2017年12月22日

延長ディスコバージョンを聞かされた フレンズ1-5改その4

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2:51
レイチェル: [waitressing] Does anybody want anything else? ([ウェイトレスをしながら] 誰か他に何か欲しい?)
ロス: Oh, yeah, last week you had a wonderful, nutty, chocolate-y kind of a cake-y, pie thing that.... [Rachel gives him a dirty look] Nothing. Just, just, I'm fine. (あぁ、そうだな。先週あったよね、素敵なナッツのチョコレートっぽい、ケーキ風のパイみたいなやつ… [レイチェルはロスに嫌な視線を向ける] (欲しいものは)何もないよ。大丈夫だよ。)
フィービー: [to Rachel] What's the matter? Why so scrunchie? (どうしたの? どうしてそんなに”くしゃくしゃって感じ”(不機嫌)なの?)
レイチェル: Oh, it's my father. He wants to give me a Mercedes convertible. (あぁ(原因は)私のパパなの。パパは私にメルセデスのコンパチーブルを与えようと思ってるのよ。)
ロス: That guy, he burns me up. (その人、彼は、僕も頭にくるよ。)
レイチェル: Yeah, well, it's a Mercedes if I move back home. Oh, it was horrible! He called me "young lady." (えぇ、私が家に戻れば、のメルセデスなの。もう、最低だったわ。パパは私を「お嬢ちゃん」って呼んだのよ。)
チャンドラー: Ooh, I hate when my father calls me that. (うー、俺の親父が俺をそう呼ぶの、嫌なんだよな。)
モニカ: Did he give you that whole "You're not up to this" thing again? (レイチェルのパパは例の「お前にはこんなことはまだ無理だ」っていうあれこれをまたあなたに言ったの?)
レイチェル: Oh, yeah, yeah. Actually, I got the extended disco version with three choruses of "You'll Never Make it on Your Own." (あぁ、そう、そうなの。実は、「お前は自力ではやり遂げられない」の3コーラスのエクステンディット・ディスコ・バージョンを聞かされたわ。)
フィービー: [rhythmically] Uh-huh, uh-huh. ([リズミカルに] アーハー、アーハー。)

ウェイトレスの仕事中のレイチェルは「誰か何か他に欲しいものある?」と注文を聞いています。
それに対してロスが長々と説明するのを見て、レイチェルはいらいらした様子で不機嫌な表情を浮かべていますね。
マフィンとかスコーンとか、品名をすっと言えばそれで良かったのでしょうが、「ほら、先週あった、あのナッツがあって、チョコがかかってて、ケーキ風のパイみたいなやつ」とわざと長々と説明したことにイラっとしたようですね。

そんなレイチェルを見て、フィービーは「どうしたの? どうしてそんなにスクランチーなの?」と尋ねています。
Blu-ray/DVD では scrunchie、Netflix では scrunchy と表記されていますが、これはフィービー独特の造語のようですね。
scrunch なら動詞で「〜をバリバリ砕く、〜をくしゃくしゃにする」という意味なので、それに -ie または -y を付けることで形容詞化した感覚になるでしょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) で、動詞 scrunch を見てみると、
scrunch : to crush and twist something into a small shape
例)She scrunched the letter into a ball.

つまり「何かを小さな形につぶす、またはねじる(変形する)こと」。例文は「彼女はその手紙をくしゃっと丸めた」。
恐らく「小さな形にくしゃくしゃにした」様子が「いらいらした」という感覚に通じるということでしょう。

ちなみに、scrunchy / scrunchie という名詞は存在していて、それは「(ポニーテールなどを留める)シュシュ」のこと。
アカデミックな英英辞典であるLAAD にも以下のように出ています。
scrunchie : a circular rubber band that is covered with cloth, used for holding hair in a ponytail
つまり「ポニーテールの髪の毛を留める、布で覆われた輪状のゴムバンド」。

「シュシュ」というのはフランス語の chouchou から来ているそうで、フランス語の chouchou には「お気に入り」「かわいい」という意味があるそうです。
そういうシュシュを英語では scrunchie と表現しているわけですが、これは恐らく、布の中にゴムを通して、外の布をくしゃくしゃっと縮めた状態になっていることから、「くしゃっと縮めたもの」みたいな表現になっているのかなぁ、と思ったりします。

it's my father. は「私がいらいらしている原因は、問題は、パパなの」という感覚。
convertible は「コンバーチブル、ルーフがたためる車」のこと。
Mercedes は日本語では「メルセデス(ベンツ)」と呼びますが、英語での発音は、メルスィーディスという感じです。
それを聞いたロスは he burns me up. と言っています。
burn someone up は「人を怒らせる」。
LAAD では、
burn somebody up : (informal) to make someone angry

