2018年06月05日

映画「サイコ」の音楽で恐怖を表す フレンズ1-6改その14

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8:28
モニカ: Yeah, it's interesting. But you know what? Just for fun, let's see what it looked like in the old spot. (MOVES IT) All right, just to compare. Let's see. Well, it looks good there too. Let's just leave it there for a while. (えぇ、面白いわね。でも、ほら。ちょっと面白半分に、元の場所ではどんな風に見えるかを見てみましょうよ。[足置きを動かす] よし、ただ比較するためにね。ほら。そこに置いてもいい感じに見えるわね。そこにしばらく置いておくことにしましょう。)
フィービー: (TO RACHEL) I can't believe you tried to move the green ottoman. ([レイチェルに] 緑の足置きを動かそうとするなんて信じられないわ。)
チャンドラー: Thank God you didn't try to fan out the magazines. I mean, she'll scratch your eyes right out. (君が雑誌を広げようとしなかったこと、良かったよ。ほら(そんなことしたら)モニカが君の目をくりぬくからね。)
モニカ: You guys, I am not that bad! (みんな、私はそんなにひどくないわ。)
フィービー: Yeah, you are, Monica. Remember when I lived with you? You were like, a little, y'know, (PSYCHO) Ree! Ree! Ree! Ree! Ree! Ree! Ree!(いいえ、あなたはひどいわよ、モニカ。私があなたと一緒に住んでいた時のこと覚えてる? あなたはほら、ちょっとこんな感じだった。(サイコ)リー! リー! リー! リー! リー! リー! リー!)
モニカ: That is so unfair! (そんなのすっごく不公平よ!)
ロス: Oh c'mon! When we were kids, yours was the only Raggedy Ann doll that wasn't raggedy. (あぁ、よしてくれよ! 僕たちが子供の頃、モニカの(人形)は、ラガディ(ぼろぼろ)じゃなかった唯一のラガディ・アンだったぞ。)

レイチェルが足置き(ottoman)を動かしたのを見たモニカは、Just for fun, let's see... と言いながら、足置きを元の場所に戻しています。
just for fun は「ただ楽しみのために、面白半分に」。
特に目的はないけれど、そうしてみたら面白いかと思ってやってみる、という感覚。
モニカは家具を動かされるのが嫌いなので元に戻したい、でも、それを露骨に言うのはまずいと思って、「ちょっとどうなるか見てみたいから、特に理由はないけど動かしてみるわね」という感じで、just for fun を使っているのですね。
in the old spot は「元の場所に、元あった場所に」。

足置きを移動させた時にレイチェルが I thought it looked better there と言っていましたが、それに対抗するようにここでモニカも、it looks good there too と言っています。
「あそこの方が良く見える[見た目がいい]ってレイチェルは言ったけど、”ここも・ここでも”よく見えるわよね」ということですね。

Let's just leave it there for a while. について。
言葉では、「その台を”しばらく”そこに置いておくことにしましょう」と言っていますが、レイチェルが勝手に場所を移動させたと知った時のモニカの反応、まわりのフレンズの反応からも、「しばらく」と言いながら実質的には元あった場所に完全に戻す、という意味だということがわかります。
レイチェルに勝手に場所を移動されたので、しばらくこっちに置いてみましょう、と言って、強引に元の場所に戻したことになります。

Thank God... は「…でよかった、…でありがたい」。
fan out は「扇形に広げる、並べる」。fan は「扇、扇子(せんす)」のことです。
scrach out は「えぐり取る」。
モニカがきれいに重ねて整頓した雑誌を、レイチェルが机の上にバラバラに広げないでよかった、さもないと、こういう恐ろしいことになってただろうからね、と she'll 以下でモニカがしたであろう結果として「レイチェルの目玉をえぐり出す」という表現を使っています。
雑誌を広げたくらいで、そんなことしないわ、という意味で、モニカは「私はそんなに・そこまでひどくない」と主張すると、フィービーは「私があなたと一緒に住んでた時のこと覚えてる?」と言います。
このセリフから、フィービーは以前、モニカとルームシェアをしていたことがわかるのですが、後の「フラッシュバックエピソード」では、その時の様子が語られることもあります。

You were like, a little, y'know, Ree! Ree! Ree! Ree! ... について。
Ree! 「リー!」という高い音をここでは7回繰り返していますが、この部分、ネットスクリプトのト書きでは (PSYCHO)、Netflix のト書きでは ( imitates music from Psycho ) と書かれています(ちなみに hulu のト書きは [SQUEAKING] となっていました。squeak は「キーキー音を立てる、キーキー声で言う」という意味)。
Psycho というのは、アルフレッド・ヒッチコック監督の1960年に公開されたサスペンス映画『サイコ』(原題:Psycho)のことで、その映画の有名なシャワーシーンに流れる音楽をフィービーは声で真似ていることになります。

