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11:45
ロス: [to the crowd in the laundromat] All right. Show's over. Nothing to see here. [to Rachel] Ok, let's do laundry. ([コインランドリーの人々(観衆)に] よーし。ショーは終わりだ。ここには見るものはないよ。[レイチェルに] オッケー、洗濯しよう。)
レイチェル: That was amazing! I can't even send back soup. (さっきのはすごかったわ! 私はスープすら返せないのに。)
ロス: Well, that's because you're such a sweet, gentle, uh.... Uh, do you, uh, do you... Oh, hey, you must need detergent. [Ross pulls out a huge box of laundry detergent.](うーん、それは君がそんなに素敵で優しいからだよ、その… えーっ、君は… あぁ、ねぇ、洗剤必要だよね。[ロスは洗濯洗剤の巨大な箱を取り出す(下から引き上げる)])
レイチェル: What's that? (それは何?)
ロス: Überweiss [Uberweiss]. It's new. It's German. It's extra tough! (ウーバーヴァイス[ウーバルヴァイス]だ。新しい。ドイツ製。すっごくタフなんだ!)
[Rachel starts to load her clothes.]
レイチェルは自分の衣服を(洗濯機に)入れ始める。
ロス: Rach, do you uh, are you gonna separate those? (レイチェル、君は、それらの服を分けるの?)
レイチェル: Oh, God. Oh, am I being like a total laundry spaz? I mean, am I supposed to use like one machine for shirts and another machine for pants? (あぁ、なんてこと。まぁ、私って、全くの洗濯ドジみたいよね? ほら、洗濯機の一つはシャツ(上の服)用で、もう一つの洗濯機はパンツ(下の服)用みたいに使うことになってるのよね?)
ロス: Have you, have you never done this before? (君は、君はこれ(洗濯)をこれまでにしたことないの?)
洗濯機を横取りしたおばさんと大声で喧嘩したことで、コインランドリーの客がロスたちを見物していたのですが、おばさんが負けたように去った後、ロスはその人たちに Show's over. Nothing to see here.「ショーは終わりだ。見るべきものはないよ」と言っています。
周りの人の注目を浴びたため、「喧嘩は終わったんだから、ほら野次馬は散った、散った! いつまでもそこに突っ立ってないで自分の洗濯に戻りなよ」と言ってみせた感じですね。
ロスが正論で言い負かし、強い態度で相手を退散させたことに感激したレイチェルは That was amazing! 「さっきのはすごかったわ!」と称賛した後、I can't even send back soup. と言っています。
直訳すると「私はスープを返すことすらできない」というところ。
この表現については過去記事でもいろいろなご意見をいただいたのですが、つまりは「レストランで出された品物に不満があった場合に、文句を言って突き返すことすらできない」ということを言っているようです。
このセリフではスープが例えに挙げられていますが、例えば「スープがぬるくなっている、冷めてしまっている」「髪の毛などの異物が混入している」などで「こんなスープ取り換えて、新しいの持ってきて!」と言いたいような場合でも、私はそう言ってスープを突き返すことができない、と言っていることになるでしょう。
理由があっても店員さんに文句を言うことすらできない私からしたら、あんな強引なおばさんに立派に抗議したロスってほんとすごいと思うわ! と褒めているわけですね。
ちなみにレイチェルは「私ならスープすら突き返すことができない」と言っていますが、フレンズ3-6(先のエピソードの話ですみません)の「過去の回想エピソード」の中で、レイチェルがウェイトレスに「オーダーしたものと違う」と言い、飲み物を突き返すシーンは出てきたりもします。
「私はスープすら返せない」と言うレイチェルに、ロスは that's because 「それは〜だからだ」と理由を述べる形を使い、君はそんなに sweet で gentle だからだと言っています。
ロスは学生時代からレイチェルのことが好きなので「さっきのはすごかったわ!」と褒められた後の「私ならスープさえ返せないのに、、」というセリフが可愛らしく思えたのでしょう、それでつい「それは君が優しすぎるからだよ」と言って、目の前のレイチェルを後方からじーっと見つめていたのですが、レイチェルが急に振り返ったため恥ずかしくなり、話題を洗剤に変えることになります。
detergent は「洗剤」。
下に置いてあった洗剤の大きな箱を洗濯機の上に勢い良く引き上げて、一度箱を落としてしまったりしていますが、その後、箱をドンと洗濯機の上に置いて、ロスは得意げな顔で洗剤の名前を言っています。
ロスが言っているように German 「ドイツの、ドイツ製の」洗剤なので、名前も Überweiss というドイツ語になっています。
