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ジョーイ: Alright, when did you have it on last? (よし、それ(その指輪)を最後につけてたのはいつ?)
フィービー: Doy! Probably right before she lost it. (バカね! 多分、指輪をなくす直前よ。)
チャンドラー: You don't get a lot of "doy" these days. (最近、doy ってあんまり聞かないよな。)
レイチェル: I know I had it this morning. I know I had it when I was in the kitchen with... (今朝、指輪をしていたのはわかってるのよ。私が台所にいた時に指輪をはめてたのを覚えてるわ。一緒にいたのは・・・)
チャンドラー: ...Dinah? (ダイナ?)
when did you have it on last? の it = your engagement ring で、have something on は「〜を on の状態で持っている」という感覚ですから、「〜をつけている」というニュアンス。
この文を直訳すると、「婚約指輪を最後につけていたのはいつ?」と尋ねていることになります。
それに対してフィービーは、Doy! 以下のセリフを言っていますが、Doy! の説明は後回しにして、先に Probably 以下を直訳すると、「多分、彼女が指輪をなくす直前」になりますね。
そのフィービーのセリフには、ジョーイのその質問にあきれているようなニュアンスが感じられるので、「最後につけてたのはいつ?」という質問に対して、「最後につけてた時っていうのは、なくす直前に決まってるじゃない」みたいに答えたことになります。
ジョーイの質問の「最後につけてたのはいつ?」というのは、「指輪が確かに指にあった、と最後に自覚したのはいつ?」というような意図だったわけですが、ここでもフィービーは、質問を文字通りに解釈して、「最後につけてたのは、なくす直前に決まってるじゃん」みたいに答えた面白さになるわけですね。
ここで Doy! について。
その次のチャンドラーのセリフ You don't get a lot of "doy" these days. は「最近、たくさんの "doy" をゲットすることがない」というところ。
この you は一般の人々を表す感覚で、フィービーが Doy! という言葉を使った後の発言ですから、「最近、doy って言葉、あんまり聞かないよなぁ」と言ったであろうと想像できます。
「最近聞かない」→「今はあまり使わない死語」ということになりそうですね。
doy という単語は、手持ちの英和辞典や英英辞典には載っていませんでしたが、ネットスラング辞典の Urban Dictionary には以下のように出ていました。
Urban Dictionary: doy
doy : Kind of means "Wasn't that obvious, huh?"
similar to duh
例) You have to turn the Computer on first, Doy!
つまり、「そんなの言うまでもない[わかりきった]ことだったんじゃないの? え?」のような感じの意味。duh に似ている。
例文は、「最初に、そのコンピュータの電源を入れないといけないんだよ、そんなの当たり前だろ!」
アーバンの説明にあるように「わかりきったことを言わないで」という感覚で、duh と似ているとありますので、duh と同じような意味で今はあまり使わない死語となった言葉が doy ということになるでしょう。
ついでに、duh の方の語義を見ておくと、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
duh also no duh [interjection] (informal) : used to say that what someone else has just said or asked is stupid or unnecessary because it is very easy to understand
例) "You mean I can't park there?" "Duh, that's what the big sign says."
つまり、「誰かがたった今言った、または尋ねたことが愚かで不必要だと言うために使われる、理解するのが非常に簡単であるという理由で」。例文は「そこには駐車できない、って言うの?」「わかりきったことを言うなよ、その大きな看板にそう書いてあるだろ」。
普通はこのように、Duh と言うのに、フィービーが Doy と言ったため、「最近 doy って聞かないよな」→「 doy って死語だよね」と言ってみせたわけですね。
レイチェルは「今朝、その指輪をしていた(指にはめていた)のはわかってるの」と言い、今朝をもう少し具体的に言い換えて、when I was in the kitchen with... 「私が〜と一緒にキッチンにいた時」と表現しています。
with... のように、一緒にいた人は誰だったか思い出そうとしている感じなので、「私はキッチンにいて、その時一緒にいたのは(確か)、、、」みたいな感覚ですね。
そのセリフの後、チャンドラーは、Dinah? と続けています。
「ダイナ」というのが女性名であることは何となく想像できるのですが、このシーンまでの中でフレンズにダイナという人は出てきていません。
「その時、君はダイナと一緒だった?」のように唐突に「ダイナ」という女性名が出てきたのは、有名な英語の歌に、Someone's in the kitchen with Dinah という歌詞があるから。
その歌の英語での原題は、I've Been Working on the Railroad で、日本では「線路は続くよどこまでも」として知られている歌です。
レイチェルが、...in the kitchen with.... と言ったので、有名なその歌詞の通りに、in the kitchen with Dinah と続けてみた、ということになります。
