2016年09月23日

手を伸ばして掴んで引っ張り出して フレンズ1-1改その3

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2:01
モニカ: Are you okay, sweetie? (大丈夫、スウィーティ?)
ロス: I just feel like someone reached down my throat, grabbed my small intestine, pulled it out of my mouth and tied it around my neck. (誰かが僕の喉の奥に手を伸ばして、僕の小腸をひっつかんで、それを口から引っ張り出して、それを僕の首のまわりに巻き付けて結んだような気がするんだよ。)
チャンドラー: Cookie? (クッキーいる?)
モニカ: (EXPLAINING TO THE OTHERS) Carol moved her stuff out today. ([他の人に説明しながら] 今日、キャロルが荷物を運び出したのよ。)
みんな: Oh.... (あぁ…)
モニカ: (TO ROSS) Let me get you some coffee. ([ロスに] あなたにコーヒー取ってくるわね。)
ロス: Thanks. (ありがと。)
フィービー: Ooh. Ugh... (STARTS TO PLUCK AT THE AIR JUST IN FRONT OF ROSS) (あぁ、うー… [ちょうどロスの前にある空気を捕らえようとし始める])
ロス: No. Oh, no. No, don't. Stop cleansing my aura. No, just leave my aura alone, okay? I'll be fine, alright? Really, everyone. I hope she'll be very happy. (だめだ。だめだよ。やめてよ。僕のオーラを浄化するのはやめてよ。だめだ、ただ僕のオーラはほっといてよ、いい? 僕は大丈夫だよ。本当だ、みんな。彼女(キャロル)がすごく幸せになるのを願ってる。)

落ち込んだ様子で入ってきたロスを見て、モニカは「大丈夫、スウィーティ?」と言っています。
sweetie は、日本でもメジャーな darling 「ダーリン」や honey 「ハニー」と同じように、「いとしい人、かわいい人」を表す呼び掛け語。
恋人同士にも使いますが、今回は兄妹で使われています。(少し後に、ロスがモニカの兄だとわかるセリフが出てきます)。
このような呼び掛け語を英語では term of endearment 「親愛語」といいます(なるほど英文法 p.228)。

妹に「大丈夫?」と声を掛けられた後の、ロスのセリフが長いですね^^
長いセリフが出てくると、聞き取るのを身構えてしまいがちですが、長いセリフであっても、とにかく「前から順番に、ひとかたまりずつ理解して、次を待ち構える」という姿勢が大切になってきます。
I just feel like の feel like は、feel like doing の形だと「〜したい(ような)気がする、〜したい気分である」という意味で使われますが、feel like SV(文)の形だと、「(文)のような気がする」という意味になります。
その文の内容を順番に見ていきましょう。
someone reached down my throat は「誰かが僕の喉の奥に手を伸ばした」という感覚。
grab は「つかむ(掴む)、ひっつかむ」というニュアンスで、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
grab : to take hold of someone or something with a sudden or violent movement
と出ています。
つまり、「突然の、または乱暴な動きで、誰かや何かをつかむこと」。
with a sudden or violent movement という部分がポイントで、荒々しく乱暴に、がしっ! とつかむ感覚です。
「ある人が A して、B して、C して、D して」のように、行動や動作の説明が続いた場合、その動詞の「動き」をイメージしながら理解すると良いですね。
今回は、手を伸ばして(reach)、つかんで(grab)、引っ張って(pull)、結ぶ(tie)という動詞が使われており、さらに、pull it out of... 「〜から引っ張り出す」、tie it around... 「〜のまわりに結ぶ」のようなくわしい説明も加わっていることで、より動作のイメージがしやすくなっていると言えるでしょう。

