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6:25
モニカ: All right. I'm gonna go change. I've got a date. (よし。私は着替えに行くわね。デートがあるの。)
レイチェル: Is this Alan again? How's it going? (これってまたアランなの? どんな感じ?[どんな風に進んでるの?])
モニカ: It's going pretty good, y'know? It's nice and we're having fun. (かなりいい感じに進んでるわ。素敵で(いい感じで)私たち楽しんでるわよ。)
ジョーイ: So when do we get to meet the guy? (それで、俺たちはいつ、その男[モニカのデート相手]に会えることになるんだ?)
モニカ: Let's see, today's Monday.... Never! (そうねぇ、今日は月曜日だから…絶対に会えないわ!)
みんな: Oh, come on! Come on! (あぁ、いいだろ! いいじゃないか!)
モニカ: No. Not after what happened with Steve. (だめよ。スティーブに起こった出来事の後では無理ね。)
チャンドラー: What are you talking about? We love Schteve. Schteve was schexy! Sorry. (何言ってるんだよ? 俺たちはシュティーブを愛してる! シュティーブはシェクシー! ごめん。)
モニカ: Look, I don't even know how I feel about him yet. Just give me a chance to figure that out. (ねぇ、私はまだ、彼について自分がどう感じているかさえわかってないのよ。ただそれをわかるための機会(チャンス)を私にちょうだい。)
レイチェル: Well, then can we meet him? (それで、その後、私たちは彼に会える?)
モニカ: Nope. Schorry. (いいえ。ごめんなしゃい。)
go change は「服を着替えに行く、着替えてくる」。
change は「変わる、変化する」ですが、change だけで「服を着替える」という意味でよく使われます。
go change は、go to change 「着替えるために行く、着替えに行く」、または、go and change 「行って、着替える」という意味ですが、セリフのような口語では、go change のように to や and が入らない形で使うことが多いです。
I've got a date. は、I have got a date. ということで、have got は have と同じ意味ですから、I have a date. 「私、デートがあるの」ということ。
レイチェルは相手のアランの名前を聞いたことがあるようで、「またアランとのデートなの? 二人は今、どんな感じで進んでるの?」と尋ねます。
have fun は「楽しむ、楽しい時間を過ごす」。fun は不可算名詞で「楽しみ、面白いこと」という意味。
So when do we get to meet the guy? の get to meet は「会えるという状態になる」という感覚なので、「それで俺たちは、(アランっていうモニカが付き合ってる)その男性に、いつ会えることになるわけ?」と尋ねていることになります。
Let's see は「うーんと、えーっと」と何かを考える時に出てくる言葉。
「うーんと、今日は月曜日だから、、」と言えば、都合の良い曜日を考えているように聞こえますが、その後の言葉は never 「決して・絶対に会えない」なので、モニカはただ曜日を考えているふりをしていただけで、元々、彼をフレンズたちに会わせる気などなかったことがわかります。
みんなが、Come on! 「いいだろ、いいじゃないか、なあ!」という感じで促しても、モニカは No. Not after what happened with Steve. と言って会わせることを拒みます。
Not after what happened with Steve. は「スティーブに起こったこと(出来事)の後ではダメ」ということですから、「スティーブとああいうことがあった後では、あなたたちは私のデート相手に会うことは無理よ」と宣言されたことになります。
そのモニカの言い方から、「スティーブという人と付き合っている時に、フレンズたちに彼氏を二度と紹介したくない、と思うようなことが起こった」ことが想像されます。
「あのスティーブとの一件」のように持ち出したモニカに対して、チャンドラーは「何言ってるんだよ」と言った後に、We love Schteve. Schteve was schexy. と言っています。
この部分、DVDの英語字幕では、We love Steve. Steve was sexy! と書いてあり、意味もそういうことなのですが、
ネットスクリプトでは、We love Schhteve! Schhteve was schhexy!
Netflix では、( imitates Lisp ): We loved Schteve. Schteve was schexy.
