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11:15
(CUT TO ROSS' APARTMENT)
ロスのアパートメントに画面がカット。
ロス: You know what the scariest part is? What if there's only one woman for everybody, y'know? I mean, what if you get one woman, and that's it? Unfortunately, in my case, there was only one woman... for her. (最も恐ろしい部分(ところ)が何かわかる? もし、それぞれの(一人ひとりの)人に対して、ただ一人の女性が存在するとしたら[ただ一人の女性しかいないとしたら]どうなる、だろ? ほら、もし一人の女性を得て、それでそれっきり[それで最後]だとしたら? 不幸なことに、僕の場合は、ただ一人の女性が存在したんだ… 彼女に対して[彼女にとって]。)
(以下のジョーイのセリフは長いので、分割して和訳をつけます)
ジョーイ: What are you talking about? One woman? That's like saying there's only one flavor of ice cream for you. Lemme tell you something, Ross. There's lots of flavors out there. (何、言ってんだよ。「一人の女性」だって? それってまるで、自分にはたった一つのアイスクリーム・フレーバーしかない、と言っているようなもんだ。俺に一言言わせてくれ、ロス。世間にはたくさんのフレーバーがあるんだぞ。)
You know what the scariest part is? を直訳すると、「最も恐ろしい(scary)部分は何か知ってる?」というところですが、「最も恐ろしいのはこういうことなんだよ」とこれからその内容を述べる際の、前振りのセリフになります。
You know what? というフレーズもフレンズによく出てくるのですが、これも「何が〜か知ってる?」という言葉を先に言っておく感覚で、何かの話題を提供する前に「ねぇ知ってる?」「あのさ」「いいかい」というニュアンスで使われます。
豆しばの「ねえ知ってる?」のニュアンスが、You know what? に近いと常々思っているのですが(笑)、豆しばの場合も、先に「ねえ知ってる?」と言った後で、豆知識を披露していますよね。
英語の You know what? も、先に You know what? と言っておいてから、相手に伝えたい、知らせたい内容が続くことになります。
What if は、今回のエピソードで、"What if I don't wanna be a shoe?" のセリフにも出てきましたが、「もし〜ならどうなるか? どうなるの?」。
there's only one woman for everybody は「あらゆる人に対して、ただ一人の女性がいる」。
I mean は「それはつまり」と言い換える感覚。
you get one woman, and that's it は「一人の女性をゲットして、そしてそれっきり[それでおしまい・終わり]」になるでしょう。
この you は、ロスが今、話している相手の、ジョーイやチャンドラーを指しているのではなく、「人、人々」のように一般の人を表すニュアンスになります(なるほど英文法 p.77)。
that's it は、「それ(that)がまさに望むもの(it)である」のように「ゲットしたその女性が、自分が求めていたその人である」と解釈することも可能かもしれませんが、この場合は「全ての人に一人ずつの女性が存在していて、ある人をゲットしたらそれ以上はゲットできない(その人が最初で最後)」的なニュアンスで言っているように感じるので、「もし一人の女性をゲットして、それっきり、だとしたら?(二人目の女性はゲットできないとしたら?)」という意味で言っているのだろうと解釈しました。
その後、不幸なことに僕の場合は、と言って、there was only one woman... for her. と言っています。
for her の前に少し間(ま)があって、for her と言った後、笑い声(ラフトラック)が起きていますので、for her がオチになると考えられるでしょう。
her を取りあえず「彼女」と訳すと、「不幸なことに僕の場合は、ただ一人の女性が存在した、彼女にとって」になるでしょう。
「彼女」という言葉から想像される女性は、元妻キャロルか、キャロルのレズビアン・パートナーのスーザンかのどちらかになるでしょうが、フレンズたちとの会話の中で、ロスが代名詞で「彼女」と言う場合は、元妻キャロルを指すと考えるのが自然だろうと思います(妻のキャロルについての言及なしに、いきなりスーザンの方を her とは表現しないだろうという意味で)。
「それぞれの人間には、その人に合うただ一人の女性が存在する。元妻キャロルは僕にとってただ一人の女性だったけど、不幸なことに僕の場合は」と言ってから、「ただ一人の女性が存在したんだ、キャロルにとって」と表現することで、「僕にとってキャロルがただ一人の女性だったように、キャロルにとっても”ただ一人の女性”となる人が存在した」→「妻には”運命の女性”がいた」→「女性に妻を取られてしまうことになった」ことを表現していることになるでしょう。