Wikipedia 日本語版: 線路は続くよどこまでも には、オリジナルの英語の歌詞と共に、その原詩の日本語訳が載っています。
原詩の直訳は、我々が童謡として知っている歌詞とは全然イメージが違うところも興味深いです。
また、このフレーズについて、過去記事のコメント欄で情報を教えていただいたのですが、アメリカの有名な歌手であるダイナ・ショア(Dinah Shore)さんの番組の料理コーナーから派生して、Someone's In The Kitchen With Dinah というタイトルの料理レシピ本が1971年に出版され、話題になったとのこと。
Amazon.com にもありました。
Amazon.com: Someone's In The Kitchen With Dinah: Dinah Shore's Personal Cookbook Hardcover – August, 1971 by Dinah Shore (Author)
まさに「ダイナ」さんの料理本だったので、有名な歌のフレーズを使って「誰かがダイナとキッチンにいる」という本のタイトルにした、ということなのだろうと思います。
有名な歌詞の一部である someone's in the kitchen with Dinah というのは、みんなが知っているものなので、本がそのタイトルだとくすっと笑えてしまう、ということでしょうね。
コメント欄で、ダイナ・ショアのファンの方から教えていただいた情報によると、ダイナさんが亡くなったのは「フレンズ」放送開始の 1994年で、そのため「台詞にダイナに関することを出しても分かる人が多い」とのことでした。
ダイナ・ショアさんの料理本をどれほどの人が認識しているか、というのを知るのは難しいですが、今回のエピソード フレンズ1-2 は 1994年9月29日放映で、ダイナさんは 1994年2月24日に亡くなられていることを考えると、著名人が亡くなられた直後には、その方の経歴や業績などが紹介されることも多いだろうと思うので、今回のセリフは「ダイナ・ショアさんの料理本のタイトル」のイメージも入っているのかもしれません。
そして、その本のタイトルが、I've Been Working on the Railroad の歌詞から来たことは確かだろうと思うので、そういう意味では、この歌がこのセリフの「本当の元ネタ」であることも間違いないと言えるでしょう。
ということで、整理しますと、
1. 「線路は続くよどこまでも」の原曲 I've Been Working on the Railroad の歌詞 someone's in the kitchen with Dinah
2. 有名な歌手ダイナ・ショアさんの料理本のタイトル Someone's In The Kitchen With Dinah
というものが存在して、フレンズ放映の年にダイナ・ショアさんが亡くなっていることから、その料理本のイメージを思い浮かべる人がいるかもしれない、つまり、脚本家が、亡くなったダイナ・ショアさんを意識して、セリフにこのフレーズを使ったのかもしれない、という可能性が一つ。
その料理本のイメージが湧かない人でも、その本のタイトルの元ネタが歌詞にある、I've Been Working on the Railroad という歌は知っているはずなので、このセリフについては基本的には「I've Been Working on the Railroad の歌詞に出てくるフレーズである」という理解でよいということになる気がしました。
(フレンズ1-2 の過去記事への追記について)
非公開コメントにて、何かしらの誤解があるエピソード フレンズ1-2改その6 の Three's Company のシーンは、2-4 (Season 2 Episode 4) の Strange Bedfellows というエピソードであると教えていただきました。
そのエピソードの内容と前後の流れを確認し、"Huh! Looks like she didn't leave in such a hurry after all." の解釈について、その記事に追記しています。
また、このセリフを言っていたのが、Suzanne Somers さん演じる Chrissy Snow というキャラクターであるため、
Three's Company の Chrissy Snow → 演じる女優 Suzanne Somers → 彼女が宣伝している器具 ThighMaster
の流れで ThighMaster という器具をセリフに出したのは明白であると改めて実感しました。
その件についても、太ももをシェイプする器具 フレンズ1-2改その8 に追記しています。
併せてお読みいただければ幸いです。
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モニカ:Look, It's gonna be okay. You're gonna give it back to him, it'll all be over, and we'll eat a lot of ice cream.
このようにレイチェルを安心させるようなことを言います。そうするとレイチェルは指輪探しのために
レイチェル:Okay, okay. It's a little pear-shaped diamond--.
と婚約指輪の形状を詳しく説明しようとするのですが、それをさえぎってモニカが
モニカ:I'll tell you what. Any diamond ring we find, we'll run it by you.
この部屋にダイヤモンドの指輪なんてあなたのしかないから、というようなことを言って二人の育ちの違いをほのめかしています。
ちなみに米国版は字幕が甘いので間違っていたら勝手に意味を取ってもらえればありがたいです。
コメントありがとうございます。お返事大変遅くなり、誠に申し訳ありません。
日本語版ではカットされていた米国版のセリフの情報、ありがとうございます。
Any diamond ring we find のくだりに、二人の育ちの違いがほのめかされている、というのは確かに面白いですね。
貴重な情報ありがとうございました<(_ _)>