2016年08月29日

忘れられる、でも忘れたくない フレンズ10-17その6

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チャンドラーとモニカは、エリカが妊娠していた赤ちゃんを養子に迎えることになっていましたが、その赤ちゃんは双子でした。
チャンドラーとモニカがその双子の赤ちゃんを家に連れ帰り、フレンズたちに披露した後、レイチェルはみんなにさよならを言って、パリに向かうため、チャンドラーとモニカのアパートメントを去ります。
その後のシーン。
フィービー: So you just let her go? (それでただレイチェルを行かせちゃうの?)
ロス: Yeah. (あぁ。)
ジョーイ: Hey, maybe that's for the best. (なぁ、多分、それが一番いいんだよ。)
ロス: Yeah? (そう?)
ジョーイ: Yeah. You know, you just-- Look, you gotta-- You gotta think about last night the way she does. Okay? You know, maybe.... Maybe sleeping together was the perfect way to say goodbye. (そうさ。ほら、レイチェルが考えたように、お前も昨日の晩のことを考えないとだめだ。だろ? ほら、多分、多分、一緒に寝たのは、さよならを言う完璧な方法だったんだ、って。)
フィービー: But now she'll never know how he feels! (でも、もうレイチェルはロスの気持ちを知ることはないのよ。)
ジョーイ: Maybe that's okay, you know? Maybe, maybe it is better this way. I mean, now.... Now you can move on. I mean, you've been trying to for so long. Maybe now that you're on different continents.... (Looks at Phoebe) Right? (多分それでいいんだよ、だろ? 多分、こうする方がいいんだよ。ほら、今、ロスは前に進める。お前はずっと長い間、そうしようと[前に進もうと]頑張ってきた。多分、今はもうお前らは違う大陸にいることになるから… [フィービーを見て] (俺の発言)合ってるよね?)
(Phoebe nods.)
フィービーはうなずく。
ジョーイ: Maybe now you can actually do it, you know? You can finally get over her. (多分、今お前は実際にそうすることができる、だろ? ついにレイチェルを忘れることができるんだ。)
ロス: Yeah, that's true. Except.... I don't wanna get over her. (あぁ、その通りだ。ただし… 僕が彼女を忘れたくない、ってことを除いては。)
ジョーイ: What? (何だって?)
ロス: I don't! I wanna be with her. (忘れたくないんだ! 僕は彼女と一緒にいたい。)
ジョーイ: Really? (ほんとか?)
ロス: Yeah, I'm gonna go after her. (あぁ、僕は彼女を追いかけるよ。)
ジョーイ: Yeah, you are! (あぁ、追いかけろ!)
フィービー: Woo! (ウー!)
(Monica and Chandler look shocked as Ross goes to leave.)
モニカとチャンドラーは驚いた様子で、ロスは出て行こうとする。
フィービー: Wait! Wait! Get your coat! Get your coat! (待って! 待って! コートを取って! コートを取って!)
ロス: My coat. (僕のコートだ!)
ジョーイ: This is so cool! (これって最高だよ!)
チャンドラー: I have no idea what's going on, but I am excited! (何が起こってるのか全くわからないけど、でも興奮してる!)
ジョーイ: But Ross, Ross. What do you, what do you think she's gonna say? (でも、ロス、ロス。彼女は何て言うと思う?)
ロス: I don't know, but I.. Look, even if she shoots me down, at least I won't spend the rest of my life wondering what would have happened. Where - where is my coat?! (わからないよ、でも、ほら、例えレイチェルに振られたとしても、少なくとも僕は残りの人生を、(もし告白していたら)どうなっていたかって悩みながら過ごさなくて済む。どこ、僕のコートはどこ?)
フィービー: You didn't bring one! My cab's downstairs. I'll drive you to the airport. (あなたはコートを持ってきてなかったわ! 私のタクシーがビルの下にある。あなたを空港まで送ってあげるわ。)
ロス: Okay, guys, wish me luck. (よし、みんな、僕に幸運を祈ってて。)
フィービー: Hurry! (急げー!)
ジョーイ: Good luck! Good luck! (頑張れ! 頑張れ!)
(Phoebe and Ross leave.)
フィービーとロスが去る。

