2016年09月20日

普段は電話してこない フレンズ1-1改その2

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1:18
(CUT TO SAME SET)
同じセットに画面(カット)が移る。
チャンドラー: Alright, so I'm back in high school, I'm standing in the middle of the cafeteria, and I realize I am totally... naked. (よし、それで、俺は高校の頃に戻って、カフェテリアの真ん中に立っている。そして、俺がすっかり裸[真っ裸(まっぱだか)]だってことに気づく。)
みんな: Oh, yeah. I've had that dream. (あぁ、そうそう。そんな夢、見たことある。)
チャンドラー: Then I look down and I realize there's a phone... there. (それから、見下ろすと、電話があるってことに気づくんだ…そこに[あそこに]。)
ジョーイ: Instead of-- ((あれ)の代わりに…?)
チャンドラー: That's right! (その通り!)
ジョーイ: Never had that dream. (そんな夢は見たことないな。)
フィービー: No. (見たことないわ。)
チャンドラー: All of a sudden, the phone starts to ring. And it turns out it's my mother, which is very, very weird, because... she never calls me. (不意に[突然]、その電話が鳴り出す。そして、それが俺の母親(から)だとわかる。それってすっごくすっごくヘンなんだよな。だって… 俺の母親は俺に(普段は)電話してこないから。)

チャンドラーが「俺は高校の頃に戻って、カフェテリアの真ん中に立っている」と話し始め、「自分が真っ裸なことに気づくんだ(realize)」というと、みんなは口々に「あぁ、そんな夢見たことある」と同意しています。
チャンドラーの会話から唐突にこのシーンは始まっていますが、「そんな夢見たことある」というみんなの反応から、チャンドラーがみんなに夢の話をしていることがわかる、という仕組みですね。
ドラマではこんな感じで、誰かの話の途中からシーンが始まり、それを聞いた相手が返してきた言葉で、何の話をしていたかが後からわかる、、ということがよくあります。

チャンドラーは夢の話の続きをして、「下を見ると、電話があるってことに気づくんだ…そこに(there)」と言っていますね。
there という単語が2回出てくるので、おや? と思う方もいるかもしれませんが、このような there is (something) there. という文の形は存在します。
最初の there is の there については、以下の 研究社 新英和中辞典の説明がわかりやすいでしょう。
there=[存在を表わす there is の形で]
用法:there は形式上主語のように扱われるが、動詞の後に通例不特定のものや人を表わす主語が続く。「そこに」の意味はなく、日本語では there is [are] で「…がある」の意になる

一方、チャンドラーのセリフの最後に出てきた there の方は、まさに場所を表す「そこに」という意味ですね。

先ほどの「真っ裸だと気づく」に続き、ここでもまた、I realize there's a phone... there. の形で realize という動詞が出てきました。
英和辞典では「(はっきり)理解する、悟る」「気がつく、気づく」などの訳語が載っていますが、頻出単語なので、英英辞典で意味を確認しておくと、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
realize : 2. KNOW SOMETHING NEW
to start to know something that you had not noticed before

つまり、「自分が前に気づいていなかったことを知り始めること」。
know something new とあるように「新しいことを知る」、「気づいていなかったことに改めて気づく」感覚が realize だということですね。
さきほどの there is の話に戻りますが、このような There is/are 構文は、研究社 新英和中辞典の説明では「新たに話題として言い出すような場合に用いられる」とあります。
「少し前には気づいていなかった新しいこと(something new)に気づく」という動詞 realize と、新たに話題として上がるものの存在を表す」There is 構文とは親和性が高いと言える気がしますね。

今回のチャンドラーのセリフも、「ふと気づくと自分は裸だった」「見下ろすとそこに電話があることに気づいた」のように、状態としては少し前からその状態だったのに、そうであることに「その時、気づいた」感が出ていることになります。

自分が素っ裸で、下の方を見下ろすとそこに、、ということですから、「そこに」の場所は、男性の大事なモノ(笑)がある場所、ということですよね。
チャンドラーがその場所のことを言っているとわかったジョーイは、Instead of-- と言っています。
instead of は「〜の代わりに」という意味で、前置詞的に使われるフレーズですが、ジョーイが instead of の後の「〜」に当たる部分を言う前に、チャンドラーがそれを遮るように素早く、That's right! と言っています。
「皆まで言うな。お前が考えているソレのことだよ」というところですね。

