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フィービー: Monica? Hi! Um, Monica, you're scaring me. I mean, you're like, you're like all chaotic and twirly, you know? And not-not in a good way. (モニカ? はーい! あのモニカ、あなたを見てると怖いわ。つまり、あなたはその、すっかり混乱していて、くるくる回ってる感じよ、でしょ? それも良い感じじゃなくてね。)
ジョーイ: Yeah, calm down. You don't see Ross getting all chaotic and twirly every time they come. (そうだよ。落ち着けよ。君の親たちが来る度に、ロスが混乱したり、くるくる回ったりする感じになるところを見ないだろ?)
モニカ: That's because as far as my parents are concerned, Ross can do no wrong. Y'see, he's “The Prince.” Apparently they had some big ceremony before I was born. (それは、私の両親に言わせると、ロスは間違ったことをするはずがないからよ。わかるでしょ、彼は「王子様」なのよ。どうやら、私が生まれる前に、うちの両親はある大きな儀式[式典、祭典]をしたみたいね。)
チャンドラー: (AT WINDOW) Ew, ew, ew, ew ew ew ew ew! ([窓のところで] ウエ、ウエ、ウエ、ウエ…)
モニカ: What? (何?)
チャンドラー: Ugly Naked Guy got a ThighMaster. (醜い裸の男[裸のブ男]がサイマスター(太ももをシェイプする器具)を買ったぞ。)
みんな: Eeaagh! (うー!)
scare は「〜を怖がらせる、怯えさせる」という他動詞。
you're scaring me は、「あなたは私を怯えさせている」なので、「あなたを見ていると怖いわ、あなたを見ていると怖くなってくる」ということ。
怯えている時に口から出る「怖い!」は、I'm scared! になります。
scaring me と言われて、何ですって?みたいな顔をモニカがするので、I mean 「私が言いたいのは、つまり」とフィービーは言い直しています。
I mean は、直前に自分の言った言葉が言葉足らずで相手に理解されそうにない場合や、相手が気を悪くするかもしれないと思った場合に、言葉を変えて内容を言い直したりする場合に使います。
chaotic は「混沌とした、雑然とした、ぐちゃぐちゃで」。名詞形は chaos 「無秩序、混沌、カオス」。
日本語では「カオス」という外来語になっていますが、英語の発音は「ケイオス」という感じです。
twirly は twirl という動詞に -y をつけて形容詞風にしたフィービーの造語ですね。(注:「造語」と説明した件について、下に追記があります)
フィービーはこのように、単語の語尾に -y をつけて形容詞にするのが好きで、後のエピソードでも何度かそういう言葉が登場します。
twirl は他動詞「〜をくるくる回す」、自動詞は「くるくる回る、くねくねする」ですから、twirly は「くるくる回っているような」というニュアンスかな、と思います。
twirl one's baton だと「バトンをくるくる回す」で、baton twirler は「バトンをくるくる回す人、バトントワラー」。
twirl という単語を知らなかった人でも、バトントワラーというカタカナは聞いたことあるかもしれませんね。
英語をそのままカタカナに置き換えるカタカナ英語の氾濫が、間違った発音を覚えさせ、却って英語学習の妨げになっている場合もよくあるのですが、すでにカタカナで知っている言葉であれば、その知識を利用して英単語を覚える、というのもアリかなと思います。
「怖いっていうか、つまり、あなたは混乱していて、くるくる回ってる感じがする、ってことなのよ」とモニカを怒らせないように言い直したつもりですが、And not-not in a good way と付け足して、その混乱してくるくるしているのは、グッドな感じではない、と言っています。
