2017年09月21日

レイチェルは建物を出ました フレンズ1-4改その15

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9:52
モニカ: (PAUSES, THEN, TO PHONE) Uh, Rachel has left the building. Can you call back? ([間があって、それから電話に向かって] あの〜、レイチェルはたった今、建物を出ました。電話をかけ直してもらえます?)
レイチェル: All right! Come on! (MISERABLY) Let's play Twister! (いいわ! ねぇ! [情けない様子で] ツイスターやりましょ!)

「今の話で私(レイチェル)が大丈夫だと思うのなら、私は大丈夫だってカード会社の人に言ってもいいわよ!」とレイチェルがすごい勢いでまくし立てたので、モニカはしばらく沈黙した後で、電話口の相手に Rachel has left the building. と告げます。
has left という現在完了形になっているので、直訳すると「レイチェルは(アパートの)建物を(たった今)出ました」ということになりますね。

レイチェルが自分の悲惨な状況を語るので、それをそのままカード会社の人に伝えるわけにもいかず、「レイチェルは今はこの部屋にいません」という内容を伝えたことになりますが、実はこの has left the building というフレーズは、エルヴィス・プレスリーのコンサートの終了時に使われていた有名なアナウンス、Elvis has left the building. から来ています。

エルヴィス・プレスリーは、キング・オブ・ロックンロール(King of Rock and Roll)と呼ばれた世界的大スター。
タイムリーな偶然で嬉しかったのですが、今日の日経新聞朝刊の「私の履歴書」で、音楽評論家で作詞家の湯川れい子さんが「エルヴィスの国 胸いっぱい」というサブタイトルのついた記事の中で、「アメリカの音楽を日本人に紹介する仕事をしてきた。中でもエルヴィス・プレスリーのことを何回書いただろうか」のように、エルヴィスのことについて触れておられます。
この表現からも、「アメリカの音楽において、エルヴィス・プレスリーがどれほどすごい人だったか」というのがよくわかると思います。

コンサートでいつまでも残っているファンに早く帰ってもらうために、「エルヴィスはもうすでに建物を出ました」というアナウンスを流していたのですね。
モニカのセリフも、「レイチェルはたった今(もう)アパートを出ちゃったんで、今はもういません(だから電話で話せないんです)」ということが言いたいわけです。

以下の、エルヴィス・プレスリーの英語版ウィキペディアの Legacy のところに、
Wikipedia 英語版: Elvis Presley>Legacy
Elvis has left the building へのリンクがあり、それが以下の頁になります。
Wikipedia 英語版: Elvis has left the building

最初の説明を引用させていただきますと、
"Elvis has left the building" is a phrase that was often used by public address announcers at the conclusion of Elvis Presley concerts in order to disperse audiences who lingered in hopes of an encore. It has since become a catchphrase and punchline.
訳させていただきますと「"Elvis has left the building" は、アンコールを期待して居残る観客を解散させる(帰らせる)ために、エルヴィス・プレスリーのコンサートの終わりに、場内放送のアナウンサーによってしばしば使われたフレーズである。それ以来、その言葉はキャッチフレーズやジョークのオチになった。」

つまり、「コンサートはもう終わりました」という意味で、「エルヴィスは先ほどこの建物を出ましたので、もうここにはいません」というアナウンスをしたということですね。

そのウィキペディアの Popularization(普及、大衆化)の中に、映画などでそのフレーズが使われた例が出ています。
例えば、映画「インデペンデンス・デイ」では、ラストシーン近くの 2:11:47 頃、敵の追っ手から逃れて、宇宙人の母船から辛くも脱出できた瞬間に、
ヒラー大尉: Elvis has left the building!
デイヴィッド: Thank you very much. Oh! I love you, man.
と言っていました。
母船の外に無事出て、無事に任務を終了したことを、この決まり文句で表現したわけですね。
ちなみに、それを聞いたデイヴィッドが Thank you very much. と言っていますが、これもエルヴィスの口調を真似たものになっています。

