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[Scene: Central Perk. All are there.]
セントラルパーク。全員がそこにいる。
チャンドラー: So, Saturday night! The big night! Date night! Saturday night. Sat-ur-day night! (で、土曜の夜! ビッグな夜! デートの夜! 土曜の夜。ど・よ・うの夜!)
ジョーイ: No plans, huh? (予定ないんだな?)
チャンドラー: Not a one! (一つもない!)
ロス: Not even, say, breaking up with Janice? (あれすらないの? ほら、ジャニスと別れること。)
チャンドラー: Oh, right, right. Shut up. (あぁ、そうだ、そうだ。黙ってろ。)
モニカ: Chandler, nobody likes breaking up with someone. You just gotta do it. (チャンドラー、人と別れることが好きな人なんていないわ。ただそれをするしかないのよ。)
チャンドラー: No, I know. But it's just so hard, you know? I mean, you're sitting there with her. She has no idea what's happening. And then you finally get up the courage to do it. There's that horrible awkward moment when you've handed her the note. (いや、わかってるんだ。でもただ、すごく大変なんだよ、だろ? ほら、彼女と一緒にそこに座ってるとする。何が起こってるのか彼女にはわからない。そしてそれからついに、それをする勇気を起こす。その恐ろしい気まずい瞬間があるんだよ、彼女にメモを手渡した時にね。)
ジョーイ: Why do you have to break up with her? Be a man. Just stop calling. (どうして彼女と別れる必要があるんだよ? 男になれ(男でいろ)。ただ電話するのをやめろ。)
フィービー: You know, if you want, I'll do it with you. (ほら、もしお望みなら、私があなたと一緒にするわよ。)
チャンドラー: Oh, thanks, but I think she'd feel like we're ganging up on her. (あぁ、ありがと、でも(そんなことしたら)俺たち二人で彼女を寄ってたかって攻撃してるみたいに彼女が感じるだろうって思うよ。)
フィービー: No, I mean, you break up with Janice, and I'll break up with Tony. (いいえ、私が言ってるのは、あなたはジャニスと別れる。そして私はトニーと別れるの。)
ロス: Tony? (トニー?)
モニカ: Oh, you're breaking up with Tony? (まぁ、あなたはトニーと別れるの?)
フィービー: Yeah, I know, he's sweet, but it's just not fun anymore, you know? I don't know if it's me or his hunger strike, or, I don't know. (えぇ、彼が優しいのはわかってる。でももう楽しくないの。私のせいなのか、彼のハンガーストライキのせいなのか、それとも… 私にはわからないのよ。)
チャンドラーは一人盛り上がってる様子で、Saturday night! などと叫んでいます。
それを見たジョーイが「予定ないんだな」と言って、「いっこもない」みたいにチャンドラーが返すのが面白いですね。
テンション高い感じで「土曜の夜だ」と騒いでいるのは逆になーんにも予定がないって証拠だよな、とジョーイに悟られてしまったということです。
「予定が一つもない」と言ったチャンドラーに、ロスは「ほら、ジャニスと別れること、っていうのすらないの?」みたいに返します。
break up with は「(人)と別れる」という恋愛ドラマの頻出表現。
チャンドラーは「そうだね」と言った後、即座に「黙れ」と言っているので、そのことを言われたくないことがわかります。
nobody likes breaking up with someone. は「人と別れることが好きな人はいない」。
日本語では「〜する人はいない」のように「いない」という部分で否定しますが、英語では主語を nobody にすることで「〜する人はいない」と表現することができ、このセリフはその典型的な例と言えるでしょう。
「人と別れるのはつらくて大変なことだから、そんなのを好きな人はいないわ」と言っているわけですね。
「(別れないといけない場合は)ただそうするしかないのよ」と言われ、チャンドラーは「わかってるけど、大変なんだ」と言ってから、I mean, you're sitting... のセリフを続けています。
これ以降、you're sitting, you finally get up のように主語が you の文章が続きますが、この you は話し相手の「君、あなた」を指しているのではなく、「主語を you にすることで自分の体験を相手に想像させる」というニュアンスになります。
you は「あなた」以外に「一般の人」を指すこともできるのですが、「聞き手である”あなた”も含み、話し手である”私自身”をも含む」you を主語にして自分の体験を語ることで、相手にも自分と同じ経験をイメージさせる効果が出ます。(拙著「読むだけ なるほど! 英文法」p.80 『「自分」の体験を語る時に you を使う』でも、このような you について解説しています。)