つまり、そのモニカの混乱やくるくるは、いい感じはしない、と言っているわけで、やはりモニカに対しては失礼な発言であることには変わりない、、そこがフィービーの発言っぽいところだと言えるでしょう。
その後、ジョーイもフィービーの発言に同意しています。
twirly というのがフィービーの造語なので、「その今フィービーが言った twirly というやつ」という感じで、ジョーイはフィービーの方を手で示しています。
「(フィービーの言うところの) twirly って感じになってるロスを見たことないだろ?」というニュアンスですね。
(2017.1.25 追記)
twirly はフィービーの造語、と説明した件について。
非公開コメントにて、「プログレッシブ英和中辞典とジーニアス英和辞典では、twirly が形容詞として記載されています(意味はどちらの辞典も省略されています)」という情報を頂戴しました。
私も改めて調べてみたところ、Cambridge Dictionary にも以下のように出ていました。
Cambridge Dictionary : twirly
twirly : with turns or curls
例) a twirly moustache
つまり、「回転やカールがある」。例は「カールのある(巻き毛の)口ひげ」。
私は記事中で「フィービーの造語」と説明しましたが、twirly という単語を項目に挙げている辞書がある、ということだと、「フィービーの造語」と言い切ることはできないようですね。
このシーンの流れを見てみると、フィービーが twirly という言葉を出した後、ジョーイがその言葉を使う時に、"You don't see Ross getting all chaotic and... twirly" のように、twirly という単語を出す前に「一瞬の間(ま)」があって、「ほら、さっきフィービーが言ってたやつ」のように、フィービーを手で指し示すしぐさもしていますので、ジョーイとしてはあまりなじみのない「フィービーが作った変な言葉」的な受け止め方をしているように見えました。
上のケンブリッジの語義 with turns or curls にあるように、通常は「 turns や curls があるもの」という意味で使われることが多いのかなぁ、と思います。
それをここではフィービーが「モニカが、せわしなく、くるくると動いている」というニュアンスで使っているように感じられるので、「 twirly から想像される一般的な意味とは異なるニュアンス」を感じて、ジョーイは「さっきのフィービー風の表現で言うと twirly ってやつ」のように使ったのかなぁ、という気がしました。
ですから「フィービーの完全な造語であり、存在しない単語」とは言えないけれど、フィービーの使い方が独特だった、という風に解釈するのが正しいように今は思います。
(追記はここまで)
as far as ... be concerned は「…に関する限りは、…に言わせれば」。concern は「…に関係する」という他動詞。
That's because... は「それは…だからだ」。
よく似た表現の That's why は、that で指すものが理由になりますが、That's because の場合は、そういう結果になったのは、because 以下で述べられる理由のためだ、ということになります。
ここでの wrong は名詞で「悪、悪事、不正」。do wrong だと「悪事を働く」。
can は「〜できる」という彼の能力を述べているというより、「〜することがあり得る」という意味になるでしょう。
apparent は形容詞で「明白な」という意味ですが、副詞として -ly がついた apparently になると「どうやら〜らしい」という意味になります。
モニカの生まれる前の話なので、モニカは実際にそれを知ってるわけでも見たわけでもないけれど、どうやらこういうことみたいね、と表現していることになります。
私が生まれる前に、王子様(プリンス)の祝賀行事のような、何らかの大きなセレモニー(儀式、式典)があったらしい、とモニカは言っています。
そのセレモニーの後、私が生まれたのよ、ということですが、つまりは、両親が大きなセレモニーをした結果、私を身ごもることになったのね、と言いたいのでしょう。
自分(モニカ)を妊娠することになったエッチのことを、人々が浮かれて騒ぎ盛り上がる「大きなセレモニー」に例えたのかなぁ、と思います。
チャンドラーは窓の外を見ながら、Ew, ew... と言っています。
