2017年01月10日

カーペットからマストドンのにおいを消す フレンズ1-2改その3

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SCENE 1: MUSEUM OF PREHISTORIC HISTORY (ROSS AND MARSHA ARE SETTING UP AN EXHIBIT, WHICH INCLUDES SOME MANNEQUINS OF CAVE PEOPLE)
シーン1:先史博物館 (ロスとマーシャは展示をセット(配置)しているところ。その展示には、洞穴に住む人々のマネキンも含まれている。
ロス: No, it's good, it is good. It's just that- mm- doesn't she seem a little angry? (いや、いいんだ。確かにいいんだよ。ただ、んーん… 彼女がちょっと怒って見えない?)
マーシャ: Well, she has issues. (えぇ、彼女は問題を抱えてるの。)
ロス: Does she? (そうなの[へぇ、そうなんだ]。)
マーシャ: He's out banging other women over the head with a club, while she sits at home trying to get the mastodon smell out of the carpet. (彼(夫)は外出して[外で]こん棒で他の女の頭を叩いてる[叩きながら追いかけ回してる]、その間、彼女(妻)は家で座って、カーペットからマストドンの臭いを消そうと頑張ってるっていうのに。)
ロス: Marsha, see, these are cave people. Okay, they have issues like: "Gee, that glacier's getting kinda close!" See? (マーシャ、ねぇ、この人たちは洞穴に住む人たちなんだよ[洞穴に住んでるんだよ]。いいかい、彼らが持ってる問題はこんな感じだよ、「あぁ、あの氷河が近づいてるみたいだよ!」とかね。だろ?)

ロスのセリフ、No, it's good, it is good. It's just that- は、it is good の IS が強めに発音されていて、「いや、いいんだ。確かにいいんだ。ただ〜なだけなんだ」というニュアンス。
別に悪いって言ってるわけじゃなくて、good なんだけどさ、ただ、こういうことなんだよね、、と that 以下で気になる内容を述べる感覚になります。
彼女がちょっと怒ってるように見えない? と言っているのは、展示で飾られている cave people (洞穴に住む人々)の女性のマネキンのことで、have issues は「問題がある、問題を抱えている」。
当然のようにそう言ったマーシャに対し、ロスは、Does she? と言っています。
最後に疑問符がついていますが、ロスは語尾を上げずに、下げた調子で言っていますので、「ほんとにそうなの?」と相手に尋ねるニュアンスではなく、「へぇ、そうなんだぁ、、そうなんだねぇ、、」みたいに言っているニュアンスですね。
ロスは、洞穴に住む人が「問題を抱えてる」ってそりゃ一体何だよ、という気持ちでしょうが、マーシャが当然のようにそう言うので、あきれた気持ちを持ちつつも、言葉では否定せずに「へー、そうなんだー」と返していることになるでしょう。

He's out banging... のセリフについて。
bang は擬音語から来た言葉で、「ドンドンたたく」というのが基本語義。
ドン、バン、バタン、ドタン、ドシン、ズドンのような音のイメージになります。

Macmillan Dictionary では、
bang : to hit something hard, making a loud noise
つまり、「何かを強く叩くこと、大きな音をさせて」。
また、以下の意味も載っていました。
bang : (offensive) to have sex with someone
offensive というのは「無礼な、侮辱的な」なので、そういう意味で bang という動詞を使う時には侮辱的なニュアンスが込められているということになります。
ですから、「エッチする」というよりはもっとお下品な「ヤる」という感覚が近いでしょう。

上でご紹介したマクミランの語義からは、基本的な意味の「強く音を立てて叩く」という意味と、「エッチする、ヤる」という意味があることがわかりますが、今回のセリフでは「エッチする」というニュアンスを感じさせつつも、言葉の表現としては「叩く」という意味で使われているように思います。

過去記事のコメント欄でご意見をいただいたことがあるのですが、アニメの caveman (洞穴に住む人 →厳密には違いますが、以後、イメージしやすいように「原始人」とします)が女性に迫る際の典型的な行動パターンとして、「女性の頭上を叩き、髪の毛を掴んで、洞窟の中に引きずっていく」というイメージが存在するようです。
今回のセリフは、bang someone over the head という形になっていますが、bang と同じような「叩く」意味の動詞の用例として、Macmillan Dictionary に以下のものが出ているという情報も同時に教えていただきました。

hit/beat/knock someone over the head : to deliberately hit the top of someone's head with an object
例) She hit him over the head with a champagne bottle.