small intestine は「小腸」。
intestine という単語が見慣れない単語だな、と思った場合、とにかく辞書を調べたくなってしまうものですが、(私がおすすめするDVD学習法(レイチ・メソッド)の第2段階で日本語音声・日本語字幕を確認している場合には)日本語訳として「腸、小腸」とちゃんと訳されていますので、「あぁ、これは腸って単語なんだな」と理解できれば、あえて辞書を調べる必要はないと私は考えています(拙著「海外ドラマDVD英語学習法」 p.60 見慣れない単語のすべてを調べる必要はない)。
「胃」の場合は、「胃が痛い、お腹が痛い」と訴える場合に、stomachache を人に説明しないといけないことがありますから stomach を覚えておいた方が良いですが、外国人の方が、日本語の「小腸」という言葉を特に覚えなくても良いように、自分の普段の生活の中で使う可能性の少なそうな単語であれば、「ああ、そういう意味か」だけで良いということです。
辞書を調べてみたら、大腸は large intestine と表現することがわかり、日本語の「大小」の表記通り、やっぱり大腸はLサイズ(large)の腸で、小腸はSサイズ(small)の腸ってことでいいんだな、と納得もでき、それは知識にもなりますが、「時間があれば調べてもいいけれど、忙しいのなら敢えて辞書を引くことはない」単語ということになるでしょう。

誰かが僕の腸を引っ張り出して、それを首に巻き付けられた気分、、などとオドロオドロしい表現をするほど、気分が落ち込んでいる、ドン底だ、と言いたいようです。
そんな暗〜いロスにチャンドラーが妙に明るい声で、クッキーどう? クッキーでも食べる? と言っています。ロスが落ち込んでようがお構いなし、という感じですね。

Carol moved her stuff out today. は、「今日、キャロルは彼女のもの(荷物)を運び出した」。
stuff は「持ち物、所持品」というニュアンス。
move は「動かす」、out は「外へ」なので、moved something out は「荷物を外に持ち出した、運び出した」になります。
「荷物を運び出した」というのは、日本語の「荷物をまとめて出て行った」に通じるニュアンスがありますね。
キャロルというのが誰なのか詳しく説明されていませんが、そのセリフから「妻が荷物を持って出て行った」らしいことは想像できるだろうと思います。

Let me get you some coffee. をくどいくらいに直訳すると、「あなたにコーヒーを get することを私にさせて」みたいになりますね。
get はいろんな状況で様々な意味で使われる基本動詞ですが、一番基本的な意味は「手に入れる、得る」になるでしょう。
「ポケモン ゲットだぜ!」の「ゲット」の感覚が非常にわかりやすいと思っているのですが、英語のセリフで get が出てきた時は無理に何かしらの日本語に当てはめようとせず、get はとりあえず get としてざっくり捉えた上で、目的語や文脈などから、「日本語ではこんな感じ」とイメージすればいいと思っています。

「get+人+物」という形は「人に物を get する」という感覚。
今、コーヒーハウスにいて、「あなたにコーヒーをゲットする」と言っているわけですから、「あなたに[あなたのために]コーヒーを取ってくる」と言っていることが想像されるでしょう。
英和辞典にも「人にものを取ってくる」という意味がちゃんと出ていますが、たくさん出ている日本語の訳語を一つひとつ暗記しようとするのではなく、「基本的な意味は”手に入れる”だから、人にあげるために何かを手に入れることはつまり、人に何かを取ってくること」という風に理解する、基本語義から言葉のイメージを広げることが必要だということですね。

どんよりしているロスを見て、ロスの隣りに座っているフィービーがロスのまわりの空気をつかむようなしぐさをしています。
一体何をしてるんだろうと思ってしまいますが、次のロスのセリフでその行動の意味がわかるという仕組みです。
「オーラ」は日本語になっていますが、改めて英英辞典で調べてみると、LAAD では、
aura [countable] : a quality or feeling that seems to surround or come from a person or a place
例) The restaurant has taken on an aura of success.

つまり、「ある人や場所を取り囲む、またはそこから出ると思われるような性質または感覚」。
例文は、「そのレストランは成功のオーラを帯び始めた」。(take on=(性質などを)持つようになる、帯びる、呈する)

「その人を取り囲んでいるもの、その人から出るもの」なので、フィービーもまさにそれがあるあたりをつかんでいることになります。
cleanse は、クレンザー(cleanser、磨き洗剤)、クレンジングクリームなどでおなじみの「洗浄する」「浄化する、清める」。
Leave my aura alone. を直訳すると「僕のオーラを一人・孤独にしておいて」、つまり、「僕のオーラをそのまま放っておいて、構わないで」ということ。
このフレーズそのままを使うチャンスはないでしょうが(笑)、my aura を me にした、Leave me alone. なら「(僕を)ほっといてくれ、構わないでくれ」という意味でよく使われます。
ずーん、、となっているロスのまわりに暗〜いオーラを感じたらしいフィービーがそれを浄化しようとするけれど、「僕のオーラはこのままでいいから、ほっといてよ」と言っていることになりますね。