レイチェルが出て行ってしまった後、フィービーはロスに「ただレイチェルを行かせちゃうの?(引き留めなくていいの?)」と尋ねます。
ロスはまだ頭の中が混乱している様子ながらも Yeah. と言うと、ジョーイは「なあ、多分それが一番いいんだよ」と言っています。
レイチェルがパリに行ってしまうことをものすごく嫌がっていたジョーイが、「それで(レイチェルを行かせて)良かったんだよ」と言うのは、他のフレンズや観客にも少し意外な印象を与えるところでしょう。
それでロスも、「やっぱりそうかな? ジョーイもそう思うの?」と言うように、Yeah? とジョーイの発言を促すような返事を返します。
その後、ジョーイは「これで良かったんだ」と思う理由を真剣な表情で述べていますね。
You gotta think about last night the way she does. は「彼女がするように、お前は昨晩のことを考えないといけない」ということで、つまりは、「彼女が考えるのと同じように、お前も昨晩のことを捉えないといけない。昨晩のことについては、レイチェルと同じように考えるべきだ」と言っていることになります。
「レイチェルが昨晩のことについてこう考えた」というのは、ジョーイのその次のセリフに出てくる「一緒に寝たことが、さよならを言うのに完璧な方法だった」という捉え方ですね。
レイチェルは「最後に寝たことで、最高のさよならができた」と思っているので、ロスもレイチェルと同じように考えるべきだ、とアドバイスしていることになります。

ジョーイはそのように受け入れろとアドバイスしていますが、フィービーはまだあきらめきれないようで、「でも(このままじゃ)レイチェルはロスの気持ちを知ることはないのよ!」と言っています。
よりを戻したいと思っているロスの気持ちを伝えない、こんなままで終わってしまっていいの? ということですね。
フィービーがそのように言っても、ジョーイは自分の意見を変えず、「それでいいんだよ。こうした方がいいんだよ」と言って、「今、ロスは前に進める」と続けます。
move on は「(失恋などの)つらい過去を忘れて前に進む」という意味で、フレンズに何度も出てきましたね。
you've been trying to for so long. というのは、「前に進もうと、ものすごく長い間、お前は頑張り続けてきた」ということで、レイチェルと別れた後も、また近づいてまた離れてを繰り返し、ロスはこれまで何度も「レイチェルのことは忘れて前に進もう」と頑張ってきたじゃないか、と言っていることになります。
ずっと move on しようと頑張ってあがいてきたけれど、今そのレイチェルが目の前からいなくなったわけだから、今こそ本当に move on できるじゃないか、やっと move on できるチャンスが巡って来たんだよ、みたいなことですね。

その後、Maybe now that you're on different continents.... と言ってから、隣のフィービーに向かって、Right? と尋ねるのもジョーイらしくていいですね。
continent は「大陸」ですから、「今や二人(ロスとレイチェル)は別の大陸にいる(ことになる)んだし…」と言っていることになります。
NYは北アメリカ大陸、フランスのパリはヨーロッパ大陸なので、ジョーイの言う通り、「二人は別々の大陸に離れ離れになる」わけですが、自分で大陸という言葉を出しておいてから、「パリは別の大陸にある、っていう俺の発言、合ってたよね? 間違ってないよね?」というように、フィービーに確認しているのがジョーイっぽくて微笑ましいところです。

レイチェルを忘れて前に進もうと長年もがいていたロスにとっては、レイチェルがすぐそばにいると忘れようとするのも難しいけれど、レイチェルが遠い場所、それも別の大陸に行ってしまえば忘れるのがずっと楽になるはずだ、とジョーイは言っていることになります。
now you can actually do it, you can finally get over her というのも、「今実際にお前は move on することができる、ついに彼女を忘れることができる」ということで、お前はずっとそれを望んでただろ、そうしようともがいてきたことがついにできることになるんだぞ、と言っているわけですね。

ちなみに、ジョーイがロスに語るこのセリフの中で、反復も含めると、ジョーイは合計8回も maybe という単語を言っています。
maybe は「多分」ということですが、自分でも100%確信を持っているわけではないけど、俺はこんな風に思うんだ、という意見を述べる感覚が出ているように思います。
ジョーイ自身も意見を言いながらも、「これが絶対の正解とは言えないかもしれないけど」という気持ちがどこかにある、ということを示しているような気がします。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
maybe :
1. used to say that something may happen or may be true, but you are not certain
4. (spoken) used to make a suggestion you are not very sure about

