰り返す。これは演習ではない。
というセリフでした。
いかにも軍隊っぽい言い回しで、非常に印象に残っていたのですが、その後、大人になってから見たスタートレックでも、以下のような言い回しが出てきました。
新スタートレック(TNG)の 1-14 「盗まれたエンタープライズ」(原題: 11001001)で、エンタープライズ号から反物質が放出される危険が報告された後のアナウンスで、
データ少佐: This is Lieutenant Commander Data speaking for the Captain. Abandon ship. This is not a drill. All personnel. This is not a drill. I say again, abandon ship. All personnel, this is not a drill. (こちらは艦長代理のデータ少佐だ。艦を放棄せよ。これは訓練ではない。総員に告ぐ。これは訓練ではない。繰り返す、船を放棄せよ。総員に告ぐ、これは訓練ではない。)

データ少佐は、I repeat ではなく、I say again と言っていますが、This is not a drill. 「これは訓練(演習)ではない」を繰り返すのは同じですね。

I repeat. については、ジャック・バウアーの「24 -TWENTY FOUR-」では頻出で、
Suspect down. I repeat, suspect down. (1-18)
The bomb is onsite. I repeat: the bomb is onsite. (2-14)
The virus is out. I repeat, the virus is out. (3-3)
のような形で出てきます。

ネットでよく聞く言葉に、「大事なことなので二回(二度)言いました」というフレーズがありますが(ちなみに、このフレーズの元ネタは、タフデントのCMだそうですw)、聞き間違いがあっては困るような重要な報告の場合に、「文. I repeat. 文」のように同じ内容を繰り返すのは、どこの国でも同じ感覚なんだなぁ、と。(長い脱線すみません)

we've got a situation. は「ある状況を得た、ある状況になってしまった」というところですが、研究社 新英和中辞典に、
situation=(物語・劇などの)急場、きわどい場面、大詰め
という意味が載っていること、わざわざ、言葉にして何かしらの状況になった、と言っていることからも、単なる「ある状況」ではなく、何かしらの大変な状況になったことを言っていると考えることができるでしょう。
minister は、prime minister で「首相」という意味ですが、結婚式の話においての The minister は「(結婚式を執り行う)司祭」のことですね。
just called は「たった今、電話してきた」。
snow in は「雪+中に」という感覚からわかるように、「〜を雪で覆う、閉じ込める」という意味なので、He is snowed in は「雪で動けなくなっている、大雪で(交通機関が動かず)足止めされている」という意味になります。

間もなく結婚式だというのに大雪のため司祭が来られない、というニュースに、新郎のマイクはショックを受けますが、隣にいたジョーイは落ち着いた様子で、「心配しなくていいよ」と言った後、I'm still ordained from your wedding. と言います。
ordain は「(人)を(牧師・司祭に)任命する」という意味。
ですから、このセリフは、「君ら(チャンドラーとモニカ)の結婚式で司祭に任命されてから、ずっとそのまま、俺は司祭に任命された状態である」と言っていることになります。
司祭の資格を今でも持ったままでいる、ということですね。

ジョーイ自身が言っているように、チャンドラーとモニカの結婚式を執り行うために、ジョーイが司祭の資格を取る話が、過去記事、与える受け取る所有する分け合う フレンズ7-16その3 に出てきました。
そこでも、"You got ordained?!" (牧師に任命されたのね?)というセリフで、ordain という単語が登場しています。

その後、「ずっと司祭のままでいた理由」をジョーイは説明します。
ちょっと長めのセリフですが、シンプルな構造にすると、You think I'd give up ... and start 〜 ということですね。
「俺が…をあきらめて、〜し始めたりすると思うのか?」というところで、具体的な内容は「俺が司祭であることをやめて、地下鉄に乗るために金を払い始めたりすると思うか?」と言っていることになります。
このジョーイの話だと、「司祭をやめたら、地下鉄に乗る時に金を払わないといけなくなるから、だから司祭のままでいる」と言っていることになりますが、それを聞いたロスはあきれた顔で、「司祭は地下鉄を無料で(タダで)乗らない」→「司祭だからって地下鉄が無料で乗れるわけじゃなくて、みんな運賃を払って乗っている」と指摘します。
それを聞いたジョーイは、「俺は(司祭になるために)聖書をかなり注意深く読まないといけなかったんだけど、でも、そうだよ、俺たち(司祭)はみんなそうしてる(地下鉄にタダで乗ってる)」と言うことになります。
聖職者だから交通機関がタダ、みたいにジョーイは勝手に思い込んでいるようですが、その根拠として、「聖書をかなり注意深く読んだけど、確かにそう書いてあった」みたいに言っているところが、このセリフの面白さのポイントになっています。
地下鉄などの交通機関がない時代の聖書に、聖職者が地下鉄にタダで乗れるうんぬんの文言が書いてあるはずもありません。
聖書を例に出し、「マニュアル読み込んだけど、ちゃんと書いてあったし」みたいに言っている面白さだということですね。


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posted by Rach at 15:40| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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