ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。


16:52
SCENE 5: IRIDIUM (JUST MONICA, WORKING)
イリジウム(レストランの名前)。モニカだけが働いているところ。
(ENTER FRANNIE)
フラニーが入ってくる。
フラニー: Hey, Monica. (はーい、モニカ。)
モニカ: Hey, Frannie. Welcome back. How was Florida? (はーい、フラニー。お帰りなさい。フロリダはどうだった?)
フラニー: You had sex, didn't you? (あなた、エッチしたわね?)
モニカ: How do you do that? (どうしてわかるの?)
フラニー: So, who? (それで、(相手は)誰?)
モニカ: You know Paul? (ポール、知ってるでしょ?)
フラニー: Paul, the wine guy? Oh yeah, I know Paul. (ワイン担当のポール? ええ、(もちろん)私はポールを知ってるわ。)
モニカ: You mean, you know Paul like I know Paul? (それって、私がポールを知ってるように[私と同じように]ポールを知ってるってこと?)
フラニー: Are you kidding? I take credit for Paul. Y'know, before me, there was no snap in his turtle for two years. (冗談でしょ[当然よ]。私はポールに貸しがあるの[私はポールの恩人なの]。ほら、私が現れる前は、彼のタートル[カメ]は2年間元気がなかったのよ[ピクリとも動かなかったのよ]。)
このシーンの最初には、Iridium と書かれたレストランの外観が映っています。
その後、シェフの格好をして料理をしているモニカが映っていますので、これがモニカの職場であることがわかります(ちなみに「イリジウム」は元素の名前で、原子番号は77、元素記号は Ir です)。
モニカが一人で料理しているところに、同じ服を着た女性が入ってきたので、彼女が同僚シェフであることがわかりますね。
Welcome back. は「お帰りなさい」、How was Florida? は「フロリダはどうだった?」ということなので、その話の流れから、「フラニーは(旅行か何かで)フロリダに行ってきたらしい」ことがわかります。
日本では、家族が家に帰ってきた時に「お帰りなさい」と毎日のように言いますが、英語では日々のお決まりの挨拶のように Welcome back. と言うことはありません。
フレンズでも、誰かが家に帰ってきた時は、Hey. Hi. という挨拶や、How was your date? 「デートはどうだった?」みたいな今日の様子を尋ねる言葉から会話から始まりますが、そこで毎回、Welcome back. と言うのを聞くことはないですね。
Welcome back. というのは、しばらくここを離れていて、久しぶりに帰ってきた人に言うニュアンスの言葉になります。
How was Florida? は、how を使って、フロリダが「どう」であったかを尋ねる感覚。
How was...? は、How are you? と同じことで、... に当たるものの様子、感じを尋ねる表現で、フレンズでは、How was your date? 「デートはどうだった?」、またその変形バージョンで be動詞ではなく go を使った、How did the audition go? 「オーディションはどうだった?」というのも登場します。
フロリダに旅行してきたらしいフラニーは、フロリダについては答えずに、即座に「モニカ、エッチしたでしょ」と言っています。
語尾に didn't you? がついた付加疑問文ですが、語尾の発音の調子が下がっているので、相手に「したのね?」と尋ねるというよりは、「あなた、エッチしたでしょ! そうなんでしょ!」とかなりの確信を持って問い詰めているようなニュアンスが感じられます。
次のモニカの How do you do that? を直訳すると、「どのようにしてあなたはそうするの[そんなことをするの]?」になるでしょう。
DVD の日本語訳は、「(字幕)分かるの?/(音声)なんで分かったの?」となっていましたが、まさにそういうニュアンスでしょうね。
do that は、「私(モニカ)は何も言っていないのに、”モニカはエッチしたんでしょ!”とわかる、気づく、当てる」ことを指していると思います。
「どのようにしてそんなことがわかるのか?」→「どうしてわかるの? なんでわかったの?」という意味になるわけですね。
モニカが「どうしてわかるの?」と言ったということは、フラニーの指摘が正しいと認めたことになるので、フラニーは続けて、「それで、相手は誰なのよ?」のように尋ねてきます。
モニカは軽い感じで、「ほら、あなたも知ってるでしょ、相手はポールよ」と言うのですが、フラニーの返事は、"Oh yeah, I know Paul." というものでした。
仕事仲間なので知ってるのは当然なのに、わざわざフラニーが、I know Paul. と言い直したところがモニカも気になったようで、You mean, you know Paul like I know Paul? のように聞き直しています。
普通の会話では、"You know Paul?" みたいに聞かれたら、"Paul the wine guy? Oh, he's so cute." 「ワイン担当のポール。あぁ、彼って素敵よね」みたいな会話が自然な流れになるでしょう。
ところが今回のように、You know..? という質問に対して、I know とわざわざ言うと、それはまるで、「もちろん知ってるわ。知ってるに決まってるわ」という風に、相手に挑戦的な態度を取っているように聞こえてしまいます。
日本語で言うと、「あぁ、彼のこと? 彼なら”知ってる”わよ」のように、「知っている」という部分を、さも「よーく知っている」のように強調して言うようなニュアンスになるでしょう。
少し前の記事、私たちはそうやって物を買う フレンズ1-1改その29 で、
レイチェル: So, like, you guys all have jobs? (それで、ほら、あなたたちはみんな仕事を持ってるの?)