つまり、1. は「何かが起こるかもしれない、または何かが真実かもしれないけれど、自分は確信していないことを言うのに使われる」。
4. は「あまり確信が持てない提案をする時に使われる」。

「違う大陸にいることになって、これでやっとロスはレイチェルを忘れて前に進める」と言われたロスは、Yeah, that's true. 「あぁ、それは正しい(それは確かだ)」と言った後、思いを巡らすような顔をしながら、Except.... と言います。
この場合の except は接続詞で、except (that) SV で「SV であることを除いては、SV であること(事実)を別にすれば」というニュアンス。
つまり、Yeah, that's true. Except.... までを聞いた時点で、ロスは確かにジョーイの言う通りであると認めたけれど、「except 以下に出てくる条件においてはそうではない(ジョーイの言うことは正しくない、間違っている)」ことが示唆されるわけですね。
そしてその後に続くセリフは、I don't wanna get over her. となっています。
それらを続けた文章にすると、Yeah, that's true, except (that) I don't wanna get over her. となり、文章全体の意味としては、「僕が彼女を忘れたくないという事実を別にすれば、あぁ、それ(ジョーイが言ったこと)は正しいよ」ということになりますね。
実際には、前から順番に発言されているので、「あぁ確かにジョーイの言ったことは正しい。でもそれは僕が彼女を忘れたくないという事実を別にすれば、という話だけどね」→「ジョーイの意見は正しいけど、でも僕はやっぱり彼女を忘れたくないんだ」と言っていることになるでしょう。
Yeah, that's true. で発言が終わっていれば、「ジョーイの言う通りだね」と認めロスも納得した、ということになるのですが、そこに except... で言葉が続いた時点で、「ただ、でも」のように「別の条件なら話は別だ、また話は違ってくる」という流れになること、ロスが完全に納得しておらず何か別のことを今から言おうとしていることが察せられるということです。
英語でこのシーンを見ていて、ロスの Except.... という言葉で、風向きが変わったことに気付ければいい感じ♪ ということですね。

「ジョーイの言う通りだけど、でも僕はレイチェルを忘れたくない」という発言を聞いて、ジョーイは What? と返しますが、ロスは心が決まった様子で、I don't! I wanna be with her. 「忘れたくない! 僕はレイチェルと一緒にいたい」と言います。
それを聞いたジョーイは Really? と言いますが、その顔はとても嬉しそうですね。
もう迷いがなくなったロスは、「あぁ、僕は(これから)レイチェルを追いかける」と言います。

Except.... 以下のセリフを言う際、ロスは叫ぶでもなく、静かなトーンでそのセリフを語っています。
ジョーイやフィービーに対して高らかに宣言するという風ではなく、自分に言い聞かせているようなトーンで、「そうするしかない。それ以外考えれない」というように、改めて自分の本心に気付いてそれを噛み締めているようなニュアンスが感じられた気がしました。

「レイチェルを追いかける」と言って、「じゃあ」という感じで軽くジョーイの胸に手を置いて、フレンズたちへの挨拶もそこそこに出て行こうとしているのも、今は自分の正直な心のままに行動しようという気持ちのみであることが描写されている気がします。

そうやってロスが出て行こうとする時、フィービーが「ロス、コートは?」と言ったので、ロスはコートを取りに戻ってきます。
チャンドラーとモニカは、エリカの出産に付き添っていたため、ロスとレイチェルが今どういう状況になっているのか詳しいことを知りません。
それで「何が起こってるのか全くわからないけど」と言っているわけですが、それでもロスがレイチェルを追いかけようとしていることを知って、喜んでいます。
コートを探しているロスに、「レイチェルは何て言うと思う?」とジョーイが尋ねると、ロスは「わからないけど、でも、、」と言った後、even if she shoots me down, at least I won't spend the rest of my life wondering what would have happened. と言っていますね。
shoot down は「撃ち落とす、撃墜する」ということですから、この場合は「ロスが自分の気持ちを伝えて、レイチェルがそれを拒んでも(レイチェルが僕を振っても、レイチェルに撃沈されることになっても)」というニュアンスになるでしょう。
at least I won't spend the rest of my life wondering what would have happened. は、「少なくとも、(もしあの時気持ちを伝えていたら)何が起こっただろうなぁ、と悩みながら、残りの人生を過ごさなくて済む」ということですね。
「あの時、告白していれば自分が望む形になったかもしれない、、 そんな後悔をしながら残りの人生を過ごすのは嫌だ」、「後悔するくらいなら、今は当たって砕けろの精神で彼女に本心を伝えたい」と言っていることになります。

