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18:59
[Scene changes to later that night. Monica accidentally spilled her drink on Bob's shirt and is wiping it off. Joey is making eyes at Angela.]
シーンがその夜の後の時間に移る。モニカはうっかり自分の飲み物をボブのシャツにこぼしてしまい、それを拭き取っているところ。ジョーイはアンジェラに色目を使っている(注:実際には冒頭ではジョーイとアンジェラは映っておらず、色目を使っている姿は、モニカとボブのやりとりの後に出てきます)。
モニカ: I'm so sorry, I can't believe I did this. I just couldn't stop laughing at your Norman Mailer story. (ほんとにごめんなさい。自分がこんなことしたなんて信じられないわ。ただ笑わずにはいられなかったの、あなたのノーマン・メイラーの話にね。)
[Angela is eating chicken wings and making the weasel-like noise Joey had told Bob about.]
アンジェラは手羽先を食べていて、ジョーイがボブに話したイタチっぽい音を立てている。
ジョーイ: Uh, waiter? One more plate of chicken wings over here. (あぁ、店員さん? ここに手羽先をもう一皿追加ね。)
画面が切り替わると、ボブのシャツの胸元をモニカが「ごめんなさい」と言いながら拭いている姿が映ります。
その後、I just couldn't stop laughing... と言っていることから、ボブの話に笑ってしまって思わず吹き出してしまったとか、持っていた飲み物をこぼしてしまったであろうことが想像できますね。
ト書きには Monica accidentally spilled her drink on Bob's shirt と書いてありますが、acccidentally は「偶然に、誤って、ついうっかり」というニュアンス。
この直前のシーンで、ジョーイとモニカが協力してボブとアンジェラを別れさせる作戦を始めようとしていることがわかるので、実際には本当の「うっかり」ではなく「うっかりを装ったわざと」だったのだろうと思えますね。
過去記事、偶然を装い、壊してみる フレンズ1-1改その18 では、
ポール: Well, he might try accidentally breaking something valuable of hers. Say her-- (そうだな。彼(君の兄さん)は、彼女(妻)の持ち物で価値のあるものを「ついうっかり」 break してみてもいいかも。例えば彼女の…)
のように、セリフの中で accidentally が出てきました。
1-1 のセリフでは「偶然に、うっかり」というのを意味ありげに使っていて、本当は「偶然を装った風にして、偶然ってことにして」という意味になります。
その意味をはっきり示す形の accidentally on purpose 「偶然を装っているが、実際は故意に」というフレーズも存在しますが、1-1 のセリフと同様に、今回の 1-5 のト書きも accidentally だけで、accidentally on purpose というニュアンスを表していることになるでしょう。
on purpose をつけずに「偶然に(ってふりをしてわざと)」と伝えたい場合には、accidentally を(意味ありげに)わざと強調して発音するとわかりやすいですね。
your Norman Mailer story の Norman Mailer は「ノーマン・メイラー」という名前の作家。
ピューリッツァー賞を2度受賞しています。代表作は「裸者と死者(The Naked and the Dead)」など。
詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: ノーマン・メイラー
上のウィキペディアではその代表作「裸者と死者」について、「それは彼自身の戦中の経験に基づいたものであり、第二次大戦を描いた最良のアメリカ小説のうちの1つとされる」と説明されています。
ウィキペディアではその作品「裸者と死者」のページもあります。
Wikipedia 日本語版: 裸者と死者
あらすじや作品解説によると、戦争中の兵士の苦悶、確執、葛藤、恐怖などを描いた作品だとのこと。
そのような重くシリアスな作品であれば、メイラーの作品の話でも、メイラー自身の話にしても、いずれも女子が大笑いするような話ではないという気がしますね。
「面白くて吹き出すような話でもないのに、わざと服にこぼしてそれをふいて、ボディータッチして誘惑している演技」であることを示すために、脚本上、わざとそのような「堅い、重い」イメージの作家の名前を出した、ということが考えられると思います。
また(これはちょっと深読みしすぎかもしれないのですが)ウィキペディアの「裸者と死者」の説明でちょっと気になるところがありました。
それは「f*ck という卑語の代わりに fug という婉曲表現を使っている」という点、そして「日本語翻訳者の方が猥褻文書の疑いで警察の捜査を受けた」という点です。
作品の内容自体は、大笑いとは程遠い重くシリアスな内容だと思うのですが、猥褻ともとられるような性的な表現が出てくる作品でもあるということで、人によっては、文学としての内容よりも「過激な性的表現が出てくる作品」という印象が先に立つようなこともあるのかもしれない、と思ったりします。
もしかするとボブはその作品の性的表現に関連したジョークを言ったのかもしれない、という気もするのですね。
脚本上、ボブがメイラーについてどんな話をしたのかは明らかになっていないのでここは想像するしかないわけですが、いろいろな作家がいる中で「ノーマン・メイラー」を選択したことは脚本家のセンスでもありますよね。
「とても笑い話にできるような作家・作品ではない」という意味での選択だったと考えるのが自然な気はするのですが、「重い作品だけれどもその中の過激な性的表現のことを思い浮かべる人もいる」というイメージからの選択だった可能性も、もしかしたらあるのかなぁ、と思いました。
モニカがボブの気を引こうとしている中、アンジェラはジョーイがイタチっぽいと表現した音を出しながら、手羽先を食べています。
ジョーイはそれをニヤニヤしながら見ていますね。
シーンのト書きでは Joey is making eyes at Angela. と表現されていますが、make eyes at は「人に色目を使う」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
make eyes at somebody : to look at someone in a way that shows you find them sexually attractive
つまり「自分がある人を性的に魅力的だと思っていることを示す様子で、その人を見ること」。
相手に気がある様子を隠すこともなく、「君、色っぽいねぇ」みたいな顔をして相手を見る、という感じですね。
ジョーイがボブに「アンジェラはイタチみたいな音を出して食べる」と説明したことは、ボブがアンジェラに幻滅するように仕向けるための悪口だったと思われるのですが、ジョーイ本人はアンジェラのその食べ方を嫌っている様子はなく、ト書きでも「色目を使う」と表現されているようにむしろ嬉しそうな顔をして見ている気がしますね。
ジョーイはウェイターに「手羽先もう1皿ね」と注文していますが、ボブに対して見せつける意味以上に、ジョーイがその姿をもっと見ていたくて頼んだのかな、と思える気もします。
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2018年03月06日
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