2017年09月01日

バス停まで歩いて送って行く フレンズ1-4改その10

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6:50
ジョーイ: I can't believe Keenan... (キーナンが〜するなんて、信じられないよ…)
(THEY WALK ON. CHANDLER AND JOEY START TO TALK BUT ROSS STOPS AND WHINES)
みんなは歩き続ける。チャンドラーとジョーイが話し始めるが、ロスは立ち止まって、哀れっぽい声を出す。
ジョーイ: What? (何?)
ロス: Peach pit. (桃の種だ。)
チャンドラー: Yes, bunny? (そうだな、(それがどうしたんだ)バニー?)
ロス: (POINTS) Peach pit. That night, we, uh- we had-- ([指さして] 桃の種だよ。あの晩、僕らは食べたんだよ…)
ジョーイ: Peaches? (桃を(食べたのか)?)
ロス:Actually, nectarines, but basically.... (実際にはネクタリンだけど、基本的には…)
チャンドラー: (TO JOEY) Could've been a peach. ([ジョーイに](基本的には)桃だったって言えるかもな。)
ロス: Then, we, uh, then we got dressed, and I-I... I walked her to... (LOOKS UP, REALIZES, AND POINTS) the bus stop. I'm fine. (それから、僕たちは服を着て、そして、歩いて彼女を送って行ったんだ… [見上げて、気づいて、指さす] バス停まで。僕は大丈夫だよ。)
ジョーイ: Hey, that woman's got an ass like Carol's. (THEY TURN TO STARE AT HIM) What? I thought we were trying to find stuff. (なぁ、あの女、キャロルみたいなケツしてるよな。[二人はジョーイの方を向き、彼をじっと見つめる] 何だよ? 俺たちは話題を見つけようとしてるんだって思ってたのに。)

ジョーイのセリフ、I can't believe Keenan... ですが、これは DVD にも、ネットスクリプトにもなく、Netflix のみ字幕化されていました。
前回と同じく、Keenan もホッケーチーム、ニューヨーク・レンジャーズの関係者だと考え、調べてみたところ、どうやら、以下の Mike Keenan という人を指しているようです。
Wikipedia 英語版:Mike Keenan
上のウィキペディアに以下の記載がありました。
Keenan won a Stanley Cup championship as coach of the New York Rangers in 1994.
キーナンは1994年にニューヨーク・レンジャーズのコーチとして、スタンレー・カップで優勝した。

Wikipedia 日本語版: ニューヨーク・レンジャース > オリジナルシックス時代以降 の最後の方に、
シーズン後、ヘッドコーチにはマイク・キーナン (Mike Keenan) が就任した
という記載もありました。
また、Wikipedia 日本語版: ニューヨーク・レンジャース > 1993-94シーズン には、前回の記事でご紹介した リーチ選手、メシエ選手の活躍が詳しく書いてあります。
今回の フレンズ1-4 の放映は、1994年10月13日だったので、彼らの活躍時期とちょうど一致していることもわかります。

ジョーイが「信じられないよ、キーナンが〜するなんて」みたいなことを言いかけているのは、ヘッドコーチとしての采配に対して何かしらの不満でも述べようとしているところだったのかな、と思います。

二人がホッケーの話をしていると、後ろを歩くロスが、哀れっぽい声を出しているので、先を歩いていた二人は、あぁ、またか、今度は何? と言いたげな顔で、立ち止まってロスを振り返ります。

peach pit は「桃の種」、bunny は「バニー、ウサちゃん」ですね。(これについては長くなるので、最後に詳しく説明します)

nectarine は「ネクタリン、ズバイモモ」で、モモの一種。
Wikipedia 日本語版: ネクタリン
「桃の種」に反応したロスが「あの夜(つまり、キャロルとの初エッチの夜)に食べたんだ…」と説明したので、ジョーイが「食べた、って、桃をか?」のように問い返したところ、「実際には(桃じゃなくて)ネクタリンだけど、基本的には…」と続けます。
Could've been a peach. を直訳すると「桃だった可能性がある or 桃でありえた」というところですが、食べた本人のロスが「実際には桃じゃなくてネクタリンだったけど」と言っているので、ロスが言った basically 「基本的には」という言葉に対して、「厳密には種類は違うけど、大雑把に言えば桃だったって言えるかもな」のように、隣のジョーイに言った感じになるのかなと思います。