ですから、you're sitting there with her. は「(話し相手である)君が(今)彼女と一緒にそこに座っている」ということではなくて、「ほら、彼女と一緒にそこに座ってるとする」のように「相手にイメージさせるように自分の体験を語る」感覚になります。
get up は「起きる」という自動詞で使われますが、ここでは get up the courage と他動詞で使われていますので「〜する勇気を起こす、勇気を振り絞って〜する」ということですね。
awkward moment は「気まずい瞬間」、hand her the note は「彼女にメモを手渡す」。日本語で「ノート」というと「ノートブック、帳面」のことですが、英語の note は「メモ、覚書」という意味。
その後、「気まずい空気が流れるんだ。言いたいことをメモに書いて手渡した後にね」のように続いています。
「ついに勇気を振り絞って」というので、はっきりと別れの言葉を口にするのかと思ったら、「メモに書いて手渡し」かよっ! という面白さでしょう。
awkward moment のところまでは「勇気を振り絞って、相手に別れの言葉を告げるのは確かに気まずいよな」と共感していただろう聞き手のみんなが、「メモを手渡し」のオチを聞いてちょっと拍子抜けする、みたいな感覚なんだろうと思います。
Why do you have to break up with her? Be a man. まで聞くと、この後、男らしい、潔(いさぎよ)い行為が続くのかと思いますね。
でもジョーイのアドバイスは、「電話するのをやめろ」。
別れの言葉でけじめをつけることなく、ただ電話が来なくなれば、相手の女性は気がないことに気づくさ、ということで、自然消滅を狙っているわけですね。
「男であれ、男たれ」というので、男として尊敬されるような良い意味で男らしい方法が続くのかと思いきや、男性がよく使うずるい方法を言っているという面白さになります。
女性と別れる時、ジョーイ自身がそうやって別れてるんだろう、ということも想像できますね。
gang up on は「〜を集団で[寄ってたかって]攻撃する」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
gang up on somebody : to join together into a group to attack or criticize someone, especially in a way that seems unfair
例)You two stop ganging up on your sister!
つまり「ある人を攻撃する、または批判するために、グループに一緒に加わる。特にフェアではないと思える方法で」。例文は「二人とも、自分の妹を寄ってたかって攻撃するのはやめろ!」
ジャニスをふるのに私も一緒に、とフィービーが言ったので、一人でふるのも相手に悪いのに、君まで別れに参加したら、二人がかりで彼女を攻撃してるみたいになって、彼女は嫌がると思うよ、ということですね。
「私も一緒に」というのはそういう意味ではないと、フィービーは説明しています。
一緒に、というのは、チャンドラーがジャニスと別れている時に、私はトニーと別れるの、ということですね。
あなたたちが別れている現場で、私も私の彼に別れを告げる、ということを「私もあなたと一緒にそれをする」と言っていることになります。
hunger strike は「ハンガーストライキ、ハンスト」。ハンストとは、食べることを拒むことで抗議の気持ちを表す行動のことですね。
ハンストする人だと、デートでご飯も食べられないわけでしょうから、そういうことで恋愛関係が楽しくなくなったことを示唆しているのでしょう。
「私のせいか、彼のせいなのか、よくわからないんだけど」ならありがちな話ですが、「私のせいなのか、彼のハンストのせいなのか」と表現することで、ハンストするような人とデートしてるの? という驚きが笑いに繋がっているようですね。
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コメントありがとうございます。お返事大変遅くなり申し訳ありません。
最後の方で出てくる彼氏がハンガーストライキをしそうな雰囲気がある人なので、ここでハンガーストライキという言葉を出しておいて、本人を見て納得する、、という流れかと思っていたのですが、ベジタリアンレストランで彼氏が料理に手を付けないことをハンストと表現している可能性、あるかもしれませんね。
何かの主張や信念があって行っているストライキのようにフィービーは思っているけれど、単に彼氏はフィービーと同じ料理を食べられない or 食べたくないだけ、ということもありそうです。
貴重なご意見ありがとうございました。
そういう考えだったのですね。あの場で笑い声が入っていたので、既知の情報とつながっているかなと思ったのですが、この箇所に限らず、英語抜きにしてもセリフ凝ってて悩んでしまうところはある印象です(笑)
ご丁寧なお返事ありがとうございます。こちらこそお返事遅くなり申し訳ありません。
既知の情報を伏線にしている可能性は大いにあると思います。フレンズの脚本は本当に凝っていて深堀りしがいがありますよね^^
「主語を you にすることで自分の体験を相手に想像させる」という使い方、とても勉強になりました。直訳だと変な感じがしていて疑問に思っていたところでした。
ちなみに米国版では
"There's that awkward moment when you've handed her the note."
のあとに
"You try to run out of the restaurant before she's finished the note."
とあります。
メモを読んだ相手の反応を見るのが耐え切れないと思って逃げ出してしまったのでしょうか(笑)
コメントありがとうございます。お返事遅くなり申し訳ありません。
主語 you の用法について、「勉強になりました」と言っていただけたこと、大変光栄で嬉しいです。
カットされていたセリフも面白いですね。貴重な情報に感謝です。ありがとうございました。