このロスのセリフでは、最初の部分で、What if there's only one woman for everybody と言っています。
everybody という単語を使っていますが、「あらゆる(一人ひとりの)人に対して、女性がたった一人存在する」のように表現していることから、ロスは everybody を every man 「全ての一人ひとりの男性」のニュアンスで使っているのだろう、ロスは自分が男性であることから、every man を everybody と表現しているのだろうと想像できますね。
その everybody のセリフを聞いた時は、everybody = every man という意味だと自然に解釈され、特に違和感もないですが、for her という言葉がオチだとすると、このロスのセリフで、for everybody という「(男女どちらでも可能な)中性名詞」を使っていたことが意図的なものであったということになる気がします。
ロスは男だから、every man の意味で everybody と表現したんだな、と聞いている人には違和感なく思わせておいて、最後の for her をジョークとしてオチにするために、最初は for everybody を使っておいた、、という脚本上のテクニックなのでしょう。
英語では、for everybody, for her の部分は、文の最後に来ますよね。
ですから、「ただ一人の女性が存在する、それぞれの男性に対して」という一般的な話の後、「ただ一人の女性が存在したんだ、、、彼女(という女性)に対して」の for her の部分が、うまく最後のオチになってくれるわけですね。
「女性である妻に対して、ただ一人の(運命の)”女性”が存在した」こと、「妻の運命の人は(男性の僕ではなくて)女性だった」ということが、僕にとっての不幸だった、と言っていることになると思います。
妻の浮気相手、妻が現在愛する相手が男性であっても、それはもちろんショックでしょうが、ロスとしては「妻の相手が女性」であることは、さらにショックな出来事なのでしょう。
みんなにもやたらと、元妻がレズビアンであることばかりを言われているロスは、「全ての人にはただ一人の女性がいて、僕にとってはキャロルがそうだった。でも、ただ一人の女性がいたんだよね、(女性である)キャロルにも」と表現することで、「(男性ではなく)女性に(!)妻を奪われてしまった」ことを、自虐的に表現したセリフになっていると思います。
(2016.12.5 追記)
Unfortunately, in my case, there was only one woman... for her. について、コメント欄でご意見をいただきました。
下のコメント欄に追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)
What are you talking about? One woman? は「何言ってんだよ? 一人の女性だって?」ということですね。
What are you talking about? を直訳すると、「あなたは何について話をしているのですか?」ということですが、今回のジョーイのように、キツい感じで言うと、「(まったく)お前は何(ばかなこと)言ってんだよ」というようなニュアンスになります。
あきれるような発言をした相手に対して使われる、フレンズ頻出表現ですね。
That's like saying の like は「〜のような」で、That's like saying は「それはまるで〜と言っているようなものだ」。
ですから、セリフ全体としては、「それは、アイスクリームのフレーバーがお前にとってたった一つしかない、と言っているようなものだ」になります。
Lemme tell you something の lemme = let me で、実際の発音のように綴った発音綴り。
「(俺から)お前に何か(一言)言わせてくれ」「一言いいか」という感じ。
There's lots of flavors out there. の out there は「あちらの外では」という感覚ですから、「外の世界では、世間では」というニュアンス。
「世間には、世の中には、世界には、たくさんの(アイスクリームの)フレーバーがある」のようにアイスクリームを例に出すことで、「自分にとって、女性が世界にたった一人しかいない、なんてことはないだろ」とジョーイが言いたいことがわかりますね。
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Unfortunately, in my case, there was only one woman... for her. は過去形なので、この one woman はロスがすでに失ったキャロルに相当すると考えるのが妥当です。There was only one woman (Susan) for her (Carol). と考えた場合、スーザンとキャロルの関係が続いていることと矛盾し、in my case との関連が不明になります。her も、個人ではなく女性一般すなわちレズを指しているように感じられます。「不幸にして、僕の場合、唯一の女性はレズだった」という意味合いになるかと思います。
What if there's only one woman for every man?
