2017年05月26日

未来の恋人を測るものさし フレンズ1-3改その19

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は9位、「にほんブログ村」は6位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


9:51
ジョーイ: Know what was great? The way his smile was kinda crooked. (最高だったの、何だかわかる? 彼の微笑みがちょっとゆがんだ[ひねくれた]感じだったことだ。)
フィービー: Yes, yes! Like the man in the shoe! (そう、そう! 靴の中の男みたいな!)
ロス: What shoe? (何の靴?[靴って何?])
フィービー: From the nursery rhyme. "There was a crooked man, who had a crooked smile, who lived in a shoe for a... while..." (わらべ歌(マザーグース)にあるでしょ。「曲がった[ひねくれた]男がおりました。彼は曲がった笑いをしていました。彼は靴に住んでいました。しばらくの…間…)
(DUBIOUS PAUSE)
あいまいな間(沈黙)。
ロス: So I think Alan will become the yardstick against which all future boyfriends will be measured. (それで、僕は思うんだよ。アランは未来の全ての恋人を測る基準(ものさし)になるだろう、って。)
レイチェル: What future boyfriends? No, no, I th- I think this could be, y'know, "it." (未来の恋人って何よ?[何の未来の恋人よ?] 違う、違うわ。私は、これが、ほら、「それ」(あなたの運命の恋人)じゃないかって[これで決まりじゃないかって]思うのよ。)
モニカ: Really? (ほんとに?)

Know what was great? は、You know what was great? の主語 You が省略された形で、「グレイト・最高だったことは何だと思う?」という意味。
「最高だったことって言えば、これだよな」と先に言っておいてから、その内容を続けるようなニュアンスです。

crooked の発音は「クルキッド」という感じで、「曲がっている、ゆがんだ」という意味があります。
物理的に曲がっていることも、また「心が曲がっている」という意味の「不正直な、不正な」という意味にもなります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
crooked
1. bent, twisted, or not in a straight line
2. dishonest

つまり、1. は「曲がった、ねじれた、まっすぐではない」、2. は「不正直な」。

形や見た目の話でも、性格の話でも、いずれの場合も誉め言葉として使うタイプの言葉ではない気がしますね。
アランについて、フレンズたちが揃って、We loved him. He's great. 「彼を気に入った。彼は最高」と言っているのですが、どこを気に入ったかの話で「彼の微笑みがゆがんでる、ひねくれてる」みたいに言っているところが、笑いのポイントであるような気がします。
「それって褒めてないよね?!」みたいな感じでもありますが、フレンズたちは皮肉っぽくそう言っているというよりは、普通の人なら魅力を感じないような部分を気に入ってしまっている、という面白さなのかなぁ、と。
これについては、この後もアランの感想を述べるシーンが続きますので、おいおい語りたいと思います。

「微笑みがゆがんでた、ひねくれてた」と言うのを聞いて、フィービーは「それよ、それ!」みたいにジョーイを指さし、「靴の中の男みたいな!」と言うのですが、そう思ったのはフィービーだけのようで、ロスは「え?」という顔で「靴って何?」と尋ねます。

nursery rhyme は「童謡、わらべ歌」ですが、ここでフィービーが言っているのはその中でも特に有名な Mother Goose (マザーグース)です。
フィービーが言っている歌詞は、2つのマザーグースが混じってしまっていて、それでみんなは「??」となっているようですね。

まず1つ目は、The crooked man 「曲がった男(ひねくれた男)」。
この歌は、
There was a crooked man, and he walked a crooked mile.
He found a crooked sixpence upon a crooked stile.
「曲がった男がおりました。彼は曲がった1マイルを歩きました。
彼は曲がった踏み段の上に6ペンスを見つけました。」
と続きます。

フィービーは smile が crooked (ここでの意味は「ひねくれた」)だと聞いて、crooked smile を思い出したようですが、実際のマザーグースは crooked mile であって、smile ではありません。
mile と smile の発音が似ていたから勘違いしたようです。

