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19:56
(HOSPITAL- ROSS IS ABSENT)
病院。ロスはいない。
ジョーイ: Man, can you believe he's only had sex with one woman? (なぁ、ロスが一人の女性とだけしかエッチしてない、ってこと、信じられる?)
チャンドラー: I think it's great. Y'know, it's sweet. It's romantic. (素敵だと思うよ。ほら、スイートだし。ロマンティックだし。)
ジョーイ: Really? (ほんとに?)
チャンドラー: No, are you kidding? The guy's a freak. I judge him. (いや、冗談だろ? あいつは変人だな。俺に言わせればね。)
(ENTER ROSS OFF CAMERA)
カメラ外からロスが(画面に)入ってくる。
二人: Hey, buddy! (よお!)
ロス: Hi. (HE IS WEARING A PIECE OF STEEL BANDAGED TO HIS NOSE. HE TOSSES SOME FORMS ONTO THE RECEPTION DESK) (やあ。[鼻に包帯のようにスチールをつけている。ロスは受付の机に用紙をポイと投げる])
受付係: (SARCASTIC) Oh, that's attractive. ([皮肉っぽく] まぁ、それって素敵ね。)
チャンドラー: Oh, I thought you were great in Silence of the Lambs. Oh, come on, admit it! All things considered, you had fun tonight. (あぁ、「羊たちの沈黙」に出たら最高だったのにな。(→訂正:あぁ、「羊たちの沈黙」でのお前の演技、最高だったよな。訂正ここまで) なぁ、認めろよ。すべてのことを考えると、今夜は楽しかったろ。)
ロス: Fun? Where was the fun? Tell me specifically which part was the fun part? Where's my puck? (楽しかった、だって? どこが楽しかったんだよ? どの部分が楽しい部分だったのかを具体的に言ってよ。僕のパックはどこ?)
ジョーイ: Oh, ah- the kid has it. (あぁ、あの子供が持ってる。)
ロス: The kid? (TO KID) Excuse me, uh, that's, that's my puck. (子供? [子供に] ねぇ、それは、それは僕のパックなんだけど。)
子供: I found it. Finders keepers, losers weepers. (僕が見つけたんだ。見つけた(拾った)者が所有者で、なくした(落とした)者は泣きを見る、だよ。)
(ROSS LOOKS AT CHANDLER FOR HELP)
ロスは助けを求めるようにチャンドラーを見る。
チャンドラー: You gotta do it, man. (やらなきゃだめだぞ。)
ロス: (TO KID) Oh, yeah? Well, I'm rubber, you're glue. Whatever you (TO CHANDLER) I can't do it. (TO KID) Listen, uh, give me back my puck. ([子供に] あぁ、そうかい? そうだな、僕はゴムで君は糊(のり)だ。君が何をしても… [チャンドラーに] 僕にはできないよ。[子供に] ねぇ、僕のパックを返してよ。)
子供: No. (いやだ。)
ロス: Yes, how about it. Come here. Give me my puck. (返すんだよ。これならどうだ? こっちに来て。僕のパックを返せ。)
子供: No! No! (いやだ! いやだ!)
(THEY FIGHT OVER IT.)
二人はパックをめぐって争う。
受付係: Hey! Hey! No roughhousing in my ER! (ちょっと! ちょっと! 私のERで騒がないで!)