Unfortunately, in my case, there was only one woman... for a woman.
こんにちは。コメントありがとうございます。
コメントを読ませていただいて、「過去形」となっている点が、このセリフの解釈で重要な部分だと私も思いました。
「her も、個人ではなく女性一般すなわちレズビアンを指している」というご意見にも納得です。
What if there's only one woman for everybody? の話をした後、Unfortunately, in my case, there was only one woman... まで言った時点で、聞いている人が頭にイメージするのは、「不幸なことに、僕の場合は、ただ一人の人が存在していたんだ」という「そういう人がいた」という過去形ですよね。
「それぞれの人に運命の女性がいるとして、僕にはそういう人がいたんだけど(その人は今はいない)」という嘆きを「過去形」で表現しただけかと思いきや、その後に性別を特定した、for her がつくことで、「たった一人の女性がいた、と思ったんだけど、その人は a woman for a woman (女性向きの女性、女性と結ばれる女性)」だった、その人はレズビアンだった、と言っているオチになる、ということですね。
for her は具体的な個人を指すのではなく、「女性のための、女性用の、女性向けの、”彼女”のための」という女性一般のニュアンスだと考えると、確かにしっくりきます。
「不幸なことに僕の場合は、存在したのは女性向けの女性(レズビアン)だった」という意味になるということですね。
貴重なご意見ありがとうございました!
初めまして。
部ログを拝見して、there was only one woman... for herの解釈について書かせていただきます。
文章(会話)の解釈は、言葉の理解(言語的解釈と文脈的解釈)として無理のない範囲でいろいろな解釈が可能かと思います。以下に述べるのは、あくまでこのシーンについての私なりの理解です。
1.先ず、このシーンでのロスとジョーイの会話は
there's only one woman for everybodyがテーマになっていると思います。
つまり、「男にとって一人の女しかいない」何てことがあるのかどうかです。
これについて、ロスは肯定、ジョーイは否定の立場と思われます。
2.次に、ロスの発言には4つのセンテンスがありますが、その関係は次のようになっているのではないかと思います。
@ You know what the scariest part is?
↓ A What if there's only one woman for everybody, y'know?
↓ ↓
↓ B I mean, what if you get one woman, and that's it?
C Unfortunately, in my case, there was only one woman... for her.
つまり、AとBは同意(I mean)で、「男にとって一人の女しかいない」ということが二人の会話のテーマになっていきます。
@はCの結論を述べるための導入で、@のthe scariest partは、Cのthere was only one woman... for herを指す、と考えられます。
3.さて、Cのthere was only one woman... for herですが、この文はAのthere's only one woman for everybodyと同じ言い方になっていますから、Aを「男にとって一人の女しかいない」と解する以上、Cは「彼女にとって一人の女しかいなった」となると思います。すると、herは自ずとキャロルということになるのではないでしょうか。
4.蛇足ですが
1)there is構文は、その後に初出の主題を導きますので、only one womanをthe only one woman(キャロル)と考えるは無理があるように思います。
2)時制は、発話者の見方を表わしているだけで、実際の事実がどうかということとは別だと思います。これは時制に限らず、すべての言語事象についていえることで、私たちが発言から読み取るべきは、発話者の意図が何かということだけだと思います。there was only one womanと、ロスが過去形を使っているのは、キャロルのレズことを「過去にあったこと」として回想しているからではないでしょうか。
3)視聴者は、@のthe scariest partやCのUnfortunatelyとその後のin my caseを聞いたとき、それに続く発言にただならぬものを予見すると思います。そしてfor her(for meでなく)と聞いたときに思わず溜飲を下げる(laughter)ことになるのではないでしょうか。
以上、私見を書かせていただきました。参考になれば幸いです。
長谷川 潔(ハンドルネーム:Mr. Spock)
PS 長くなりましたので、自己紹介はいつか別の機会に譲りたいと思います。
初めまして。解釈についての貴重なご意見ありがとうございます。
for her の her はキャロルである、というご意見は、私がブログ記事で最初に書いた解釈と同じ、ということですよね?
