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チャンドラー: Listen, it's kind of an emergency. Well, I guess you know that, or we'd be in the predicament room. (ねぇ、ちょっと緊急なんだけど。ほら、君にもわかると思うけど、そうじゃないと(もし緊急じゃないのなら)俺たちは(緊急(治療)室じゃなくて)苦境室にいるだろうしね。)
(RECEPTIONIST GIVES HIM A LOOK TO FREEZE HELL)
受付係はチャンドラーに冷たい視線を送る。
受付係: (TO PHONE) Hold on. (TO CHANDLER) Fill these out. Sit over there! (TOSSES HIM SOME FORMS) ([電話で] ちょっと待って。[チャンドラーに] この用紙に記入して。向こうに座って! [彼に用紙を渡す])
ロス: (JUMPS TO HIS FEET) Look, I don't wanna make any trouble, okay? But I'm in a lot of pain here, all right? My face is dented. ([飛び上がって] ねぇ、トラブルは起こしたくないけどさ。でも僕はすごく痛いんだよ。僕の顔はへこんでるんだ。)
受付係: Well, you'll have to wait your turn. (順番を待たないといけないよ。)
ジョーイ: Well, how long do you think it'll be? (それってどのくらいになると思う?)
受付係: (SARCASTIC) Any minute now. ([皮肉っぽく] そのうちだね。)
ロス: Hey, this- (SHE GIVES HIM A LOOK AND THE GUYS BACK OFF) Heyy... (ちょっと! こんなのって [受付係がにらむので、男性たちはあとずさりする] ちょっと…)
チョコバーに関するクレーム電話をしていて、患者の応対もまともにしてくれない受付女性に対して、チャンドラーは「こっちはケガをしていて急いでるんだけど」という意味で、it's kind of an emergency. 「ちょっと緊急なんだけど」と言っています。
その次の I guess you know that, or we'd be in the predicament room. について。
まず、predicament は「苦境、窮地、苦しい立場・状況」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
predicament : a difficult or bad situation in which you do not know what to do, or in which you have to make a difficult choice
つまり、「どうしたらいいかわからないような、または難しい選択をしなければならないような、難しいまたは悪い状況」。
「苦境」としてチャンドラーのセリフを直訳してみると、「君はそのこと(このロスが緊急だってこと)がわかってると俺は思う。さもないと(そうでないならば)俺たちは苦境の部屋(苦境室)にいるだろう」になるでしょう。
room という言葉を使っているのは、emergency room 「緊急の部屋、緊急治療室」との対比ですね。
「僕たちは緊急だから、緊急と名前のついた ER(emergency room)に来たんだよ。それはわかってると思うけど?」と言ってから、「もし緊急じゃないのなら、緊急治療室(emergency room)じゃなくて、苦境室(predicament room)にいるだろうしね」みたいに言ってみせたのですね。
predicament という単語を使ったのは「苦しくて大変だけれど、生死にかかわるほどの緊急性はない、緊急よりは切迫度が低い」というイメージなのでしょう。
「緊急じゃないなら、緊急とは付いてない名前の部屋にいるよ」と表現することで「緊急だから緊急室に来た。だから至急、診察してくれ」とせかしているわけですが、それを「緊急じゃないなら、苦境室ってな名前の部屋にでもいるだろうし」と言って、言ったチャンドラー自身がウケたように笑ってみせたので、受付の女性はそんな冗談で皮肉っぽく文句を言われたことに腹が立った様子で、チャンドラーをキッとにらむことになります。
そんな皮肉っぽい冗談には笑えないという顔ながらも、せかされたことで受付係の女性は電話を中断し、受付のための書類を渡します。
fill out は「〜に記入する」。fill out a form なら「用紙に記入する」ですね。
待たされた上に「用紙に記入して、そっちで待ってなよ」みたいに乱暴に言われたことに腹を立て、座って待っていたロスは飛び上がるようにして受付に近づき、抗議しています。
「トラブルは起こしたくないけど、すごく痛いんだ」と言った後、My face is dented. と言っていますね。
dent は他動詞で「〜をへこませる、くぼませる」。My face is dented. は「僕の顔はへこんでいるんだ」という意味になります。
ちょっとモノが当たった程度じゃなく、すごいスピードでホッケーのパックが当たったんで、それが顔にめり込んで顔がへこんでるんだよ、と訴えているのですね。
turn は「順番」で、wait one's turn は「順番を待つ」。
「待つってどのくらいかかりそう?」とジョーイが問うと、受付係は Any minute now. と言って、ニヤニヤしています。