ロスはネクタリンを食べた夜の話の続きを語っています。
walk her to は「彼女を〜まで歩いて送る」という意味で、この walk は「(人)を歩いて送る」という他動詞。
walk は「(主語が)歩く、散歩する」という自動詞のイメージが強いですが、このように他動詞としても使われ、walk my dog なら「自分の犬を散歩させる、散歩に連れていく」という意味になります。
「〜まで歩いて送って行って…」と言ったところで、目の前にあるバス停に気づき、「そう、ちょうどバス停まで送って行ったんだ」というように、そのバス停を手で指していますね。
また初エッチの時の思い出に浸ってしまった自分に気づき、ロスは自ら「僕は大丈夫だから」と言うことになります。

ちょうどその横を一人の女性が通り、ジョーイは「あの女は、キャロルみたいなケツしてるよな」と言っています。
ass は尻というよりはもっと下品な感じの「ケツ」のニュアンスですね。
「キャロルのケツのようなケツ」ということですから、an ass like Carol's ass という意味で、Carol's 「キャロルのもの」という所有代名詞が使われています。
ロスが I'm fine. と言って、せっかくキャロルの話題が終わった感じになったのに、ここでまたジョーイがキャロルの話題を出したことにチャンドラーはムッとしたでしょうし、さらにはまたエッチを思い出させるような性的な部分であるお尻の話題で、しかも直接的な ass という表現を使ったことにロスもムッとしたでしょうから、二人はあきれた顔でジョーイを見つめることになります。
I thought we were trying to find stuff. を直訳すると「俺たちは何か(話題)を見つけようとしてると思ってたけど」ということで、「話題に困って気まずくならないように、俺が話題を振っただけなのに、何でそんなににらむんだよ」みたいな気持ちで言ったことになるのでしょうね。

それでは、peach pit と bunny のやりとりについて。
「桃の種」と言ったロスに対して、どうしてチャンドラーが bunny と返したのか? については 2005年の過去記事でご質問があり、その後も何年にも渡り、コメント欄でいろいろなご意見をいただきました。
以下では「今の私が考える」解釈を書かせていただきますね。
結論から言うと、「種をエサにするような小動物」+「(エッチの話ばかりする)エッチ好き」の両方の意味が込められたジョークだと私は思っています。

peach pit は「桃の種」で、果物そのものではなく特に「種」に反応するというのは、それをエサとするような小動物のイメージが連想されるのかな、と思うのですね。

桃と言えば、スイートで甘い果物のイメージですから、sweetie とか honey のような「あま〜い単語」の親愛語のような響きはあります。
ロスがそういう「甘い系」の言葉を言ったので、それを呼び掛け語の親愛語であるかのように受け止めて、bunny という親愛語で返した、ということも考えられなくはないですが、ロスの言い方は、チャンドラーたちに「呼び掛けた」ような感じではなく、「特にチャンドラーを見るでもなく、道路に落ちている種を発見して、桃の種だ、と言った」という雰囲気でした。
甘い「桃」ではなく、その「種」ですから、peach pit と bunny を「愛称・親愛語のようにお互いにそう呼び掛けたやりとり」だと考えるのはちょっと違うかなぁ、と。

「種を見つけて反応するなんて、お前は種をエサにするようなウサギか」というニュアンスで bunny と言ったような気がする、ということですね。

種をエサにするようなイメージの小動物としては、いろいろなものが挙げられると思うのですが(「だいすきなのは〜ひまわりのタネ〜♪」の「とっとこハム太郎」(ハムスター)とか)、ここで bunny が使われたのは「英語のバニーには、性的なイメージがある」ということと関連するような気がします。