Mr. Spockさんのコメントの「for her(for meでなく)と聞いたときに」という部分が、このセリフの解釈のポイントになっているような気が私にもしてきました。
Mr. Spockさんの解釈を読ませていただいて、私ももう一度じっくり考えてみました。その解釈を以下に書かせていただきます。
私の最初の解釈では、there was only one woman... for her. の was という過去形の部分をあまり意識していませんでした。
その過去形の部分を意識して考えてみると、「僕の場合、たった一人の女性がいた(んだけど)」のように言った時点で、「僕にはたった一人の女性がいたんだけど、今はいない」(there was only one woman for me, but she's gone. / she left me.)のように「存在”した”けれど今はいない」ということを「過去形を使うことで示唆する」流れのように見せていたということかなと思います。
そんな風に「僕にもただ一人の女性が存在した(過去形)んだけど今はいないから、今後僕には運命の女性が現れることはない」ということであれば「普通の会話」なのですが、そんな話が続くように思わせておいて、「たった一人の女性が存在したんだ…彼女に」と表現することで、「たった一人の女性が存在した」というのは「ロスにとってのたった一人の女性」の話ではなく「キャロルにとってのたった一人の女性」の話だったとわかるオチ、only one woman が指しているのはキャロルのことかと思いきや、キャロルにとっての only one woman であるスーザンのことだった、というオチになる、という面白さだったのかなぁ、と。
そういう流れだと考えると、in my case という言葉がなかなかトリッキーに挿入されているような気が改めてしました。
in my case というのは、「男にとって一人の女しかいない」という(ロスが考える)一般論を自分に当てはめた場合の「僕の場合は」になりますから、「僕の場合は、過去にたった一人の女性が存在した」と言うと、その後、for me 「僕にとってのたった一人の女性が存在した」という言葉が続くことが視聴者には自然とイメージされるように思うのですね。「僕の場合は、存在した」という過去形になっているところがポイントのように思わせることで、ロスにとってのたった一人の女性の話をしているのかと思わせておいて、「for me ではなく for her が来る」というオチにすることによって、「僕の場合は、(一人の男に一人の女という一般論とは違って)一人の女にとって一人の女しかいない、という世界だった」のように言ってみせた、ということだったのかなぁ、と思います。
実際に for her までの完全な文となった時には、there was only one woman for her. 「キャロルには(スーザンという)たった一人の(運命の)女性がいた」という過去形になるため、「キャロルとスーザンは現在も関係が続いているので過去形だと矛盾する」というご意見もありましたが、それについては「時制は実際の事実ではなく発話者の見方を表す」という Mr. Spockさんのご意見でクリアできるように思います。
ロスにとっては、自分を捨てて出て行ったキャロルは「過去の人」ですから、そのキャロルのことを語る場合には「ある女性が存在した」のように過去時制を使うことも自然なこととなる気がします。
woman for her は woman for a woman(女性向きの女性)を意味するという解釈に、私は納得するものを感じていたのですが、「僕の場合には、そういう”女性向きの女性”が存在した」と There is 構文で存在を語る場合であっても、そういう意味だと示したい場合にはやはり、for a woman のような表現が必要になるように今は思います。
ロスは for her と言う時に、その「彼女」を指すかのように、手を外の方に向けています。レズビアンの人たち全般を指しているより、やはりそれはロスにとっての彼女=キャロルを指しているようなしぐさに見えました。
長くなってしまいましたが、ご意見をいただいた上で今の私の考えを整理すると、
Unfortunately, in my case, there was only one woman...(不幸なことに、僕の場合は、ただ一人の女性が存在したんだ…)
「でも、その人は今はいない」と続くかと思わせて、
... for her. (彼女(キャロル)にとって、のね。)→(というのは、キャロルにとってのただ一人の女性だったんだけどね。)
という感じになるでしょうか。
貴重なご意見ありがとうございました!
キャロルに捨てられたロスは、 もはや What if there is only one woman for me? という問いを発することはできません。言うとしたら What if there was only one woman for me? と言うことになります。このときロスが one woman として思い浮かべている人物はキャロルです。
What if there was only one woman for me?
Unfortunately, in my case, there was only one woman ... for HER.
