2017年12月28日

1ミシシッピ、2ミシシッピ フレンズ1-5改その5

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03:34
[Angela (ANGL), a beautiful woman in a tight dress, enters.]
アンジェラ、タイトなドレスを着た美しい女性が入ってくる。
アンジェラ(ANGL): Hi, Joey. (はーい、ジョーイ。)
ジョーイ: Oh, my God! Angela! (なんてこった。アンジェラ!)
[Angela takes a seat at the counter.]
アンジェラはカウンターの席に座る。
モニカ: Wow! Being dumped by you obviously agrees with her. (わぉ! あなたに振られたことが彼女には合ってたようね。)
フィービー: Are you gonna go over there? ((アンジェラがいる)あっちに行くの?)
ジョーイ: No. Yeah. No. Okay, but not yet. I don't wanna seem too eager. One Mississippi, two Mississippi, three Mississippi. That seems pretty cool. [he walks over to her] Hey, Angela. (いや。そうだな。いや。わかった、でもまだだ。熱心すぎる(ガツガツしてる)ように見せたくない。1ミシシッピ、2ミシシッピ、3ミシシッピ。今のでかなりいい感じだな。[アンジェラのところに歩いていく] やあ、アンジェラ。)
アンジェラ: [casually] Joey. ([何気ないそぶりで] ジョーイ。)
ジョーイ: You look good. (きれいだね。)
アンジェラ: That's because I'm wearing a dress that accents my boobs. (それは胸を強調するドレスを着てるからね。)
ジョーイ: You don't say. (まさか。)

赤いドレスを着た女性がセントラルパークに入ってきて、ジョーイに挨拶した後、カウンターに座ります。
ジョーイがアンジェラと名前を言っていることから、二人が知り合いであることがわかりますね。

Being dumped by you obviously agrees with her. は「あなたに振られたことは彼女に agree with している」というところ。
まずは「あなたにフラれたことが彼女に(うんぬん)」というモニカの発言から、「ジョーイはかつてこのアンジェラを振った」ことがわかるという仕組みですね。

そして、agree with というと、「(人)に同意する」という意味がまずは浮かびますが、それ以外にも「一致する、合致する」という意味があります。
研究社 新英和中辞典では、
agree=〔+with+【(代)名】〕〔…と〕一致する、合う
His statement agrees with the facts. 彼の陳述は事実と一致する。


「同意する」というのは、主語の意見が with 以下の人の意見に「一致する」ということですから、「同意する」が「一致する」という意味でも使われるのは、比較的イメージしやすいですよね。

そこからさらに進んで、agree には「性(しょう)に合う」という意味もあります。
同じく、研究社 新英和中辞典では、
agree=〔+with+【(代)名】〕[通例否定・疑問文で] 〈食物・気候などが〉〔人の〕性に合う
Spicy foods don't agree with me. 香辛料の入った食物は私に合わない。


上のスパイシーフードの例文も、「スパイシーフードは私に一致しない→私に合わない→私の性に合わない」ということですよね。

Macmillan Dictionary では、
agree with [phrasal verb] :
if a situation or way of living agrees with you, you enjoy it and feel happy and relaxed
例) I find that country life really agrees with me.

つまり、「ある状況や生き方が agree with you だというのは、自分がそれを楽しみ、そして幸せでリラックスしているように感じる、ということ」。例文は、「私はその田舎暮らしが、本当に私の性に合っていると思う(わかる)」。

ですから、今回のモニカのセリフ Being dumped by you obviously agrees with her. を直訳すると、
「あなたに振られた[捨てられた]こと(Being dumped by you)は、明らかに[どう見ても]、彼女の性に合っている」。
「ジョーイに捨てられたという状況(a situation)」が彼女の性に合っている→ジョーイに捨てられたことで、彼女はジョーイと付き合っていた頃よりも、より魅力的な女性になっている、というような意味になるということですね。

研究社 新英和中辞典では、わざわざ注意書きとして、[通例否定・疑問文で]と書いてあり、例文も「食物が人(の性)に合わない」という否定の内容になっていますが、英英辞典の Macmillan Dictionary の例文では、「田舎暮らしが性に合っている」という肯定文だったので、肯定文で使われることも可能だと言えるでしょう。
今回のセリフはその肯定文の形になっているということですね。

きれいになった元カノがジョーイのいるところに現れたわけだから、ジョーイはアンジェラと話をするためにあっちに行くの? のようにモニカは尋ねています。
ジョーイは「だめだ。オッケー、でもまだだ」と躊躇していますね。
eager は「しきりに求めて、熱望して」のような「〜する強い欲望を持っている」という感覚。
つまり「振った彼女がきれいになった姿を見て、振った方の俺がガツガツと彼女を求めてるように見せたくない」と言っていることになります。