モニカ: Yeah, we all have jobs. See, that's how we buy stuff. (えぇ、私たちはみんな仕事を持ってるわよ。ほら、そうやって私たちはものを買うの。)
というやりとりが出てきた時にも解説しましたが、相手が尋ねた文章とほとんど同じ文章を「わざわざ」繰り返すのは、「ええ、”もちろん、当然” そうよ」のように強調している感覚になるということですね。
「私がポールを知ってるかって? ええ、もちろん私はポールを”知ってる”わよ」のようなフラニーの意図を感じ取ったモニカは、You mean を使って、あなたが言おうとしているのはこういうこと?と尋ねています。
You mean... は、「(あなたが言ったのは、あなたが言いたいのは)〜という意味ですか?、〜ということですか?」と、相手の言いたい意図、意味を確認するフレーズ。
この場合は、あなたが I know Paul. と言ったのは、「私はポールと親しくなってエッチまでしたけど、あなたもそういうレベルでポールを知ってる、って意味なの?、そう言いたいの?」と確認しているのですね。
それに対してフラニーは、Are you kidding? 「冗談でしょ」と返します。
「私と同じように知ってるの?」と驚くモニカに対して、「知ってるなんてどころの騒ぎじゃない。そんなふざけたこと聞かないでよ」という感覚ですね。
credit は「功績」で、take credit for は「〜のことで功績がある(と思う)、〜のことで役立ったと思っている、〜のことで手柄がある」。
ここでは「ポールのためになることを私はしてあげた、私はポールの恩人なのよ」みたいなことが言いたいようです。
before me は「私が現れる前には、彼が私に会う前には」。
turtle は「タートル、カメ」ですが、ここでは暗に「カメ」の姿から連想されるような(笑)彼の大事な部分、彼の「モノ」を指しています。
there was no snap in his turtle for two years を直訳すると、「2年間、彼のタートル(彼のモノ)には snap がなかった」になるでしょう。
snap という単語は、動詞では「パチン、ピシッと鳴らす」「(ふたなどを)パタッと閉める」という感覚。
そのパチン、ビシッ、パタッ、という感覚から、「パクリと噛む(かむ)、かみつく」という意味もあり、snapping turtle だと「カミツキガメ」を指します。
今回のセリフでは、there was no snap in という形になっているので、snap は名詞ですね。
研究社 新英和中辞典では、名詞の項目に以下の語義が載っていました。
snap=【名】
T 【C】 パチッ[パタッ、ピシャ、ピシッ]といわせること、ポキンと折れること、ブッツリ切れること、パチンと割れること、パチンと閉まる音
U 【C】1 食いつくこと 2 (すばやく)ひったくること、ひっつかむこと
X 【U】 《口語》 精力、元気、活気。きびきびしたところ
a style without much snap あまりぴりっとしない文体
基本的には「パチッ、ビシッ」という音がするイメージで、そのイメージから「そういう音を出して素早く動く」ことも意味することになるでしょう。
no snap in his turtle のように、snap と turtle という言葉が同時に使われているので、先ほど説明した snapping turtle 「カミツキガメ」の連想も働くのですが、「彼のカメの中に(in his turtle) snap が存在しなかった」のような存在を表す there was 構文は、「彼のカメは2年間噛みつかなかった」という意味にはならないような気が私にはしました(「カメ”の中に”かみつくことが存在する」だと意味不明な気がする、という意味で)。
もし彼のモノを動物のカミツキガメに例えて、本来するべき行動・動きをしなかった的な意味で「彼のカメは2年間噛みつくことがなかった」と言いたいのであれば、before me, his turtle hadn't snapped for two years. のように、turtle を主語(S)、snap を動詞(V)の形で表現するように思うのですね。
ですから「カミツキガメが噛みつくこと」という連想の snap ではなく、「パチッ、ビシッとすばやく動くイメージ」や「元気、活気」みたいな意味で使っているような気が私はした、ということになります。
つまり、彼のタートルは2年間も元気がなかったんだけど、私と出会って、彼のタートルが元気になった、みたいなことを言っているように思うのです。
私に会うまで、私が現れるまでの2年間は、彼のタートルはピクリとも動かなかったのよ、みたいな感じかなぁ、と。
フラニーは2年間(two years)という言葉を出していますね。
日本料理店でのデートのモニカとポールの会話でも、「妻に逃げられてから2年間、性的に機能していない」と言っていましたので、2年間という年数が同じであることも含め、モニカに語ったのと全く同じ話を、それより以前にフラニーにも言っていたことがわかります。
それは当時に、「私は彼の恩人よ」と偉そうに言っているフラニーも、モニカと同じようにポールの作り話に騙されて寝た女性の一人、ということにもなるわけですね。
「妻に逃げられてから不能なんだ」という話をして女性の同情を買いエッチに持ち込むというのがポールの作戦だった、ということがここでわかったことになるでしょう。
ポールとデートして嬉しそうだったモニカに対しても、「こんな僕でもまたデートしてくれるかな」のようにどこまでも控えめな態度を崩さなかったポールでしたが、それも全て「妻に逃げられてから自信をなくしている男」の演出の一つ、相手の同情を誘うポーズだったということでしょうね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。


credit は「功績」と関係がありますが、「功績」そのものではありません。deserve credit のような句もあるので、credit =「功績」と覚えない方がよいと思います。
こんにちは。コメントありがとうございます。
ジーニアス英和辞典に「手柄、功績」という訳語が載っていたこともあり、「功績」という言葉を使わせていただいたのですが、「功績そのものではない」というお話、おっしゃる通りだと思います。