ロス: (TRIES TO SNATCH IT-) Give me my puck! (-BUT IT FLIES OUT OF HIS GRASP AND KNOCKS OUT THE RECEPTIONIST) ([パックをひったくろうとして] 僕のパックを返せ! [しかし、ロスの掴んだ手からパックが飛び出し、パックが受付係に当たって、受付係は倒れる])
ロス: Now, that was fun. (今のは楽しかった。)
ロスがいない状態で、ジョーイとチャンドラーは「ロスが人生で寝た女性はキャロルだけだった」という件で話をしています。
「一人の女性とだけ、なんて信じられる?」というジョーイに、チャンドラーは「そういうのはスイートでロマンティックだ」と返すのですが、さらにジョーイが尋ねると、それは本心からではないとわかり、「ロスは freak だ」とまで言っています。
freak は「奇人、変人、変わった人」という意味。
治療から戻ってきたロスは、鼻に金属製のカバー・ガードのようなものをつけています。
それを見て受付係の女性は笑いをこらえるように「魅力的ね」と言っています。
チャンドラーのセリフにある Silence of the Lambs は映画「羊たちの沈黙」(原題:The Silence of the Lambs)のことですね。
あの映画の中で、アンソニー・ホプキンスの演じるレクター博士は、拘束マスクをつけていました。
ロスの顔を見てチャンドラーはレクター博士のマスクを思い出し、彼のマスクに負けないくらいの迫力だね、と言っているようです。
(2017.12.4 追記)
I thought you were great in Silence of the Lambs. について、コメント欄にてご意見を頂戴しました。
最初、私は「『羊たちの沈黙』に出たら」というような仮定のニュアンスで訳してしまったのですが、実際のニュアンスは「『羊たちの沈黙』でのお前の演技は最高だった」ということで、そのように表現することで「あの映画のレクター博士にそっくり」だと示唆した面白さになります。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)
Admit it! は「認めろ」、all things considered は「全ての事柄を考慮すると」。
キャロルのことで落ち込んでいるお前を、俺たちはホッケーの試合に連れて行ってやったけど、おかげで楽しい一日が過ごせただろ? それを認めろよ、ということですね。
fun 「楽しいこと」という単語を聞いて、ロスは「どこが? どの部分が?」と返しています。
specifically は「具体的に」なので、どの部分が楽しいと呼べる部分だったのか、具体的に言ってみてくれよ、ということ。
ロスにしてみれば、ホッケーの試合に行ってパックが顔面に当たり、鼻にこんな金属までつけてるのに、何が fun なんだよ、というところでしょう。
そしてパックのことを思い出し「僕の顔に当たったあのパックはどこ?」と尋ねます。
待合室にいる子供が持っていると聞き、その子に「それは僕のパックなんだけど」と言うのですが、その男児は僕が見つけたんだ、と言った後、Finders keepers, losers weepers. と言っています。
これはよく使われる言い回しで、「見つけた(拾った)者が所有者で、なくした(落とした)者は泣きを見る」という意味。
weep は「声をあげずに泣く、涙を流す」。loser は「敗者」という意味でよく使われますが、この場合は「(何かを)失った人、なくした人」というニュアンス。
前半の Finders keepers. だけの形でも使われます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
finders keepers (losers weepers) : (spoken) used to say that if someone finds something, they have the right to keep it, even if the person who lost it is unhappy about this
つまり「(口語)ある人が何かを見つけた場合、その人にはそれをキープする(持っている)権利がある、例えそれをなくした(落とした)人がこのことを悲しく思うとしても」。
拾った者勝ちで、誰かが拾ってしまったら、落とした人は嘆くしかない、ということですね。
悪びれた様子もなく、生意気なことを言う子供を見た後、ロスがチャンドラーの方を見ると、チャンドラーは「やらなきゃだめだぞ」のように言います。
「子供にそんな風に言われて黙ってるわけにはいかないだろ。ガツンと言ってやれ」というところですね。
