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SCENE 3: CENTRAL PERK (ALL PRESENT)
シーン3: セントラルパーク(全員がいる)
ジョーイ: Your folks are really that bad, huh? (お前ら[ロスとモニカ]の両親は本当にそんなにひどいのか?)
ロス: Well, y'know, these people are pros. They know what they're doing. They take their time. They get the job done! (そうだな、ほら、この人たちはプロなんだよ。自分たちが何をしているかわかっている。彼らは時間をじっくりかける。彼らは仕事を成し遂げるんだよ!)
モニカ: Boy, I know they say that you can't change your parents. Boy, if you could, (TO ROSS) I'd want yours. (あーあ。両親は変えられないって言うものね。あぁ、もしそれが可能なら [ロスに向かって] 私はロスの両親が欲しいわ。)
モニカはロスを指さし、ロスは「うまいこと言うねぇ」という顔でお返しのようにモニカを指さす。
妹モニカのおでこに、んーまっ! という感じでキスをしてから、
ロス: Must pee! (GOES TO PEE) (おしっこしなくちゃ。[おしっこをしに行く])
前回の記事で説明したように「人々」という意味の folks は、ここでは「両親」の意味で使われています。
「二人の親はそんなにひどいのか?」と言われ、ロスは「この人たち(僕の両親)はプロなんだ」と言っています。
pros の英語の発音は「プロゥズ」という感じ。
o が [ou](オゥ)という二重母音の発音なので「プロズ」ではなく「プロゥズ」になるわけです。
know what they're doing は「自分たちがしている・やっていることをわかっている」、つまり、「考えて、わかってやっている」。
無目的に行動しているのではなく、自分たちの行為の意味を承知してやっている、というニュアンス。
take one's time は「急がずにゆっくりやる、注意深くゆっくりやる」。
両親たちは、親のプロとして、自分のペースできっちりと仕事をこなしているんだ、と言っていることになります。
boy というのは間投詞。興奮、歓喜の時にも使いますし、失望した時にも使います。
この場合は、失望で、自分の身の上を嘆いている、というところ。
they say は、「世間の人々がそう言う」という感覚。
世間でよく言われているように、人は自分の両親を変えられないのだ、ということです。
you can't change your parent. if you could の you は、「あなた」ではなくて、「一般の人々」を指しています。
「人というものは、自分の両親を変えることは不可能だ」とよく世間では言われている、ということですね。
I'd want の 'd は、would です。
if you could は、両親を取り替えることは不可能だけど、もし取り替えることができるなら、というニュアンスで、仮定法過去の could が使われています。
I'd want yours は、ロスの両親と私の両親を交換したいと思う、「私は(自分の両親じゃなくて)ロスの両親が欲しい!」ということですね。
if you could, I'd want のように、if節と帰結節で主語が異なっていますが、if節の方は、「人がもし自分の両親を変えることができるとしたら」のように、一般的な人を主語にして語っていて、もし人・人間がそういうことをするのが可能な場合には「私は」と、自分の望むことを言っているのが、帰結節の I'd になります。
ロスとモニカは実の兄妹なので、両親は同じです。
ですから、両親を交換しても、結局同じ両親になるのですが、ロスに対する態度とモニカに対する態度がぜんぜん違う、ロスにとっては素敵な親で、モニカにとってはいやな親、だから、ロスに対するように私にも優しく接してくれる親が欲しいわ、と言っているのですね。
兄妹だから同じであるはずの両親を取り替えっこしたい、と言うことで、二人の子供に対する扱いが違うことをモニカは言っていることになります。
Must pee! は I have to pee. ということで「おしっこしなくちゃ」。
「トイレに行かなくちゃ、トイレに行ってくる」という意味ですが、フレンズたちはよく pee という単語を使います。
元々、piss 「おしっこをする」という単語があって、その言葉は卑語なので、最初の文字 p を取って、pee という単語が出来たとのこと。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) の語源(Etymology, Word Origin)にも、From the first letter of piss と説明されています。
アカデミックな辞書である LAAD には、piss という単語の項目がありませんので、それを考えてもやはり piss は卑語であると判断できるでしょう。
Macmillan Dictionary では、
piss (impolite) : to get rid of waste liquid from your body. A more polite word is pee or wee. The formal word is urinate.
