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ロス: You can see where he'd have trouble. (君のパパがどこで理解に苦しむだろうかがわかるよね。)
レイチェル: Look, Daddy, it's my life. Well, maybe I'll just stay here with Monica. (ねぇ、パパ。私の人生なの。えぇ、多分、私はここでモニカと一緒にいる[住む]わ。)
モニカ: Well, I guess we've established she's staying here with Monica. ((うーん、思うに、レイチェルがここでモニカと一緒にいるつもり[モニカのところにとどまるつもり]であることが(今)わかったわね[立証されたわね、はっきりしたわね]。)
レイチェル: Well, maybe that's my decision. Well, maybe I don't need your money. Wait! Wait! I said maybe! (えぇ、多分、それが私の決心よ。えぇ、多分、私はパパのお金は必要ないわ。待って! 待って! 私は”多分”って言ったわよ!)
レイチェルが、「あなたは靴(a shoe)だ、とずっと言われ続けていたけど、もし私がバッグや帽子になりたかったとしたらどうなるの? 私は帽子を買って欲しいんじゃなくて、私が帽子だって言ってるの。メタファーよ、パパ!」と大声で言った後、ロスは、静かな様子で、"You can see where he'd have trouble." と言っています。
You're a shoe. に続いて、このロスのセリフもなかなか解釈が難しい部分だと思うのですが、まず he'd have というのは、he would have ということですね。
have trouble は文字通り「トラブル・困難を持つ」ということですから、これを直訳すると、「(君は)パパがどこでトラブる[苦労する・困る]だろうかがわかるね」みたいなことになるでしょうか?
ここでの have trouble は「理解に困る、理解に苦しむ、理解できない、わからない」という意味だろうと思うので、「どこをパパは理解できないか、どういう部分がパパにはわからないかが、君にはわかるよね」みたいに言っているのかなぁ、と。
where という言葉をわざわざ使ったのは、「パパがわからない場所はそこ、その部分」ということを言いたいからな気がします。
「どこをパパは理解できないだろうかがわかる」→「パパが理解できないだろう部分はそこだね」と言っているように思うわけですね。
パパは、帽子という単語を出した際、「なんだ、帽子を買って欲しいのか?」と誤解した。
そもそも、レイチェルの「靴」と「バッグ、帽子」の比喩は、自分たちにとってもよくわからない、ピンとこない例えだけど、パパはそれを比喩だと理解する以前に、そんなところでトンチンカンな理解をしている。
僕たちにもその比喩はわからないけど、パパはそれ以上に、もっと根本的なところでそもそもわかってない。
「私が帽子になりたかったら?」という例えを、「私は帽子を買って欲しい」と曲解するようなパパに話しても無駄っぽいね、ということを、「君のパパは、そういうところでそもそも理解できてないみたいだね」と言ってみせたのかなぁ、と思います。
比喩が全く通じないので、レイチェルは比喩の話はやめ、「私の人生よ」と語り始めます。
maybe I'll just stay here with Monica. は、「多分、私はただ、モニカと一緒にここ(モニカの家)にいるわ」。
maybe は「たぶん、もしかしたら、もしかすると」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
maybe :
1. used to say that something may happen or may be true, but you are not certain (SYN: perhaps)
4. (spoken) used to make a suggestion you are not very sure about
つまり、1. は「何かが起こるかもしれない、または何かが真実かもしれないけれど、自分は確信していないことを言うのに使われる。類義語(同義語): perhaps」。
4. は「あまり確信が持てない提案をする時に使われる」。
そのロングマンの語義にあるように、perhaps も「たぶん」という意味ですが、フレンズでは maybe の方がよく出てきます。
最近記事に書いた、最終回の1話前に当たる フレンズ10-17 の中で、ジョーイが反復も含めると合計8回も、maybe という単語を使っていたことがありました。
確信が持てないことを言う時に、まずは Maybe と言ってから自分の考えや意見を述べる、というパターンがフレンズには非常に多いということです。
レイチェルが電話の向こうのパパに「私はここでモニカと一緒に住むわ」と宣言してしまったので、フレンズたちは一斉にモニカの方を見ます。
自分に相談もなく、勝手にそう宣言されてしまった後のモニカのセリフ、I guess we've established she's staying here with Monica. について。
このセリフも、establish という動詞をどういうニュアンスで捉えるかが難しい部分だと思います。
I guess SV は「私は SV だと思う」「私が思うに、SV である」。
she's staying here with Monica の現在進行形は「決まった近い予定」を表す感覚で、「彼女はここでモニカと住むつもり、住む予定」と言っていることになるでしょう。
establish は一般的には、「設立する、確立する」と訳されることが多いですが、今回のこのセリフについては「立証する」というようなニュアンスが近いかなと思います。
研究社 新英和中辞典では、
establish
2 〔+that〕〈…ということを〉確証する、立証する
establish that one is innocent 人が無実であることを証明する
It has been established that he was not there when the murder was committed. 殺人の行なわれた時に彼がその場にいなかったことが確証された。
3 〔+wh.〕〈…かを〉立証する
We have established where the boundary lies. 境界(線)がどこにあるかを立証した。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
establish : to find out facts that will prove that something is true (SYN: find out)
例) Investigators have not established a reason for the attack.
