2016年09月30日

彼よりプレゼントにのぼせていた フレンズ1-1改その6

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4:06
(A MOMENT OF SILENCE AS RACHEL SITS; THE OTHERS EXPECT HER TO EXPLAIN)
レイチェルが座って、少しの沈黙が流れる。他のみんなは彼女が説明してくれるのを期待する。
モニカ: So you wanna tell us now, or are we waiting for four wet bridesmaids? (それで、今あなたから私たちに話したい? それとも4人の濡れたブライドメイド(花嫁付添人)たちを待ちましょうか?)
(注:以下、レイチェルの一人語りのセリフが長く続きますが、英語と和訳が離れてしまうとわかりにくいので、セリフをある程度の長さで区切りながら和訳をつけます)
レイチェル: Oh, God! Well, it started about a half-hour before the wedding. I was in this room where we were keeping all the presents, and I was looking at this gravy boat. This really gorgeous Limoges gravy boat. (あぁ! それは結婚式の30分前ぐらいに始まったの。私はある部屋にいて、そこには全てのプレゼントが置いてあって、私はグレイビーボートを眺めていたの。本当に豪華なリモージュのグレイビーボートをね。)
レイチェル: When all of a sudden-- (TO WAITRESS, WHO HAS BROUGHT HER COFFEE) Sweet'N Low? I realized... I realized that I was more turned on by this gravy boat than by Barry. (それで突然… [レイチェルにコーヒーを持ってきたウェイトレスに] (それって)ダイエット甘味料?(→追記と訂正:ダイエット甘味料を持ってきてくれる?) 私は気づいた… 私は気づいたのよ、私はバリーにじゃなくて、グレイビーボートに夢中になっていたんだ、って。)

花嫁姿で店に入ってきて、モニカとの再会を喜び、みんなと自己紹介し合った後、ソファに座ったレイチェルが特に自分から何か説明しようとはしないので、モニカが「自分で話したい? それとも私たちは、four wet bridesmaids を待ちましょうか?」と切り出します。
bridesmaid 「ブライズメイド」とは、結婚式での花嫁付添人のこと。その複数の bridesmaids のうち、一番重要な役割を果たすまとめ役は maid of honor といいます。

wet は「濡れた」ですね。
もしかすると「涙に濡れた」という意味も暗に込めているかもしれませんが、基本的にはこの wet は「雨に濡れた」という意味で間違いないと思います。
「雨に濡れた」というのは、ロスが入ってきた時、外は雨が降っていて、ロスも傘を持っていたこと、レイチェルが入ってきた時のト書きに wet という言葉があったように、レイチェルの特に髪の毛が雨で濡れているように見えることなど、「今日は雨の日である。外は雨である」という設定になっている描写がシーンのところどころに見られるからですね。

花嫁が逃げたとなると、花嫁の友人は本人が行きそうな場所を探して右往左往するわけで、泣きそうな顔で必死に探している様子も想像できます。
研究社 新英和中辞典では、wet を使った表現として、wet eyes 「涙にぬれた目」、cheeks wet with tears 「涙にぬれた頬」というのも載っているので、もしかしたら「雨に濡れた+涙に濡れた」という意味も持たせているのかもしれませんが、基本的には、この wet は「雨が降っている中を、花嫁を捜して追いかけてきた」という意味での「雨に濡れた」と考えて良いと思います。
モニカがわざわざ wet と形容しているのは、「外は雨だというのに、びしょ濡れになってまで、逃げた花嫁のあなたを探し回ってるその人たちも大変よね」という意味が込められているのでしょう。

four 「4人」という人数がわざわざ言及されている理由はよくわかりません。
bridesmaid で、Google 画像検索すると、白いドレスの花嫁さんを中心にして、お揃いの色ドレスを着たブライズメイドが並んでいる写真がいくつもヒットするのですが、人数はバラバラで、ブライズメイドが7人、8人と並んでいる写真もありますので、4人と決まっているわけではなさそうです。
「あなたなら4人くらいかしら」と旧友として想像してみた人数をさらっと盛り込んだ感じ、なのでしょうか??

