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セントラルパーク。フィービー、チャンドラー、モニカがいる。
フィービーは新聞を読んでいて、
フィービー: Hey, isn't Joey's agent Estelle Leonard? (ねぇ、ジョーイのエージェントって、エステル・レナードじゃなかった?)
チャンドラー: Yeah. (ああ。)
フィービー: She died. (彼女、死んだわ。)
チャンドラー: You're kidding! (冗談だろ。)
モニカ: That's terrible! (それって大変!)
フィービー: Yeah, last Saturday. Wow! She was the first black man to fly solo across the Atlantic. (Chandler and Monica look puzzled) Oh, wait a minute, I read the wrong one. (えぇ、先週の土曜日にね。まぁ! 彼女は大西洋単独横断飛行した最初の黒人男性だったのね。[チャンドラーとモニカは困惑した顔をする] あぁ、ちょっと待って。私、違うのを読んでた。)
チャンドラー: Oh, yeah? (あぁ、そうなの?)
フィービー: Yeah, she was just an agent. (えぇ、エステルはただのエージェントだったわ。)
モニカ: Joey's gonna be so upset. (ジョーイはすごく動揺するでしょうね。)
チャンドラー: I know. He always wanted to be the first black man to cross the Atlantic. (そうだね。ジョーイは、大西洋を横断する最初の黒人男性にいつもなりたがってたもんな。)
フィービー: Well, we cannot tell Joey about this. He's already flipping out about everything that's changing. This will push him over the edge. (私たち、ジョーイにこのことを言っちゃいけないわ。ジョーイはすでに、変化しているあらゆることに動揺してるもの。このことで、彼が(限界を越えて)おかしくなっちゃうわ。)
モニカ: Seriously, you don't think we should tell him? (真面目な話、彼に言っちゃいけないって思う?)
フィービー: Well, not for a little while. Let's just give him a few days to get used to everything else. (えぇ、ちょっとしばらくの間はね。他のいろんなことに慣れるために、彼には数日(の期間を)与えてあげましょうよ。)
モニカ: What if he reads it in the paper? (もし、新聞のその記事をジョーイが読んだらどうなるの?)
チャンドラー: Unless Snoopy says it to Charlie Brown, I think we're okay. (スヌーピーがチャーリー・ブラウンにそのことを言わない限りは、大丈夫だと思うよ。)
新聞を読んでいたフィービーは、「ジョーイのエージェントって、エステル・レナードじゃなかった?」と尋ねます。
そうだよ、と答えるチャンドラーに、フィービーは、「彼女、死んだわ」と言うので、チャンドラーとモニカは驚きます。
新聞を読んでいてそのことを知ったのは、新聞の訃報欄を見ていたからですね。
フィービーは、その訃報欄の情報として、"She was the first black man to fly solo across the Atlantic." と語るのですが、それを聞いたチャンドラーとモニカは「え?」という顔をしています。
エステルがどんな人か知らない人でも、「彼女は…した最初の黒人”男性”(man)だった」という文章がおかしいことは明白ですよね。
ましてやその人の業績が、「大西洋を単独で横断飛行した(最初の黒人男性)」ですから、エステルとは全く違うことは明らかです。
「違うだろ」という顔をされたので、フィービーは記事を見直し、「待って、私、間違ったもの(彼女のじゃない別の人の訃報欄)を読んでた」と言います。
チャンドラーは、Oh, yeah? 「ああ、そうなの? そうなんだぁ」みたいに返していますが、「違うのを読んでた」ことは内容から明らかなのに、そのことにしばらくしてからしか気づいてないフィービーにあきれている様子が、その口調からは感じられますね。
ですが、「へえ、それ間違ってたんだ〜」と普通に返されたのをそのまま受ける感じで、「そうなの、彼女はただのエージェントだったわ」とフィービーが答えているのも、フィービーっぽいズレ具合で面白いです。
「(そのニュースを聞いたら)ジョーイは動揺するでしょうね」とモニカが言った後のチャンドラーのセリフがまた楽しいです。
チャンドラーのセリフを直訳すると、「ジョーイはいつも大西洋を横断する最初の黒人男性になりたがってたからな」になりますね。
