ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。


3:26
チャンドラー: All right. Now, don't think of it as a cigarette. Think of it as the thing that's been missing from your hand. When you're holding it, you feel right. You feel complete. (よし。ほら、それをタバコだと思うな。それを、自分の手からずっと失われていたものだと思うんだ。それを手に持っている時、正しいと感じる。完璧だと感じるんだ。)
ジョーイ: You miss it? (それが恋しいの?)
チャンドラー: No, not so much. All right. Now we smoke. (TAKES A PUFF) Oh, my God! (CONTINUES TO SMOKE) (いや、そんなにはね。よし。じゃあ吸うぞ。[タバコをふかす] あぁ、たまんない! [タバコを吸い続ける])
ジョーイからタバコを受け取ったチャンドラーはそれを手にしながら、don't think of it as... のセリフを言っていますね。
「それを〜として考えるな」「それを〜だと思うな」ということで、最初に「それをタバコだと思うな」と言った後、the thing that's been missing from your hand だと思え、と続けます。
この missing は「あるべきところにない、いるべきところにいない、なくなっている、失われている、行方不明である」という意味の形容詞。
LAAD では、
missing [adjective] : something that is missing is not in its usual place, so that you cannot find it
例) Three buttons were missing from his shirt.
つまり、「missing であるものは、そのいつもの場所にない、よってそれを見つけることができない」。例文は「彼のシャツからボタンが3つ、なくなっていた」。
今回のセリフも、missing from の形が使われていて、「手からなくなっていたもの」という意味になります。
thing that's been missing は、thing that has been missing で、「ずっとなくなっていた、失われていた」。
「あるべきいつもの場所が hand であって、そこから長らく失われていた、長い間そこにいなかった」と表現しているわけですね。
feel right は「正しいと感じる」、feel complete は「完璧だと感じる」。
手から失われていた it を、今こうして手に持っているから、あるべき場所にそれはある、それは「正しい、完璧だ」と思える感覚なんだよ、ということですね。
「長い間手から失われていたものがこうして戻ってきた」という言い方から、やはりチャンドラーは「昔タバコを吸っていたけれど、禁煙して今はやめている」ことがわかりますし、ジョーイがチャンドラーにタバコを渡すのを躊躇していたこととも繋がります。
You miss it? の miss は他動詞で「〜を恋しい、〜がなくて寂しく思う」。
I miss you. なら「あなたがいなくて寂しい」ですね。
この「恋しい」という意味の miss は、LAAD では、
miss
3. FEEL SAD ABOUT SOMEBODY to feel sad because someone you love is not with you
4. FEEL SAD ABOUT SOMETHING to feel sad because you do not have something or cannot do something you had or did before
つまり、3. は「自分の愛する人が自分と一緒にいないので悲しく感じること」。4. は「以前に持っていたものを持っていない、または以前にしたことをできないので、悲しく感じること」。
missing の説明の際に、not in its usual place 「いつもの場所にない」という語義説明を紹介しましたが、「過去に持っていたものを今は持っていない、以前にしたことを今はできない」という他動詞 miss の感覚が、「あるべき場所にない」という missing に繋がっているのがよくわかりますね。
チャンドラーがタバコを手に持ちながら、明らかにタバコへの愛しさを語っているので、ジョーイは「それ(タバコ)が恋しいの?」と尋ねたのですが、チャンドラーは、No, not so much. 「いや、そんなにはね。そんなに恋しい[なくて寂しい]わけじゃないよ」と答えます。
言葉では「いや、それほどでもないよ」と言っているわけですが、渡した方のジョーイは、ちょっと目を見開いて、「よくそんな嘘を言うよ」というような顔をして、「やべぇ、面倒なことになった」といった風に髪をかき上げています。
Now we smoke. のように主語が we になっていますが、これは恐らく、ジョーイ演じる役柄のために演技をつけている、タバコを吸う姿のお手本を見せてやっている、という感覚から、「さあ、今から吸うからしっかり見てろよ」というように、ジョーイも巻き込む感じ、ジョーイも一緒にそれを体験して欲しい感覚で、we を使っているように思いました。
過去記事、医者が使う親身のwe フレンズ1-2改その33 では、「親身の we」について説明しました。
you の代わりに we を使うことで、話者である I をその中に含めて一体感を出し、相手の立場に立って親身になっていることを表す用法で、「医療関係者が患者に」「親が子供に」「先生が生徒に」対して用いるものです。
今回の場合は、本来の主語が Now I smoke. のように I になるべきところなので、厳密にいうと、「you の代わりに we を使う”親身の we"」とは異なるでしょうが、本来の主語の I に you を巻き込んで we と表現することで、「さぁ、一緒にこうしようね」と「先生が生徒に」言う感覚に近いような気がします。
タバコをふかした後、チャンドラーは「たまらない」という顔をしていますね。
その後、もう一度吸っているところでそのシーンは終わりますが、ジョーイに演技をつけるのも忘れて、この後もタバコをスパスパ吸っているんだろうなと思わせる描写となっています。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。