★以下、映画『サイコ』のネタバレになりますので、『サイコ』を見たことない方はご注意下さい★
「サイコ」と言えば「シャワーシーン」というくらい、シャワー中に女性が殺害されるシーンが非常に有名で、その時に流れているBGM(タイトルは The Murder と言うそうです)も同じく有名です。
その音楽が流れる有名なシャワーシーンは、映画で 47:40 あたりのシーンになります。

ナイフで襲われた女性マリオン(ジャネット・リー)が叫んでいる姿が、DVD や Blu-ray などのジャケットでも使われていることからも、そのシーンがどれほど有名かがわかります。
「サイコ」でのシャワーシーンがショキングで強い印象を与えるため、「迫りくる恐怖」をイメージさせる音楽として、日本のバラエティ番組などでもよく耳にする有名なBGMです。

ちなみに、リーリー!と言っている時のフィービーは、リーリーの音に合わせて、拳にした手を上げ下げしています。
単にリズムに合わせて手を動かしているようにも思えるのですが、もしかすると、このシーンの殺人者が何度もナイフを上から振りかざしてマリオンをメッタ刺しにしているので、「その動きを少し感じさせる動作」になっているのかなぁ、と思ったりもしたのですが、、、
ただ、それを真似ているのだとすると、映画のシーンでは目の前にいる相手を刺しているので、もう少し前方に向かって振り下ろす形になりそうでもあるし、リーリーのリズムに合わせてだとちょっとテンポが速すぎる(実際にはもう少し間を置いて刺しています)、さらにはあの残酷なメッタ刺しの動作を真似るというのはちょっと悪趣味な気もしますので、考えすぎかなぁとは思うのですが、ちょっとフィービーのあの目立つ動作が気になったので、、、。
多分、「リーリーのリズムに合わせて腕を上下させてるだけ」なのでしょうね、、、(一人で悩んですみません)
★映画『サイコ』のネタバレはここまで★

フレンズの解説に戻ります。
「私はそんなにひどくないわ」と言ったモニカに対して、モニカの神経質さは恐怖の域に達している、ということを、言葉ではなく「恐怖」をイメージする音楽を使って、「同居してた時のあなたはこんな感じだったわ」とフィービーが説明したことになるでしょう。
「映画サイコばりの恐怖」と言われたのでモニカは「そんなの不公平よ」と反論するのですが、今度は兄のロスまでもが、子供の頃の話を持ち出します。

Raggedy Ann は「ラガディ・アン、ボロ人形のアン、アン人形」。
髪の毛が赤い毛糸で、古着・ぼろきれでできた女の子の人形。
raggedy = ragged で「服がぼろぼろの、ぼろを着た、髪の毛がもつれた」。rag は「ぼろきれ、ぞうきん」という意味です。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
raggedy : (old-fashioned)
1. torn and in bad condition
例)raggedy gloves
2. not straight or neat, but with rough uneven edges
例)raggedy hair

つまり、1. は「破れて、悪い状態である」、例は「ボロボロに破れたグローブ」。2. は「まっすぐできちんとしている、ということがなく、雑ででこぼこの端を持った」、例は「もつれた不ぞろいな髪」。

詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: ラガディ・アン&アンディ

raggedy であることが特徴のラガディ・アン人形が、モニカの場合は raggady ではなかった、つまり、服や髪の毛などがきれいに整えられていたことを言っているようですね。


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posted by Rach at 13:42| Comment(4) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさん、おはようございます。

いつも詳細な解説、ありがとうございます。おかげでフレンズを使った学習も順調に進んでいます。(^^)

>チャンドラー:・・・ she'll scratch your eyes right out.・・・ほら(そんなことしたら)モニカが君の目をくりぬくからね。

ここの right なんですが、私の場合rightというと「正しい」という意味でかなり強力に刷り込まれていていまいちここでのニュアンスが分からなかったので手持ちの辞書を引いてみたら

>(副)1 正しく,公正に,正当に,正確に,間違いなく
>プログレッシブ英和中辞典 第3版

とありました。副詞で「間違いなく」だと「ほら(そんなことしたら)間違いなくモニカが君の目をくりぬくからね。」となってニュアンスがくっきりしました。

この解釈で大きなずれはないでしょうか。9分9厘間違いなしだろうとの自信有りなんですが(笑)勘違いも多いので念のためRachさんのご意見もお聞かせいただければ幸いです。

では。
Posted by aki-kiyo at 2018年06月06日 10:22
aki-kiyoさんへ
おはようございます。コメントありがとうございます。
フレンズ学習が順調とお聞きして、私もとても嬉しいです(^^)