と表記してありました。
(ちなみに、Netflix の loved という過去形は間違いで、love という現在形が正しいと思われます)
スティーブ、セクシーという言葉をそれぞれチャンドラーは「シュティーブ、シェクシー」と発音しているので、その発音を忠実に文字化したものが、Schteve, schexy になるということですね。
Netflix の英語字幕にある、( imitates Lisp ): というのは、音に関するト書きで、lisp というのは「舌足らずの発音・話し方」という意味なので、imitates Lisp は「舌足らずの話し方を真似る」という意味になります。
ちなみに、Netflix の英語字幕は、メニューに「字幕 英語 [CC] 」と表記されているのですが、CC というのは closed captioning(日本語では「クローズドキャプション」と訳される)という字幕システムのこと。
詳しくは以下のウィキペディアで↓
Wikipedia 日本語版:クローズドキャプション
CC は基本的には、DVDの英語字幕のように「セリフ」が表記されているのですが、それ以外にも上のウィキペディアでも説明されているように「聴覚障害者のために音楽や効果音が記号や文字でテレビ画面に表示されることが特徴」となっています。
今回のセリフで Netflix で表示されている ( imitates Lisp ): というト書きも、文字だけではイメージが伝わりにくい部分をト書きで補完している形ですね。
日本でもテレビがデジタル放送になってから字幕放送の番組が増えましたが、その場合もよく効果音などが字幕として入っていたりもします。
以上、「Netflix の英語字幕に入っているト書きは、もっぱら音に関するト書きである」ということを、この機会に説明させていただきました。
lisp というのは「舌足らずの発音・話し方」という意味だと説明しましたが、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
lisp [verb] : to pronounce "s" sounds as "th" when you are speaking
つまり「話す時に、s の音を th のように発音すること」。
この語義の通りだと、sing 「歌」が、thing 「こと、もの」のように聞こえる発音ということになりますね。
Macmillan Dictionary にも、「s を th と発音すること」と説明されていますので、lisp の定義はそういうことのようですが、チャンドラーのセリフは、Th-teve や、thexy ではなく、s が sh (シュ、シェ音)になっているパターンなので、厳密に言うと lisp とは少し異なるということになるのかもしれません。
今回のセリフについては、s が本来の発音ではなく、少し舌足らずになってしまう感覚として理解すればいいでしょう。
日本語の発音でも「さしすせそ」が「しゃししゅしぇしょ」になってしまう人がいますよね。
アメトーーク!の「滑舌悪い芸人」にも登場し、今は吉本新喜劇にも出演されている(元「ハム」の)諸見里(もろみざと)さんなどが有名でしょうか(吉本では、滑舌の悪さをツッコまれると「かちゅじぇちゅ、いいんでしゅけど(滑舌いいんですけど)」と答えるのがお約束)。
「俺たちはみんなスティーブのことが好きだし、彼はセクシーな男だったじゃないか!」と言葉上では褒めているのですが、チャンドラーがわざとそういう発音を真似して、「俺たちはシュティーブが大好きだよ。シュティーブはシェクシーじゃん」みたいに言っているということは、そのスティーブという男性が「ス」を「シュ」と発音する人で、モニカと付き合っていた当時、フレンズたちはそのことをネタにしてからかった、ということが想像されます。
その発音をすることで、「彼はこんな発音をする人だったよな、あの時みんなで彼の真似をしたよな」と言っているわけですね。
そんな風に、昔、彼の発音をからかわれたり、ジョークにされたりしたことが嫌だったのでしょう、「そういうことを言ってからかうから嫌なのよね」という顔でモニカはチャンドラーをにらみ、チャンドラーは素直に Sorry. 「ごめん」と謝ります。
モニカが「彼について自分がどう感じているかまだわかってさえいないのよ。それがわかるためのチャンスをちょうだい」と言うと、レイチェルは「じゃあ、その後(つまり、彼に対する気持ちについてモニカ自身がわかった後)には、彼に会える?」と尋ねます。
Nope. は「いいえ」という No. の意味の口語体。Yes の口語体は、Yep になります。
Yep. Nope. はどちらもラフな感じの返事になります。
Nope. と否定していることから、「自分の気持ちがはっきりしたとしても、やっぱりあなたたちには会わせない」と言っていることがわかりますね。
そして、このモニカのセリフは、最後の Schorry. がオチになっています。
そんな風に、sch の発音をネタにするような人たちには会わせたくないわ、ということを、モニカの方も、sch- の発音を強調することで伝えているのですね。
日本語風に言うと、「ごめんなシャいね〜」みたいな感じでしょう。
コメディの脚本として、この一連のやり取りを見てみると、s- を sch- と発音する男性の名前として、わざと、s- の入った Steve という名前にしたのでしょうね。
褒め言葉もいろいろある中で sexy を使ったのも、その sch- 発音が際立つように、、ということでしょう。
そして、チャンドラーはモニカがにらんでいるのを見て、Sorry. と謝るのですが、この時のチャンドラーは、Sorry に s- が使われているにもかかわらず、普通に発音していました。
これは本当に「ごめん」という反省の言葉として述べていることになりますね。
そして「フレンズたちはモニカの彼氏に会いたいと思っている」という願いを却下する時の最後の最後に「モニカの方が」ショーリーと特徴的な発音を使って返す、というオチになります。
チャンドラーが謝った時に、Sorry. を ショーリーと言ってしまうと、この最後のモニカのセリフで笑えませんので、チャンドラーの Sorry ではショーリーと言わずに温存しておいた、という感じがします。