それでロスは、その子供相手に I'm rubber... というセリフを言いかけるのですが、途中でやめて、「やっぱり僕にはできないよ」と言います。
その I'm rubber, you're glue. というセリフについて。
rubber は「ゴム」、glue は「糊(のり)、接着剤」。
このフレーズは、I'm rubber, you're glue. Whatever you say bounces off me and sticks to you. と続くのが一般的で、直訳すると、「僕はゴム、君は糊。君が言うことは何でも僕で跳ね返って君にくっつく。」
相手が自分に対して悪口や侮辱の言葉などを言ってきたことに対して、「その内容は跳ね返って君への言葉になるよ。その言葉、そっくり君に返すよ」という感覚になります。
喧嘩の常套句で、フレンズの後のエピソード、2-17, 9-11 にも出てきます。
ロスも一般的な決まり文句の通りに、Whatever you say... 以下の続きを言おうとしたようですが、途中でやめていますね。
喧嘩においては「それはこっちのセリフだ!」と言い返すことも多いですが、子供の言った言葉は「拾った者勝ち」ということなので、ロスが「拾った者勝ち」という言葉を相手に投げ返したところで、結局「拾った子供の方が勝ち、ロスは負け」になってしまうように思います。
喧嘩の常套句として「その言葉、そっくり君に返すよ」と言ってみたものの、この状況でこのセリフでは相手を言い負かせないことに気付いたので、これではダメだと思って途中でやめた、という感じなのかな、と思いました。
それでシンプルに「そのパックを返して」と言うことになるのですが、男児もパックを手放そうとしません。
パックを巡って騒いでいるのを見て、受付係の女性は大声で怒っています。
No roughhousing in my ER! は「私の(担当している)ERで、roughhouse するのはナシ!」と、roughhousing という行為を禁止、止めようとしているニュアンス。
roughhouse は「(室内で)大騒ぎする、大げんかをする」という意味。
rough「乱暴な」+house「家」からも、そのニュアンスはわかりますね。
LAAD では、
roughhouse [verb] [intransitive] : to play roughly or fight
例) No more roughhousing, you two!
つまり、「ラフプレー(荒っぽいこと)をすること、または喧嘩すること」。例文は「これ以上の騒ぎはやめなさい、二人とも!」。
今回のセリフとこのロングマンの例文はよく似ていますね。
受付係が怒っていると、子供からひったくるように奪ったパックが、ロスの手を離れて勢いよく後方に飛んで行き、受付係の頭に当たって、彼女は倒れてしまいます。
それを見たロスは、Now, THAT was fun. のように、that を強めに発音しています。
パック争奪戦の前に、チャンドラーに「今日は楽しかっただろ?」と言われて「fun ってどこが? どの部分が?」とロスは怒っていましたが、さんざんロスを待たせてイライラさせたその受付女性にパックが当たったことで、ロスは仕返しできたような気がしたのでしょう、それで「他の部分はともかく、今の(受付女性にパックが当たったこと)は楽しかったよ」と言ってみせたわけですね。
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『羊達の沈黙』を連想したチャンドラーがロスをからかう台詞は、「お前の演技は素晴らしかったよ」という、アンソニー・ホプキンスとロスを混同したボケではないでしょうか。ロスが出演しているはずもなく、二人を見間違えようもないけれども、そのような常識を超越した言い方がジョークのポイントのように思います。
こんにちは。貴重なご指摘ありがとうございます。mqさんのおっしゃる通りでした。
私は上の記事で「羊たちの沈黙に出たら」のような仮定のニュアンスで訳してしまっていますが、
I thought you were great in Silence of the Lambs.
を直訳すると「お前(ロス)は”羊たちの沈黙”で最高だったと思ったよ」ということですから、mqさんのおっしゃるように「あの映画で、お前の演技は素晴らしかったよ」ということになりますよね。
「出演したあの映画での演技、最高だった」みたいに言うことで「あの映画のレクター博士みたいな姿だな」ということを表現したジョークでした。謹んで訂正させていただきます。
日本でも、
ある人:「渡る世間は鬼ばかり」のファンなんです!
ハリセンボンの近藤春菜さん:角野卓造じゃねーよ!
というジョークのパターンがありますよね。
ある作品名を出すことで、「そこに出てくる人に似ている」ということを伝える面白さという点で、共通点が感じられる気がしました。
貴重なご指摘、本当にありがとうございました!