つまり、モニカは「エージェントのエステルが死んだと知ったら、ジョーイは動揺するだろう」と言っているわけですが、チャンドラーはさっきフィービーが間違えた「大西洋を単独横断飛行した最初の黒人男性」ネタを使って、「その人が死んだってニュースを聞いたらジョーイは動揺するだろうね。だってジョーイはそんな人になりたいっていつも言ってたのに、その人に先を越されちゃった(その人がすでにそれをやり遂げていた)ってことをそのニュースで知っちゃうことになるから」みたいに言ったことになります。
「残念っていうのは、エステルのことじゃなくて、そっちかい!」という面白さになるでしょう。
また、そのチャンドラーのセリフの中で、「最初の黒人男性」というフレーズを使っているのが面白いですね。
フィービーが、白人女性であるエステルのことを「〜した最初の黒人男性」だと間違えたという先ほどの話を踏まえて、白人男性であるジョーイのことを、わざと「ジョーイも〜する最初の黒人男性になりたがってた」と表現したことになります。
フィービーのさきほどのトンチンカンな間違いを面白がって、自分も使ってみた感じですね。
フィービーは、「私たちはジョーイにこのこと(エステルが死んだこと)を言っちゃいけないわ」と言い、彼の今の状況と、この先どうなるかについて述べています。
flip out はここでは「正気を失う」という意味。
動詞 flip は「〜をはじく、ほうり上げる、さっと動かす」という意味で、flip a coin 「(表か裏かを決めるために)硬貨をはじき上げる」という意味でよく登場しますね。
フィービーのセリフは、「ジョーイはすでに、変化しているあらゆることについて、正気を失っている」と言っていることになります。
「変化しているあらゆること」というのは、今回のエピソードの最初にジョーイ自身が言っていましたが、「フィービーが結婚して、チャンドラーとモニカが郊外に引っ越すことになって、レイチェルが仕事でパリに行ってしまうかもしれない」という事柄を指します。
This will push him over the edge. を直訳すると、「このこと(エステルが死んだということ)が、彼を端(先端)を越えて押し出す」というところ。
「限界を越えて押し出してしまう」感覚から、push someone over the edge は「人の正気を失わせる、(主語のせいで)人が正気を失ってしまう」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、少し違う形の go over the edge が載っていました。
go over the edge : to go crazy or have a nervous breakdown
例) Nick needs to get some help before he goes completely over the edge.
つまり、「おかしくなる(気が狂う)こと、または神経衰弱(ノイローゼ)になること」。例文は、「ニックは完全に正気を失ってしまう前に、何らかの助けを受けることが必要だ」。
モニカが、「ほんとに彼には言うべきじゃない、って思ってる?」と尋ねると、フィービーは「しばらくは言うべきではない」と言って、「他の全てのことに慣れるための数日間を、彼に与えてあげましょうよ」と提案します。
それを聞いたモニカは、「隠すと言っても、新聞に書いてあるんだし、もしジョーイがそれを読んだらどうなるの?」と尋ねるのですが、それに対してのチャンドラーのセリフ Unless Snoopy says it to Charlie Brown, I think we're okay. がまた、面白いですね。
Unless は、これまでのフレンズで何度も出て来たように、「何かの文章を言った後で付け足しのように、Unless SV. という形で終わっている」場合は、「もし S が V するなら話は別だけど」と訳すとしっくりきます。
今回は、Unless SV, S' V'. のような形になっているので、その場合の Unless は「もし〜でなければ、〜しない限りは」と訳せば良いでしょう。
ですから、Unless Snoopy says it to Charlie Brown は「スヌーピーがそれをチャーリー・ブラウンに言わない限りは」ということで、モニカは「ジョーイが新聞を読んじゃうんじゃ、、」と心配してるようだけど、「スヌーピーがそれ(エステルが亡くなったこと)をチャーリー・ブラウンに言わない限りは大丈夫(心配ない)」と言っていることになります。
スヌーピーやチャーリー・ブラウンが出てくる「ピーナッツ」は、「新聞に載っている漫画」として有名ですから、チャンドラーは「ジョーイが新聞を読む場合は、漫画しか読まないから、その漫画の中で、エステルが亡くなった、という話が出ない限りは、ジョーイが訃報欄の記事を読んで知ることはありえない」と言っていることになります。
「彼は訃報欄なんか読まないよ」と言えば済むところを、「スヌーピーがチャーリー・ブラウンに言わない限りは大丈夫(彼がそれを知ることはない)」と表現することで、「彼は漫画しか読まないから問題ないよ」と言っていることになるわけですね。
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