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前回の記事、あなたは靴よ!って言われてきた フレンズ1-1改その9 で、レイチェルの You're a shoe. というセリフについて、3つの見解に分けて、私の考えを述べさせていただきました。
その後、その記事のコメント欄で貴重なご意見をいただいたので、私ももう一度頭を整理させていただきました。それを今日は記事にしたいと思います。
前回は見解を3つに分けましたが、今回はそれを再編した形になりますので、見解A、見解Bとさせていただきます。
見解Aがメインの解釈で、見解Bは「そういう可能性があるかも」程度です。
見解Aは前回の見解1と2を融合させたもの、見解Bは前回の見解3を引き継いだものとなります。
見解A:a shoe に何か意味があると思わせて、ただの例えに過ぎなかったと後でわかるオチ
前回の記事のコメント欄で、You're a shoe. というセリフについて、
>知り合いのネイティブには「深い意味はない、考えすぎ!」と切り捨てられました
というご意見を頂戴しました。
今の私も「深い意味はない、というネイティブの意見」が、最も納得できる気がしています。
「これはどういう意味?」と聞かれて、「特に意味はないよ」などとあっさり答えられるのは、ある意味ネイティブの特権というか、逆にノンネイティブの立場ではなかなかそこまで断言するのは難しいですよね。
ネイティブならわかる意味や感覚を自分が知らないだけではないかと勘繰り、何か意味があるはずだ、とあれこれ調べたくなってしまいますよね。
「単に、靴、バッグ、帽子に例えただけ」と言える根拠のために、私は前回の見解1で、「It's like... で始まっていて、a metaphor だと説明している流れから、「ただの比喩」だと解釈できる」としましたが、「レイチェルがまるで実際にそう言われたかのように、臨場感たっぷりに話している」ことと、「英語字幕で、It's like が省略されている」という点に引っかかってしまったため、「実際にレイチェルがそう言われてきた」と仮定した見解2を書きました。
その後、前回の記事のコメント欄で、
>仲間「靴のような人であれ、って何だろう。何か意味があるのかな。」
(中略)
>レイチェル「帽子が欲しいんじゃなくて比喩よ」
>仲間「は、なんだ、それ。靴に何も意味はなかったのか。」
という流れなのではないか、というご意見をいただき、私はまさにそれが、今回のセリフの「オチへの流れ」であると感じました。
そういう流れだと考えると、それぞれのキャラの行動の一つひとつが、非常に納得のいくものに見えてきたのですね。
まずはセリフの進行に合わせて、各人の行動がどうなっているかを書いてみます。
C'mon, Daddy, listen to me! It's like all of my life, everyone has always told me, "You're a shoe! You're a shoe, you're a shoe, you're a shoe!"
レイチェルは大声で臨場感たっぷりに話している。みんなは「何?」という顔で、一斉にレイチェルの方を向く。
And then today I just stopped and said, "What if I don't wanna be a shoe? What if I wanna be a- a purse, y'know? Or a- or a hat?"
ここでロスは、「は? レイチェルは一体何言ってるの?」という顔をしている。
No, I don't want you to buy me a hat, I'm saying I am a ha- It's a metaphor, Daddy!