つまり、「(不作法な・失礼な言葉) 体から液体の排泄物を出すこと。より丁寧な言い方は pee または wee で、改まった(正式な)言葉では、urinate(小便をする、排尿する)」。
この語義説明を見ると、pee は piss ほどお下品ではないことがわかりますね。
ただ、piss の頭文字を取った「ピー」なわけですから、やはり「おしっこをする」という直接的な表現であるとは言えるでしょう。
フレンズたちは友達同士なので、そういう直接的で子供っぽい言い方をしている、ということでしょうから、通常は「トイレに行く(go to the bathroom/restroom)」のような表現を使う方が無難だということになるでしょうね。
(2017.2.22 追記)
Must pee! の must と have to の違いについて、非公開コメント欄にてご意見とご質問を頂戴しました。
いただいたご意見では、プログレッシブ英和中辞典の説明が引用されていて、その説明は以下のようなものでした。
must が話者が課する義務を示して話者の主観や信念を含むのに対し、have to は周囲の事情が課する義務[外的強制]を示すところにニュアンスの差がある。
しかし、have to は must より柔らかい感じを伴うので、口語では must より好まれる傾向がある。
このような must と have to の違いについて、私がどのように感じるか? というお尋ねでした。
ちょうど must と have to の違いを考える良い機会だと思いますので、以下に違いについての私の見解を書かせていただきますね。
私の手持ちの英和では、研究社 新英和中辞典に、以下の説明がありました。
(1) must は過去形としてまたは他の助動詞の後などでは用法に制約があるので have to が代わりに用いられる
(2) have to は must よりも客観的な事情による必要を表わすのに適するし、響きが柔かい
両方の英和の説明を総合すると、
・用法に制約がある場合には、have to が用いられる(例えば、will must ではなく、will have to を使う、など)。
・「響きが柔らかい」のを求める場合には、have to が用いられる。
と言えますね。
「代わりに使える」ということは、「置き換え可能な程度の違い」と言えることになるでしょう。
また、ニュアンスの違いについては、have to は「周囲の事情が課する義務・外的強制」「客観的な事情による必要」と説明されていますね。
今回の「おしっこしなくちゃ」というものは、誰かにしろと強制されるものではなく、内的欲求(笑)ですから、どちらかと言うと、must の方がニュアンス的には近いのかな、と思います。
ただ、(エピソードとしては先になりますが)このブログの過去記事で、pee がらみのセリフを調べてみると、ほぼすべてが have to pee の形になっていました。
(例)I really have to pee. / I have to pee so bad! / What if we have to pee?
表現としてはむしろ、今回のような Must pee. (I must pee.) のような言い方の方が珍しい感じで、フレンズたちはトイレに行きたい時には、もっぱら I have to pee. のように have to を使うことが多いように感じます。
これは深読みかもしれませんが、柔らかい have to よりも、よりフォーマルな感じの must を使うことで、また、「話者が課する義務」=「内なる欲求」ということなら must を使うのが厳密には正しい、という言葉の選択をすることで、ロスという人物が真面目でお堅い感じのキャラであることを示した、という効果があるのかもしれないなぁ、と思いました。
(追記はここまで)
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have to pee の方が例が多いのは、さしせまった尿意が「周囲の事情」だからでしょう。
ロスは、モニカの不満を自分ではどうすることもできないので、「話題が変わるまで席を外していよう」という意味で must pee (自発的に pee が必要と確信している) と言ったのではないでしょうか。
昔、ある語学番組で must と have to には次のような使い分けがあるという話をやっていました。
must: 主観的・内発的な動機 have to: 客観的・外部的な動機
例えば、「私は勉強しなくてはいけない」と言うとき、「立派な人になりたいから」という内発的な動機であれば must を使い、「親に叱られるから」という外部的な動機であれば have to を使うというような内容だったと記憶しています。
この基準でいくと、尿意というのは自分の意志や意欲ではコントロールできない外部的な動機です。したがって通常は have to pee を使うのが自然です。ロスがあえて must pee を使っていることには、文脈から何か相応の理由があると考えられます。非公開で質問された方は、このあたりのことが気になったのではないでしょうか。
こんにちは。コメントありがとうございます。
「尿意というのは自分の意志や意欲ではコントロールできない外部的な動機」というご意見を読ませていただいて、私も「そうかもしれない、、」といったんは思ったのですが、その後、それに関係する興味深い例文を見つけましたので、以下にそのことを書かせていただきます。
(引用開始)
「現代英文法講義」(安藤貞雄 著、開拓社)の p.290
<義務・必要>の have (got) to は、外部的な事情によって主語が何かをする義務を課されているという意味を表す。
一方、must は、おもに話し手が義務を課すことを表す。
(2) a. I've got to see the dentist tomorrow. (あすは歯医者へ行かなければならない)[予約しているので]
b. I must make an appointment with the dentist. (歯医者と予約しなければならない) [歯が痛いので] (以上 Swan 1980)
(引用終わり)
ちなみに、Swan というのは引用文献「著書・論文」一覧に出ている以下のもの。
Swan, M. (1980, 1995) Practical English Usage, Oxford University Press, London.