ew は、いやなもの、気持ち悪いものを見た時に発する擬音語で発音は「イウ、エウ」。
日本語で言うところの「気持ち悪い、ウエ、オエ、げーっ」という感じです。
Ugly Naked Guy は、DVDの日本語では「裸のブ男」と訳されているキャラクター。
今回セリフに初めて登場しましたが、向かいのビルに住んでいて、時々窓からその様子が見えるので、これからもちょくちょくセリフに登場することになります。
thigh は「太もも」のことで、ThighMaster は「膝にはさんで両側から押すことで太ももをシェイプし鍛える器具」の名前。
大文字で始まっていることからも、固有名詞(商品名)であることが想像されますね。
このように、「フレンズ」では、実際に存在する商品名がしばしば登場します。
そういう商品名は、Google画像検索で thighmaster と入れて検索すると、すぐに商品画像がヒットしてくれますよね。
今回の ThighMaster も、レオタード姿のおねいさんたち(笑)が、太ももの間にその器具を挟んでいる画像などがヒットします。
商品の詳しい説明は、以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Thighmaster
インフォマーシャルでは、「テレビを見ながら太ももをシェイプできる」ことをウリにしていたようです。
検索画像で出てきたような、レオタード姿の女性が使っている姿を目撃したのなら、チャンドラーも Wow! と喜んだのかもしれませんが、セリフにあるような「裸のブ男」が太ももにサイマスターを挟んでいる姿を見た日には、やはり「うぇ〜」という反応になるでしょうね^^
上の Wikipedia の説明にあるのですが、90年代には、Suzanne Somers さんという女優さんが ThighMaster の宣伝をしていたそうです。
その Suzanne Somers さんという女優さんについてはこちら。
Wikipedia 英語版: Suzanne Somers
Spokeswoman for the Thighmaster という項目もあるほどで、サイマスターの宣伝の件は有名なようですが、同時にこの女優さんは、Three's Company の Chrissy Snow 役で有名とのこと。
Three's Company は、2つ前の記事、何かしらの誤解があるエピソード フレンズ1-2改その6 に出てきたばかりですよね。
「裸のブ男が使っているもの」として、インフォマーシャルでよく見かける、誰もが知ってる美容健康器具を出してきたというのもあるでしょうが、ちょうどこのモニカの部屋でのシーンの最初に、Three's Company をみんなで見ていた、という流れを考えると、もしかしたら、Three's Company つながりで、「 ThighMaster と言えば、Three's Company の女優さんが宣伝してるやつ!」という面白さも盛り込まれていたのかもしれないなぁ、と思ったりもしました。
(2017.1.27 追記)
フレンズ1-2改その6 で、フレンズが Three's Company を見ていた時、"huh! Looks like she didn't leave in such a hurry after all." と言っている金髪女性が映っていましたが、その女性が Suzanne Somers さんが演じる Chrissy Snow というキャラクターでした。
「このキャラクターのセリフだけ」が使われていたことを考えても、Suzanne Somers さん演じるキャラクターのシーンを使った後で、彼女が宣伝をしている器具 ThighMaster の名前を出した、というのは、明らかに「つながり」を意識したものであると思われます。
上の記事では「もしかしたら、かもしれない」と書きましたが、実際には「もしかしたら」レベルではなく、
Three's Company の Chrissy Snow → 演じる女優 Suzanne Somers → 彼女が宣伝している器具 ThighMaster
という連想から来る笑いを強く意図した脚本になっていると、今は思います。
(追記はここまで)
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過去の記事に今更のコメントになって申し訳ありませんが、解説していただけたらありがたいです。
>Apparently they had some big ceremony before I was born.