ロスの発言は「レイチェルにメルセデスを買ってあげるとか言ってるパパには僕もむかついちゃうよ」と言葉としては言っていることになりますが、実際のところは、これはレイチェルに共感しての言葉ではないですね。
「レイチェルが不機嫌なのもわかる。それってほんとむかつくよね」のように言葉で表現することで、「高級車を買ってあげようと言っているパパに対して怒っているレイチェルが理解できない。何でそのことでいらついているのか僕にはわからない」という正反対の意味の皮肉であると考えれば良いでしょう。

そういう皮肉のニュアンスを感じ取ったらしいレイチェルは、「メルセデスを買ってあげるって言うパパにむかつく」と言ったのは「もし私が家に戻れば、のメルセデスだから」と追加で説明しています。
家に連れ戻すための餌として、高級車をちらつかせたということですね。

I hate when my father calls me that. は「俺の父親が俺をそう(young lady と)呼ぶのが嫌い」ということ。
「俺も親にお嬢ちゃん呼ばわりされるの嫌なんだよな」みたいなことで、「坊や」ならともかく、普通は「お嬢ちゃん」と呼ばれるはずもない、男性であるチャンドラーがそんな風に言っている面白さになるでしょう。
また、後のエピソードでチャンドラーの父親の話があれこれ出てくるのですが、もしかして本当にそんな風に呼ぶこともあるかもしれない、みたいな感じの人だったりもします。
この時点ではチャンドラーの父親はまだ登場していないながらも、「チャンドラーの父親って変わった人なのかも」ということを少し示唆しているようなセリフになっているのかもしれないとも思います。

You're not up to this. は「お前にはこんなことは出来ない、こんなことには耐えられない」。
お前はこれ(自立生活)ができるところまで行っていない、これをできる力(能力)がない、まだ足りない、という感覚。
「お前には独り立ちは無理だ」みたいな一連のこと、お小言をまた言われたの? みたいに聞かれたレイチェルは、「ええ。実は、"You'll Never Make it on Your Own" の3コーラスの extended disco version をパパからもらった」のように表現しています。
extended version は、音楽のリミックス版などでそういう表記がされていることがありますが、延長された長いバージョンということですね。
make it は「うまく・無事にやりとげる」「成功する」。
on one's own は「自力で、独力で」。
「お前にはこんなことは無理だ」と何度もしつこく繰り返される小言を、3コーラスの延長ディスコバージョンの歌のようだと表現したことになります。
何度も同じフレーズのリフレインが登場するディスコバーションに例えたところが面白いですね。

それを聞いたフィービーは、間髪入れずに「アーハー、アーハー」と合いの手のように入れています。
これは過去記事で教えていただいたのですが、KC & The Sunshine Band の That's the Way (I Like It) という曲(1975年)のサビの一部です。
That's the way, uh-huh uh-huh
I like it, uh-huh, uh-huh
というリフレインが非常に印象的な曲で、ごく最近のサントリー烏龍茶のCMでも使われていました。
以下のサントリーチャンネルのサイト(↓)では、そのCM動画を見ることができます。
サントリーチャンネル:サントリー烏龍茶『ミランダ・登場』篇 15秒
出演しているのはミランダ・カー。詳細情報として、オンエア開始日 2017年05月09日 と出ているので、本当に最近のことですよね。
また、使用楽曲名、歌手・演奏者にも、この曲名とバンド名が表示されています。

ちなみに、その KC & The Sunshine Band というのは、フレンズ2-14 のセリフの中にも登場しますので、フレンズでは2回、ジョークの元ネタとして使われたことになります。


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posted by Rach at 16:24| Comment(4) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。初投稿です。
これまで何年も英語を勉強しなきゃと思いながら結局続かず、中途半端な状態で過ごしてきました。
最近、海外出張が増えてきて実際に外国へ行くと、周りのちょっとした会話がまったくわからないことに焦り、飛行機で知り合った留学経験のある方に英語の勉強法を聞いたところ、「Friends」を見るのがいいよとアドバイスを受けて見始め、調べているとRachさんのHPにめぐり合いました。書籍も購入しましたよ:)
前置きが長くなりましたが、質問したい点は以下のとおりです。
1)Rachさんの完全5段階で各回見ています。ただ、5回目の「自分で調べる」については、一部自分で単語等を調べていますが、大部分はRachさんのブログで復習しているのが現状です。なるほど!と思いながら読ませていただいており、時間の短縮にもつながるため、この方法で進めていますが、何かアドバイスはあるでしょうか?
2)現在Season1-12を終えたところです。今後、このまま進み続けることがよいか、一旦復習という意味で1-1から1段階で通して見直すほうが良いか、何れがよいでしょう?