shoe という単語を連呼した後、みんなは興味津々な様子でレイチェルの電話の続きを聞いていますが、それは4回も連呼した、You're a shoe. という言葉の意味を知りたかったからだと言える気がします。
shoe という単語は状況によっていろんな意味で使われることがあるようですし、逆に、前後の文脈のない You're a shoe. だけでは「この意味」だと決めることはできません。
ですから、この段階で、フレンズを含めたネイティブは、何の意味かわからない、だからその続きを聞くことで意味を知ろうとするでしょう。
a shoe をどういう意味で使っているのかわかるかなと期待して耳を傾けた結果、レイチェルが「もし私がバッグになりたかったら? 私が帽子になりたかったら?」と言ったところで、ロスが「は?」という顔をしています。
意味がわかるのかと思って聞いていたら、単に「人から言われていたものとは別のものになりたかったら?」という例えとして、ファッションアイテムである「靴、バッグ、帽子」を3つ挙げただけだったとわかった、You're a shoe. という言葉には何の意味もないとわかった、というオチになる、ということだろうと。
私は前回の記事で、
単に「人から言われていたものとは別のものになりたかったら?」という例えに過ぎないのなら、もっとさらっと言ってもいいように思う、あんなに興奮して4回も繰り返す必要はない気もするのですね。
と書いたのですが、実はレイチェルがこんな風に臨場感たっぷりに4回も繰り返したことで、「You're a shoe. という表現に、何か意味があるのかな?」と聞いている人(観客、視聴者、そしてフレンズたち)に思わせる効果があったんだろうと思います。
ただ例えとして挙げただけに過ぎない、と思わせてしまっては、オチの笑いに繋がらないので、まるでレイチェルが実際にその言葉を言われたことがあるかのように、何かその言葉に意味があるかのように、興奮して4回も繰り返したんだろうと。
そういう意味では、「例えばこんな感じよ」のような比喩を連想させるフレーズ It's like は、ない方が効果的かもしれませんし、それで(概してセリフのほとんどを拾っている)Netflix の英語字幕でも It's like が省略されていたのかもしれないなぁ、と。
実際にレイチェルがそう言われてきたかのように聞こえて構わないし、そう思わせた方が「それってどういう意味?」とフレンズたちの興味をより引くことができるわけですからね。
私は前回の記事で「実際にレイチェルが言われてきたことなら、a shoe には靴以外の何らかの意味があるはず」と書きましたが、聞いているフレンズたちも「何か意味があるはず」と思って続きを聞いてみたのだろうと思います。
ところが最後まで聞いて、「例としてファッションアイテムを挙げただけだった」とわかった、という、「え、それだけ? ただの例え?」という肩透かし感、がっかり感がこのオチの笑いになると思われるのです。
ネイティブに You're a shoe. の意味を尋ねた場合、「特に意味はない。ただの比喩」という返事が返ってくるのは、その後に a purse と a hat の比喩が出てくるというオチまで聞いた上で、そう判断しているのだろうと思います。
このセリフを初めて聞く場合、You're a shoe! を4回連呼している時点では、ネイティブの方も「何かしらの意味や含蓄があるかもしれない」という気持ちを持って聞いているはずだと思うのです。
a shoe って何のこと? とまるで何か意味があるかのように思わせておいて、おしゃれ大好きなレイチェルが例えにファッションアイテムを挙げただけだった、とわかるオチ。
今の私はそう解釈しています。
見解B:それでも、a shoe, a purse & a hat という順番には意味があるのではないか?
現時点では、上の見解Aで私の心はほぼ決まっているのですが、ただ、この「順番」を見ると、そこに何か「込められたもの」を感じないではいられない、という気持ちもまだ少しあります。
ネイティブの方の見解が、「ただの比喩で深い意味はない」ということであれば、他の3つのアイテムでも良いし、さらにはこの「靴、バッグ、帽子」の順番を入れ替えても問題ない、ということになりますね。
「ただの比喩であって、それ以上の深い意味はない」と解釈されたネイティブの方は、「比喩に過ぎないのだから、当然順番を変えても問題ないよ」とおっしゃると思うのですが、では、「普通ペアなもの」と「一つで機能するもの」をこのように対比の形で挙げた今回の順番は単なる偶然に過ぎないのだろうか? と思うわけです。