(おまけの話:笑い声(ラフトラック)について)
ラフトラックとは「笑い声(の効果音)」のこと。
LAAD では、
laugh track [noun, countable] : recorded laughter that is used during a humorous television show to make it sound as if people are laughing during the performance
つまり、「ユーモラスなテレビ番組の最中に使われる録音された笑い声、まるでその演技(パフォーマンス)中に人が笑っているかのように聞こえるようにするため」。

この語義だと、「それを見て人が実際に笑っているかのような臨場感を出すための笑い声」という「効果音」のイメージですが、「フレンズ」は観客を入れたセットで撮影されているため、あのラフトラックは実際にあのシーンを見た観客の笑い声が使われています。
先に俳優だけでドラマを撮影した後、後から編集で「笑いどころに笑い声を意図的に挿入した」というようなことではなく、「俳優の演技中に観客がそれを見て実際に笑っている声」だということです。

ここに至るまでも、これでもか、これでもか、と笑い声が頻繁に入っていますが、正直、フレンズ1-1(パイロット版)のジョークは、後のエピソードに比べると、そんなに面白くないというか、笑えないというか(ごめん)なので、このラフトラックが何だか「ほら、面白いでしょう? 笑えるでしょう?」と押しつけがましい印象を与えてしまっている気がします。
パイロット版は特に、「何で笑ってるの? これのどこが一体面白いの?」的なセリフも多く、私もシーズン1に戻って解説しながら、改めてそれを痛感しています。
今日の記事で解説したようなセリフも、「ね、これ、すっごく面白いでしょう?!」とか言えない(笑)。

パイロット版は特に、観客のラフトラックと一緒に大笑いできなくても、どうか気にしないで下さい。
「アメリカと日本の笑いのセンスが違うから笑えない」わけではなく、このフレンズの第1話に「パイロット版ゆえの違和感と空回り感」がある、というだけのことですから。
とにかく今は、「フレンズのキレキレのジョークは、こんなもんじゃないんです!」ということをどうか心に留めておいて下さい。

第1話は「ジョークの笑いどころがよくわからない」という部分は多いですが、英語教材として見てみると、英語の会話は実にリアルで、「作られた英語教材」にはない「会話の面白さ」があります。
そういう「英会話としての面白さ」を楽しみながらフレンズを見続けると、「フレンズっぽいジョーク、ネイティブを大爆笑させるジョーク」が増えてきますので、第1話だけを見てやめてしまう、、というのだけは、どうか待って下さいね(^^)


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posted by Rach at 16:04| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは!

改になって今まで以上に分かりやすい解説になったお陰でフレンズがもっと楽しく視聴出来るようになりました!ありがとうございます。


私もフレンズが英語学習に良いと言われ、更に内容も面白いと太鼓判を押されて勧められたので視聴を開始したクチなのですが、この第一話を見てからやっぱり視聴を辞めようかなと思ったことが確かにあったなぁと昔のことを思い出しました(笑)

どんどん加速度的に面白くなるのは間違いないのですが、この最初のエピソードのとっつきにくさのせいでフレンズを諦めた人も世の中に多少はいるのかもしれないなぁ・・・と感じました
Posted by PotaTommy at 2016年11月12日 05:52
PotaTommyさんへ
こんにちは! コメントありがとうございます。

「改になって今まで以上に分かりやすい解説になった」と言っていただけたこと、本当に嬉しいです。そう言っていただけると、これからますます解説を頑張ろうと思えます。ありがとうございます!

私も最初にこの第1話を見た時に、「これがアメリカ視聴率ナンバーワンのドラマなの?」と思ったことをとてもよく覚えています。「どんどん加速度的に面白くなる」のはおっしゃる通りで、私も「とりあえず第8話までは見て下さい」とあちこちで言っています^^

とっつきにくいこの第1話をできるだけ詳細に解説することで、次のエピソードに手を延ばしてくれる人が増えるといいなぁ♪ と思っています。

温かいコメントありがとうございました!
Posted by Rach at 2016年11月14日 17:22
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