Wikipedia日本語版:ウサギ によると、「多産・豊穣・性のシンボル」という記載があります。
復活祭(イースター)のイースターバニーや、バニーガールなども、そういうバニーのイメージと関連があるようですね。

ロスが情けない声を出して振り返った時の二人は、「またキャロルとの初エッチの話か? いい加減にしてくれよ」と思ったはずです。
今のロスが反応するとしたら、それ関連しかないですからね。
で、何を言い出すのかと思ったら、路上に落ちていた「桃の種」の話をするので、「種を見つけて反応するって、お前は種をエサにするような小動物か」という意味に加えて、「種をエサにしそうな小動物の中から、エッチのイメージに直結するバニーを選んだ」というチャンドラーっぽい言葉の選択だったのかな、と思ったわけです。

「なぜチャンドラーが bunny という言葉を選んだか」というのは、つまりは「脚本家が笑いを取るために、なぜ bunny という言葉を選んだか」ということですよね。
それを考える際には、私は「漫才のネタ担当」になったような気持ち(笑)でその言葉を選ぶに至った経緯を考えてみたりします。

脚本的に見てみると、このシーンは「ホッケーの試合を見に行く途中でワクワクしてるはずなのに、ロスだけがキャロルとの初エッチ記念日のことで頭がいっぱいである」という状態。
何かを見つけては「キャロルとの初エッチ」の話に結び付けて、二人にあきれられるという流れですが、1つ目として「ショーウインドーで当日彼女が着ていた服装を見つける」というのがあるので、2つ目は服装以外にしないと面白くない、となると「当日一緒に食べた食べ物」になりそうなのは自然な流れですね。
また「ショーウインドーの中にそれがある」では単調なので、道端に何か落ちていた、ということにした場合、「果物の種」だと、誰かがそれを食べながら種だけ落としていったということで違和感ないですよね。

ブーツに続いて2回目なので、「またエッチの話かよ」と言う気持ちを込めて、チャンドラーがロスを bunny と呼ぶ、というオチが先に決まっていた場合、バッグス・バニーがニンジンを持っているように「ニンジン」だったら、bunny とはしっくり繋がるものの、「初エッチの晩に二人でニンジン食べた」というのはどうも変ですし、、、(ウサギか馬のカップルくらいですか?)
初エッチの晩に二人で一緒に食べたものとして、甘くてジューシーな果物なら似つかわしい気がしますので、「何かの種」として「桃」が選ばれたのかなぁ、と。

ということで、普通の人は反応しないであろう路上の「桃の種」に反応したロスに対して、
1. 「種を見つけて喜ぶなんて、お前は種をエサにする小動物か?」
2. 「どうせまた、キャロルとの初エッチの話なんだろ、このエッチ好きが!」
という両方の意味を持たせて、Yes, bunny? と返した、というのが、今の私の解釈になります。
長文失礼しました。


Netflix の「フレンズ」は、無事、配信期間延長されたようです♪

8月23日に投稿した拙ブログの記事、フレンズ1-4改その7 で、Netflix での「フレンズ」について、

一時期、「視聴期間 2017/08/31まで」(スマホ版では「09/01まで視聴可能」)と表示されていたが、その記載が消えたので、ライセンス更新の可能性あり、つまり、9月以降も Netflix で「フレンズ」を視聴できる可能性がありそう。

ということを書きました。
今日 9月1日現在の Netflix での「フレンズ」の情報を見ると、PC版、スマホ版ともに「新着」という文字が書かれています。
内容は 8月までのものと同じで、全10シーズンが視聴できる状態ですが、わざわざ「新着」と書いてあるのは、「配信終了予定だったものが契約更新された」ことを示しているのだと思われます。
スマホ版では一時期「09/01まで視聴可能」と書かれていたので、厳密にいうと 9月2日になるまで 100% 安心はできないのかもしれませんが、「新着」と書かれている今の状況を見る限り、「配信期間延長」されたことはほぼ間違いなさそうなので、お知らせさせていただきました。