「ふと気づいたら自分が裸だった夢」というのは見たことあるけど、「アレの代わりに電話がついてる夢なんて見たことない」とみんなが口々に言った後、チャンドラーは、夢の話の続きをします。
all of a sudden は「不意に、突然に」、turn out は「〜であることがわかる」。
which is very, very weird の which は関係代名詞で、その前の文章全体を指す感覚(なるほど英文法 p.141)。
「突然電話が鳴り、その電話は自分の母親からだった」ということを、which で受けていることになります。
weird はフレンズによく登場する形容詞で、「変な、奇妙な、変わっている」。
「それってすっごく変なんだよ」と言った後、その理由を「なぜならば」の because で説明しています。
she never calls me. は calls に -s 「3単現のs」がついていることからもわかるように、現在形ですね。
前回も説明しましたように、「習慣・習性を表す現在形」で、「普段から電話をするかしないか」「電話をよくかける人かそうでないか」という習慣を述べている感覚になります。
今回は、never で否定されているので、「電話をかける習慣がない」「普段電話をかけない人」だと言っていることになりますね。
「あそこ」に電話がぶら下がっていて、さらにはそれに実際に電話までかかってきたのが weird なのかと思ったら、めったに電話してこないママが電話してきたことが奇妙だ、と言ったオチになるでしょう。


1:52
(CUT TO SAME SET. ROSS HAS NOW ENTERED)
同じセットに画面が移る。ロスが今ちょうど入ってきたところ。
(状況説明:ロスは手に傘を持っていて、外はかなりの雨が降っている)
ロス: (MORTIFIED) Hi. ([打ちのめされた様子で] やあ[はーい]。)
ジョーイ: This guy says, "Hello, I wanna kill myself." (この男はこう言ってるよ、「やあ。僕は自殺したい」って。)(→この部分の引用符については、諸説あります。詳しくは以下の解説記事にて)

ロスの第一声の Hi. ですが、どんよりしたその表情と声から、何かしらショックなことがあったらしいことが想像できますね。
この「落ち込んだ感じの Hi.」は、これからもロスのトレードマークの1つとして出てきます。

Hi. と挨拶はしていても、ずぅぅーん、と落ち込んだ様子の Hi. なので、それを聞いたジョーイは、This guy says 以下のセリフを言っているのですが、実はこの英語のセリフ、媒体によって引用符の付け方に違いがあります。
ネットスクリプト(ファンがネット上に書き起こしたもの)では、
This guy says hello, I wanna kill myself.
DVD及びブルーレイの英語字幕では、
This guy says, "Hello," I wanna kill myself.
ネット動画配信の Netflix では、
This guys says "Hello. I want to kill myself."
となっています。(Netflix のみ、want to 表記になっていますが、以下、wanna で統一します)

This guy says+引用符、となった場合、「この男(こいつ)は”引用符でくくられた部分の言葉・せりふ”を言う」ということになりますが、それが DVD では "Hello" のみ、Netflix では "Hello. I wanna kill myself." という、もう少し長いセリフを言っていることになります。
(ネットスクリプトでは引用符がないので、どこまでがセリフかははっきりとはわかりません)

以下、どちらが正しいと思うか、という私のながーい(笑)考察が続きますが、読むのはご面倒な方は飛ばして下さって結構です(^^)
DVD と Netflix で表記が異なっているくらいですから、ネイティブにとっても微妙な違いであり、ノンネイティブである日本人がわからなくても、特に問題はないだろう、と思うからです。

以下、考察になります。
このセリフについては、私が最初に見たのは DVD でしたので、DVD の英語字幕の通りに "Hello" のみが say するセリフだと思いましたし、DVD日本語訳(吹替)にあるように、「聞いてるだけで俺、自殺したくなっちゃうよ」という意味だと思っていました。
つまり、This guy says, "Hello," I wanna kill myself. は、「こいつが”ハロー”と言う(と)、俺は自殺したいと思う[自殺したくなる]」という風に解釈した、ということですね。