もちろんレイチェル自身がそこまで深い意味を込めて言っていたようには思えません。
表面上は、たまたま、靴、バッグ、帽子という順番になっただけで、「何だ、靴って表現に意味はなかったのかよ〜」的なオチになるわけでしょうが、よくよくそのセリフを見てみると、実は人生を語る含蓄に富んだセリフだった、レイチェルの例えを「ただファッションアイテムを挙げただけかよ」とみんな軽くあしらっているけれども、実は深いんだよ、みたいな、脚本家のいたずら的な仕掛けだったりすると楽しいなぁと思うのですね。
前回の記事のコメント欄で、「この You're a shoe. というフレーズを、米国人の多くが、そして Rachel を演じた Jennifer Aniston 自身が、「周囲が決めつけた自分」のメタファーとして使っている」という情報を頂戴しました。
「Friends 由来の言い回しと認識されている」とのことで、非常に興味深いお話だと思います。
このセリフをレイチェルが「人から言われていたものとは別のものになりたかったら?」という例えで使っていることからも、人気ドラマであるフレンズでこのセリフが使われて以降、「a shoe=人から言われていたもの、周囲が決めつけた自分」のメタファーとして使われるという話には大いに納得できますよね。
そのメタファーとしての使われ方は、a shoe という単語の意味ではなく、レイチェルのセリフの中での使われ方に起因するものだとは思いますが、「靴の片方」だったり「ペアでないと機能しないもの」だったり(はたまた「人に履かれて、人の行き先に連れて行かれるだったり」?)という a shoe という単語は、「あなたはこうなのよ!」と周囲が決めつけた自分のイメージ、「本当になりたいものはそんなものじゃないのに」というイメージとして使う言葉として、a purse や a hat よりもふさわしいような気もします。
この考察Bはあくまでも「深読みすると」という話であって、コメディとしてオチで笑うための理解としては、考察Aの考え方になるだろうと今の私は思います。
私は解釈のヒントになると思われることを全て書き出すような形で、前回の記事を書きました。
ある解釈をするに至った根拠と過程を記すことで、他の方に「ここからここの論理が飛躍している、間違っている」などに気づいてもらえる、自分が再度考え直す際に過去の思考過程が参考になる場合もあると思うからです。
前の記事で私が気になると書いたのは、「まるで自分が言われたことのように臨場感たっぷりに4回も繰り返したこと」だったのですが、それは、ただの比喩に過ぎないと最初から思わせないように、まるで本当に言われた言葉で何か意味があるかのように見ている人に感じさせる「意図的な演出」だったと考えれば、全てが丸く収まる気がしたわけです。
前回の記事では、「レイチェルは実際にこう言われていたのか?」というところに私の意識が向かっていたわけですが、実際に言われていたかどうかはどうでもよくて、「まるで実際に言われていたかのような、意味のあるセリフっぽく聞こえるようにする」ことが重要だったと思われるわけですね。
今回も長くなってしまいましたが、今現在の私の解釈は以上です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました<(_ _)>
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a shoe の謎が Rach さんにかかると、見事にまとまりましたね。
文章もとってもスマートでわかりやすいです。
> それでも、a shoe, a purse & a hat という順番には意味があるのではないか?
これ、失礼ながら思わずふきだしてしまいました。
私もわりと理屈っぽい方ですが、Rach さんには負けました。
英語を母語にする方々に共通する感覚までも、どうしても理解したいという熱意が伝わってきます。
たとえば、日本人女性が、
「以前は塩顔の男が好みだったけど、そのあと醤油顔が好きになって、今は味噌顔が好み!」
と言った場合、Rachさんタイプの外人さんがこの文章を読むと、塩、醤油、味噌の順番に意味があるのか分析するのでしょうね。そして、日本人ならこの3つの言葉から来る感覚もだいたいわかるし、そしてこの順番もしっくりくるのですけど、これを言葉で表すのは難しいですよね。でも Rach さんはそれをあきらめずに分析されていて、すごいなーと思います。
a shoe, a purse & a hat、きっとネイティブにしかわからない順番の感覚、何かあるんでしょうね!