つまり、「何かが本当であると証明するような事実を見つけること」。例文は、「捜査当局は、その攻撃(襲撃)の理由を、まだ立証していない」。
ロングマンの説明の「同義語:find out(〜ということを知る、見つけ出す、発見する)」というのも、ニュアンスの参考になるように思います。
上の establish の語義を当てはめると、モニカの了解も得ずに勝手にそんなことを言っているレイチェルの発言を聞いて、当事者であるモニカが、「レイチェルはモニカ(私)と住むつもりらしいということが(今のレイチェルの発言で)わかった」と言っている皮肉っぽい表現なんだろうと思います。
この家の住人であるモニカに事前に何の相談もないまま、電話で自分のパパに「私、ここでモニカと住むから」と言ったレイチェルに対して、「今のレイチェルの発言で、そんなことは全く知らなかった我々にも、その事実がわかった、レイチェルの発言でそのことが立証された」という感覚だろうと。
establish = find out ということですから、we've found out she's... とも言い換え可能なわけで、そちらの方がイメージは掴みやすいかもしれません。
find out よりも、establish の方が言葉として「堅い」感じがするのですが、わざとそういう「もってまわった、もったいつけた」言い方をして、「レイチェルがここでモニカと住む、という事実が立証された」と言ってみせたわけでしょう。
英和の例文にあるような、It has been established that 「that 以下であることが確証・立証された」という受身の形であれば、もう少しわかりやすかったかもしれません。
それを、英和の「境界」の例文にあるように、we've established の形で使っているのが今回のセリフですね。
It has been established のように受身にするより、We've established のように主語を we にした方が、「我々はそのことを立証した、我々はそのことを知った・発見した」というニュアンスが出るため、「今の話で、私たちにはそのことがわかっちゃったわね」と言いたい今回のセリフの場合は、we が主語の形が使われた、ということになるだろうと思います。
モニカが、with me ではなく、with Monica と表現しているのも、「モニカっていう人[モニカさん、っていう人]と一緒に住むつもり、ってことが私たちには(今この瞬間に)わかったわね」とまるで他人のことのように語ることで、「当事者であるモニカが知らないうちに決められてしまった。それを自分を含めた we が、レイチェルの発言を聞いたことで、事後確認のように知った」感じを出しているんだろうと思います。
このような、We've established という形は、他のフレンズのエピソード、フレンズ3-25 に出てきたことがあります。
先のエピソードに当たるので、ネタバレしない程度に紹介しておくと、
(ある人): Well, no. You're Chandler. Y'know, Chandler! (いいえ。あなたはチャンドラーだもん。ほら、チャンドラーよ。)
チャンドラー: Okay, so we've established my name, (以下省略) (よし、それで俺たちは俺の名前がわかった[日本語字幕:名前の確認は済んだ]。)
チャンドラーの発言の後、「だってあなたはチャンドラーよ!」と連呼した相手に、「確かに俺の名前はチャンドラーだ、ってことを、俺たちは今、確認したね、お互い了解済みだね」と返したニュアンスになるでしょう。
establish は、この日本語訳のように「確認した」、あるいは「了解した」という日本語の方が、しっくりくるかもしれません。
また、別の作品の中では、「パイレーツ・オブ・カリビアン2」でも、We've established という表現が出てきました。
以下のやりとりでは、日本語訳として、DVDの日本語字幕を使わせていただきますと、
A: One soul is not equal to another. (あいつの魂では釣り合わん)
B: We've establish my proposal is sound in principle. Now we're haggling over price. (魂の値段を話し合えばいいわけだな?)
A: Price? (値段?)
B: Just how many souls do you think my soul is worth? (俺の魂は換算すると幾らだ?)
A: One hundred souls. (ざっと100人分の魂だな)
このやりとりでは、一人分の魂では等価とは言えない、という話をしていて、じゃあ一人分ではなくて何人分なら釣り合うんだ? という風に話を持って行っています。
We've establish my proposal is sound in principle. Now we're haggling over price. を直訳すると、「俺の提案はおおむね[原理上は]適切だ[正しい]ということを俺たちは立証した。では俺たちは値切り交渉をしよう」になるでしょう。
つまり、魂の交換という話を提案して、「一人対一人では釣り合わん」と言われたので、「人数の問題であって、魂の交換という交渉そのものはそれで問題ないってことでいいんだな」みたいなことを言っていることになりますね。
my proposal is sound in principle ってことでオッケーか? お互いそういう認識で了解ってことでいいよな、というニュアンスが、We've established 「〜を我々は立証した」ということだろうと思うのです。
「おおむね俺の提案は正しいってことでいいわけだな? じゃあ値切り交渉をしよう」の「いいわけだな?」のニュアンスが、「魂の値段を話し合えばいいわけだな?」という日本語訳に表現されているんだろうと思うわけですね。
モニカが困惑しているのも構わずに、レイチェルは「多分、それが私の決心よ」と話を続けています。
フレンズでは maybe がよく使われる、と先ほど説明したように、このレイチェルのセリフでも、3回使われていますよね。
「多分、パパのお金は必要ないわ」と強気な発言をした後、「待って待って!(電話を切らないで!) 私は maybe って言ったわ!」と言っています。
捨て台詞的なことを言ったら、本当に電話を切られて慌てているような様子から、「パパのお金なんか要らないわ。パパの援助なんか必要ないわ」と言った後、パパが電話を切ってしまったので、「今のは勢いで言っちゃっただけで”絶対”ってわけじゃない。私は”絶対”じゃなく、maybe って言ってたでしょ? そんなにあっさり電話を切っちゃわないで」のように、失言を撤回しようとしている様子がうかがえると思います。
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2016年10月13日
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