パッケージを見ると、U にはドイツ語で使われる「ウムラウト」と呼ばれる記号(U の上の2つの点)もついています(DVD英語字幕にもウムラウトがついていますが、Netflix では省略されています)。
über は英語の over の意味、weiss は white で「白」。
(脱線しますが、ブシロードのトレカ(トレーディングカード)に「ヴァイスシュヴァルツ(Weiß Schwarz)」というシリーズがあるのですが、これもドイツ語で「ヴァイス=白」「シュヴァルツ=黒」から来たネーミングとなっています)
ドイツ語の発音では「ウーバーヴァイス」になるようですが、ロスは「ウーバルヴァイス」みたいに発音しているようです。
今回のドイツ製洗剤 Überweiss は、意味としては「超白」「スーパーホワイト」というところで、その洗剤で洗濯物は真っ白になりますよ、みたいなネーミングになるでしょう。
今回のエピソードの原題(英語タイトル)が、The One With the East German Laundry Detergent 「東ドイツの洗剤が出てくる話」となっていますが、その「東ドイツの洗剤」がこのウーバーヴァイスなのですね。
extra は「特別に、格別に」。同義語は extremely。
服のサイズに XL というのがありますが、あれは extra large の略。つまりは、extremely large ということで「特大」の意味になるのですね。
separate those は「(レイチェルがまとめて入れた)それらの洗濯物を分ける、分類する」ということ。
洗濯機の中に全部の洗濯物を一気に放り込んだ時に「それ分けるの?」と聞かれたので、「あぁ、分けなきゃいけないのね」とすぐに気づいたレイチェルは、私って a total laundry spaz みたいよねぇ? と言ってから「洗濯機はこういう風に分けて使うことになってるのよね?」と続けます。
まずは a total laundry spaz について。
spaz は、私がよく引用させていただく LAAD (Longman Advanced American Dictionary) や Macmillan Dictionary には載っていませんが、ここでは「ドジな人間、どんくさい人」という意味で使われています。
アメリカではそういう意味のスラングとして使われていますが、spaz という言葉は spastic 「けいれんの、けいれん性まひの」「けいれん患者」から来た言葉で(spasm だと「けいれん」)、イギリスなどいくつかの国では spaz は侮辱的な表現とされています。
アメリカの有名なプロゴルファー、タイガー・ウッズが、2006年に自分のプレーの不調について語った際のコメントで自らを spaz と表現したため、イギリスで批判が起きたこともあります。
差別的な表現であるため、辞書にはあまり載っていないのですが、以下の Wiktionary には、spaz の意味が出ていました。
Wiktionary: spaz
Noun「名詞」の語義の後にある quotations ▼ をクリックすると、ウッズのその問題となった発言の文章を読むことができます(差別的と非難された発言なので、この記事内での引用は避けます)。
語義説明の中に slang, pejorative, offensive in Britain 「スラング、軽蔑的、イギリスでは侮辱的」という記載もあります。
その Wiktionary の Usage notes 「使用上の注意」の説明がこの単語の受け止められ方をわかりやすく説明してくれていると思うので、引用させていただきますと、
The offensiveness of this term and of spastic differs considerably between the US and the UK. In the United States, the terms are inoffensive; in the UK, they are very offensive;
つまり「この用語(spaz)と spastic(という用語)の単語の侮辱的さはアメリカとイギリスとの間でかなり異なる。アメリカではこの2つの用語は害にならない(不快感を与えない)が、イギリスではこれらは非常に侮辱的である」。
上の説明のように、アメリカとイギリスで offensive 「侮辱的」かどうかについて大きな違いがあるのですね。
アメリカ作品である「フレンズ」の今回のセリフは、DVDでも、字幕・音声とも伏せられることなくそのまま使われていますし、現在配信中である Netflix でもそのまま使われていますので、アメリカでは「どじ」という意味のスラングとして認識されている、使用可能な用語として認められているのだろうと想像されます。
ただ、世界的なスポーツ選手がその言葉を使ったことで非難されたことを考えると、ある国で差別用語とされている言葉を自ら使うのは避けるべきだろうとも思います。
am I supposed to use like one machine for shirts and another machine for pants? の am I supposed to do...? は「私は〜することになってるのよね?」という感覚。
「1つの洗濯機に全部を入れちゃダメっていうのなら、1つ目をシャツ、2つ目をパンツっていう風に上半身と下半身で分けるってことなのね?」と言ったことになります。
ロスが「経験」を問う現在完了形で「君はこれ(洗濯)を今までしたことないの?」とあきれたように尋ねたことで、レイチェルは見当違いの発言をしてしまったことに気付く、という流れですね。
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