配信終了予定通りに終了した作品もあるようで、例えば glee/グリー は、シーズン1〜4 が配信終了となり、今はシーズン5〜6のみが視聴可能となっています。

以前、Netflix のヘルプセンターに電話で問合せをさせていただいた際、ライセンス更新をするかどうかについては、リクエストの量が大いに考慮されるとのことでした。
めでたく配信延長となったのも、きっとたくさんの「フレンズ」ファンの方々が、リクエストを送って下さった結果なのだろうと思います。
「フレンズ」ファンの一人として、皆様に心から感謝申し上げます。
ありがとうございました! <(_ _)>


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posted by Rach at 17:29| Comment(8) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブログを楽しく拝見しています。また、その膨大で丁寧なおしごとに心から敬意を表します。
さて、peach pitとbunnyのダイアローグに関して私のおもいつきを少し書かせてください。過去にさんざん議論されてきたことの繰り返しになっていたらすみません。
まず「桃の種」ですが、Friendsの笑いのセンスから考えて、すなおにくだものの桃を指しているとは、私にはどうしても思えないのです。
何らかの暗喩(多くは性的な)を視聴者に想起させて笑いをとるのがこのドラマの常套手段のひとつだと思います。
どれほどネイティブに認知されているかはわかりませんが、例えばネットのUrban Dictionaryで検索すると、peachやpeach pitにはここには書けないような、直接的で性的な、女性のボディパーツを指す俗用例が載っています。もしこのたぐいの暗喩をこの脚本家がぼんやりとでも視聴者にイメージさせようとしたのだとすれば、次の「実際にはネクタリンだったけどね」という、一見不用にみえる妙にしつこいセリフも活きてくる、あるいはフレンズ的に腑に落ちる気がします。
じゃあなぜbunnyと呼んだか?よくわかりませんが、ご指摘になっているようにこの言葉には性的な意味合いをもつ俗用がいくつかあるようです。そのひとつとして、先のUrban dictionaryによれば、若いけれど、未熟なエッチをする男性というようなものがありますし、もしかしたら地面に穴を掘る(「pit」)動物としてのうさぎ、との連想もあるのかもしれません。(加えて、pitには、身体にもとからあるくぼみという意味もありますよね)
このように全体としてセクシャルな意味合いを、わかる人にはわかる的にセリフに埋め込んだとすれば、いかにもフレンズ的だなあ、と私は思うのですが、うがち過ぎでしょうか。長文ごめんなさい。
Posted by Kazuo at 2018年06月14日 18:45
Kazuoさんへ
コメントありがとうございます。
拙ブログについての嬉しいお言葉もありがとうございます。そのように言っていただけて大変光栄で嬉しいです♪

Urban Dictionary に載っていた peach や peach pit の意味に関する情報もありがとうございます。私もわからないスラングなどをよく Urban Dictionary で調べるのですが、今回の peach pit については何故か調べることをしませんでした。おっしゃるように「ここには書けないような」意味が載っていますね^^

peach も peach pit も TOP DEFINITION にそういう性的な意味が載っていて、賛成:反対票の比率も peach が 1625:751、peach pit が 79:10 ですから、その言葉を聞いて、そういう性的に過激な意味を連想する人はいそう、ということになりそうですね。

pit はご指摘の通り「穴」という意味もあり、armpit が「わきの下」」という意味であるように「身体などのくぼみ」の意味もありますよね。
LAAD の pit の「種」の意味の例として、a peach pit が載っていますので、やはり「peach pit=桃の種」という意味がまずは連想されるとは思うのですが、おっしゃる通り「このたぐいの暗喩をこの脚本家がぼんやりとでも視聴者にイメージさせようとした」ということは大いに考えられる気がします。

bunny という単語には性的なイメージがあるので、性的な意味合いで使われることもある peach pit という言葉を発したロスに対して、そんな過激な意味ではないとわかっていながらわざと「性」を連想させる bunny という単語で即座に返した、ということなのかもしれませんね。