ですがこれが、引用符部分が異なるとまた話は別で、say する内容が "Hello. I wanna kill myself."だとすると、「こいつは”ハロー。僕、自殺したい”って言ってる」というニュアンスになるでしょう。
こいつの言う Hi. は、「やあ。僕は自殺したい」って意味だな、みたいに言い換えた感じになりますね。
ただ挨拶しただけですが、その言い方と雰囲気にあまりにも暗いものが漂っていたので、ただの挨拶じゃなくて、「死にたい」って言ってるように聞こえる、と茶化した感じになるでしょう。

それでどちらが正しいかについてですが、私は "Hello. I wanna kill myself." の方が正しいように聞こえました。
「こいつがハローと言えば」というニュアンスであれば、This guy says, "Hello," の Hello の部分でいったん音が上がる、つまり、Hello のイントネーションが上昇調(上がり調子)になるように思うのですね。
また、いったんそこで文章が切れている、というニュアンスを出すために、少し間が空くようにも思います。
ですが、実際の音を聞いてみると、Hello の部分では音は上がらず、あまり間も空けずに、次の I wanna... に続いているように聞こえます。

このセリフの切れ目が、
1. This guy says, Hello, / I wanna kill myself.
なのか、
2. This guy says, / Hello, I wanna kill myself.
なのか、ということですが、このジョーイのイントネーションなどから判断すると、"Hello. I wanna kill myself." の方がひとかたまりになっている 2. の方であるように感じる、ということです。

改めて2つの可能性を考えた上で、セリフとしてはどちらが面白いか、という「コメディの視点」で考えてみると、「こいつが Hi. って言うと、俺、死にたくなっちゃう」というよりも、「こいつの Hi. は、”やあ、僕、死にたいんだ”って意味だな」という方が、ジョークのオチとしては面白い気がします。
ただ、Hi. と言っただけなのに、「”死にたい”って言ってるように俺には聞こえる」「今の Hi. は”死にたい”ってこと」と、そのどんより具合をジョーイがからかった、ということになりますね。

また、「こいつが Hi. って言うと、俺、自殺したくなっちゃうよ」という意味を表現したいとする場合、This guy says, "Hello," I wanna kill myself. ではなくて、This guy says, "Hello," which makes me feel like killing myself. のように、「ロスのその挨拶で、俺は自殺したい気持ちにさせられる」「挨拶が自分にそういう気持ちを起こさせる」「挨拶が原因となって、結果としてそういう感情をもたらす」という因果関係を示す表現が必要になってくるように思うわけです。
今の英語のセリフの形のままだと、「こいつがハローと言う。俺、死にたい」みたいになって、ちょっと言葉足らずな気がするのですね。
また、実際にロスが言った言葉は、"Hi." であって、"Hello." ではありません。
わざわざ Hello. に言い換えたのは、「Hi. っていうのは Hello. って意味の挨拶だけど」といったん言っておいてから、ジョーイの言いたい、I wanna kill myself. という表現に繋げる意図があったようにも思います。

引用符の位置の違いで、長々と語ってしまいましたが、たまたま今回、DVD と Netflix で字幕が異なっていたこと、その違いで意味が全然変わってしまうことが、「英語学習的に興味深い」と思ったので、あれこれ書かせていただきました。
実際の英会話などでは、「文字としての引用符」は表示されませんから、どこまでが引用符か? と言うのは、その人の言い方で判断しないといけませんね。
今回は、どこで引用符が切れているのかが音声ではあまり明白ではない気がするので、判断が難しいと思うのですが、どちらが正しいか? となった場合に、「私はこういう部分で判断しました」ということを語らせていただきました。