ロスの恐怖は、生涯にめぐりあえる女性がただ一人であるという仮定と、その女性が過去の人であるという事実によって生じています。この there was only one woman というフレーズには、過去の回想というよりは、絶望の表現としての意味があります。現在も良好な関係にあるスーザンとキャロルのカップルには、このフレーズはそぐわないと思います。
only one woman がキャロルとスーザンの二択とすると、私はキャロルだと思います。
コメントありがとうございます。
問題となっているこのセリフについて、頂戴した2つの解釈を元に私も再度考えてみました。以下に今の私の考えを整理してみます。
ポイントとなる点は、
1. ロスが言う there was only one woman とは誰(どの女性)を指すのか。
2. その there was という過去形が示していること。
3. for her の her は誰(どの女性)を指すのか。
になりますね。
この3点の中で、最も明白なのは、
3. for her の her が「キャロル」を指している。
いうことだと私は思います。
以前にいただいた、for her = for a woman という解釈に、私も納得するものを感じていたのですが、再度考えてみたところ、her はやはり「特定できる女性」をイメージした言葉だという気がしてきました。
LAAD では、
her : a woman, girl, or female animal that has been mentioned or is known about
つまり、「過去に言及されたか、または知られている女性」。
この語義からは、漠然と女性という性別を指し示す言葉というよりもやはり「彼女」という特定感が感じられるように思います。
1. の only one woman について。
There was only one woman という表現は「漠然とした存在」を示していて、この文章だけでは誰と特定することは難しいと思います。ただ「ロスが過去形で語っている女性は、きっとキャロルのことだろう」と「視聴者に連想」させることで、for her が出てくるまでは、only one woman=キャロル、というイメージが聞いている人には浮かんでいるだろうと思います。
けれどもこのセリフの最後でロスがはっきり her と言えば(明らかに誰かをイメージして、ここではない場所にいる”彼女”を指しているかのようなそのしぐさからも)、ロスが「彼女」と呼ぶ人はキャロル以外にありえない、for her が「キャロルにとって」だとわかった時点で、only one woman はキャロルのことではなく、キャロルの相手であるスーザンのことを言っていたとわかるオチ、になるのだろうと思ったわけです。
僕の場合は、たった一人の女性が存在したんだよね、(それは僕にとっての、じゃなくて)キャロルにとっての、なんだけど、みたいに「付け足す」ことで、「僕が運命の女性だと思っていたキャロルに”運命の女性”が存在した」というのが(一般とは違う)僕の特殊なケースだったんだよね、と言っている感覚だと思うのです。
2. の過去形について。
存在した、という過去形は、僕はキャロルに捨てられた、という in my case の話をしているから過去形になっているという気がします。
上にも書いたように、「過去形で語ることで、キャロルのことを言っていると思わせる」というトリックの部分も大きいとは思うのですが、for her というオチを含めた文章になっても過去形でも問題ないと思うのは、There was only woman for Carol. That's why she left me. のように「キャロルには運命の女性がいた。だからキャロルは僕を捨てた」という「過去」を語っているからだと思うのです。
「キャロルに捨てられたロスはキャロルを過去形で語る。現在形では語らない」ということが逆に、
a. 過去形で語った only one woman はキャロルのことである、と視聴者に思い込ませる仕掛けとなる。
b. キャロルにスーザンという女性が存在するという現在も続く事実を「僕を捨てたキャロルにはスーザンという女性が存在したんだ」とロスが過去形で語ることが自然となる。
ということに、矛盾なく繋がる気がしています。
キャロルとスーザンの関係についての「現状」はロスの焦点ではなく、「キャロルが僕を捨てた、キャロルが去った」→「だから僕は一生ひとり」という話を訴えたいわけですから、「僕の妻だったキャロルにはたった一人の運命の女性が存在したんだ」→「だから僕は捨てられて、今はひとり」というように、「スーザンの存在を過去形で語る」ことも自然なことだと思うのです。
現在の私の考えを整理すると、以上のようになりますが、ただこれについては「絶対にこうだ」という確信があるわけではありません。今の私には、her =キャロル、という点が、一番揺るぎない部分だと思えたので、上のような解釈とさせていただきました。