その後、ジョーイは「1ミシシッピ、2ミシシッピ、3ミシシッピ」と数えています。
「ひとーつ、ふたーつ、みっーつ」みたいに長めに数字を数えている感覚ですが、「1、2、3」だと早すぎてしまうから、しっかり「1秒、2秒、3秒」分をカウントするために数の後ろに「ミシシッピ」という言葉を入れていることになります。
Wikipedia 英語版: Mississippi > In popular culture の冒頭に、以下のように数え方に使われる件が説明されています。
Children in the United States and Canada often count "One-Mississippi, two-Mississippi" during informal games such as hide and seek to approximate counting by seconds.
つまり「米国やカナダの子供はしばしば、かくれんぼなどのくだけたゲームで、ほぼ秒刻みでカウントするために、「ワン・ミシシッピ、トゥー・ミシシッピ」と数を数える」。

「ミシシッピ」という音を加えることで、だいたい1秒になるようですが、なぜ「ミシシッピ」という言葉を使うのかという起源・語源のようなものは残念ながら載っていません。
ミシシッピという名前には、アメリカの州(state)である「ミシシッピ州」や「ミシシッピ川(Mississippi River)」などがあり、上に引用したウィキペディアは「州」の方のページでしたが、「アメリカで一番長い川であるミシシッピ川」のイメージが「時間をたっぷり取る」という「長さ」の感覚に繋がっているような気が個人的にはしています。
バーベキューの温度測定法として「1ミシシッピ、2ミシシッピ」と手をかざす「ミシシッピ・テスト」と呼ばれる方法があるそうなので、バーベキューに詳しい方はこのカウントをご存じかもしれませんね。

この数え方については過去記事、フレンズ1-5その1 のコメント欄 でいろいろな情報を頂戴しました。
そのコメント欄で「パイロットは、One thousand, two thousand... (あるいは、Thousand one, thousand two...)のように、thousand を入れて数えることがある」という情報も教えていただきました。
私は先ほど「ミシシッピ川」のイメージの話をしましたが、ミシシッピ川は実際の川の長さが長い上に Mississippi という綴りも長いですよね。
それと同じ感じで、thousand も「千」という大きな数ですし、綴りも(比較的)長いように思います。
「1秒を慌てず”ゆっくり・たっぷり”数える」ために、単語の持つイメージが「長い」「大きい」ものを使っているのだとしたら面白いなぁ、と思います。
同じくそのコメント欄では、スケートの荒川静香さんがトリノ五輪でイナバウアーをする際にコーチから「One 〜, two 〜」と長めの言葉を入れて数えるようにと指示されて、アイスクリームが好きな荒川選手は One icecream, two icecream...と数えたそうです、、というエピソードも教えていただきました。

このミシシッピを使った数え方は、この先のフレンズでは、フレンズ3-9(フットボールの話)、フレンズ10-3(日焼けサロンの話)にも出てきます。
フレンズ以外の作品では、LOST 2-13 のラストシーン近く(42:10 くらい)、ソーヤーが、5ミシシッピまでこの方法で数えるシーンがあります。

ジョーイは 3ミシシッピまで数えた後、これでいい感じだろ、のように言ってアンジェラに近づきますが、いくら普通の one, two, three よりも「ゆっくりためて数える数え方」であっても、3ミシシッピじゃ早すぎるだろ! ガツガツしてるのバレバレじゃん! というのが面白さのポイントなわけですね。

ジョーイが You look good. 「きれいだね」と言うと、アンジェラは "That's because I'm wearing a dress that accents my boobs." と返しています。
accent は「〜を強調する」なので、「それ(私がきれいに見えるの)は、私が胸を強調する(胸を目立たせる)服を着ているからよ」と答えたことになります。
ジョーイが振ったくせにこうしてまた声を掛けてきたことを「胸元を見せるドレスを着てるから、あなた声掛けて来たんでしょ」と指摘したわけですね。
ちなみに、今月15日発売の私の4冊目となる新刊「リアルな英語の9割は海外ドラマで学べる!」の p.265 の boobs の解説の中で、このやりとりを例文として使わせていただいています(^^)

ジョーイの表情から図星だったらしいことがわかりますが、ジョーイは You don't say. と返します。
You don't say. は、「まさか? 本当?」と「相手の言ったことに驚いた、びっくりした」ことを示すニュアンスがあります。また、You don't say. を平坦な口調で言うと、反語的に「相手の言ったことに全く驚かない」ことを示すことになります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
you don't say!
a) (humorous) used to show that you are not surprised at all by what someone has just told you
b) (old-fashioned) used to say that you are surprised by what someone has just told you

つまり、a) は「(ユーモラス)誰かがたった今言ったことに、全く驚いていないことを示すために使われる」。b) は「(古い表現)誰かがたった今言ったことに驚いていることを言うために使われる」。
微妙な単語の違いはありますが a) と b) は正反対の意味で、b) が元々の「相手の発言に驚く」ニュアンスで、a) は「相手の発言に全く驚かない」という逆の意味をユーモラスに表現したもの、ということになります。

今回の場合、元カノが胸を強調したセクシードレスで現れた途端、振った方のジョーイが手の平を返したようにすり寄ってくる、、というのでは、プレイボーイのジョーイの名がすたる、ということになりますね。
ですから「胸を強調してるからね」と言ったことを認めたように「全くその通りだよね」と返したということではなく、言葉としては「まさか(胸につられたわけないだろ)」という意味で使っていて、ただし内心は「うわっ、バレバレじゃん」とギクッとしている感じなのだろうと思います。


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posted by Rach at 15:38| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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