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posted by Rach at 16:35| Comment(13) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
覚えていらっしゃいます?  あなたと大喧嘩したものです。
あれは6年前か? 忘れました。
その後も、2回くらい書き込んだ覚えはありますが最後に書き込んでからやはり何年も経ってると思います。
いや、、、気にはしてたんですよ。 いつ、到達するかって?
ついに到達されましたね! おめでとうございます。
もう、、、フレンズという番組もすっかり過去のものとなってしまいましたが、、、あしかけ何年もかけて・・・本当にすごいなとおもいます。
そして、またs1から、おさらいするんですね!
それは嬉しいです。  あなたの記事は保存してますが、s1とか、けっこう駆け足でしたもんね! 
なんだかんだ言っても、英語熱に目覚めたのは、ここのブログのおかげも大きいのであらためてありがとうございました。
Posted by かつての読者(John Doe) at 2016年09月21日 18:45
かつての読者(John Doe)さんへ
いつ到達するかを気にして下さっていたとのこと、そして到達後にこうしてお祝いのお言葉をいただけたこと、ありがとうございます。
「本当にすごい」「ここのブログのおかげも大きい」と言っていただき、光栄です。
おっしゃるようにシーズン1は駆け足だったので、ファイナル到達後にこうして改めて最初から始められるのをとても嬉しく思っています。
こちらこそ、ご丁寧なコメント、ありがとうございました。
Posted by Rach at 2016年09月22日 10:52
最近のアメリカのドラマを見ていて、話を理解したいと思い、ここにたどり着きました。何度も、途中でリタイアしながら英語を学習しております。昨日、1万円を切る価格でこのブルーレイ10シーズンを買いました。声を出して笑えるドラマでした。ちょうど一話の解説があってよかったです。
Posted by  ノクターン at 2016年09月25日 11:40
This guy says hello...の解釈、私もRachさんに賛成です。ずっと気になっていました。http://www.vulture.com/2014/12/read-the-friends-pilot-script.htmlに掲載されているいかにも本物らしいスクリプト(タイプ打ち風のコピーでファイル用の綴じ穴まであります)でもThis guy says hello, I wanna kill myself. になっています。
Rachさんの解釈は脚本家を超えたのかも!(褒めすぎ?)
Posted by 山田昌宏 at 2016年09月26日 05:02
ノクターンさんへ
コメントありがとうございます。
昨日ブルーレイを買われたタイミングで、拙ブログにお越しいただけたこと、とても光栄に思います。ブログの解説が、シーズン10のファイナルまで到達した後、「シーズン1をご覧になる方がやはり多いだろう」ということで、シーズン1に戻り「改」として解説を開始したのですが、「ちょうどよかった」と思っていただけて、私もとても嬉しいです。
「フレンズ」を楽しみながら英語学習を続けていただければ幸いです(^^)


山田昌宏さんへ
コメントありがとうございます。
says hello... の解釈、私の意見に賛成していただき嬉しいです♪
リンクしていただいたサイトのスクリプト、面白いですね。決定稿前のようで多少セリフが異なりますが、問題のロスのセリフは確かに、This guy says hello, I wanna kill myself. となっていて、引用符を書いてくれていないですね^^
このセリフについては、ついこの間までずっと、says, "Hello," と思っていたのですが、Netflix で引用符の部分が違っていたので、あれれ? と思って、再度よーく考えてみた結果、上のような結論になりました。
最近解説した フレンズ10-17 で、DVD と Netflix で字幕が異なっていることを見つけて以来、Netflix の字幕もチェックするようになり、早速 フレンズ1-1 で見つけてしまった、ということです。なので、私独自の解釈ではなく、Netflix のおかげで、褒めるべき対象は Netflix さんの方ですね(^^)

2つが違っていた場合、後発組の Netflix の方が「正しいものに訂正、修正」されている可能性が高いように思います(実際、10-17 のセリフも、Netflix の方が正しいように感じました)。
と同時に、2つの意味を比べてみた場合、kill myself までが引用符と考えた方が、ジョークとして面白いし、流れ的にも自然だと思えたので、記事にしてみました。
そういう「私の考察」的なことを書くと、どうしても文章が長くなってしまうし、読む方にとってもややこしいだけかなぁ、とも思ったのですが、その記事をそのように評価していただけて本当に良かったです。ありがとうございます!(^^)
Posted by Rach at 2016年09月26日 19:14
ジョーイのセリフ、レイチさんに1票ですね。言われるまでhelloだけがsayの中身と思ってましたが(訳がそうだったので)、それ以後もsayの中身と思った方がしっくりきますね。
Posted by 真 at 2016年10月12日 22:29
真さんへ
私の解釈に1票いただきありがとうございます。
私もこの記事を書く直前まで、hello だけが say の内容だと思っていたのですが、myself まで入れた方がしっくりくると思えてきました。こういうのを考えるのは、楽しいな♪ と思います(^^)
Posted by Rach at 2016年10月13日 18:35
こんにちは

オリジナルとおぼしき First Draft のジョーイの台詞について、Rach さんは「引用符を書いてくれていない」という受け止め方をされています。

This guy says hello, I wanna kill myself. 