これについては、引き続き考えてみたいと思っています。また何か思いついたらこちらのコメント欄に書かせていただきますね。
ご意見ありがとうございました。
こんにちは。
私のコメントのせいで、せっかくのFriendsの学習サイトが「フォーラム」のようになってしまって申し訳あリません。
私は、どちらかというとニュース「専門」の人間で、NBC Nightly NewsやCBS Evening Newsを見ることを日課にしており、テレビドラマはその骨休め(?)にいろいろなもの(House of Cards、Madam Secretaryなど)をはしごしながら見ている程度です。
Friendsもその一つで、実際、FriendsはまだSeason 1のEpisode 5までしか見ておりません。それも字幕を出したり辞書を引いたりせずに、ただ流し見をしているだけですので、皆さんには理解の程度が及びません。
Rachさんの深い洞察を拝読して、ただただ敬服するのみです。またmqさんのご意見にも一理あるかと思います。「事実」を伝えることを趣旨にしているニュース番組と違って、こういうドラマの解釈には、それぞれの人の考えがあってよいのではないでしょうか。そして、ほかの方々が解釈に迷われたとき、Rachさんやmqさんの貴重なご意見を参考にされて、ご自分の考えを持たれたらよいのだと思います。
実は、Rachさんのサイトは、ネットを検索していて偶然見つけたのですが、それはNBCのニュースで聞いた
What started as a mistake quickly seemed meant to be.
(間違いから始まったこと(出会い)は、すぐに運命的なものに思われた)
という文の意味を考えているときのことでした。
(この話は、Thanksgivingのディナーへの招待メールを誤って送信した初老の女性と、その間違いメールを受け取った若い男性との間の心温まる友情のストーリーで、Thanksgiving Dayのニュースにはふさわしい話題でした)
Friendsには、会話的な表現がたくさん出てきますので、Rachさんのブログには今後も大勢の方がアクセスされると思います。
私もまたときどきRachさんのブログを覗かせていただきます。これからも頑張ってください。応援しています!
Mr. Spock
Rach さんの That's why she left me. の説明を読んで、現在も事情が変わっていなくても単に過去形を使う感覚がわかりました。
私はロスの過去形に引きずられていたので、 there was only one woman for me と in my case, there was only one woman がイコールだと思っていました。間を置いて for HER をとって付けたように言うのが可笑しく感じられました。
しかし、各自に一人の割り当てという対応のニュアンスが for にあることを考えると、in my case はやはり for me とは違う言葉です。したがって、Spock さんが指摘されたように、for HER は for everybody に準じたものと見ないと文が完結しないことになります。
というわけで、 考えを改めました。今は Unfortunately, in my case, there was only one woman ... for Carol. の方が適切と思います。
こんにちは。ご丁寧なコメントありがとうございます。
また「申し訳ありません」だなんてとんでもないです。フォーラムのように、解釈や意見を交換させていただけること、とても嬉しくありがたく思っております。
おっしゃる通り、ドラマの解釈は人それぞれの受け止め方というのがあると私も思っています。「正解」があるとしたらそれを知っているのはそのセリフを書いた脚本家だけになるのでしょうが、でも視聴者は脚本家の意図以外の部分を深読みしたり、また違った意味に受け取ったりすることもあるし、それもまたドラマの楽しみの一つでもあると思っています。
読者の皆様にも読んでいただける形で「コメント欄で意見や解釈の交換ができる」ことが、ブログというツールの最大のメリットだと思っています。「貴重なご意見を参考にされて、ご自分の考えを持たれたらよいのだと思います」というご意見、私もその通りだと思います。それぞれが理由と根拠を持って解釈を示すことで、読者の方がご自分で納得できる解釈を選ばれたら良いと思うのですね。そういう意味でも、多くの方のご意見をいただけることは、本当に嬉しいのです。
ニュースを専門にされている Mr. Spock さんが、検索で拙ブログを見つけて下さったこと、その上、解釈についてのご意見も下さったこと、とてもありがたく感じています。そのニュースの文も素敵な文ですよね。
温かい励ましのお言葉もありがとうございます。これからも頑張ります!
