2016年11月14日

5回目のデートで打ち明けるようなこと フレンズ1-1改その23

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12:10
(CUT TO THE RESTAURANT)
レストランに画面がカット。
ポール: Ever since she walked out on me, I, uh.... (妻が僕を捨てて出て行って以来ずっと、僕は…)
モニカ: What? What? You wanna spell it out with noodles? (何? 何なの? 麺[ヌードル]で、文字を書いて説明したいの?)
ポール: No, it's, it's more of a fifth date kinda revelation. (いや、むしろ5回目のデートで打ち明けるようなことなんだ。)
モニカ: Oh, so there's gonna be a fifth date? (まぁ、それじゃあ、5回目のデートがあるのね。)
ポール: Isn't there? (ないかな?)
モニカ: Yeah, yeah. I think there is. What were you gonna say? (えぇ、あるわ。あると思うわ。あなたは何を言おうとしていたの?)
ポール: Well, ever-ev-... ever since she left me, um, I haven't been able to, uh, perform... (MONICA TAKES A SIP OF HER DRINK) sexually. (うーんと、彼女が去って以来、僕はずっと行なうことができなかったんだ… [モニカは自分の飲み物を一口飲む] 性的に。)
モニカ: (SPITS OUT HER DRINK IN SHOCK) Oh, God! Oh, God! I am sorry. I'm so sorry. (驚いて自分の飲み物を吹き出して[吐き出して]) あぁ、なんてこと! なんてこと! ごめんなさい。本当にごめんなさい。)
ポール: It's okay. (いいよ。)

ever since は「〜以来(その後)ずっと」。
walk out on+人は「(人)を見捨てる、(人)の元を去る」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
walk out on somebody : to leave your husband, wife etc. suddenly
例) When she was three months pregnant, Pete walked out on her.

つまり、「突然、自分の夫や妻を残して出て行くこと」。例文は、「彼女が妊娠3ヶ月だった頃、ピートは彼女を残して出て行った」。

spell out は「文字を綴る、スペルを綴る」。
この時のポールは、言い淀んで、もじもじしながら、ヌードル(日本料理店なので、そばのようなもの)を、こねくり回すようにかき混ぜています。
このセリフを直訳すると、「麺(そば)で文字(スペル)を綴りたいの?」になるでしょうか。
DVDの日本語訳では、「(字幕)ソバで字を書いてるの?/(音声)言いにくくておソバで字を書いてるの?」となっていましたが、そういう意味なんだろうな、と私も思いました。
「口では言えなくて、もじもじして麺をかき混ぜている」様子を、「口で言う代わりに、麺を使って言葉を伝えようとしてる?」みたいに言っているのだろうと。
spell out は「文字を(略さずに)綴る」という意味から、「(誤解のないように)詳細に説明する」という意味にもなります。

revelation は「(隠していたこと・秘密を)明らかにすること」。
the revelation of a secret なら「秘密の暴露」になります。
動詞 reveal 「(秘密などを)明らかにする、明かす、打ち明ける、暴露する」の名詞形です。
more of A (than B) は「(B というよりも)むしろ A (である)」という感覚。
このセリフには、than B に当たる部分はありませんが、「口で言いたくなくて、麺で説明したいの?」みたいに言われたことを受けて、「そういうんじゃなくて、むしろ”5回目のデートくらいで明らかにするようなこと”って感じなんだ」と説明したことになるでしょう。
今日は初デートなので、初めてのデートで相手に話せるようなことじゃないんだ、ということですね。

それを聞いたモニカは、「まぁ、それじゃあ、5回目のデートがあるのね」と微笑みながら言っています。
be gonna = be going to は、「このまま進むとこうなる」というニュアンスがありますので、「それって、私たち二人はこの先デートを重ねて、5回目のデートを迎えることになるって言ってるわけ?」のような感覚になるでしょう。
モニカはポールとデートできて、とても喜んでいますので、その彼の口から「5回目のデート」という言葉が出たことを嬉しく思っていることが、このセリフからもわかりますね。
モニカが嬉しそうにそう言っているのはわかっているでしょうが、ポールは強気の発言をすることもなく、遠慮がちに Isn't there? 「5回目のデートはないかな?」と言っています。
デートできて嬉しいと思っている相手にそんな風に言われて、モニカは素直に喜び、「えぇ、そうね。5回目のデート、あると思うわ」と言った後、「あなたは(さっき)何を言おうとしていたの?」と尋ねます。