そう言われたレイチェルは、花嫁姿で店にやってきた理由を自分から話し始めます。
「結婚式の30分前くらいに(それは)始まったの」と言った後、I was in this room where... と言っていますね。
この this は、前回の記事「その5」に出てきた、a のニュアンスの this です。
今、レイチェルがいるのはセントラルパークなので、この this room を「この部屋」と訳してしまうと変になってしまいますよね。
物語風に語る時に使われる this は、話している本人が頭の中でそれをイメージしている感覚になります。
これ以降も、this gravy boat のように this が連発していますが、どれも「レイチェルがその時のことを頭に思い浮かべながら話している」感覚から、a の意味で this が使われているわけです。

where は関係副詞で、「私たちが全てのプレゼントをキープしてあった・置いてあった(場所である)部屋」と言っていることになります。
gravy boat は舟の形をした肉汁ソース入れで、gravy は「肉汁。肉汁ソース」のこと。
Limoges は「(磁器の)リモージュ焼」。リモージュはフランスの都市名で、上質の陶器を生産することで有名です。

「突然、不意に」と話を続けようとしたレイチェルですが、コーヒーを持ってきたウェイトレスに、Sweet'N Low? と尋ねています。
Sweet'N Low は「スウィートン・ロー」という、ダイエット甘味料の商品名。
Sweet'N Low で画像検索すると、ト音記号の五線譜に SWEET'N LOW 、その下に ZERO CALORIE SWEETENER と書かれたピンクの四角い袋の写真がたくさんヒットします。
花嫁姿で逃げてきたこの非常事態にも、ダイエット甘味料であることを確認しているのが「いかにも女子」っぽくて微笑ましいですね。
(2016.10.1 追記)
Sweet'N Low? について、コメント欄でご意見をいただきました。
これは「ダイエット甘味料であることを確認している」のではなく、「ダイエット甘味料を持ってきてくれる?」という意味でした。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)

Sweet'N Low の件で話が中断した後、レイチェルは、all of a sudden-- の続きとして、I realized… I realized that と話を続けています。
豪華なグレイビーボートを見ていて、私は突然気づいたの、と言った、その気づいた内容が、I was more turned on by this gravy boat than by Barry になります。
turn on は「回してオンにする」ということですから、通常は「スイッチを入れる」という意味でよく使われますが、ここでは「興奮させる、夢中にさせる、性的に刺激させる」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
turn on : SEXUAL turn somebody on
to make someone feel sexually excited

つまり、「人を性的に興奮させること」。
そーゆー方向のスイッチを入れる、というところですね^^

turn-on という名詞の形だと、「性的に興奮させるもの、ムラムラさせるもの」のような意味になります。
LAAD では、
turn-on [noun, countable usually singular] : (informal) something that makes you feel excited, especially sexually (OPP: turn-off)
例) Her voice is a total turn-on.

つまり、「(インフォーマル) 人を興奮させるもの、特に性的に。反対語:turn-off」。例文は「彼女の声にはすっかりそそられちゃうね」。
反対語の「興醒め(きょうざめ)させるもの」が turn-off というのもわかりやすいですね^^

be turned on by という受動態(受け身)の形になっているので、「私は〜によって興奮させられた」。
今回のセリフは、more... than のように、「〜より」を表す than が存在していますので、比較になっている構造がわかりやすいですが、than 「〜より」に当たる内容が文脈からわかる場合には省略されている場合もありますので、more 「(〜より)もっと」が出てきた場合は、常に「何と比較しているのか」を意識するようにしましょう。
今回のセリフを直訳すると、「私はバリーよりも、このグレイビーボートに、より興奮させられた」ということに気づいた、と言っていることになります。
バリーという男性(つまり結婚する予定だった男性)よりも、プレゼントのグレイビーボードにのぼせていた・うっとりしていた、ということに気づいてしまったと言っているわけですね。


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posted by Rach at 18:25| Comment(5) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは。
またフレンズの解説が「改」として継続していただき大変ありがとうございます。
この先もRachワールドのワクワク気分が味わえること本当にうれしく思っております。
持っていなかったシーズン1を早速買って見始めました。みんな本当に初々しくて、レイチェルも少し顔がふっくらとして感じのお嬢様で可愛いですね。日本語訳は結構飛び跳ねて作っている感じがしますが、今後が楽しみです。

さて、今回細かいことで恐縮なのですが、2つほど気が付いたことをコメントさせていただきます。一つは、for four wet bridesmaids のところですが、私には単純にwaiting for wet bridesmaids と聞こえるのですがいかがでしょうか?

もう一つは、リスニングそのものではないのですが、Sweet'N Low?は確認というよりも、最初ウェイトレスがコーヒーだけ持ってきたので、「Sweet'N Low持ってきて?」と言ってるのかと思います。そのあとそれを持ってきた時見ずに受け取ってロスに渡した、という流れかと思いますがどうでしょうか?