Kazuoさんの書いて下さった
>「実際にはネクタリンだったけどね」という、一見不用にみえる妙にしつこいセリフも活きてくる、あるいはフレンズ的に腑に落ちる気がします。
というお話も大変興味深いです。

「桃の種だ」だけだと、落ちていた種のことを言及しただけ、になってしまい、さらっとスルーされてしまいそうなので、「そういう性的な連想をさせるためにあえて選ばれた言葉」であることを明確にするために、その後のネクタリンのくだりがしばらく続くということだと考えると確かに「フレンズ的に腑に落ちる」気がしますよね。
「わかる人にはわかる的にセリフに埋め込んだ」というお話も確かにフレンズ的だと思います。

bunny だけではなく、peach pit の方にも性的な意味合いがあると教えていただき感謝です。
貴重なご意見ありがとうございました<(_ _)>
Posted by Rach at 2018年06月15日 20:35
Rachさま

つい先日、ご著書の最新刊を手にして、こちらのブログを知ったばかりでした。拙いコメントにご本人からご丁寧な返信いただき、大変光栄です。勉強の励みになります。うれしいです。

peach pit については何故か調べることをしませんでした。

これは、Rachさんが女性だからでしょう。仰っしゃるように、桃は「スイートで甘い果物」というのが一般的に女性が抱くイメージ。普通はそれ以上考えないものです。さわやかな草食小動物。

男は違います(笑)。

私は、酸いも甘いもかみ分けた紳士なので、そんなことは小指の先ほども考えたことがありませんが、ロスやチャンドラーのような若者は四六時中そればかり、なんでもアッチ方面と結びついてしまう、という、これはFriendsに通底する厳粛な思想かと。

ということで、ロスは、もしかしたら本来の桃など食べてないのではないか、落ちていた桃の種から、ただちに初エッチが想起されて、ダブルミーニングのうちのもうひとつの意味でのpeach、peach pitを「食べた」、といっているのではないかと私は疑っています。主語がweになっているので、議論の分かれるところですが。

で、男が考える理想のpeachではなく、「キャロルの桃」(=nectarine)だったけど、それもまた、「Could've been a peach」なんじゃないかと。
(Do you follow me? ww) 

少なくともチャンドラーはそっち方面のとらえ方をしているのではないかと考えています。

というわけで、この件については紳士らしく、もうしばらく研究を続けてみたいと思っていますww

Rachさんのますますのご活躍を心より期待しています。
駄文長文ごめんなさい。

P.S. 男性にBUNNYと呼びかける場面を他にもたまたま見つけました。S4-4 00:19:34
「HEY, DUCK. IS CHICK HERE?」と聞くアパートの管理人に対して、チャンドラーが「YEAH, BUNNY RABBIT」と言う場面です。
こちらは、セクシャルな意味ではなくDUCK(ドナルド・ダック)に呼応してBUNNY(バックス・バニー)と返しただけかもしれません。
Posted by Kazuo at 2018年06月16日 12:41
Kazuoさんへ
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
こちらこそ、最新刊の拙著から拙ブログを知って下さったとのこと、大変光栄で嬉しいです。

まず私が「桃」にそういう性的な意味があるとイメージできなかった、という話についてなのですが、kazuoさんのコメントでそういう意味合いもあると教えていただいた後、思い出したことがありました。
「ドリームマッチ 2012」というお笑い番組の、友近さんとピース綾部さんのコントで、友近さんが果物のいちじくを食べながら「うちのいちじくや」と何度も言って、綾部さんを誘うようなそぶりをするやりとりがあったんですよね。桃もいちじくもジューシーな果物であり、色や形状など、そういう部位を連想させる要素は確かにあるなぁ、と思います。