ever since she left me は、少し前の ever since she walked out on me と同じ意味ですね。

次の I haven't been able to, uh, perform... sexually. について。
ちょっと間を空けてから、sexually と言っているのがオチになっていて、モニカが口に含んだ飲み物をそのオチに驚いて吹き出すことになります。
perform は日本語にもなっている名詞「パフォーマンス」の動詞形で、他動詞では「(仕事などを)する、行なう」という意味。
例えば他動詞であれば perform の次に「行なう内容」が続くので、perform の後に続く言葉を聞くまでは perform が示す内容がわからないというのが英語の仕組みであり、その仕組みを利用したジョークになっています。
perform の次の言葉を待ちながら、モニカが湯呑み(湯のみ)の飲み物(お茶?)を口に含んだ後、sexually 「性的に」という言葉が出てきたので、モニカは思わず口に含んだ飲み物を、ポールに向かって吹き出してしまう形になります。
先ほども書いたように、perform+目的語という他動詞の形で「(仕事などを)する、行なう」という意味になりますが、今回のセリフでは、perform sexually のように、perform+副詞の形を取っていますので、この perform は目的語を取らない自動詞になります。
この自動詞は、研究社 新英和中辞典の、以下の意味があてはまるでしょう。
perform=【自】[well などの様態の副詞を伴って] 〈機械・人が〉(うまく)働く
This new car performs well on bad roads. この新車は悪路でもよく走る[性能がよい]。


perform well で「うまく働く、機能する」という意味になるので、perform sexually なら「性的に機能する」という意味になるでしょう。
I haven't been able to, uh, perform... までだと「何らかの仕事や行為をすることができなくなった」という話に聞こえますので、その仕事や行為に当たる目的語が何かを聞こうと待っていたところ、sexually という副詞がくることで「自分は性的に機能しなくなってしまった」という「彼の能力・機能の話」であることがわかる、というオチですね。
sexually という性的な言葉を使うことそのものも「エッチ系のオチ」として笑いを誘うわけですが、「何かを行う」という話(他動詞)かと思っていたら「自分が機能するかしないか」の話(自動詞)だった、というところも笑いのポイントになっていると思いました。


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posted by Rach at 14:30| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めてコメントいたします。

フレンズでの学習を始めたばかりですが、ブログがとても役立っています。
素敵な解説ですね。
英語独特のオチも含めて深く理解しながら楽しんでいます。

さて、フレンズは映像表現のオチでも拘っていますね。

この直前のシーン、ロスは赤いシャツを着ていて、カットが切り替わると、左から赤い着物の女性がお膳を下げるために手前を通り過ぎます。
前カットのオチを食べ終わったお膳に見立て、それをロスと同じ色の人物が下げていく。
前後の繋がりを台詞と共に映像上でも巧みに演出した、関心しきりのワンシーンでした。

引き続きブログを参照させて頂きながら勉強に励みます。
Posted by ぽちょむきん at 2018年08月15日 19:13
ぽちょむきんさんへ
コメントありがとうございます。拙ブログについて「とても役立っています」「素敵な解説」と言っていただけて大変光栄で嬉しいです。

そして映像の件、興味深いお話ありがとうございます。
赤い着物の女性が通ることは、着物の色が大変派手だったこともあり記憶にあったのですが、その前のカットでロスが同じような赤色のシャツを着ていたことには私は全く気づいておりませんでした。

コメントをいただいて、私ももう一度このエピソードを見返してみたのですが、この記事の 12:10 のカットの切り替わり以外に、それより前の 10:24 のカットの切り替わりでも「赤いシャツのロスの後、赤い着物の女性が映る」というシーンがありました。
二度もそのパターンがあることを考えても、ロスの赤いシャツから女性の赤い着物への流れというのは意図的に入れられた視覚的な効果であると言えますよね。

1回目のシーンの方は、
ジョーイ: You got screwed.
チャンドラー: Oh, my God.
10:24 でロスの部屋から日本料理店にカットが切り替わる
モニカ: Oh, my God.
のように、違う場面で同じセリフ Oh, my God. が続いている流れになっており、セリフという言葉面でも連続性を印象づけているように思います。

ご指摘の 12:10 のカット切り替わりでは言葉の反復はありませんでしたが、10:24 と同様の「ロスと女性の赤い服が繋がる」という視覚効果が再び使われていることで、少し前に出てきたシーンのデジャブであるかのように、カットがスムーズに繋がることになるのでしょうね。
ここでまた「同じセリフの繰り返し」を行うとちょっとくどく(またはわざとらしく)なるので、2回目は映像表現のみにとどめた、ということかなぁと思ったりもします。

赤い着物の女性は、本来カメラがフォーカスすべきモニカとポールの「前を横切る」形で歩いて行きますよね。店員さんであれば二人の後ろの背景の中で歩いても良さそうなところを敢えて二人を一瞬隠してしまう(カブる)感じで横切らせているというのはやはり「意図的な映像表現」であると言えますよね(ただのエキストラが前を横切ったら「カブっちゃダメ! 撮り直し!」となりそうですし^^)。
12:10 のシーンでは赤い着物の女性(店員)は確かにお膳を下げている(空になったお皿を運んでいる)ようですから、「ロスの話=お膳」を下げるというお話にも納得です。

ロスもポールも妻に逃げられたという話をしていて、ロスの妹でありポールのデート相手であるモニカが二人の話を繋げているという構図ですが、それをさらに映像的にも「赤の服」で繋げているというのは、非常に計算された演出と言える気がします。

興味深い点をご指摘いただけたお陰で、このシーンをより深く楽しむことができました。
貴重なコメント、ありがとうございました<(_ _)>
Posted by Rach at 2018年08月16日 10:07
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