文法や表現の解説は完璧なので、ちょっと本筋と関係ない細かいことに気が行ってしまいすみません。

Posted by koroyakun at 2016年10月01日 07:14
koroyakunさん、はじめまして。

横レスで失礼かとも思いましたが、先生の説明の前に同級生の意見というのもありかなと思い、
koroyakunさんのご指摘に対する私自身の確認した結果です。間違ってる可能性も大です。(^^)

一つ目の「for four wet bridesmaids」はどっちだろうと迷いましたが、何回か聞いてみて
やはり「for four」と言ってると思いました。
禁断のカタカナ表記&スローモーションにするとかなり大げさですが
「ファ・フォウオ〜」という感じに聞こえました。

二つ目の「Sweet'N Low?」はご指摘の通りだと思いました。
「turned on by this gravy boat than by Barry.」のセリフが終わるところでウェイトレスが
持ってきてレイチェルに手渡してますね。

気付かなかったです。

今後もフレンズファン、Rachさんのブログファンの一員としてよろしくお願いいたします。m(_ _)m

では。
Posted by aki-kiyo at 2016年10月01日 12:51
koroyakunさん、aki-kiyoさん、
コメントありがとうございます。貴重なご意見をいただき感謝です。私の記事の進行に合わせてフレンズを見て下さっていること、本当に嬉しくありがたく思っております。

ご指摘の2点、私もきちんと見直してみました。まずはその2点について私の意見を述べさせていただいた後、個別にレスをさせていただきますね。

1. for four wet bridesmaids について
字幕を見た時に、for, four と同じような発音の単語が続いているので、for... for と言い淀んだのを four とタイポした、みたいな可能性もあるかもしれない、と私も少し考えました。どうして「4人なんだろう?」というのも気になったので、英語字幕をチェックしてみたのですが、今回は、ネットスクリプトも DVD も Netflix も全て、for four になっていました。みんながこぞって(笑) four だと表記しているのなら、やっぱり「4人」なんだろうなぁ、と思い、「どうして4人なんでしょう?」と記事でも書いたわけですね。

音声を聞き直してみたのですが、やはり for four と言っているようです。for も強形の場合は four と同じ発音になりますが、aki-kiyoさんのカタカナ表記のように、前置詞の for の方は、弱形の発音で「ファ」と軽く発音されていると感じました。f(or) four のように、f の音が2回聞こえる感じですね。

「waiting for wet bridesmaids なのか、waiting for four wet bridesmaids なのかどちらでしょう?」と問われた場合には、日本人も意識してどちらなのかを聞き取ろうとしますが、このセリフを普通に聞いた時に、waiting for four だと聞き取るのはなかなか難しいように思います。
逆に言うと、「文章の中で前置詞などは弱く軽く、弱形で読まれる」ということが当たり前になっているネイティブは、この軽い for (ファ)と four の違いをすっと聞き分けられてしまうんだなぁ、ということに改めて感心してしまいます。

このことは同時に、「文字で確認せずに音だけで聞いていると、そういう部分を突き詰めないまま終わってしまう」ということも示していると思います。a/the の違い、単数複数の違い、弱形で発音される前置詞の選択の微妙な違いなどを、英語学習者であるノンネイティブの我々が「音だけで」聞き取るのは大変難しいことで、今回のセリフはまさに、「字幕に書いてくれていたから、あれ? と思えた」部分に当たるだろうと思います。そういう意味でも、koroyakunさんがこの部分に注目されてコメントを書いて下さったこと、aki-kiyoさんがどっちだろうと迷って何回か聞いて下さったことは、英語学習において非常に意味のあることだと思っています。

2. Sweet'N Low? について
koroyakunさんのご指摘の通りです。than by Barry. のセリフの直後(4:35あたり)に、ウェイトレスさんがレイチェルに手渡していますね。この後、しばらく手にそれを持ってしゃべっていて、それからロスに渡す、という流れになるのもおっしゃる通りです。

これについては完全に「私の長年の思い込み」ですね。シーズン1に戻るにあたり、細かいしぐさも見逃さないようにチェックしたつもりだったのですが、Sweet'N Low? という「?」のニュアンスを、「(あなたが持ってきた)それってスウィートン・ロー?」と尋ねた、確認したのだと、ずーっと私はそう思い込んでいました。ウェイトレスはソーサーなしで黄色いカップだけを持ってきていましたから、砂糖の袋はついてなかったですよね。結婚式から逃げてきて、本当ならものすごく動揺して普段と同じような行動もできなくなりそうなのに、「Sweet'N Low 持ってきてくれる?」と、普通の砂糖ではなくダイエット甘味料を頼んでいるという平然さ・冷静さ、みたいなものが面白いということになるのでしょうね。

