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「今まで洗濯したことないの?」とロスに聞かれ、
レイチェル: Well, not myself. But I know other people that have. Okay. You caught me. I'm a laundry virgin. (えーっと、私自身は洗濯したことないわ。でも洗濯経験のある他の人は知ってるわよ[知り合いに洗濯経験者はいるわよ]。いいわ、あなたにバレちゃったわね。私は洗濯未経験者なの。)
ロス: Uh, well, don't worry. I'll use the gentle cycle. Okay, um, basically, you wanna use one machine for all your whites, okay? A whole nother machine for, for your colors. And a third for uh, your … uh delicates. And that would be your bras and your under... panty... things. (あぁ、心配しないで。僕はジェントル・サイクル(優しいサイクル、弱流洗い)を使うから。よし、基本的に、洗濯機の一つは白物に使うといいよ。別の洗濯機は色物用に。そして3番目は君の… そのデリケートな衣類用に。それって君のブラとか君の下着…のパンティーとかだね。)
レイチェル: [holds a pair of panties in front of Ross] Ok, Well, what about, these are white cotton panties. Would they go with whites or delicates? ([ロスの目の前にパンティーを掲げて] まぁ、じゃあどうなるの? これは白い綿のパンティーよ。これは白物と一緒? それともデリケートなものと?)
ロス: [visibly nervous] That, that… that would be a judgment call. ([目に見えて動揺して] それは、それは… それは自分で判断することになるね。)
ロスに Have you never done this before?「君は今まで洗濯したことないの?」と聞かれたレイチェルは、Well, not myself. But I know other people that have. と言っています。
not myself は、I have not done this before myself. を省略したもので、「私自身は今までこれを経験したことがない」ということ。
other people that have も、other people that have done this before が省略されたものですね。
私自身は経験ないけど、経験者を知ってるわ、と言うのですが、たかが洗濯で「知り合いに洗濯経験者はいるわよ」などと大げさな話のように答えたことで、余計にレイチェルの経験のなさが強調される感じですね。
ここでの You caught me. は「ばれたか。ばれちゃった」のようなニュアンス。
catch は「捕まえる、(人が〜しているところを)見つける」という意味ですね。
直訳すると「あなたが私を捕まえた」で、隠していた、内緒にしていた真実を見抜かれてしまった感覚になります。
virgin は「バージン、処女」から、「何かを初めて行う人、(あることの)未経験者」という意味。日本語でも「〜バージン」などと表現することもありますね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
virgin : (spoken, humorous) someone who has never done a particular activity.
例)a snowboarding virgin
つまり「(口語、ユーモラスな表現)ある特定の活動を今までしたことがない人」。例は「スノーボード未経験者」。
ですから、a laundry virgin だと「洗濯未経験者」となります。
「私って、洗濯未経験者なのよ」と告白するレイチェルに、ロスは「心配しないで」と言った後、I'll use the gentle cycle. と続けています。
gentle は「優しい」「(調子が)穏やかな」、cycle は「循環、周期」。
この gentle cycle という表現ですが、服の洗濯ラベルに、Machine wash cold (on) gentle cycle などと書いてあると「冷水で弱い洗濯機洗いができる」という意味になります。
ここでの gentle は「回転が弱い、穏やかな」という意味で、傷みやすいデリケートな衣料は、gentle cycle 「弱流で洗う、弱い回転で洗う」ようにという指示ですね。
Wikipedia 英語版: Laundry symbol の右の上から2番目の画像 Guide to Procedures LAUNDRY というポスターには、衣服タグの洗濯表示マークが一覧になっており、1行目の左から5番目(下に2本線があるもの)は、Machine Wash Gentle と記載があります。
また、同じくそのウィキペディアの一番下の External links の下から2行目の Laundry Guide to Common Care Symbols という PDF では、Washing INSTRUCTIONS の1行目の左から3番目に、Machine Wash, COLD Gentle Cycle という記載があります。
下に2本線があるマークが Gentle (Cycle) を意味しているようですね。
ロスは、洗濯バージンだというレイチェルに、「心配しないで、ジェントルなサイクルを使うから」と言っているわけですが、これからゆっくり穏やかに優しく丁寧に説明していくからね、というのを、洗濯の弱流洗いにかけた・例えた感覚になるでしょう。
そんな風にシャレっぽく言ってみたけれど、レイチェルは洗濯にあまり詳しくないこともあってか、愛想笑い程度でそれほどウケた様子もなかったので、ロスは一瞬、かっと目を見開いた後、気を取り直したように、通常の洗濯のやり方を説明していくことになります。
you wanna は直訳すると「君は〜したい」ですが、you wanna は、you should や you ought to のように「〜すべきである、〜した方がいい」というアドバイスのニュアンスになります。
use one machine for all your whites は「君の白物(白い衣服)全部に対して1つの洗濯機を使う」、つまり「1個の洗濯機で白物を洗う」ということですね。
その次の A whole nother machine for, for your colors. について。
この部分、DVD英語字幕では、A whole other machine となっていたのですが、Netflix では、A whole nother machine という表記になっています。
つまり、DVDでは「アザー」、Netflix では「ナザー」となっているわけですが、実際の発音は後者の「ア・ホール・ナザー」のように聞こえます。
この nother という単語は手持ちの英和辞典には載っていなかったのですが、LAAD に以下のように出ていました。
a whole 'nother something : (spoken, nonstandard)
a) used to emphasize that there is another complete thing of the same type as the thing you were talking about
例)There's a whole 'nother package in the cupboard.
b) used to say that something is completely different from what you have been talking about or from what you are used to
例)Texas is like a whole 'nother country for me.