今後もRachさんのブログとともに、Friendsで継続して、楽しみながら英語に触れたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
Posted by ラッキー at 2017年12月28日 08:26
ラッキーさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。
Friends から私のサイトを見つけて下さり、また拙著もお買い上げ下さったとのこと、大変光栄で嬉しいです。ありがとうございます!

いただいたご質問について。
1)については、ラッキーさんは「完全5段階」で見て下さっているのですね。完全5段階は合計5回見ることになるため、ある程度、DVD学習に慣れてこられたら「はしょる3段階」に移っていただいても結構ですので。
「自分で調べる」については、最初は「単語を辞書で調べるだけ」になってしまうものですよね。私自身も実際そうでした。海外ドラマはネイティブが娯楽として見ているものなので、ノンネイティブにとっては難しい表現もたくさん出てきます。それを全部自分で調べるぞ! と意気込み過ぎると、続けるのが辛くなってしまうので、「わからないところがあっても気にしない」という気楽な気持ちで続けて下さい。調べてもわからない部分について私の解説を役立てていただけるとしたらとても嬉しく思います。そのように復習として使っていただきながらも、調べられそうなところはご自分で調べてみる、という行為は非常に大切なものだと思っています。人が書いた説明を読むだけでなく、その前に一度自分で仮説を立て見当をつけて調べてみる、ということを繰り返すことで、どんどん英語に慣れていくのですね。

2)このまま進み続けるか、見直すか、については、「進み続ける」方をお勧めします。英会話に慣れるためには「英会話の頻出表現・フレーズ」に慣れることが必要になるわけですが、次のエピソードに進んでいって「違うエピソードにもまた出てきた」というものが「頻出表現」となります。同じエピソードを暗記するように覚えるよりも、新しいエピソードで同じ表現、もしくは少し違ったバリエーションになったものに触れた方が「頻出表現に慣れやすい」わけですね。先ほどの話ともカブりますが、私も 1-1 を見た時は知らない単語を辞書で調べるのが精一杯だったのですが、どんどん先に進むうち、前にも出てきた、という気づきから、少しずつ表現を広げていくことができるようになりました。1-1 を何度も繰り返して見るのではなく、どんどん先のエピソードに進んで行ったことがそういう効果を生んでくれたと自分でも思っています。

これからも Friends で楽しく学んでいただければ、そして私のブログが少しでもそのお役に立てるとしたら本当に嬉しいです。楽しみながらどうかお続けになって下さいね。
こちらこそどうぞよろしくお願いします。
温かいコメントありがとうございました(^^)
Posted by Rach at 2017年12月28日 16:43
Rachさん、ご回答ありがとうございます😊
おそらく、、同じような質問がこれまであったのだと思います😅 参照先のみの紹介でなく、一文一文コメントをくださり感謝しています。
初回の字幕なしでは相変わらず「何が可笑しいの?」と理解できないままドラマが終わってしまう状況ですが、先のドラマを続けて観ます。ありがとうございます。
完全5段階からはしょる3段階への移行時期が難しいと感じています。現在、5段階目のあと、ブログ等で内容を理解して次の回に進んでいますが、内容を理解した状態で字幕なしを改めて観るのもいいかなと思っています。
そのため、次回からはしょる3段階プラス字幕なしの計4段階で取り組んでいこうと思っています。
来年からは、海外出張が更に増える予定なので、頑張りたいと思います。引き続きよろしくお願いします。

よいお年をお迎えください😄
Posted by ラッキー at 2017年12月29日 08:42
ラッキーさんへ
こちらこそご丁寧なお返事ありがとうございます。

DVD学習法を開始された後、多くの方が疑問に感じられる部分というのはやはり共通していると思います。私としては一応目安として本でもブログでもアドバイスさせていただいていますが、一番大切なのは「ある程度続けてみてから、ご自分に合った形にカスタマイズしていく」ことだと思うので、ご自分で納得される形に自由に変更して行って下さいね(^^)

海外出張に行かれた際に「フレンズで聞いたことあるフレーズ」にたくさん出会われることと思いますので、どうかそれを楽しみに続けていただければ幸いです。

年末のご丁寧なご挨拶もありがとうございます。ラッキーさんもどうかよいお年をお迎え下さいませ。
ご丁寧なお返事ありがとうございました!
Posted by Rach at 2017年12月31日 18:33
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