以下、個別のお返事になります。


koroyakunさんへ
「改」として継続することをそのように言っていただけること、私の方こそ、本当にうれしく思っております。それに合わせてシーズン1もご購入下さったこと、重ねてありがとうございます。
このフレンズ1-1 のレイチェルは本当に「世間知らずのお嬢様」という感じですよね。ウェディングドレスを着たこの時のレイチェルは、本当に可愛らしい♪
また、コメディの日本語訳というのは実に難しいのだろうなぁ、といつも思います。直訳しすぎると笑えないし、意訳しすぎると「え?」と思われるし、その塩梅が難しいんですよね。「意味としてはこういうことだから、そういう方向で訳したのか!」みたいな発見もあり、英語学習者の視点からも、DVDの日本語訳をいつも興味津々で見ています(^^)

また「文法や表現の解説は完璧」とお褒めいただき光栄です。上にも書かせていただきましたように、for four の部分は、英語学習的に大変興味深い部分ですし、Sweet'N Low? の場合は、私の和訳と説明が間違っていたことになりますので、ご指摘いただけたこと、心より感謝です。

フレンズ1-1 は、過去記事での質問も非常に多く、本当に何度も何度も見ているエピソードなのですが、「最初にそうだと思ってしまったこと」からはなかなか抜けられないものですね^^ せっかくこれから「ゆっくりじっくり」「改めて」解説を書くチャンスをいただけたわけですから、私も真っ白な気持ちで、先入観を持たずに素直に楽しみつつ、書き進めたいと思います。

貴重なご意見、本当にありがとうございました。これからもどうかよろしくお願いいたします!(^^)


aki-kiyoさんへ
私の記事に加え、他の方のコメントもしっかりお読みいただけていること、大変ありがたく思っています。記事+コメントの積み重ねが、拙ブログを成長させてくれたと思っていますので、コメント欄の中で皆さん同士がまた意見交換をして下さることは、管理人の私としても、とても嬉しいことなのです。koroyakunさんにご丁寧な挨拶をして下さったこと、幸せな気持ちで拝見させていただいていました。

私が「先生」ということでもないのですが(笑)、何かの解釈を考える場合に、まずは「私はこう考えました」というところを提示させていただいた方が、その後の議論が活発になるように思うのですね。文法や辞書など根拠となるものを明示した上で、「どうしてこのような解釈に至ったか」という過程を書くのがこのブログのスタイルで、そのスタイルに共感して下さった方々が、このブログを読み続けて下さっているのだと思っています。これからも、そういう方々と一緒に、フレンズを楽しみながら学んで行けるのは、本当に幸せなことだと思います。

「Rachさんのブログファンの一員」と言っていただけたことを励みに、楽しくためになるような記事が書けるように頑張りますね。これからもどうかよろしくお願いいたします!(^^)
Posted by Rach at 2016年10月01日 20:42
Rachさん、こんばんは。

早速の明確な指針をご提示いただきありがとうございます。

>私が「先生」ということでもないのですが(笑)、何かの解釈を考える場合に、
>まずは「私はこう考えました」というところを提示させていただいた方が、
>その後の議論が活発になるように思うのですね。
>文法や辞書など根拠となるものを明示した上で、「どうしてこのような解釈に至ったか」
>という過程を書くのがこのブログのスタイルで、そのスタイルに共感して下さった方々が、
>このブログを読み続けて下さっているのだと思っています。

了解いたしました。

今後も引き続き分からない点や興味・関心の出てきた箇所について質問・コメントを
指針に沿って上げさせていただこうと思っていますのでよろしくお願い致します。(^^)

では。
Posted by aki-kiyo at 2016年10月01日 23:10
aki-kiyoさんへ
こんばんは。ご丁寧なお返事ありがとうございます。
SNS と比べ、より多くの文字数を使い、じっくり意見を交換できるのがブログの強みだと思っていますので、引き続き、ご質問、コメントなど頂戴できれば大変嬉しいです。
こちらこそどうかよろしくお願い致します!(^^)
Posted by Rach at 2016年10月03日 19:48
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