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10:21
チャンドラー: Oh, yeah. I'd marry him just for his David Hasselhoff impression alone. You know I'm gonna be doing that at parties, right? (DOES IT)(あぁ、そうだよ。彼のデビッド・ハッセルホフのものまね(物真似)だけで、俺なら彼と結婚するね。パーティーで俺があのものまねをやるだろうって思うだろ?)
ロス: You know what I like most about him, though? (だけどさ、僕がアランのことで何が一番好きかわかる?)
みんな: What? (何?)
ロス: The way he makes me feel about myself. (僕に自分自身を感じさせてくれることだよ。)
みんな: Yeah... (そうだな…/そうね…)
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CMブレイク
レイチェルが「モニカの恋人はアランで決まりよ」のように言った後、チャンドラーも同意して、I'd marry him のセリフを言っています。
I'd marry him というのは、I would marry him で、would を使うことで、If I were you, I would 「もし俺がモニカの立場なら」という仮定のニュアンスが入ることになります。
このような I'd は、「俺ならこうするね」ということから「君はそうすべきだよ」というアドバイスとしてもよく使われます。
DVDの日本語訳(吹替)でも「絶対結婚すべきだよ」と訳されていました。
I would ではなく、I'd と省略されていることが多いため、音にしても一瞬、文字にしてもわずかなスペースの -'d になりますが、それが入ることで微妙なニュアンスを加えることができるということになります。
チャンドラーは男性ですし、チャンドラー自身が結婚相手としてアランのことを見ているわけではないので、I will marry him 「俺は彼と結婚する(ぞ)」のように will を使うと、まるでチャンドラーに彼と結婚する意志があるかのように聞こえてしまいますね。
ここではチャンドラーにそのつもりがあるかとか、チャンドラーがそうしたいかどうかの話ではなくて、「俺がモニカの立場なら、俺が女性なら」のようなニュアンスで、I'd (I would) を使っているということを意識して下さい。
impression はまずは「印象」という意味で覚えることが多いでしょうか。
first impression なら「第一印象」ですね。
このセリフの impression は「ものまね(物真似)」という意味で使われています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
impression : the act of copying the speech or behavior of a famous person in order to make people laugh (SYN: imitation)
例)Sandy does a pretty good impression of Madonna.
つまり「人を笑わせるために、有名な人の話し方や行動をコピーする行為」。例文は「サンディはかなり上手なマドンナのものまねをする、彼女はマドンナのものまねがかなり上手だ」。
デビッド・ハッセルホフ(David Hasselhoff)は、テレビドラマ「ナイトライダー」(Knight Rider)、「ベイウォッチ」(Baywatch)などで有名なアメリカの俳優です。
Wikipedia 日本語版: デビッド・ハッセルホフ
ここでは、ベイウォッチのシーンのものまねをしています。
DVDの日本語訳でも「”ベイウォッチ”のミッチ」と訳されていました。
Wikipedia 日本語版: ベイウォッチ
ベイウォッチとは水難監視救助隊のことで、デビッド・ハッセルホフは、ライフセイバーのミッチ・ブキャナン(Mitch Buchannon)役を演じています。
ベイウォッチは、海で事故があると走ってその現場に向かうので、走るシーンが多いです。
女性隊員はグラマーな肢体の水着姿で走るため、それを楽しみにしている男子が多いようで、チャンドラーとジョーイがこの番組のファンであることが後のエピソードにも出てきます。
女性達が走っている時、画面はスローモーションになっていて、それもこの番組の人気の大きな要素となっています(なぜスローモーションになると男子が嬉しいかはお察し下さい^^)。
アランがしたというハッセルホフの真似(まね)を、チャンドラーは再現していますが、そのしぐさを見ていると、指を差しながら、動きがスローになっている感じがしますね。
スローモーションでミッチが部下に指示を出しながら走っているシーンのまねをしているのでしょう。
アランがやったその真似が面白いから、これからパーティーがあったら俺もその真似をしよう、とチャンドラーは言っていることになります。
ちなみに 2017年5月25日に「ベイウォッチ」の劇場版新作が全米公開されたそうです。
ミッチ役がドウェイン・ジョンソン(ザ・ロック)で、ザック・エフロンも出演しているそうです。
また、元祖ミッチ役のデビッド・ハッセルホフもその映画にゲスト出演しているようですね(先週、新作映画が公開されたばかり、というのはかなりタイムリーなので、ご紹介させていただきました)。