b. の文では must が使われていますよね。「歯が痛いので」というのは「おしっこをしたいので」という尿意と同じ類の理由(生理現象)に当たると感じます。
歯が痛いことも「自分の意志や意欲ではコントロールできないこと」ですが、その場合でも、上の例文のように must を使うのであれば、今回の pee についても「本来は」must を使うべきと言えるような気がしました。
must の「話し手が義務を課す」という説明については、同じく「現代英文法講義」p.287 の MUST の項目に以下のように説明されていました。
(引用開始)
<強い義務・必要>の must は、話し手が、自分自身に、または 2,3人称に、ある行動をする義務・必要があると考えていることを表す。
Swan(1995: 343)によれば、<米>の、特に話し言葉では、have to のほうが好まれる。
(引用終わり)
この説明を当てはめると、歯医者の例文は、「歯が痛くて我慢できないので、「自分が歯医者を予約する」という行動をする必要があると、話し手である自分(I)が考えている」ということになりますね。
今回の Must pee. も「尿意があるので、「自分がトイレに行って用を足す」という行動をする必要があると、話し手である自分(I)が考えている」と説明できるように思いました。
実際にフレンズのセリフを検索した際、must pee ではなく、have to pee がヒットしたのは、上に引用した「<米>の、特に話し言葉では、have to のほうが好まれる」ということで説明できるように思います。
pee に限らず、「しなければならない」と言いたい場合には、フレンズでは圧倒的に have to または gotta (= have got to) が多く、must が使われているのは「〜に違いない」という意味が多いと感じますので、「米の話し言葉では、have to が好まれる」という説明には納得するものを感じます。
今回の場面を見ると、モニカの不満については「ロスの両親が欲しいわ」と言った時点で和やかな感じになっており、ロスがモニカのおでこにキスした時点で、兄妹の間に気まずい空気はなくなっているように見受けられます。ですから「席を外すね」という意味で言ったようには私は感じませんでした。また「席を外さなければいけない」という自分の意志であるとした場合には、Must go to pee. または、Must go pee. のように、「ここを離れてどこかに行く」という go のような動詞を使うようにも思います。
トイレに行かないといけないのは、その後の「帰ってきたら真っ暗で、レイチェルと二人きりになっている」という場面につなげるための演出ですが、ロス自身は本当にトイレをしたいという意味でそのセリフを言ったはずで、実際に用を足して戻ってきたら電気が消えていてびっくりした、という流れになっていると思います。モニカのために席を外したのなら、「あぁ、モニカは帰ったんだね」みたいなセリフが一言あってもよさそうですが、「トイレで用を足してただけなのに、長い時間が経ったみたいに真っ暗でびっくりした」という反応でしたから、やはり本当にトイレをしに行ったと考えるのが自然な気がしました。
あくまで私はそう感じた、ということにすぎませんので、参考までにお聞きいただければ幸いです。
Swan の Practical English Usage (2nd) を読んでみたところ、プログレッシブ英和中辞典の説明からは思いもよらぬことが書かれていました。
一つは、この must と have to の使い分けが英国英語についての話であるということです。米国では誰もこの使い分けをしないというわけではないと思いますが、意外でした。
もう一つは、Swan は must の意味を「必要」と「義務」に分けていることです。 must と have to の使い分けは「義務」についての話で、歯医者の予約のほかにも次のような例がのっています。
I must stop smoking. (I want to.)
I've got to stop smoking. (Doctor's orders.)
This is a terrible party. We really must go home.
This is a lovely party, but we've got to go home because of the baby-sitter.
いずれの動詞も、遂行することも回避することもできるから「義務」なのであって、 urinate の意味の pee は、「義務」というよりは「必要」に属することのように思えます。
一方、go to the bathroom からの連想で、must pee は場を離れる口実のようにも感じられます。この場合は、「義務」として使い分けの可能性が残ることになります。
こんにちは。コメントありがとうございます。
先に引用させていただいた、「<米>の、特に話し言葉では、have to のほうが好まれる」という説明通り、また、実際にフレンズなどのアメリカのドラマを見ていても、米国英語では、辞書などで説明されているような must と have to の使い分けはあまり感じない気がします。
また、must を「義務」と「必要」に分ける件については、私も前のコメントで、
尿意があるので、「自分がトイレに行って用を足す」という行動をする必要があると、話し手である自分(I)が考えている」
のように「必要」という言葉を特に意識せず使っていました。やはり pee は「義務」よりは「必要」だと考えられますよね。
Swan の例文で、「痛みなどの生理現象に対処するための行動の必要」を must で表現できることが示されているので、言葉通りの「尿意を催した」ことに対しての「必要」だと捉えるのが、一番自然で納得できる解釈だと思います。