ただ、私はシュールなタイプのギャグが好きなので、何の意味もないほうが好みなんですよね(笑)
今回の記事も、とってもおもしろかったです。ためになりました。
コメントありがとうございます。
また続編を長々書いてしまったのですが、それを「見事にまとまった」「スマートでわかりやすい」とお褒めいただけて、私の方こそ、わぉー、です(^^)
「それでも」の件は、我ながら頑固やわぁ〜と思うのですが、2005年に「ペアか単体か」というご意見をいただいた時に、「そうか!」と感動してしまったのですね。セリフの上ではもちろん「何の意味もない」ということで間違いないと思うのですが(フレンズたちの反応がまさにそういう反応でしたし)、脚本家の言葉選びのセンスが出た結果、こういう並びになった、と考えたい気持ちがまだありまして(笑)。
塩、醤油、味噌の例え、どんどん濃くなってるやん、というその具合が絶妙です^^
「この順番には意味があるのではないか?」と頑張ってはみましたが、ネイティブの方に意見を聞くと、「レイチェルが言っているようにただの比喩として、ファッションアイテムを挙げただけ、深い意味はない」という回答ばかりが返ってくるらしいこと、その言葉を深読みするネイティブはいないようであること、を考えると、そこを深読みするのはやっぱり考えすぎなのかな、という気はしています。
おもしろかったと言っていただけて嬉しいです。一緒にいろいろと考えていただき、貴重なご意見をいただき、本当にありがとうございました!(^^)
Rachさん
こんにちは。
以前「ただ一人の女性しかいないとしたら フレンズ1-1改その20」にコメントを投稿させていただいたMr. Spockです。
いつもRachさんのブログを楽しく拝見しております。
Rachさんのブログ上で、フレンズ1-1 の「shoe」が何を意味するのか、過去いろいろと話題になってきたようですね。私もビデオを見ていて気になりましたので、遅まきながら少し考えてみました。
もう一応の結論に到達されたようですので、お役に立つかどうかわかりませんが、私見をお伝えできればと思い筆をとりました。いろいろ考えていて長くなりましたが、お読みいただければ幸いです。
結論的には、私は(Rachさんと同じく?)「shoe」は、「現在の自分」、「purse」や「hat」は、「新しい自分」の象徴だと考えています。以下、レイチェルのせりふについて考えてみます。
1.「shoe」「purse」「hat」は単なる象徴として使われていると思います。
1)この箇所のレイチェルの長いせりふの最後に「It's a metaphor.(これはたとえよ)」と言っています。これは、直接的には直前の「hat」を指すと思われますが、彼女の話全体に当てはまると考えられます。ですから、「shoe」「purse」「hat」はすべて何かを象徴していると思います。
2)この言葉を聞いたモニカたちは、黙って一斉にレイチェルの方を振り返ります。また、観衆も無言です。「shoe」が英語の言葉として何か特別な意味(特に悪い意味)で使われていれば、何らかの反応(笑いや落胆の声など)があってもよいように思われます。モニカたちも観衆も、この時点では理解不能という感じの反応しているように見えます。
3)レイチェルが「purse」や「hat」を持ち出すとき、言葉がすぐには思いつかなくて「a- a purse」、「Or a- or a hat」という言い方をしています。「shoe」に対置するものとして、それ以外の何か身に付けるものとして「purse」や「hat」を持ち出してきたという印象をあたえます。だとすれば、これらの言葉(「purse」や「hat」)の本来の意味はさして重要でないことになります。
4)「purse」や「hat」を聞いて観客は少し笑いますが、レイチェルが比喩的な言い方をしていることがこの時点でやっとわかったのではないでしょうか。もちろん、言葉の選択の意外感もあわせての反応だとは思いますが。
2.では「shoe」「purse」「hat」は何の象徴か?
1)レイチェルは「shoe」を否定的なものとして、「purse」「hat」は肯定的なものとして使っています。そして、「shoe」はこれまでみんなから言われてきたことで、「purse」や「hat」はこれからのの自分の希望です(What if I wanna be...)。
2)レイチェルは、みんなからいつも「You're a shoe」と言われてきたと4回も繰り返します。これは「shoe」が、レイチェルに対するみんなの一致した固定観念であることを強調するとともに、今のレイチェルがそれをどれほど疎ましく思っているかも表わしているように感じられます。
3)そこで「shoe」は「現在の自分」(おそらく型にはめられている自分)、「purse」「hat」は「新しい自分」(なりたい自分)を表わしていると考えます。
4)レイチェルが今日「新しい自分」について考え始めたのは、結婚式での出来事が関係していると思われます。レイチェルはバリーとの関係について
I realized that I was more turned on by this gravy boat than by Barry!
と言っています。この言葉からもレイチェルが「現在の自分」(これまでの自分)を否定的に見る姿が読み取れるように思います。
※「You're a shoe」を含むこの部分のレイチェルのせりふは、バリーと結婚できないことを父親に何とかわかってもらおうとする会話のなかで出てくるものですから、結婚式での出来事を背景にして理解するのが自然だと思います。彼女自身、「今日思った」(And then today I just stopped and said)と言っています。
3.作者はなぜ「shoe」「purse」「hat」を使ったのか?