つまり、「ある物体を使って、人の頭のてっぺんを故意に[意図的に]叩くこと」。
例文は、「彼女はシャンパンの瓶で彼の頭のてっぺんを叩いた[殴った]。」

「物体を使って」「故意に・意図的に」というのがポイントと言えそうです。
hit someone on the head なら「人の頭を叩く」という意味になりますが、on the head を over the head に変えることで、「振り上げたものを振り下ろす」ニュアンスが加わり、「頭上高く何かを振り上げて、相手に危害を加えようとして叩く」という意味に変わるところがなかなか興味深いです。

今回のセリフは、bang (other women) over the head with a club という形で、マクミランの例文、hit (him) over the head with a champagne bottle という形と構造は同じですね。
マクミランの例文と同じ感覚で今回のセリフを訳してみると、「こん棒で他の女たちの頭のてっぺんを(故意に)叩く」ということになるように思います。

先ほど説明したように、bang には「エッチする、ヤる」という露骨な意味もあるので、
「彼は外出して[外で]、頭上にこん棒を振り上げながら、他の女たちとヤっている」
という意味かな、と以前、私は考えたことがありました。
「手にこん棒を持ちながら」→「相手を脅しながら、相手に攻撃を加えながら」という攻撃的・暴力的な感じを表現しているのかなぁ、と。
ですが、改めて考えてみると、頭上にこん棒を振り上げながら、ということだったら、over the head with a club という語順ではなく、with a club over the head になるような気がしました。

hit/beat/knock someone over the head という用例がわざわざマクミランに出ていること、今回の bang が hit と同じような「叩く」系の動詞であることを考えると、over the head with a club をひとまとめにするのではなく、"bang someone over the head with 物体" という構造だと考えた方が正しい気がしたのですね。

とすると、あくまで表現としては、bang は hit と同じような「叩く」という意味で使われていると解釈するのが自然だろうと思います。
ただ、このセリフの意図していることは、原始人のイメージにあるように、「女の頭を叩いた後、髪の毛を掴んで連れて行く」という、その後のエッチをイメージしているのは間違いないので、ただ暴力的によその女の頭を叩いて回っているわけではなく(笑)、「他の女の頭をこん棒で叩いている」という表現で「エッチしようと他の女を追いかけ回している」ということを示唆しているように思います。

言わんとしていることはそういう内容だけれども、bang them = have sex with them とダイレクトに解釈してしまうと、over the head with a club だけがそのかたまりの言葉として残されてしまい、意味をなさなくなってしまう気がした、ということですね。
マーシャのセリフを聞いた時のイメージとしては、アニメの原始人のキャラクターが、こん棒で女性の頭を叩いている、もしくは叩きながら追いかけ回しているようなイメージができればいいのかなぁ、と思います。

get the ... smell out of は「…の臭いを〜から取る」。
彼(夫)が外で他の女を追いかけ回している間、彼女(妻)は家に座り、マストドンの臭いをカーペットから取り除こうと頑張っている、と言っていることになりますね。
これは恐らく、マストドンの毛皮をカーペットとして使っていて、その臭いが残ったままだから消臭しようと頑張っている、みたいなニュアンスで言っているのかなと思います。
(はじめ人間ギャートルズとかで出てきそうなセリフw)

マストドンは、ゾウに似た、今は絶滅してしまった種の名前ですね。
同じく絶滅種の「マンモス」は、長い体毛のイメージがありますが、Wikipedia 日本語版 : マストドン に「短い褐色の毛を持っていたとも言われる」という記載がありますので、原始人ならマストドンの毛皮をカーペット代わりに使っていたかもしれない、、とマーシャは考えたのかもしれません。

マネキンの彼女が怒った顔をしているのは問題を抱えてるからだ、とマーシャは言い、その説明として、「夫は外で他の女を追いかけ回し、妻は家でカーペットの臭いが取れないと悩んでる」と語っていますが、洞穴に住む人々の生活を、現代家庭を語るように言ってみせている面白さになるでしょう。

まるで現代人のような悩みの例を出したのにあきれたロスは、「この人たちは、洞穴に住んでるような(時代の)人なんだ」と言って、彼らが問題を抱えてるとしたらこういうことだよ、と例を挙げています。
glacier は「氷河」。
「氷河が近づいてくる」よりも「氷河期が近づいてくる」の方がイメージしやすい気がするのですが、「氷河期」なら、Ice Age になりますので、ロスのセリフは「氷河期が近づいてくる」ではなく、やはり文字通りの「氷河が近づいてくる」と言っていることになると思います。
太古の人々である彼らなら、悩みはそんな所帯じみた話じゃなくて、むしろ話題は氷河とかだろう、とロスは言いたいのですね。
「洞穴に住む人々は氷河のことを心配している」とロス自身も思っているわけではないような気がしますが、先史博物館に勤めている同僚のマーシャが、専門知識が皆無のような素人っぽい発言をするのにあきれて、「どうせなら氷河がどうのこうの、っていう話の方が、まだ少しはもっともらしいんじゃない?」という意味でそんな風に言ってみせたのかな、と思います。


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posted by Rach at 15:28| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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