有料チャンネルHBOでの放映で性的に過激な表現が許されているような「Sex and the City」や「ゲーム・オブ・スローンズ」のような作品であれば、過激な単語はそのままの過激な意味としてダイレクトに出てくることが多いですが、フレンズの場合はダイレクトな意味ではなく、一見違うものを指しているようでいて、「わかる人にはわかる」という感じで出てくることが多いですよね。

ロスが過激な性的ダブルミーニングを思い浮かべて(それを意図して)peach pit という言葉を出したのかどうか、というのは判断が難しいところですよね。
私も Urban Dictionary の過激な例文の数々wを読んでみて、確かに、I had 「僕が食べた」のように表現したら、それらの例文と同じような性的なダブルミーニング感がより出るなぁ、とは思っていました。ご指摘の通り、ロスのセリフでは、We had-- になっていますので、これだと一応は「二人で”果物を”食べた」と言っていることにはなりますよね。

ロスはそこまで過激なことは言わないタイプなので「実際に二人はその晩、桃を食べて、ロスはただそれを語っているだけだけれど、本人が意図しないところで、そういう性的部位・行為を示す表現を使ってしまっている」という、わかる人にはわかる面白さを脚本家が出したかった、ということかなぁ、と思ったりもします。

チャンドラーの Yes, bunny? という返しとその言い方は、必ずしも「エッチネタ」であるとは言い切れない感じで、本来エッチネタに即座に食いつくはずのジョーイの反応は、そのやりとりがエッチネタだとは考えていないように見えますので、ロスのセリフそのものは観客や視聴者に過激なダブルミーニングの連想をさせようとはしていない(だから観客の笑いもエッチネタに対する反応ではない)、ただ「脚本家が脚本に潜ませる感じ」で「その手の用語に詳しい人にはそれ系のことを言っていると思える」程度に抑えているのかなとも思います。

性的に過激な意味だと捉えられてしまうと子供も見る通常のテレビ放映番組としてはちとまずい、なので「わかる人にはわかるレベル」でさらっと流した、脚本家は「わかった人いるかな」と面白がっているみたいなことかもしれません。唯一、bunny という返しで、エッチ的な意図を込めたことをヒントとして出している、ということかもしれませんね。

私が見たことある作品で、peach や peach pit の使用例を調べてみたところ、性的なダイレクトな意味で使われている例は残念ながら見つかりませんでした。
ただ、他の意味の使用例がいくつか見つかりましたので、せっかく peach が話題に出たことでもありますし(他の読者の皆さんの参考にもなるかと思うので)ここでご紹介させていただきますね。

「デスパレートな妻たち」2-11 で、
Your mom - Is she a peach or what? (君のママは…彼女は素晴らしい(魅力的な)人だよな?)

この a peach は「素敵な人、素敵なもの」という意味で、LAAD での語義をご紹介させていただくと、
peach : [countable usually singular] (old-fashioned) someone or something that you like very much or think it attractive
例)Jan's a real peach.
つまり「(古い用法)非常に好きである、または魅力的だと思う人または物」。例文は「ジャンは本当に魅力的な人だ」。

「デス妻」ではその意味で何回か a peach という単語が使われていました。

また同じく「デスパレートな妻たち」4-3 では、
She's wearing a big, honkin' engagement ring The size of a peach pit. (彼女は大きなでっかい婚約指輪をしてる。桃の種のサイズ(大きさ)の。)