any minute now は「今すぐにも、じきに」ですが、何分後みたいな正確な数字ではなく、あいまいな表現で、しかもニヤっと笑いながら言っているので「まぁ、そのうち順番は来るだろうさ。あんたらは待つしかないんだよ」みたいに言ったニュアンスが出ているので、ナメられたと感じたロスは怒って詰め寄ろうとするのですが、逆にすごい顔でにらまれて、男性陣がビビってあとずさりすることになります。
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チャンドラーの台詞は、or が you know that を否定していると考えることもできます。
「ロスの処置が急を要することを受付がわからないとすると、俺達は "困った部屋" にいることになる。」
こんにちは。
解釈についての貴重なご意見ありがとうございます。
「俺たちは困った部屋にいることになる」→「俺たちは困った状況にある」のような意味かも、というのは私も頭には浮かびました。in the difficult situation のような感じで、「君がそれをわかってないと、俺たち困っちゃうんだけど」というところですよね。
ただ、emergency room との対比として、predicament room を出してきたのだと考えると、「俺たちは emergency room にいるんだから emergency に決まってるだろ」ということを強調するために、「もし緊急じゃないなら、俺たちは、predicament room にいるだろう」と別の名前の部屋にいることを言ったと考える方が面白いかなぁ、と思ったのですね。
difficult situation という状況を predicament room と表現したと考えると、room という言葉を使った面白みがあまり出ないような気がする、と言いますか。
「さもなければ(もしそうでなければ)俺たちは predicament room にいるだろう」という would を使った表現にすることで、「俺たちは emergency room にいるんだから、緊急に決まってるだろ、君だってそれは当然わかってるだろ?」というニュアンスをさらに強調したのかな、と私は思ったわけですが、、、
今のところの私の解釈は上のようなものになりますが、自分としてもあまりうまく説明できていない感じがしますので、ちょっとこの点につきましては、私ももう少し考えてみたいと思います。
また何か新たに考えが浮かびましたら、このコメント欄に書かせていただきますね。
記事を読んだ最初の印象では、「急患でないとすると predicament room に行く」というロジックがわからなかったのですが、Rach さんの回答を読んで考えているうちにこのジョークの感覚がわかってきました。
普通の人が同じ趣旨のことを言うとすると「急患でなかったら一般診療の受付に行ってるよ」となるところを、predicament room という ER に類似した得体の知れない部署を持ちだしてくるところがチャンドラーらしさなのでしょう。
たしかに「急患を受け付けない ER は predicament room だ」という解釈ではこのおかしさが消えてしまいます。「急患であることがわかってもらえないなら、困った状況にある人を受け入れてくれるであろう predicament room に行かなくては」という解釈なら可能かもしれません。
ロスが怪我をする以前に predicament にあったことを思い出しました。「怪我を診てもらえなければロスの苦境 (妻に捨てられた etc) を診てもらいに行く」と解釈すると、ナンセンスな部屋名のおかしさはそのまま、predicament という語の必然性にも納得できます。
こんにちは。お返事ありがとうございます。
コメントにお返事させていただいた後に、私の方でもいろいろ考えてみたのですが、正直、これ! と確信できる解釈と説明がなかなか出てきません。
「ER に類似した得体の知れない部署」という表現については、そんな感じなんだろうなぁと私も思います。実在する名前ではないけれど、emergency room との比較でそういう名前を挙げることで、「そうじゃないなら別の名前の部屋にいる(緊急じゃないなら、ER に来ていない)」→「emergency room に来てるんだから、emergency に決まってるだろ。緊急だから早く応対して欲しいのにそんなこともわかんないのかな」的な皮肉なんだろうなぁと。
例えば、Listen, it's kind of an emergency. That's why we came here, you know, the emergency room. 「ねぇ、ちょっと緊急なんだけど。だから俺たちはここに来たんだよ、ほら、緊急治療室にね」とわかりきったことを言う代わりに、「緊急という言葉がつかない室の名前」を挙げたのかなと私は思ったということです。
「急患を受け付けない ER は「緊急治療室」じゃなくて「苦境室」(predicament room)だ」という解釈もあり得る気はするのですが、もしそんな風に言いたいとすると、we'd be in the predicament room ではなく、this (room) should be called the "predicament room." 「この部屋は「苦境室」と呼ぶべきだよね」のような「別名」のニュアンスが出るような英文になるのかなぁ、と思ったりします。
ロスは怪我をする前から確かに苦境にいるのですが、受付女性にジョークっぽく皮肉を言ったことを考えると、受付女性はロスが精神的苦境にあったことを知らないので、そういう意味で言ったとは考えにくいような気が私にはしました。
「緊急ではないけれどつらく苦しい状況」という意味で使っているだけのような気がするということですね。
自分でも納得しきれていないので、引き続き考えてみます。
貴重なご意見ありがとうございました。