つまり、a) は「自分が話していたものと同じタイプの、全部揃った一式がもう一つあることを強調するために使われる」。例文は「食器棚にはもう一つ全く同じパッケージがある」。
b) は「自分が話していたこと、または自分が慣れていたものとは全く違う何かであることを言うために使われる」。例文は「テキサスは私にとって全く別の国(土地)である」。
'nother という表記は、語義で使われている another の最初の a が取れたものだろうと思います。
about の縮約形を 'bout のように表記するのと同じで、省略されているために、' 「アポストロフィー」がついているのでしょう。
a whole 'nother は「全く別のもう一つ」という感覚から、「同じ物の一式がもう一つ」という意味と「あるものとは全く違うもう一つ」という2つの意味として使われるようですね。
a) が same 「同じ」で、b) が different 「違う」のように、正反対の意味になっているのも興味深いところです。
「口語でノンスタンダード(非標準的用法)」とあるように、文法的に正しい表現ではないようですが、それがアカデミックな辞書である LAAD に載っているのも面白いなと思います。
今回のセリフの Netflix の表記では、語頭の a が取れたことを示すアポストロフィーはありませんが、nother = 'nother ということで、LAAD で説明されている a whole 'nother の a) の意味「同じタイプのもう一揃い」として使われていると考えて良いでしょう。
コインランドリーで同じタイプの洗濯機が何台も並んでいるこの光景だと「1台目の洗濯機と、もう1台同じタイプの洗濯機2台目」のように another complete thing of the same type として表現したのもなるほどと頷ける気がします。
1台目を whites「白物」にした流れで、2台目は colors「色物」となり、白物に色が付かないように色物を分けて洗うんだ、と説明したことになります。
その後、3台目として、delicates「デリケートな物」と言っていますね。
that would be your bras and your underpanty things. は「そのデリケートな物っていうのは(君の)ブラとか下着のパンティーとかになるだろう」という感覚(ちなみに、DVD では、underpanty things, Netflix では、under... panty-things と表記されています)。
ブラの後、パンティーという言葉を使うのがロスも恥ずかしかったようで「(ブラとかパンティーとか)そういう物」という感じで最後に things と付けています。
「白」「色」「下着」で洗濯機を分けると説明されたレイチェルはロスの目の前に白いパンティーを掲げて「この白の綿のパンティーはどうなるの?」と尋ねています。
go with は「〜と一緒になる、〜と組になる」という感覚。
白の綿のパンティーは、白だから白物と一緒に洗うのか、それとも下着というデリケートなもの(delicates)だから、デリケート衣類の仲間に入れるのかどっち? ということですね。
目の前にパンティーを掲げられてしまったロスは、その白いパンティーから視線を外してその後のセリフを言っています。
自分の下着を平気で見せているところに「レイチェルはロスのことを男性として意識していない」のがわかりますし、レイチェルに好意を持っているロスの方だけが動揺しているということがよくわかる描写になっています。
過去記事、ふわふわのクマみたいに繊細で温かい フレンズ1-5改その9 で、レイチェルと一緒に洗濯に行けるとウキウキしているロスに対してチャンドラーが、"this is basically the first time she's gonna see your underwear." 「今回、レイチェルが初めてお前の下着を見ることになるんだぞ」と指摘して、ロスは動揺していましたが、ここではその逆のパターンで「ロスがレイチェルの下着を初めて見る」ことになりロスが慌てているのが、少し前のシーンのセリフと対比になる形で面白いなと思いました。
judgment は「判断」、call は「決定」。
a judgment call は、「明確なルールが存在しないので、自分の経験や考えに基づいて自分で下さなければならない決定、個人的判断」のこと。
LAAD では、
a judgment call : (informal) a decision you have to make yourself because there are no certain rules in a situation.
つまり「ある状況で確かなルールがないので、自分自身で決めなければならない決定」。
Macmillan Dictionary では、
judgment call : a decision in which there is no definitely right or wrong answer and that you therefore have to use your own judgment to make
つまり「正しい、間違いという明確な答えがなくて、よって自分自身がする判断を使わないといけない決定」。
どちらも「確かなルール・答えがない状態で、自分で行わないといけない決定」という意味として説明されていますね。
It's a judgment call. なら、It's your call. 「君が決めることだ」、You decide. 「君が決めて」と同じようなニュアンスになります。
カテゴリー的にはどちらにも属するからどっちとも判断できない。だから君がいいと思う方に決めればいいよ、ということですね。
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2018年02月02日
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