宝石の大きさを「桃の種」に例えているのが面白いなぁと思いました。

それから、フレンズ4-4 での bunny の使用例の件もありがとうございます。
"Hey, Duck. Is Chick here?" は、管理人がチャンドラーのことを Duck と呼び、ジョーイのことを Chick と呼んでいることになりますね。
今コメントを書いているこの記事が 1-4 なので、4-4 のことはネタバレとなるので詳しくは書けないのですが、4-4 の設定状況から、それぞれを Duck / Chick と呼ぶ理由がちゃんと存在するんですよね。
「よお、チャンドラー、ジョーイはいるか?」と言えばいいところをわざわざ Duck / Chick という動物名で呼んだので、そのお返しとして何か動物名で返そうとした、それで少し間があって考えた後、ウサちゃん(バニー・ラビット)と呼んだ、という流れのようです。

なぜウサちゃんなのか? については(確信はないのですが)この時の「スーツに蝶ネクタイ」という正装をした管理人の姿から想像するに、ディスニー映画「不思議の国のアリス」に出てくる「服を着て蝶ネクタイをした白ウサギ」をイメージしたのかな? と個人的には思っています。
管理人そのものよりは、その服装を見てそう呼んだ、という気がするのですね。

peach pit の話に戻りますが、今後も研究を続けていただけるとのこと、どうかよろしくお願いいたします(^^) 私も今後、他のドラマを見ていく中で、似たような表現が出てくるのを期待したいと思います。

興味深いご意見を頂戴し、私も大いに勉強させていただきました。
貴重なコメントありがとうございました<(_ _)>
Posted by Rach at 2018年06月17日 12:42
こんにちは

チャンドラーのウィットのパターンの一つとして、相手が言い終わらないうちに適当に言葉を補足するというものがあります。例えば、レイチェルが指輪をなくしたときの "... in the kitchen with ..." "Dinah?" のような形です。

一方、Peach Bunny という名前のカクテルがあるそうです。チャンドラーの"Yes, Bunny?" もこのパターンだとすると、「桃の種だ」「桃のカクテル?」「あの晩は食べたんだ」「桃を?」「実際にはズバイモモだったけど...」「まあ桃のうちだな」というようなノリになります。

ジョーイの "I thought we were trying to find stuff" の stuff は、「それに類したもの」と考えた方がよいと思います。ロスの嘆きはブーツ、桃の種、バス停と続きましたが、ジョーイは当事者ではないので直接的なものしか見つけられなかったというのがオチなのではないでしょうか。
Posted by mq at 2018年06月18日 16:49
mqさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。

チャンドラーが「言葉を補足する」パターン、確かにありますよね。
ただ、今回のやりとりに関して言うと、Peach Bunny というカクテルを意図したのであれば、in the kitchen with... Dinah のように、間に他の単語が入ることなく、直結していないといけない気がするのです、、、

今回は、
ロス: Peach pit. (桃の種だ。)
チャンドラー: Yes, bunny? (そうだな、バニー?)
となっており、間に pit も yes も入ってしまっているので、Peach Bunny というカクテルを示唆したものではないような気が私にはしました。

Yes, bunny? という言い方も、Yes で相手の言葉を受けた+呼び掛け語、のように聞こえて、Yes, buddy? に近いニュアンスを感じるのですね。

今自分で書いていて、改めて気づいたのですが、bunny と buddy は見た目も発音もよく似ていますよね。きっとまたキャロルのことを何か思い出したんだろうな、とわかるような哀れっぽい声を出しているので、「兄弟、相棒」というニュアンスの通常の呼び掛け語 buddy ではなく、「どうしたんだ、ウサちゃん」のように言ってみせた、ということかもしれないなぁ、と。
buddy と比較すると、男とは呼べないほど女々しいということか、またはエッチの話ばっかりするやつという意味が込められているのかもしれません。

また stuff については、私は記事内で「何か話題を」という漠然としたニュアンスで訳してしまいましたが、コメントを読ませていただいて「それに類したもの」という解釈がふさわしいと私も思えました。ただの話題ではなくて「キャロルにまつわる話題」ということですよね。「ほらほらキャロルって言えば、あの女の尻、キャロルみたいだよな」とお前に合わせて俺も関係する話題を見つけてやったのに、という気持ちから来た言葉だったということでしょうね。

