ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。


チャンドラーとモニカは郊外に引っ越す予定なのですが、その隣の家をジャニスが買うことになりそうな気配。チャンドラーは(表情から明らかに嘘だとわかるものの)ジャニスに「君が隣に来てくれて嬉しい。だってまだ君のことを愛してるから」と言うのでジャニスは驚いています。
ジャニス: Chandler, what are you talking about? (チャンドラー、あなた何言ってるの?)
チャンドラー: Now that you live next door, we can be together every day. Sid and Monica never have to know a thing. (今や君が隣に住むんだから、俺たちは毎日一緒にいられる。シドやモニカは何一つ知る必要はないんだ。)
ジャニス: I don't know what to say. I mean, you know, obviously we have this heat between us. (何て言えばいいかわからないわ。だって、ほら、明らかに私たちの間には、こんな熱さ[情熱]があるけど。)
チャンドラー: (stunned) Obviously. ([固まった顔をして] 明らかに、ね。)
ジャニス: But I love my husband. And I know you love your wife. Now, I don't think we should get this house now. (でも私は夫を愛してるわ。そしてあなたがあなたの奥さんを愛してることも知ってる。今、私たちがこの家を手に入れるべきではないと思うの。)
チャンドラー: Don't say that. Don't tangle the dream and take it away. (そんなこと言わないで。その夢を乱さないで、夢を奪い去らないで。)
ジャニス: Chandler, one of us has got to be strong. (チャンドラー、私たちの一人は強くならないといけないわ。)
チャンドラー: I understand. (わかったよ。)
ジャニス: Although, maybe just... one last moment of weakness. (she kisses Chandler flat on the mouth. Chandler squirms. When she's finished, he looks at her lovingly but uneasily.) Goodbye, Chandler Bing. (She leaves) (でも、多分、弱さの最後の一瞬ね。[ジャニスはチャンドラーのまさに口にキスする。チャンドラーはもがく。ジャニスが(キスを)終えた時、チャンドラーはジャニスを愛しそうだが不安な様子で見る] さよなら、チャンドラー・ビング。[ジャニスは立ち去る])
チャンドラー: (speaking as in pain) They're never coming down now. ([苦しそうに話す] 今は(それらは)下がらないな!)
チャンドラーが愛の言葉を述べたので、ジャニスは「何言ってるの?」と驚いています。
「今や君が隣に住むんだから、俺たちは毎日一緒にいられる。君の夫シド、俺の妻モニカは、何一つ知る必要はないんだ」とチャンドラーが言うと、ジャニスは「何て言えばいいのかわからないわ」と言って、「明らかに私たちの間には、この熱さ・情熱があるけど」のように言っています。
ジャニスは、チャンドラーの告白に驚きつつも、「でも確かに二人の間には熱いものが燃えさかっているわよね」と言ったことになりますね。
そんな風に返されたチャンドラーは、かなりの間があった後、そんな発言は認められないというように、嫌そうな固まった顔をして、ジャニスの言った言葉 Obviously. を繰り返します。
言葉上では「二人の間に熱さが存在するのは明らかだよね」とジャニスに同意したことになるのですが、心の中では「いや、そんなもん、一切存在してないだろ!」と完全否定していることが、その顔の固まり具合からよくわかりますよね。
その後、ジャニスは、「でも私は夫を愛してる。あなたが奥さんを愛してるのも知ってる。だから今、私たち(夫婦)はこの家をゲットすべき[買うべき]じゃないと思う」と言います。
あなたと私が隣に住んで関係を持ってしまったら大変だから、私たち夫婦はこの家を買っちゃいけないわよね、隣に住んじゃいけないわよね、ということですね。
チャンドラーにとっては、いい方向に話が進んできたのですが、チャンドラーはまだ気を抜くことなく、「俺としてはジャニスに隣に住んで欲しい」というようなアピールを続けています。
tangle は「〜をもつれさせる」「(物事を)紛糾させる、混乱させる」なので、「夢を混乱させないで・乱さないで・壊さないで」と言っていることになるでしょう。
take away は「取り去る、奪い去る」ですから、「その夢を奪い去らないで」。
言葉ではそんな風に言いながらも、目はジャニスではない別の場所を凝視している感じで、その言葉を語る口調も、ものすごく早口で棒読みです。
本心からの言葉ではないのはミエミエですが、ジャニスだけはそれを真に受けているという状態ですね。
「私たちの一人は強くならないといけないわ」とジャニスが言い、ガッツポーズをすると、チャンドラーも「わかったよ」と言いながら、軽くガッツポーズをしています。
この「私たちの一人は〜しないといけない」という言い回しは、最近のエピソード、君の弱みに付け込んでる気がする フレンズ10-13その5 にも出てきました。
メイクラブしたいと望むレイチェルに対して、
ロス: I think one of us has to be thinking clearly. So I'm gonna go! (僕たちの一人は[どちらかは]よく考えないといけないと思うんだ。だから、僕は行くよ[帰るよ]!)