のところがどういうニュアンスで両親が所謂“いたした”という風に聞こえたのかが私にはしっくりきませんでした。
私は「彼がPrinceになるセレモニーでもあったのでしょう(そう大袈裟に言いたくなるくらい彼は特別扱いを受けている)」、
「私が生まれる前の事だから勿論私はセレモニーを経験していない(私は特別扱いを受けていない)」
というようなニュアンスかと受け取ったのですが。
初めまして。過去の記事をお読みいただきコメントいただけること、とても嬉しいです。ありがとうございます。
セレモニーの部分、DVDの日本語訳には「いたした」ニュアンスは出ていませんでしたが、この英文を聞くと、私にはそのようなニュアンスが感じられるのですね。
この一連のモニカのセリフですが、That's because as far as... 以降かなり長いセリフをしゃべっていますが、その間、特に観客の反応はなく、最後の before I was born の後に結構な笑い声が起こっています。
その笑い声のタイミングからも、before I was born の部分が「オチ」だと考えられる気がします。
「ロスはプリンスなのよ。どうやら私が生まれる前にロスがプリンスになる儀式があったようね」のように「儀式=プリンスになる儀式」と解釈した場合、before I was born の後で笑いが起こるほどの面白いオチになっているようには感じないのですね。
「ロスだけが特別扱い」という話であれば「ロスはプリンスなの」だけで済んだ話で、そこにわざわざ「セレモニー」の話を付け加えたのは、その話を違った流れのジョークに持って行くためだったように思うわけです。
また、「私がまだいない時、ロスが一人っ子だった時にロスがプリンスになる儀式があった」と言っていると解釈した場合、それだけでは「ロスにはそういう儀式があったけど、私にはプリンセスになるための儀式がなかった」ということまでは示唆しない気がします。
つまり「私の生まれる前にそういうものがあった」という表現だけでは「私にはなかった」ことを言っていることにはならない、「彼にはそういう儀式があったけど、私にはなかった」と言いたいのならもっと他の言い方をするはずで、むしろ「ロスだけ特別に儀式があった、ロスだけ特別扱いされた」と言いたいのならば、ロスとモニカが二人いる時に「ロスだけ特別扱いされた」エピソードを持ち出すように思うのです。
このセリフは「彼はプリンスなのよね。きっと盛大なセレモニーもあったのよ」みたいに言っているだけのように見せて、最後に「私が生まれる前に」と付け加えたことで「盛大なセレモニーの後、私が生まれた」「盛大な儀式の結果、私が生まれた」ということを言っていることになり、それで観客もこのタイミングで笑っているのだろうと思うわけです。
「ロスはプリンスなの。(ロスがプリンスになる)盛大なセレモニーがあったのよ、私がまだ生まれてない頃にね」という意味ではこのようなタイミングで笑いが起きないように思うのです。
Apparently they had some big ceremony before I was born.
は、
Apparently they had some big ceremony, and then I was born.
のような感覚だと私は捉えたわけですね。
フレンズはエッチがらみのジョークが多いですが、「赤ちゃん・子供が生まれる」という表現からは「エッチした結果、子供が生まれる」という流れが想像されるので、そういう意味でのジョークに使われやすい気がします。
この場合も「私が生まれる前に何らかの盛大な儀式があった」ということであれば「何らかの盛大な儀式があって、その結果、私が生まれた」という風にイメージできるため、そのオチのポイントとなる before I was born のタイミングで笑いが起きたのだろうと思うのです。
エッチがらみのジョークと捉えた方が「フレンズ」のジョークとしては自然だと思いますし、儀式という意味の ceremony も、生まれるという意味の be born も、どちらもエッチを連想させる言葉と捉えれば、「ロスはプリンス。儀式があった。私が生まれる前に」というセリフの流れが、was born を聞いた時点で「エッチの話か!」と繋がり笑いとなる、という、観客のラフトラックのタイミングとも一致するように思います。
上の記事でも「でしょう」「思います」と書いている通り、絶対にそうだ! という確信があるわけではないのですが、今改めて考え直してみても、私としてはやはり同じ結論となりました。
あくまで私の見解なので、参考程度にお聞きいただければ幸いです。
コメントありがとうございました(^^)
私もコメントを書いた後に見返して、やはり気になったのが笑いのタイミングでした。
確かに私の解釈では笑いが起こるのは不自然ですし、またもっと他により適した言い方があるだろう、というのはその通りだと思います。
笑いのタイミング、フレンズというドラマの性格・特色、そのような様々な要素を踏まえた上で
>Apparently they had some big ceremony, and then I was born
というニュアンスで聞こえたということですね。これは納得です。
詳しい解説をありがとうございます。スッキリしました。
こちらこそ、早速のお返事ありがとうございます。
笑いのタイミングの件など、私の書いた説明に共感していただけたこと、大変光栄で嬉しく思います。
スッキリしました、と言っていただけて良かったです♪
ご丁寧なお返事ありがとうございました(^^)