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監督: Okay, everybody, we'd like to get this in one take, please? Let's roll it. Water's working. (SHOWER STARTS) And action! (よし、みんな、これはワンテイクで撮りたいんだ、頼むぞ。撮影開始。(シャワーの)水を出して。[シャワーが開始する] そしてアクション!)
(JOEY STARTS TO SHOWER WITH A GRIM, DETERMINED LOOK ON HIS FACE)
ジョーイは顔に厳しく決意を秘めた表情を浮かべ、シャワーし始める。
監督: And cut! Hey, butt guy, what the hell are you doing? (そしてカット! おい、尻(役の)男、一体お前は何をしてるんだ?)
ジョーイ: I'm- I'm showering. (俺はシャワーを浴びてます。)
監督: No, that was clenching. (いや、それ(お前の尻)がくいしばってたぞ。)
ジョーイ: Oh. Well, the way I see it, the guy's upset here, y'know? I mean, his wife's dead, his brother's missing. I think his butt would be angry here. (あぁ、俺の考えでは、その男はここで怒っているんです。つまり、彼の妻は死に、彼の兄弟は行方不明。彼の尻はここで怒ってるだろうと思うんです。)
監督: I think his butt would like to get this shot before lunch. Once again, rolling. Water working. And action! And cut! What was that? (彼の尻は昼食前にこのショットを撮り終えたがってると思うがな。もう一度、撮影、水を出して。そしてアクション! そしてカット! 今のは何だったんだ?)
ジョーイ: I was going for quiet desperation. But if you have to ask.... (静かな絶望というのをやってみました。が、そんな風に尋ねないといけないっていうのは…(今のもダメってことですよね)。)
監督はカメラマンなどスタッフに "Okay, everybody, we'd like to get this in one take, please?" と声を掛けています。
直訳すると「俺たちはこれ(この撮影)をワンテイクでゲットしたい」ということですが、監督が「これからのシーンをワンテイクで撮りたい」という意志をスタッフと共有し「何テイクも撮らないで済むよう、よろしく頼むぞ」という気持ちで、we'd like to のように主語を we にしているのだろうと思います。
Let's roll it. は「撮影開始、撮影を始めよう」で、ここでの roll は「映画撮影のカメラを動かす・回す」という意味。
Macmillan Dictionary では、
roll : if a machine such as a camera rolls, it works
例)Although the interview had ended, the cameras were still rolling.
つまり「カメラなどの機械が roll するというのは、その機械が動くということ」。
例文は「そのインタビューはすでに終わったが、カメラはまだ動いて(回って)いた」。
日本語でも撮影が続いていることを「まだカメラが回っている」と言いますので、感覚はわかりやすいですね。
ジョーイがしかめ面の難しい顔でシャワーを浴びていると、監督が撮影を止めて、「一体お前は何をしてるんだ?」と尋ねます。
ジョーイは「シャワーを浴びてます」と答えるのですが、監督は that was clenching. と言っています。
that はジョーイのお尻を指していることになるでしょう。
ジョーイは「尻の代役」なので、監督はお尻にしか注目していないでしょうから、主語に that=尻 を使っているのでしょう。
clench は他動詞では「歯をくいしばる、こぶしを固める」、自動詞では「歯・口や手・こぶしが固くしまる」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
clench your fists/teeth/jaw etc. : to hold your hands, teeth etc. together tightly, especially because you feel angry or determined
つまり「拳、歯、あごをクレンチするというのは、手や歯を堅く一緒に合わせること。特に怒っている、または決意が固いという理由から」。
このセリフでは、ジョーイのお尻に力が入り過ぎて、固く締まっていることを言っているのでしょう。
the way I see it は「私の考えでは」という意味で、自分の意見を述べる前に使います。同義語は、to my way of thinking になります。
実際のところ、ジョーイは「アル・パチーノが出る大作映画での尻の代役」を与えられたため、緊張して演技が固くなり、お尻がこわばった感じになっているのだろうと思いますが、clench という動詞は、上のロングマンの語義にあるように、怒りや決心・覚悟のために、口や手が固く締まることもいうので、ジョーイは、固くなっているのは演技として怒りを表現しているためだと言い訳しているようです。
(2018.7.6 追記)
非公開コメントにて「モニカに保湿剤を借りに行くほど張り切っていたジョーイですから、「緊張して演技が固くなった」というより「このチャンスを物にするためには頑張っていい演技をしなくては」と張り切りすぎてお尻がこわばった感じになっていると思いました」というご意見を頂戴しました。
この後のエピソードの流れのことも合わせての上のご意見でしたが、確かに「ただ緊張していた」のではなく「張り切りすぎて」の方がふさわしい気がしますね。
張り切ってジョーイなりに精一杯頑張ろうとしていたからこそ、この演技は怒りを表現してるんです、のように自分の演技プランをすぐに説明できたのだと考えた方が自然な気がします。
貴重なご意見ありがとうございました。
(追記はここまで)
ここでジョーイは his butt と表現していますね。
実際には my butt であるわけですが、ジョーイは「アル・パチーノが演じる役の尻」を演じているので、その人物のお尻という意味で his butt と表現していることになるでしょう。
彼の尻はこういう気持ちのはずだ、と表現したジョーイに対して、監督は、I think his butt would like to do 「彼の尻は〜したいって気持ちだと思うよ」と返します。
このショットをランチ前にゲットしたい、つまりこのシーンの撮影をランチ前に終わらせてしまいたいと思ってるはずだ、ということですね。
監督やスタッフが「尻の代役のシーンなどさっさと撮影して、早く昼飯を食べに行きたい」と思っていることを「尻もそう思ってるはずだ」と言ってみせた感覚でしょう。
(2018.7.6 追記)
監督のセリフ Water working. について。
非公開コメントにて「監督の1回目の指示では Water's working. ですが2回目の指示では Water working. となっています。's があるのとないのとでニュアンスが変わってくるのでしょうか」というご質問がありました。
Water is working. が Water's working. と短縮形になるのは、元々 is working の is が小さく弱く発音されているからですが、それをもはや発音しなくなって、文字としての表記もなくした形が、Water working. になる、ということですね。
ニュアンスとしては後者の方がラフで、また一度指示した内容を再度言っていることから、よりラフな言い方になっている、という演出効果も多少はあるのかな、という気はします。
(追記はここまで)
go for は「〜をやってみる、試してみる」、quiet desperation は「静かな絶望」。
2テイク目の撮影を監督が止めたのは、またジョーイのお尻が妙にこわばった感じになっていたのでしょう。
それでジョーイは「あからさまに怒っているのではなく、今度はそこはかとなく漂う絶望感を表現してみました」のように言い訳したのかな、と思います。
過去記事、俳優になった理由が彼=彼に憧れて俳優に フレンズ1-6改その17 で、ジョーイは「ゴッドファーザー PART III」のマイケルのセリフを真似ていましたが、ジョーイの真似の方ではなく、実際の「ゴッドファーザー」の映画の方では「静かな口調で怒りを表現した」というようなトーンになっていたので、(私の個人的な印象に過ぎませんが)quiet desperation のイメージはその映画のマイケルから来たような気がしました。
But if you have to ask を直訳すると「でももしあなた(監督)が(今のは何だったんだ? と)尋ねないといけないなら」というところ。
自分としては静かな絶望を表現してみたけれど、「何だそれは?!」みたいに怒り口調で監督に問い返されたということは、自分のこの表現が監督に伝わっていない、監督がその演技に納得していない、ってことですよね? と自分から言ったことになるでしょう。
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2018年07月03日
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