貴重なご意見ありがとうございました。
Posted by Rach at 2018年06月19日 15:30
Rachさま

お返事ありがとうございました。

Rach さまのご意見に全面的に賛成です。

脚本家は、ダブルミーニングな意味を心得ていながら、あえて直接的に表現しないことで、保身もはかりつつ ww わかる人が勝手に想像するのはオレには止められないし、別にオレはそんなヤラシイ事は考えてないもんね、っていう体でセリフに潜ませてる気がします。

一種のサブリミナルコントロールですね ww
そしてそれをひとりでほくそ笑みながら楽しんでるようなところがあると思いました。

さすがにRachさまの洞察力や感性は鋭いと思います。

サブリミナルコントロールといえば、イチジクのネタのこともおっしゃるとおりで、私が桃で真っ先に連想したのは、イチジクだったのでした 笑

試しに、peach、イチジクでそれぞれGoogleで画像検索していただくと、おっしゃるとおりの部位を連想させる、ジューシーでエロティックな半割の画像がたくさん出てきます。

女の方とこんな話題で何回もやり取りさせていただくのは恐縮なのですが、感性が似た方とお話できることもそんなにないので嬉しいです。
って、一緒にされたらたまらないですね w

不思議の国のアリスの白ウサギに関連した、蝶ネクタイからの連想かもしれないというお話も興味深かったです。

その発想は私にはなかったのですが、実は、最初にbunny と pitで連想したのは、不思議の国のアリスの、rabbit hole のことでした。

不思議の国のアリスに行き着くあたり、やはり感性に共通のものがあるような気がします。we

Alice in wonderland のあのウサギの穴は異世界へワープするためのとおりみちとして設定されていると理解していたので、思わず、異次元に誘い込まれてしまいそうな、女の人の底なしの魔力と魅力とを暗示したのかと一瞬考えました。

多分そこまでマニアックなわけはないとおもいますが、ほんの少しでもそんなこともあるのかな、と考えながらイマジネーションの世界に遊ぶのは楽しいですね。

Rachさんのおかげで、いろいろ楽しみながら勉強させていただきました。
ありがとうございます。

引き続きステキなブログで勉強させていただきますね。

益々ご活躍いただきますよう。
Posted by Kazuo at 2018年06月19日 22:09
Kazuoさんへ
こちらこそご丁寧なお返事ありがとうございます。
私の意見に全面的に賛成していただき大変光栄です。ありがとうございます。

フレンズという作品はエッチネタ自体はよく出てくるものの、例えばSATCなどと比較すると、直接的な表現を使わない傾向にあります。
このエピソード以降も「性的にきわどい話題」が出てくることがあるのですが、観客にそれを連想させて笑いを取る場合は、言葉としては一見違うことを言っているようでも俳優たちの演技と観客の笑いがそういう「エッチ系」であることを示唆するものになっています。
今回はそんな風に感じなかったので、私も「その過激な意味を理解することが前提の笑い」ではなかったのだろうと結論付けたということですね。

フレンズ4-4 の管理人さんはぽっちゃり系で、この人みたいな体型のウサギキャラとかいたかなぁ? などと考えていた時に、普段とは違う服装の方に注目したのかもしれないと思って、思いついたのがアリスの白ウサギでした。とりあえずそれくらいしか思い浮かばなかった感じで、あまり自信もありません^^

peach pit だとやはり「桃の種」を指すことになってしまうのでしょうが、pit という単語は普通は「種」よりも「穴、くぼみ」の方が先に浮かびますよね。

こちらこそいろいろなことを考える機会を与えていただけてありがたかったです。
また数々の温かいお言葉もありがとうございます。
セリフの解釈をあれやこれやと考えるのは本当に楽しく、これからも一緒に楽しんでいただけるような記事が書けるように頑張ります!

ご丁寧なお返事ありがとうございました(^^)
Posted by Rach at 2018年06月21日 10:53
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