そのウィキペディアの一覧には出ていないのですが、シットコム「フルハウス」とその続編「フラーハウス」でも、このフレーズをもじったものがセリフに登場しています。
フルハウスのジェシーがエルヴィスの大ファンであるために、そのフレーズが出てくるのも自然な流れだと言えるでしょう。
使用例を挙げると、「フルハウス」の 1-21 「我が家のプレスリー」(原題:Mad Money)の 16:30 あたりのシーン。
ジェシーがエルヴィスの物真似を披露するのを見た後、すっかり感化されてしまった様子の D.J. とステフが、帰宅後にエルヴィスの歌を歌うシーンがあります。
パパのダニーに「もう寝なさい」と言われ、二人で階段を上がっていく時に、
DJ: Thank you. You're a beautiful audience. Thank you very much. Elvis has left the living room. (サンキュー。今日の客は最高だぜ。どうもありがとう。エルヴィスはリビング(ルーム)を出ました。)
と言っていました。
You're a beautiful audience. Thank you very much. というのはプレスリーの真似で、リビングを去り、自分たちの寝室に行くことを、Elvis has left the building. というお決まりフレーズをもじって、「エルヴィスは(ビルディングではなく)リビング(ルーム)を出ました」と表現してみせたわけですね。
エルヴィスの真似をする流れで、このセリフを使っているところがミソなわけです。

また「フルハウス」終了から20年後に復活した続編「フラーハウス」の 1-2 「ジャクソンの反抗計画」(原題:Moving Day)の 15:25 あたりのシーンでも、ジェシーのセリフに以下のものがありました。
ジェシー: All right, Jesse has left the building. (よし、ジェシーは建物を出ました。)
そう言って、ドアから出るものの、またすぐに帰ってきて、
ジェシー: But first, Jesse has to pee. (でもまずは、ジェシーはおしっこしなくちゃ。)

元ネタが Elvis has left the building. のように主語が名前(固有名詞)になっているので、それをもじって他の人を主語にする場合でも、主語は必ず固有名詞になっているのがポイントですね。
今回のフレンズでのモニカのセリフも、カード会社の人との電話で話題の中心となっているのはレイチェルですから、単に「部屋を出た」と言いたいのであれば、She has left the apartment. のように、代名詞 she でも事足りるはずです。
she でいいところをわざわざ Rachel という主語にしているのは元ネタを意識してのものであり、「アパート(の部屋)を出た」ではなく「建物(ビルディング)を出た」というちょっと不思議な表現をしているのも、エルヴィスの元ネタがあってのことなのですね。

英語版ウィキペディアには、今回のフレンズやフルハウス/フラーハウスで使われたことは出ていませんが、エルヴィスのファンであるフルハウスのジェシーに絡むセリフは間違いなく元ネタがこれですし、今回のモニカのセリフも、Elvis has left the building. というフレーズと形が全く同じですから、エルヴィスのフレーズが出典であることは間違いないでしょう。

上の説明で、フレンズ以外の作品で使われた例をご紹介しましたが、「ここにも出てきた!」と気づける瞬間は本当に楽しいなぁと思います♪


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posted by Rach at 14:44| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
エルヴィスの面白いエピソードの紹介ありがとうございます。固有名詞の絡むクリーシェは死語になっていることがあるので、自分ではなかなか使えませんがフラーハウスで使われているのなら大丈夫ですかね?以前、若いアメリカ人と”マルコムX”の話になった時、「誰その”マルコム10世(tenth)って?」と言われたのを思い出しました。(クリーシェではありませんが)まあ、「安室奈美恵って誰?」っていう世代がいるくらいですから・・・
Posted by 山田昌宏 at 2017年09月22日 05:34
山田昌宏さんへ
コメントありがとうございます。
今回のエルヴィスの件、面白いと言っていただけて良かったです(^^)

フラーハウスはフルハウスの流れで見ている人も多いし、ジェシーがエルヴィスのファンであるという設定がはっきりしているので、最近の作品ではありますが、使っても違和感はないのでしょうね。
「マルコムX」は映画になっていることもあり、日本人でも知ってる人は多いと思いますが、アメリカ人でも若い方は知らないものなんですねぇ。tenth と間違えたというのも面白いです(iPhone X(テン)も思い出す、、、笑)

世代が違うと「え〜、これ知らないの〜?」と言いたくなることは多いですね。私も子供らを見ているとよく感じます。ちょうど子供たちとテレビを見ている時に、安室ちゃん引退のニュース速報が流れて、私は大騒ぎしていたのですが(当時よくカラオケで歌ったものだった)、アムラーブームより後に生まれた子供たちは私と随分温度差がありました。
世代の差というのはほんと大きいです(泣)。
Posted by Rach at 2017年09月22日 20:05
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