「shoe」「purse」「hat」にその単語本来の意味が込められていないとすれば、作者がなぜこれらの言葉を選んだのかが問題になるかもしれません。それは作者本人に聞くしかないですが、大胆に推測してみるのも面白いと思います。(聞いても、もしかしたら職業秘密として教えてくれないかもしれないから(笑))
1)これらの言葉すべてが、単語の本来の意味と無関係に、単なる象徴として使われているとすれば、どんな単語でもよかったように思われますが、コメディのなかで使って笑いのとれる言葉として、日常身体に身につける最も身近なものを表わす単語が選ばれたのではないでしょうか。
2)作者の演出は、まず「You're a shoe」というあり得ない言葉で聴衆を唖然とさせる(緊張状態)。次に、「shoe」と同じカテゴリーの言葉を2つ(「purse」「hat」)並べることで比喩として理解させる(カタルシス)。そして最後にダメ押しとしてレイチェルに「It's a metaphor.」と言わせる、ということではないでしょうか。
3)この3つの単語の使われる順序を見ると「shoe」→「purse」→「hat」と、身体の下の方から次第に視点が上へと移動していくのに気が付きます(偶然かもしれませんが)。その点で、作者は靴よりもバッグや帽子の方をより「上に」(価値のあるものとして)見ている(表現している)のかもしれしれません。
4)その際、全くの憶測ですが、ひょっとすると作者は、「shoe」は人に履かれるものとして、意思のない人の象徴のようなイメージで使っているのかも…と想像をたくましくすることもできそうな気がします。
4.「shoe」はなぜ単数形か?
1)ここの「You're a shoe」は、主語の「You」が単数(レイチェル)ですから「shoes」にはなりにくいと思います。「They're shoes」なら普通ですが…。
2イディオムを見ると、「shoe」が単数で使われている例がいろいろあります。たとえば
@If the shoe fits, wear it.((その評言に)思い当たるところがあれば、自分のことと思うがよい)
ex. “Are you calling me a cheater?” “Well, if the shoe fits, wear it.” (Merriam-Webster Learner's Dictionary)
Aput the shoe on the right foot(責めるべき人を責める,ほめるべき人をほめる)
などです。
@の例は、単数形が使われている点で、今回の「shoe」と類似しています。Aの例では、「左右の足を取り違えてはいけない」ということですから、言外に「両方があること」を前提にしてはいますが…。比較文化的に見て、英米人には日本人ほど単数の「shoe」に対する「中途半端」感がないのかもしれなません。
シットコムは普通のドラマと違って奥が深いですね。そのため大変長いコメントになってしまいました。
申し訳ありません。乱筆乱文、ご容赦ください。
Mr. Spock
コメントありがとうございます。You're a shoe. について一緒に考えていただけて嬉しいです。
1.の、フレンズの一連の行動と関連づけての考察、非常にわかりやすいです。
shoe に対するみんなの反応は「理解不能」という感じですし、a purse or a hat という言葉の前の言い淀みは「対置するものを持ち出してきただけ」という印象を与えますよね。
2.のご意見での、shoe は否定的なもの、purse, hat は肯定的なもの、というご意見もおっしゃる通りだと思います。
このシーンの流れを見た上で、やはりどうしても気になってしまうのは、3.作者はなぜ「shoe」「purse」「hat」を使ったのか? という部分ですよね。
2005年からの過去のコメントでは、shoe, purse, hat はどういう意味で使っているのか? という視点での意見交換が盛んだったのですが、「意味」については、ネイティブの多くの方がおっしゃる通り「ファッションアイテムを挙げただけ」と解釈するのがやはり自然なのだろうと思います。
ただ、何かの例えを挙げる際の言葉の選択というのは、「その文章を書く人のセンス」であり、コメディの場合は「言葉選びの面白さと絶妙さ」がジョークの質を高めることにも繋がるわけですよね。
You're a shoe. の「緊張状態」という表現には納得で、その不思議な表現があるために、「それってどういう意味なの?」とみんなが興味津々で続きを聞くようにしむける流れになっているのでしょう。