普通の会話のように見えて、シットコムとして、つまりコメディとして、笑いどころを考えながら作られ練られている脚本ですから、そういう脚本としての構成の絶妙さ、みたいなものも感じていただきながら楽しんでいただけたらな、と思います。
(2022.6.15 追記)
コメント欄で「lisp は、かなり差別的に感じる人がいる」というご指摘がありました。
このシーンでは lisp をからかうジョークになっていますが、そのような発音になってしまうことを「からかう」というのは確かに差別的な気がしますので、「lisp は、かなり差別的に感じる人がいる」ということを改めてここで明記し、読者の皆様にも注意していただきたいと思います。
(追記はここまで)
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>そのスティーブという男性が「ス」を「シュ」と発音する人で、モニカと付き合っていた当時、フレンズたちはそのことをネタにしてからかった、ということが想像されます。
ここ読んで学生時代にからかわれたことを思い出しました。大学は関西の某私立大学。体育会系のクラブに入部した当初同期の人たちから「全部(ぜんぶ)って言うてみ?」と言われ「臀部(でんぶ)」と答えて笑われました。和歌山県人は意識しないと「ざ行」の発音が「だ行」になってしまうのです。(割と有名だからRachさんは知ってるよね。からかったことないよね!(笑))
ほとんど関係のない話ですみません。
p.s.モニカの落ち、いいと思うのに反応はいまいちのように感じました。いわゆる滑った感じ。
では。
こんにちは。コメントありがとうございます。
>和歌山県人は意識しないと「ざ行」の発音が「だ行」になってしまう
その話、有名ですよね。友達や親戚に和歌山の人がいなかったので、実際に生で聞いたこと(笑)はないのですが、たまたま見ていたテレビ番組「月曜から夜ふかし」でも、「和歌山県「ざじずぜぞ」発音できない問題」というのをやっていたことがあって、さらに記憶に残っています。
その番組では、絶体絶命を「でっ体でつ命」と発音する、何とも可愛らしい和歌山のお母さんが登場されていて、「全然」と書いたフリップに「でんでん」とふりがなを振っておられたので大ウケしてしまったのですが、、。
でもよく考えてみると、関西人も「七条」にふりがなを振れと言われたら、結構な割合で「ひちじょう」と書く人が多いような気がするんですよね。「しつこい」は文字で書く時でも「ひつこい」と書く人多いですし。
今、自分のPCで試しに「ひちじょう」と打ってみたら「七條」という漢字に変換されて驚いたのですが、まさかの関西弁対応!?
「しち」を「ひち」と言ぅてしまう関西人が私としては愛おしいし、「ざ」が「だ」になってしまう和歌山の言葉も柔らかくていいですよねぇ。標準語は標準語として学校で習うとして、そういう各地域の言葉も大切に残していきたいものだなぁ、と改めて思います。
それから、モニカの「ショーリー」は確かにウケがいまいちで、滑った感じですね。チャンドラーが sorry はソーリーと普通に発音したので、逆に後でそのネタを使うことが何となく観客にわかってしまった、、、とか?
楽しいコメントありがとうございました!(^^)
1-03 内
モニカの、
「Let's see, today's Monday.... Never!」
の“Never”が、なんで “Never”なのか分かりませんでしたが
今回のご解説で“解決!”。
チャンドラーの、
「We love Steve. Steve was sexy.」
ですが、レイチェル、フィービー、ロス、3人とも、演技を忘れて本気で笑っている。つまり、よくコメディー映画のエンド・ロールで流されたりする NGシーン集の、あの“NG”の類だと判断したのですが、“まあ、笑うシーンだから、本気で笑っているけど“笑い”には違いないからそのまま使っているんだろう”と思っていました。 チャンドラーの演技があまりに可笑しいから、3人とも本気で(NG自覚で)笑っているのだろうと思いましたが、ドラマの流れの中で、なぜ「We love Steve. Steve was sexy.」が可笑しいのか分からない。 変な発音をしているのは分かるが、笑いの真意が分からないまま、自分の中でお蔵入りになっていました。
今回のご解説により、手品の種明かしみたいに、すっきり解決しました!
ありがとうございました。
なお、“3人が、演技できずに本気で笑っている”というのは私の主観です。
(レイチェルの笑い方が天然。フィービーが上目遣いに、モニカは演技を続けられているかを確認する視線。ロスが下を向いて笑いをこらえている様子。笑う演技であれば、その顔を隠すのは不自然。これらから判断しています)
演技できなくなった表情を使っているのは、全シリーズで、他に記憶がないので、とても印象に残っています。
コメントありがとうございます。
We love Steve. Steve was sexy. は何度聞いても笑ってしまうのですが、確かにその3人も「演技を忘れて本気で笑っている」と感じられますね。
この「シュティーブ、シェクシー」のくだりは、本当によくできた脚本だな、と感心しました。
演技を忘れた素の姿になっているのは、ちょっと私が思い出したところでは、
ボールズ フレンズ3-6その25
ロスが balls という言葉を使ったことに対してのフィービーの反応として、ト書きに
(Lisa almost lost it there) 「リサ・クドローはこらえ切れずに笑ってしまいそうになる」と書かれていたこと。
言い間違いをみんなで責める フレンズ4-11その2
で、チャンドラーが back を black と言い間違えた時、フレンズたちがしつこくチャンドラーの言い間違いをイジったこと。
などが挙げられるかなと思います。
たまーにそういうのがあると、それはそれで微笑ましくて面白いですよね。
貴重なご意見ありがとうございます。
差別的に感じる人がいる、というのは確かにおっしゃる通りだと思います。そのように感じる人がいるということは明記しておくべきというご意見にも納得です。
ブログ記事中に追記させていただきました。
貴重なご指摘ありがとうございました。