そんなことを言いながら、ロスは「僕のコートはどこ?」と探し回っていますが、フィービーが You didn't bring one! 「あなたはコートを持って来てなかったわ!」と叫ぶのが面白いですね。
そもそもロスが出て行こうとしていた時に、フィービーが、Get your coat! と言ったから探し回っていたと言うのに、言い出しっぺのフィービーが「ロスはコートなんか着て来なかったでしょ!」と言っている、そのズレ具合がフィービーっぽいところです。

フィービーは自分のキャブが下にある、と言って、空港まで送るわ、と申し出ます。
みんなの声援を背に受け二人が空港へ向かうところでエンドクレジットとなり、後は最終話の フレンズ1-18 を残すのみ、となります。

グランドフィナーレのパート1の終わりで、ロスがレイチェルを追いかけることを決めたことになるわけですが、このロスが心を決める様子は、セントラルパークでレイチェルに気持ちを伝えようとしてガンターに先を越されたことと、見事な対比になっていると思います。
セントラルパークの時は、ロスはフィービーに「自分の気持ちを伝えなきゃだめよ」と説得されて、自分の気持ちを伝える決心をしていました。
フィービーもジョーイも、ロスを応援する気持ちを持っていて、フレンズたちの後押しがあってこそ、というところがあったわけですね。
それがガンターに先を越されてしまったせいで、言うタイミングを失ってしまい、チャンドラーとモニカの家での最後のお別れの場面でも、何も言えないまま、さよなら、となってしまったわけですが、その後、「自分の気持ちを伝えなきゃだめよ」とフィービーが励ますと、今度はジョーイが「これで良かったんだ。これでやっとロスはレイチェルを忘れて前に進めるんだから」と、別れを認めるべきだと説得する流れになります。

「これでやっとレイチェルのことを忘れられるんだぞ」とジョーイに言われて初めて、ロスは「でも僕はやっぱりレイチェルを忘れたくない」という自分の本当の気持ちに気づき、「これで良かったんだよ」という意見を振り切る形で、自分の判断で、自分の正直な気持ちに従い、レイチェルを追いかけることになったわけですね。
「気持ちを伝えなさいよ」と友人にアドバイスされて「やっぱりそうすべきだよね」と思い、気持ちを伝える、というのと比べ、友人はこれで良かったんだとあきらめさせようとしたのに、それを振り切って追いかける、という方が、より強い気持ちが出ていることが描写されるように思うわけです。

ジョーイは大根役者という設定(笑)ですから、「これで良かったんだよ」のようにわざとあきらめさせるようなことを言って、逆にロスの心に火を付けようとした、というような策略(演技)ではなかっただろうと思います。
ロスが気持ちを告げずレイチェルが去ってしまった以上どうしようもない、ロスとレイチェルのくっついたり離れたりを繰り返す微妙な関係を長年見続けてきたジョーイとしては「これでレイチェルのことを忘れられるだろ」と言ったのは、本心からのアドバイスだったと思います。
ずっと一緒のフレンズたちの意見はもちろん大事ですが、こと恋愛については、当事者が自分の心で決めて欲しいと思いますし、今回のことも、レイチェルとの関係をどうするかについて、最終的にロス自身が決めた、というのが、これまでずっとフレンズを見続けてきたファンにとっても、嬉しい展開になってくれていたと思いました。
「そうだ、これでレイチェルのことを忘れられるんだ、、、 でもやっぱり僕はレイチェルを忘れたくない」ということに、ロス自身が気付いてくれたこの瞬間が、私には本当に嬉しく感じられましたね(^^)


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posted by Rach at 14:32| Comment(0) | フレンズ シーズン10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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