しかし、この文は、引用符なしで成立しています。逆にどこに引用符を入れても、事実と違ってしまいます。

接続詞なしで 2 つの節を並べるのは文法的に誤りですが、ジョーイはときどきこの言い方をします。後の方に出てくる And hey, you need anything, you can always come to Joey. という台詞に、Rach さんは If を補っています。上の台詞にも同じように When を補うことができるのではないでしょうか。

(記事の日付から約3年が経過し、私の KY 感も多少は薄れてきていることと思います。)
Posted by mq at 2019年09月03日 15:24
mqさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。

ご指摘の通り、接続詞なしで2つの節を並べることは口語ではよくありますね。話の流れから省略された接続詞を補うことになるわけですが、それは -ing 形の分詞構文が、接続詞にしたらどれに当たるのかを瞬時に判断しているのと似た感覚かもしれません。

そういう意味では、このセリフも When を補えば、「こいつがハローと言う時、俺は自殺したくなる」のような構造だと解釈することも可能ですよね。

ただ、このセリフについては、イントネーションから判断して、"Hello, I wanna kill myself." の方がひとまとまりになっているような気が私にはします。
意味的にもそうだと考えられる理由として、
1. ロスが言ったのは Hi. なので、「こいつがそう言うと」と言いたいのなら、This guy says hi になるのではないか?
2. ジョーイというキャラは、他人がどんよりした雰囲気で挨拶してきた場合に、それで自分も一緒に落ち込んで死にたくなるような性格ではない。
という2点が思い浮かびました。

今回のエピソード 1-1 よりも後になってしまいますが、1-4 でジョーイが「もし〜ならどうする?」と聞かれ、"Probably kill myself." と答える会話が出てきますが、ジョーイが死にたいと思うのはその場合のような状況であって、「こいつが陰気くさい挨拶してきたから、俺まで死にたくなっちゃうよ」というのはジョーイっぽくないような気がしたということですね。まだパイロット版でキャラ立ちもしていない頃なので、ジョーイっぽいかどうかという判断基準はあまり使えないかもしれませんが、「こんな挨拶されたら、俺まで死にたくなる」よりも「こいつが今言ったハーイっていうのは、”やあ、僕、死にたいんだ”っていう意味だな」と解釈する方が、コメディとして面白いように思います。

もう一度、このシーンを見直してみたのですが、
ロスが入ってきて、悲し気な顔で Hi. と言う。
みんなが一瞬沈黙してから、ジョーイがフッと笑って、このセリフをみんなに向かって言う。
その言い方を聞いていると、ロスが言った Hi. という一言を、ジョーイが意味ある言葉に翻訳してみせた、という印象を受けるのですね。

それぞれのツールでの英語字幕を整理すると、、、

DVD, Blu-ray, Hulu では、"hello" 部分のみが引用符でくくられています。
IMDb(Internet Movie Database) の Quotes では、
https://www.imdb.com/title/tt0583459/quotes/?tab=qt&ref_=tt_trv_qu
Joey: This guy says hello, I wanna kill myself.
のように、引用符なし、hello で文が分かれています。
そして、Netflix だけが "Hello. I want to kill myself." という形になっています。

多数決で言うと劣勢ではあるのですが、ロスのその一言の挨拶を、「今のはこういう意味ね」と説明してみせたという方が脚本的に面白い気が私にはするんですよね。
このセリフを書いた脚本家の方に聞かないことには、セリフの本当の意図やニュアンスはわかりませんし、一般的に hello / I want to という切れ目の方が広く受け入れられているようでもあるのですが、一つの可能性として、そのような解釈も面白いのではないかと考えました。