と言っていましたね。
感情に任せてイケナイことをしてしまいそうな時、どちらかが冷静に判断しないといけない、どちらかが心を強く持たねばならない、と言う場合に、このフレーズが使われるということですね。
これで無事、ジャニスは家を買わずに去ってくれる、、とチャンドラーも安心したことでしょうが、その後ジャニスは、「でも、多分、弱さの最後の一瞬ね(これが最後の弱さね)」と言って、チャンドラーの唇にキスします。
キスされた瞬間、チャンドラーは「ん!」と言って、後ろに下がろうとするのですが、チャンドラーの頬を手で挟んだジャニスが、結構しつこくキスし続けるので、観客からは歓声も上がっています。
キスした後、ジャニスは別れを告げて去って行くのですが、キスされた後のチャンドラーは、ぐっと口をつむったままで、その後、苦しそうなダミ声で、They're never coming down now. と言っています。
この部分、DVDの日本語訳では、「(字幕)タマ 上がりっぱなし!/(音声)これでもう、タマは大丈夫」となっていましたが、まさにそういう意味のようですね。
このセリフでは、they のように漠然とした複数形の主語になっていますが、これはこれより前のシーンで、ジャニスが隣になるかもしれないとわかった時の、チャンドラーとモニカのやりとりが元になっています。
チャンドラー: Will we love it so much with her next door? And she's gonna be louder out here too! Just the crickets and, (apes Janice's voice) "Oh... my... God!" (彼女が隣にいるのを俺たちはすごく喜べるか? それにこの辺りでは、もっと声が大きくなったりもするんだぞ! ただコオロギの声と、[ジャニスの声を真似る] ”オー・マイ・ゴッド!”)
モニカ: Okay. But if we don't get this house, she's still gonna show up wherever we go! I mean, at least if she's here, it eliminates the element of surprise. I mean, never again will you have to hear the three words that make your balls jump back up inside your body! (She shows this with her index finger, mimicking it pushing something up) (そうね。でも、もし私たちがこの家を手に入れなかったら、これから先も、彼女は私たちの行くところ、どこへでも現れるわ! ほら、少なくとも彼女がここにいたら、驚きの要素は排除されるもの。ほら、もう二度と、あなたはあの3語を聞く必要がなくなるのよ、あなたのタマが驚いて身体の中に戻ってしまうような、あの3語をね! [モニカはこのことを自分の人差し指で示す、それが何かを押し上げるかのようなしぐさをして])
your balls jump back up inside your body については、DVDの日本語訳では「あなたのタマが縮み上がる」となっていましたが、そういう感じのニュアンスだと思います。
jump back up inside your body の意味を単語ごとにイメージしていくと、「ジャンプするように急いで・急激に、戻る、上に上がる、自分の身体の中に」という感じですから、「びっくりして身体の中に引っ込んじゃう、すっこんじゃう、すくんじゃう」みたいな感じになるように思います。
そのシーンで、「ジャニスが近くにいると、あの声が聞こえて、balls がそんな状態になる」と言ったことを受けて、今回のシーンでは、they という代名詞にとどめて、「balls はもう、決して下がらない」→「ジャニスの脅威から解放されて、ball も元通り元気になる」みたいなことを言ってみせたことになるでしょう。
この They're never... の一文だけを取り上げて、「これはどういう意味でしょう?」と問うても全くわからないわけですが、「ジャニスがいると、balls がこうなる」という話をしたシーンがあった後に、「ジャニスが去って行ったら、they はこうなる」ということを言っているわけなので、they = balls だと想像できて笑えてしまう、ということですね。
(2016.8.2 追記)
この部分のやりとりについて、非公開コメントにてご意見をいただきました。
まず、「少なくとも彼女がここにいたら、驚きの要素は排除される(at least if she's here, it eliminates the element of surprise)」という部分が私の解説では抜けていましたので訂正します。
「あなたのタマが驚いて身体の中に戻ってしまうような、あの3語」というのは、「思いがけないところでジャニスに再会した時に、ジャニスが発する Oh, my God.」という意味ですね。
「近所にいるとわかっていれば出会いに驚くこともないので、思いがけないところで突然聞くはめになるジャニスの Oh, my God! に縮こまることはなくなる」という意味でした。
次に、"They're never coming down now." について、「男性の生理としては down が正常な状態」とのご指摘を頂戴したのですが、確かにその通りだと思います。
「思いがけない再会に驚いたジャニスの声を聞くと、タマが身体の中に戻ってしまう(縮こまってしまう)」という話の流れに対して、「今のジャニスからのキスは強烈過ぎて、今度はタマが上がりっぱなしになってしまう」という正反対のことを言っている面白さになると思われます。
(追記はここまで)
ちなみに、上のやりとりですが、Just the crickets and, "Oh... my... God!" と、she's still gonna show up wherever we go! というのが、とても面白くて笑ってしまいました。
ここはNYとは違い郊外なので、虫の音などの聞こえる閑静な場所なのですが、そのことを、「聞こえてくるのはただコオロギの声と、そしてジャニスの”Oh, my God!" だ」と表現しているのが楽しいです。
そして、過去のエピソードでも、意外なところで再会して、おいしい登場を繰り返してきたジャニスですが、モニカたちもそう感じていて、she's still gonna show up wherever we go! 「これから先も、彼女は私たちの行くところどこへでも[行く先々に]現れる」と言葉でそう表現しているのが、ジャニスというキャラ設定を、劇中のキャラ(モニカ)に語らせている感じがして、何だかとても面白いなぁと思いました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。