また、挙げた単語の順番が、「身体の下の方から次第に視点が上へと移動していく」ようになっていたのには気づきませんでした。足に履く、手に持つ、頭にかぶる、という位置を考えると、足に踏みつけられている靴から、最後には人の頭のてっぺんに位置するものまで駆け上がる感じですから、「人に言われて動くのではなく、自分が自分自身を動かす」というようなイメージなのかもしれません。
過去にいただいたコメントでも、「靴は人に履かれるものだから、靴を履いた人の思う場所に、勝手に強引に連れて行かれる」ようなイメージがあるのではないか、というご意見もありました。a shoe という単語にそういうイメージを抱くのは、わかる気がしますよね。
You're a shoe. という「英語の単数形」については、「主語が単数だから a shoe という単数になっているだけ」というネイティブの方のご意見もありました。身近なものである shoe を使ったイディオムはたくさんありますが、そこでも単数形で使われている場合も多いですよね。
そして、「英米人には日本人ほど単数の「shoe」に対する「中途半端」感がない」というご意見、大変興味深いです。
2005年に「a shoe は”片方の”靴」であり、「両方必要なのに片方しかない」→「片方だけでは役に立たない」という意味では? とご意見をいただいた時に、「そうか!」とものすごく納得して、それ以来、どうしてもそのイメージから抜け切れなかったのですが、ネイティブに尋ねてみた、という意見の中で、「左右あるうちの片方だけ」というイメージを語るネイティブの方は皆無だったようでしたので、「単複に厳しい英語だから、a shoe だとものすごく中途半端に感じるはず」ということが、逆に「日本人の思い込み」なのかもしれないなぁ、と思ったりもします。
シットコムは「笑い」を伴うものですので、その笑いを誘発するのは何か? と考え出すと、どんどん深みにはまっていきますよね。「答え」が書いてあるわけではないので、すっきりしないことも多いですが(笑)、そういうのをあれこれ考えるのが、本当に楽しいな、と思っています。
貴重なご意見、本当にありがとうございました!(^^)
今、シーズン3もガンガン見進めてるんですが、ブログのリアルタイムの方も追いつこうと思って平行して始めちゃいました(笑)
ここで僕が思ったのは“靴も鞄も帽子も革製品だよなぁ”ってことです、私だっていろんなものになれるのよ!という意味で、一つの素材から成り得る物として羅列したのかなって。
(レイチェルがお金持ちだし、革だよな、という単純な発想もあって)
どの記事も読んでいるといろいろ書きたくなって、それを我慢してるんですけど、共通項が何か無いかというポイントで誰も言われていないようなので…
あ、解釈としてはここで書かれているように、意味がありそうでなかった、というオチに僕も一票です、そう考えたらすっきりしました☆
それでも、脚本家は実は何か意味を持たせてるんじゃないの?と、解釈&深読みしたくなるファンとして、一言書かずにはいられませんでした(笑)
コメントありがとうございます。
リアルタイムの改の方にもコメントいただけたこと、とても嬉しいです。シーズン3 をご覧になりながら、復習も兼ねてシーズン1改 も読んでいただくのは効果的だと私も思っています。改を始めてからは、細かいところまでじっくり解説するようにしていますので、頻出フレーズなどは、シーズン3 の頃よりも、シーズン1改 の方が詳しくなっていると思いますので。
どれもが革製品という視点、興味深いですね。女性の私が連想する帽子だと、つばの広いフェルト製の帽子を連想してしまうので、そこが少し引っかかってしまう部分ではありますが、それでも、「私だっていろんなものになれるのよ!という意味で、一つの素材(革)から成り得る物として羅列した」というご意見、非常に面白いと思います。そっちじゃなくて、こっちになりたい、という場合に「素材が同じ」というのは説得力がありますものね(^^)
ご指摘の「お金持ち→皮革製品」というお話の通り、「皮革製品のような、身に付けるものの中でも、特に高価なイメージの強いアイテム」を挙げたところに、お金持ちのお嬢様な感じが出ているというのも納得です。
オチとしてはやはり「意味がありそうでなかった」説が一番すっきりしていると私も思います。そしてただの例えとして何か3つ挙げるとしたら、それこそどんなジャンルのものでも挙げられるわけですが、そこで出て来たのが「身に付けるファッションアイテムの中でも特に高級な物」であって、さらに素材が同じであれば、さらにこのセリフがすんなり入ってくるように私も思いました。
解釈についてのご意見をいただけてとても嬉しいです。貴重なご意見ありがとうございました!(^^)