あくまで私の考えに過ぎませんので、参考までに読んでいただければ幸いです。
Posted by Rach at 2019年09月04日 14:45
こんにちは

脚本家は当然ながら引用符の有無の意味を十分に承知しています。First Draft に引用符がないのは、読む側が適当に決めてくれということではなくて、この台詞には引用符がないという脚本家の意思表明です。この文に引用符がないとしたときに唯一可能な解釈は、say hello をひとまとまりの表現 (= greet) と見ることです。「この文は、引用符なしで成立している」というのは、その意味です。

私はこの First Draft を Warner の本物と認識しています。この前提がそもそも Rach さんとは違うのでしょうか?
Posted by mq at 2019年09月04日 18:32
mqさんへ
コメントありがとうございます。
引用符の件のポイントを理解できておりませんでした。申し訳ありません。

First Draft が Warner の本物であるとすると、引用符がないのが正式な形となるとのご意見、おっしゃる通りだと思います。その場合、says "hello" 「”ハロー”と言う」ではなく「挨拶する(greet)」の意味であるのもその通りだと思いました。
これが本物とすると、やはり文の切れ目は This guy says hello / I wanna kill myself. になりますから、脚本家が意図していたセリフの意味は「こいつが挨拶する時、俺は死にたい」と解釈することになりそうですね。

Netflix 以外は全て hello の部分が切れ目になっているので、それが正式な形だと判断するのが自然だとは思うのですが、Netflix の字幕の引用符の付け方が面白いので、「そういう解釈もアリではないか?」と考えてみたくなりました。
Netflix はアメリカの会社ですから、英語字幕は当然ネイティブが作っているでしょうし、音としてそのように聞こえる気もするし、あるネイティブがそう受け止めたということはそれで意味が通じるし、それはそれで面白いからだろうと思ったわけです。

Netflix の字幕の方が正しいと強く主張するつもりもないのですが、仮にもしそちらが正しいとすると、台本が現場で修正された可能性もなくはない気がしています。フレンズは観客の反応を見ながら収録していて、メイキング映像でも「今のセリフの意味、わかった?」みたいにディレクターが観客に問いかけているシーンも出てきました。そこでセリフを再考した時に「こいつが挨拶すると、俺、死にたい」よりも「こいつのハーイという挨拶は”やあ、僕は死にたいんだ”って意味だよ(俺にはそんな風に聞こえる)」の方が面白いのでは? となって、文字としては同じセリフをジョーイがそのようなイントネーションで言ってみた、という可能性があったりするかなぁ、と。

オフィシャルな DVD/Blu-ray は、台本の第一稿を元資料にして字幕化していると思うのですが、Netflix はDVDの字幕を参考に音と突合せながら字幕を作っているのではないかと私は考えていて、音と付き合わせた結果がその引用符のついた字幕になったのではないかと思っています。

以上のような可能性を考えてはいますが、他の字幕が hello で切れているので、普通はやはりそちらを切れ目と考えて解釈するのが自然なのだろうと思います。
Posted by Rach at 2019年09月05日 22:05
こんにちは

私は今まで漠然と Broadcast Script が ドラマの台詞の決定版と考えていたのですが、改めて考えるとそれほど単純でもないというのは、Rach さんがおっしゃる通りと思います。私もあのメイキング映像は見たことがあります。編集工程によっても台詞の意味が変わる可能性があります。結局、DVD (もしくはその他のメディア) の音声が製作者の最終意図ということになるんでしょうか。何を基準にすべきかは、けっこう面白いトピックだと思います。
Posted by mq at 2019年09月06日 02:21
mqさんへ
こんにちは。お返事ありがとうございます。

私が挙げた「第一稿から台詞が変わるという可能性」についてそのようにご理解いただき感謝です。台詞が変更されたかどうかなどは、実際にその収録に携わった出演者・関係者とそれを見ていたスタジオ観覧者にしかわからないことなので想像の域を出ないのですが、おっしゃるように、何を基準にすべきかは面白いトピックだと私も思いました。
Posted by Rach at 2019年09月06日 09:45
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