その勘違いに加え、さらには、他の唄も混じってきてしまったようです。
lived in a shoe のフレーズは、同じくマザーグースの There was an old woman 「あるおばあさんがおりました」という唄に出てきます。

There was an old woman who lived in a shoe.
She had so many children, she didn't know what to do.
「靴に住んでるおばあさんがいました。
彼女には子供がたくさんいて、どうしたらいいかわかりませんでした。」

ですから、his smile was (kinda) crooked というフレーズを聞いて crooked mile の入ったマザーグースを思い出したのですが、それを who had a crooked smile と言ってしまったため、よく似たニュアンスの、who lived in a shoe... という別のマザーグースに途中で変わってしまった、ということのようです。

こういうマザーグースあったでしょ、みたいに得意げに言い始めるのですが、while... と言っている部分の声が小さくなり、目も泳いでいるので、その辺りで自分でもなんか違うなと気づいたのでしょうね。
みんなは沈黙していて、チャンドラーは首を前に出して「ん?」という顔をしていますが、それも「それって違うんじゃない?」というような表情ですよね。

変な沈黙が流れた後、誰もそのフィービーの間違いに対してつっこみを入れたりすることもなく、ロスは立ち上がって、別の話を始めます。
フレンズ1-1 のロスは、このように話題を変えたい時に Anyway... を使ったりしていましたが、今回のこのシーンではそういう「話題を変えるサイン」すらなく話し始めています。
先ほどのフィービーの発言は、なかったことにされている、流されてしまっている感じですね。

measure は「測る、測定する」。
yardstick は文字通り、「ヤード・スティック」で、1ヤードの長さを測るための棒です。
長さを測るための棒であることから、「(評価・比較などの)基準、ものさし」という意味にもなります。
日本語の「ものさし」も、長さを測る器具であり、評価基準という意味にもなりますよね。

the yardstick against which... は、関係代名詞。
all future boyfriends will be measured against the yardstick ということで、それをわかりやすく能動態にしてみると、Monica (or We) will measure all future boyfriends against the yardstick. となり、そのヤードスティックがアランになるのよ、ということになります。
measure A against B は、「B と比較して、A を評価する、A の優劣を判断する」ということ。
その(基準となる)ものさしと比較して、未来の全ての恋人を判断する、将来の全ての恋人の良し悪しを判断するのに、彼がその比較の基準のものさしになるだろう、ということですね。
彼が今後全ての恋人の基準になる、ということは、つまり、彼を超えるような素晴らしい人に今後出会えるかどうかだよ、彼を超える人かどうかで今後は男を判断していけばいい、ということですね。
彼と比較したら、なかなかそれに勝る人は今後出てこないだろう、という感じの、かなりの褒め言葉になるだろうと思います。
ちなみに、boyfriend というのは、日本語のボーイフレンド、男友達、というニュアンスではなく、「恋人」です。
ですから、I have a lot of boyfriends. (私にはたくさんのボーイフレンドがいる)などと言うと、何股もかけているかのように誤解されますのでご注意下さい^^

「アランは未来の恋人のものさしになる」というロスの言葉も結構な褒め言葉だと思うのですが、レイチェルはさらにその上のことを言っています。
What future boyfriends? 「何の未来の恋人よ? 未来の恋人って何よ?」というのは、未来の恋人なんて表現自体が不思議だわ。未来の恋人なんてありえない、未来の恋人なんか要らないわ! という感じですね。