お返事ありがとうございました!
mqさんへ
こんにちは。ご丁寧なお返事ありがとうございます。
私が書いた解釈については、私も確信が持てなかったのですが、mqさんにそのように言っていただけて、とてもありがたく思っています。
記事として最初に書いた時は、その過去形の部分に注目してはいなかったので、mqさんからご意見をいただけたことで、その「過去形」のニュアンスをじっくり改めて見直してみることができました。That's why she left me. に伴う過去形であるという説明に同意していただけて良かったです。
for が「各自に一人の割り当てという対応のニュアンス」というのは、おっしゃる通りですね。in my case というのが、for me が続くことを連想させるけれど、for her と来た時点で「彼女に対する割り当ての一人が存在した」となるのが、ポイントなのでしょうね。
お返事ありがとうございました!
過去形について話題になってますが、本ブログの過去記事「遥か彼方の銀河系の話 フレンズ3-1その21」の"He loved the Civil War."の過去形も、話の焦点が何か、いつかという観点で、今回と似たようなニュアンスだと思いました
(turns outの現在形のcatchさんの説明も今読むとだいぶ理解できます。コメントされた当時なら全く理解できなかったと思います)。
Mr. Spockさんのコメント「これは時制に限らず、すべての言語事象についていえることで、私たちが発言から読み取るべきは、発話者の意図が何かということだけだと思います。」はとても共感しました。
コメントありがとうございます。以前読んで下さっていたこと、そしてシーズン1改が始まりまたこうして読んでいただけていること、とてもありがたく思います。
フレンズ3-1その21 に出てきた He loved は、確かに今回の「過去形」のニュアンスと似ていますね。よく読んで下さっていたというシーズン3 の記事のことを思い出していただけたこと、光栄です。
その記事での、現在形 turns out に関する「予想外の瞬間の出来事」という catchさんのご説明には私も感銘を受けました。なつかしいやりとりを思い出すきっかけを与えていただき感謝です。
こちらのコメント欄での Mr. Spockさんのご意見、私も大変共感しました。時制に伴う解釈に迷った時には、またこれからも思い出すことになると思います。
コメントありがとうございました。
なぜ"There are"ではなく"There is"なのでしょうか?その後に具体的なフレーバーの羅列が続くからでしょうか?"There is rocky road, cookie dough, bing cherry vanilla..."であれば、areではなくisである感覚はわかるのですが…
ご質問ありがとうございます。
本来、There is+単数形、There are+複数形となるべきところが、ご指摘のように ジョーイのセリフでは There is+複数形になっていますよね。
このような存在を表す There is/are については、研究社 新英和中辞典に以下のような記載がありました。
文法上 there+be の be は後の主語と数が一致するが, 《口語》 では there is が固定した形式とみなされて用いられることも多い
(引用ここまで)
また、開拓社「現代英文法講義」(安藤貞雄 著)の p.686 の there 構文 の説明には以下の記載があります。
「there is+単数名詞」「there are+複数名詞」が原則である。
しかし、there's のあとには単数名詞はもちろん、複数名詞も普通に使用される。
there's が文法化(grammaticalization)によって、「存在」を表す不変化詞(particle)になっていることがわかる。
(引用ここまで)
実際にフレンズでも、There's two... のように複数名詞が続くセリフが何度か出てきたことがあり、わかりやすい例としては、
フレンズ4-4
チャンドラー: Now there's two reasons. (これで理由が2つになったな。)
フレンズ9-18
チャンドラー: (looking at the answering machine) Hey, there's two messages. This could be from work! ([留守電を見て] おい、2つ(留守電)メッセージがある。これは会社からかも!)
というものがありました。
There is という短縮されない形と比べて、There's という短縮形は、より is という単数の感覚が薄れているということなのだろうと思います。それで There's の場合は「単数」という感覚なしに「存在」を語る導入フレーズとして使われている、ということなのでしょうね。
興味深いご質問ありがとうございました。
ネイティブはどのように使い分けているのでしょうね、使い分けるという程のことでもないのかもしれませんね!
勉強になりました:)
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
おっしゃるように、使い分けをしているわけでもないように私も思います。
元々は is/are はその次に来る名詞と連動していたけれど、今では There's というかたまりとして文頭に置く、という感じになっているのだろうと。
勉強になりました、と言っていただけて良かったです(^^)
お返事ありがとうございました。