その後、ロスが「僕がアランのことで何が一番好きかわかる?」と言った後、The way he makes me feel about myself. と言います。
それを言ったロスは遠い目をしていて、それを聞いた、モニカ以外のフレンズたちも「そうだよな、そうよねぇ」という感じで、各自がソファに座ります。
このシーン、Netflix では、Yeah. と言った4人の画面の配置に合わせて、Yeah. というセリフが4か所同時に表示されます。
普通は字幕は下に表示されるため、非常にイレギュラーな字幕表示ですが、それもロスのこの発言に対して4人全員が Yeah. と同時に言ったことを明確に示すためなのでしょうね。
立っていたのを座るというのは、何かをじっくり考えたいという行動だと思われますが、モニカ一人だけが、よく事情が呑み込めないという顔をしているところで、暗転、アドブレイク(CM)になります。
このロスのセリフ、The way he makes me feel about myself. はちょっと漠然としているのですが、このセリフの後、ラフトラック(笑い声)も起きています。
直訳すると「アランが僕に僕自身について感じさせる方法・様子」というところでしょうか。
もう少しセリフっぽくすると、「僕に僕自身について感じさせてくれる、そういうところがアランの一番好きなところなんだよ」という感じですね。
「感じさせてくれる」というのは、「アランを見ていると、僕は自分のことを感じる、自分のことを考えることができる」というようなことかなと思います。
DVDの日本語訳は「彼は僕に自信を持たせてくれるんだ」と訳されていましたが、ロスの言いたいことは多分そういうことなんだろうと私も思います。
これまでのフレンズたちは、モニカが連れてきた彼氏にケチをつけるのが常でしたが、今回はなぜだかみんなアランを大歓迎で、逆にモニカの方がその反応に驚いている様子。
今回の解説の「ベイウォッチの真似」はまあ普通に「面白い」という誉め言葉かと思いますが、その前には「アランの微笑みがひねくれている」という「それって誉め言葉?」と思えるような感想もありましたし、その流れから考えるとこのロスのセリフは「アランといると自分が卑屈にみじめにならなくて済む」みたいな意味なのかなと思うわけですね。
あまりに自分たちとは違う、完璧で理想的な男性がやってくると、自分たちがダメ人間みたいに思えてしまう、自分で自分のことを嫌悪してしまいそうになる、ということとの対比で、「彼を見ていると自分を感じることができる」というのは「彼といると自己嫌悪にならなくて済む、気後れしないで済む」とか「自分たちと同じような雰囲気を感じる、同じ類の人間だと思える、似た者同士だと思える」というようなことかなぁ、と。
ロスのセリフの後の観客の笑いは、ジョークに対する笑いのように感じられます。
普通にロスがアランを褒めているだけでは、ああいう笑いにはならないと思うのですね。
ですから「褒めているようで、実は褒めてないセリフ」というタイプのジョークなのかなぁ、と思ったわけです。
アランのことをえらく気に入ってしまったフレンズたちは、皆がそれぞれロスのセリフを自分に当てはめて、思いにふけっているようですが、モニカ一人だけが「???」となっているという描写も笑いのポイントなのでしょう。
デート相手のモニカがロスの発言の意味にピンとこないようなので、視聴者である我々も具体的なことについては「わからない」でいいのだろうと思います。
ロスのセリフが漠然としているのでロスが何をイメージしているのかはわからないわけですが、あえてどういうことかを詳しくは説明せずに「フレンズたちには、アランに何か感じるところがあったらしい」「ロスの言うことに他の4人は妙に納得している」という「わかったようなわからないような宙ぶらりん感」みたいなものも笑いのポイントなのかなと思いました。
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ロスの台詞に類似した例文を Friends から集めてみました。
I don't even know how I feel about him yet.
You should feel great about yourself!
Prepare to feel very bad about yourself.
I've never felt better about myself.
I just don't feel that way about you.
こうしてみると、ロスの台詞の The way の文法的役割は、次の (c) と考えてよさそうです。
(a) 接続詞 that のようなもの
(b) makes にかかる副詞のようなもの
(c) feel の補語
すなわち、ロスの台詞の大意は次のようなものです。
I like Alan because he makes me feel good about myself.
自己承認欲求を満たされた 5人は一度会っただけでアランが大好きになりましたが、アランから見た 5人はというと...。このエピソードでは終盤にアランの「衝撃の告白」があります。この告白が唐突に感じられないように、いろいろと伏線が張られていると考えると、それぞれの台詞の意味合いがはっきりしてきます。crooked smile もその一つかと思います。
こんにちは。
the way をどう捉えたらいいのか悩んだのですが、he makes me feel good about myself と考えると確かにしっくりきますね。
コメントありがとうございました。