それでは早速、right につきまして。
私の手持ちの 研究社 新英和中辞典では、副詞 right の「正しく」の意味の例として以下のものが載っていました。

right
T 正しく, 公正に
act right 正しく行動する
U 正確に, 誤りなく
answer right 正しく答える

そのように「正しく、正確に、誤りなく〜する」という意味だと、動詞+right の形になるようですね。
今回のセリフは、she'll scratch your eyes right out. となっていて、この right は動詞 scratch にかかっているというよりは、out の強調として使われているように思えます。

right out として、out を強調していると考えると、研究社 新英和中辞典での、以下の語義に当てはまるように思います。

right
まったく, すっかり
The car turned right over. 車は転覆した。
The car turned right around and went off in the opposite direction. 車はぐるりと180度回転して反対方向に行ってしまった。

「完全にひっくり返った、完全に方向を反対に変えた」というニュアンスですね。
これは、Macmillan Dictionary だと以下の語義に当たると思います。

right [adverb] : completely
It'd gone right out of my mind until just now.
つまり、意味は「完全に」で、例文は「今に至るまでに、それは私の心から完全に消え去ってしまっていた」。

ちょうどこのマクミランの例文で right out (of) のように out と一緒に使われていて、これと同じニュアンスが今回のセリフに当たるのかなと私は思いました。

scratch your eyes out だと「君の目玉をくり抜く」となり、out を right で強調すると「目玉をすっかりくり抜く」、ちょっと妙な日本語にすると「くり抜き切る」(この「切る」は「読み切る」の「切る」のような「最後までやる」というニュアンス)みたいな感じかなぁと思います。

「間違いなくくり抜く」ということだと「モニカが君の目をくり抜くことは間違いない、絶対に目をくり抜く」という意味になると思うのですが、間違いなく scratch という行為をする、という意味の right ではなくて、out の前にあることから out の「外へ、という動きの方向」を強調するものだと私は考えたということですね。

「彼女は間違いなく〜する」というニュアンスを出すのであれば、
She'll sure scratch your eyes right out.
She'll scratch your eyes right out for sure.
のように言うことが可能かなと思います。

貴重なご質問ありがとうございました(^^)
Posted by Rach at 2018年06月07日 11:18
Rachさん、こんばんは。

早速のお返事、ありがとうございます。

>今回のセリフは、she'll scratch your eyes right out. となっていて、この right は動詞 scratch にかかっているというよりは、out の強調として使われているように思えます。

なるほど・・・ out を強調ですか。

そこで私も再度辞書を読み進めたら

right away ただちに,すぐに.⇒IMMEDIATELY類語
right enough 《主に英》
(1) 満足して,十分な.
(2) 期待どおりに.
right now 今すぐ;たった今,今しがた;《米》今は,今のところ(《英》at this moment).

という用例が出てきました。これらもそれぞれ away,enough,now を強調していると考えてよろしいんでしょうね?

>scratch your eyes out だと「君の目玉をくり抜く」となり、out を right で強調すると「目玉をすっかりくり抜く」、ちょっと妙な日本語にすると「くり抜き切る」(この「切る」は「読み切る」の「切る」のような「最後までやる」というニュアンス)みたいな感じかなぁと思います。

>「彼女は間違いなく〜する」というニュアンスを出すのであれば、
>She'll sure scratch your eyes right out.
>She'll scratch your eyes right out for sure.
>のように言うことが可能かなと思います。

なるほど。Rachさんの解説で9分9厘の自信はあえなく崩壊しましたが(笑)、またひとつ視界が広がりました。

ありがとうございました。m(_ _)m

では。
Posted by aki-kiyo at 2018年06月07日 20:24
aki-kiyoさんへ
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
aki-kiyoさんが例に挙げて下さったように、right が直後の単語を強調する使い方はいろいろありますよね。
今回の out は completely の意味だと私は解釈しましたが、研究社 新英和中辞典には、以下の語義も出ていました。

right 【副】
X [副詞・前置詞句の前に置いて] ちょうど, まさしく, きっかり
right now 今すぐ, たった今; 今(のところは)は
right in the middle ちょうど真ん中に
right across the street [over the way] 道の真向こうに
I'm right behind you. 君のすぐうしろにいる; 君を絶対に支持する

「ど真ん中」「真向こう」のように「ちょうど」のニュアンスを出すのに right は使われているわけですね。
位置を表す単語であれば「ちょうど」でいいと思うのですが、今回の scratch your eyes out は「”外の方向に”くり抜く」という「外の方向への動き」なので、「ちょうど」よりはその動きが最後まで完了するニュアンスの「すっかり」の方が合っているような気がしました。

英文の構造では「強調する単語は、強調される単語の前に置く」傾向がありますので、今回の right はやはり out を強調したものになると思います。

right とか just とかがさらっと入った英文は、そのニュアンスを出して訳そうとするのは難しいことも多く、今回の right out もまさにそれだったと思います。
興味深いご質問ありがとうございました。
Posted by Rach at 2018年06月08日 13:36
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