this could be "it" は「これ(今回の彼=アラン)が it になりうる」ということで、レイチェルは、"it" という言葉を強めに発音しています。
この it は、まさに待ち焦がれていた理想の恋人が彼よ! というニュアンスの、彼が「まさにそれ」なのよ、という感覚になります。
何か待ち焦がれていたもの、あるいは時期が来た場合に、This is it. 「さあいよいよだ。来るものが来た。これだ。これで決まりだ」と言いますが、その it と似た感覚ですね。
何かを指し示す代名詞の「それ」ではなく、頭の中にイメージして待ち焦がれていた“それ”、「理想のもの、至上のもの」を指す感じの it になります。
DVD の日本語訳では「彼で決まりよ」と訳されていましたが、This is it. の「これで決まりだ」というニュアンスと同じになるということですね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 15:36| Comment(3) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このページの最初のThe way his smile is kinda crooked.とありますが、
僕の耳には、The way he smiles is kinda crooked.にしか聞こえないです。
良かったら、もう一度聞いてみていただけませんか?
Posted by Kyohei at 2018年05月23日 11:59
is じゃなくて、wasでした!
Posted by Kyohei at 2018年05月23日 12:01
Kyoheiさんへ
コメントありがとうございます。

ご指摘の部分、The way he smiles の方が The way SV という形になり、文法的にもしっくりくる気がするのですが、このセリフは上の記事に書いた通りの、
The way his smile was kinda crooked.
と発音されているように思われます。

まず、his なのか he なのかについては、次に smile の s- の音がありますので、区別がつきにくいです。
his smile の場合、-s と -s がくっついて、hi(s) smile のようになるため、he smile とほとんど音の差が感じられないわけですね。

そして、smile was か smiles was かについては、この場合の -s (ズ)ははっきり発音されるため、smiles was であれば「スマイルズ・ワズ」とズの音が2回聞こえるはずですが、実際の発音は「ヒー・スマイル・ワズ」とズの音が1回しか聞こえないので、smiles was ではないと思われる、というのが私の意見です。

実はこの部分、私も最初に記事の解説を書く時には、The way SV の形だと思って、The way he smiles として説明を書きかけていたのですが、セリフのスクリプトを確認すると、The way his smile was... となっていたので、それぞれのツールの英語字幕を全てチェックしていました。

DVD、Blu-ray、hulu の英語字幕はすべて、
The way his smile was
になっていて、
Netflix では、
How his smile was crooked.
になっていました。
Netflix の how は the way を言い換えたものだと考えられるので、英語字幕が付いているツールは全て、he smiles ではなく his smile と表記されていることになります。
その英語字幕の表記を考えても、やはり The way his smile was... が正しいと考えられる気がするのですね。

文章の構造を考えた場合、もし
The way he smiles was kinda crooked.
だとすると、The way SV は「S が V する方法、S の V のしかた」ということになるので、「彼の笑い方はちょっとゆがんだ感じだった」になりますね。

実際に発音されていると考えられる
The way his smile was kinda crooked.
だと、The way S was C. 「S が C であった様子」ということになり、「彼の微笑みがちょっとゆがんだ感じだった、という(その)様子」というニュアンスになるのだと思います。

このような The way SV. の感覚は、以下の研究社 新英和中辞典の説明に通じる部分があるように思います。

way 【名】U. 1. 方法
(7)[the 〜; 感嘆文に転用して] 《口語》 まあなんと、いかに
The way he shouted! 彼のどなることといったら。

上の例文を直訳すると「彼がどなった様子!」というところでしょうか。
今回のセリフにそのニュアンスを当てはめると「彼の微笑みがちょっとゆがんだ感じだったことといったら」みたいになるのかなぁ、と。

長くなってしまいましたが、実際の音を聞いた感じと、各ツールでの英語字幕の表記からも、The way his smile was kinda crooked. が正しいような気がしました。

上にも書きましたように、私も最初は The way SV の形だと思いましたし、同じように思われる方も多いだろうことも踏まえ、記事中でもう少し詳しく触れておくべきだったと今になって思います。
今回、コメントをいただけたお陰で、詳しい説明を加えることができました。心より感謝申し上げます。

貴重なコメントありがとうございました<(_ _)>
Posted by Rach at 2018年05月23日 15:11
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。