2018年07月13日

グリンチのハートが大きくなって フレンズ1-6改その24

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16:13
オーロラ: Why can't we just have what we have now? Why can't we just talk and laugh and make love, without feeling obligated to one another? Up until tonight, I thought that's what you wanted too. (どうして今私たちが持っているものを持っているだけじゃダメなの? お互いに義務感を感じることなく、ただトークして笑ってメイクラブする(愛し合う)だけじゃダメなの? 今夜までは、それがあなたも望んでることだと思ってたのに。)
チャンドラー: Well, y'know, part of me wants that, but it's like I'm two guys, y'know? I mean, one guy's saying, "Shut up! This is great!" But there's this other guy. Actually it's the guy who wells up every time the Grinch's heart grows three sizes and breaks that measuring device. He's saying, y'know, "This is too hard. Get out, get out!" (ほら、俺の一部はそれを望んでるんだ、でもまるで俺が二人の男である[俺の中には二人の男がいる]状態なんだよ。つまり、一人目の男はこう言う、「黙れよ! これって最高だろ!」 でももう一人の男がいるんだ。実際、そいつはグリンチのハートが3サイズ大きくなって測定器を壊すたびに現れるやつなんだ。そいつが言うんだよ、「こんなのは辛(つら)すぎる。逃げ出せ、逃げ出せ!」って。)

オーロラは、Why can't we just (do)...? という文を2回続けています。
どうしてただ(〜する)だけじゃダメなの?(〜するだけでいいじゃない!)というニュアンス。
without feeling obligated to one another は「お互いに義務感を感じることなく」。obligate は他動詞で「(人に)〜すべき義務を負わせる」、obligated は「〜すべき義務があって」という意味になります。obligation だと名詞で「義務、拘束」。
up until は「〜まで」で、今夜あなたがそんなことを言い出すまで、「義務感なしで、話して笑って愛し合う」という関係でお互い了解していたと思ってたのに、ということになります。

part of me wants that は「俺の一部はそれを望んでる」。
it's like I'm two guys は「俺は二人の男、って感じ」ということですから、先に「俺の一部」と言っていたように「俺は二人の男に分かれてる、俺の中には二人の人間がいる」と言っているわけですね。
そうして、one guy と other guy 「一人の男ともう一人の男」がそれぞれ違うことを言っていると説明します。
最初の男は「黙れよ! これって最高だろ!」と言っていて、それは「オーロラとのこの関係をこのまま続けたい」と思っている自分ですね。
それと対照的に other guy のことを続けて語っていますが、the Grinch's heart 「グリンチのハート」という言葉で説明されている Actually から that measuring device までの文章は背景説明が必要となりますので、後ほど詳しく解説します。
もう一人の男は「こんなの辛すぎるよ。逃げ出せ、逃げ出せ!」と言っていて、今夜オーロラにぶちまけてしまったように、俺以外にたくさんの男と付き合ってるのが辛すぎる、苦しすぎる、こんな関係からは抜け出すべきだ、と思っていることがわかります。

そのもう一人の男のセリフを言う前に「その男ってのはこういうやつなんだけど」と前振りのように説明した英文 Actually it's the guy who wells up every time the Grinch's heart grows three sizes and breaks that measuring device. について。

Grinch 「グリンチ」は、ドクター・スース(Dr. Seuss)の有名な児童文学「いじわるグリンチのクリスマス」(グリンチはどうやってクリスマスを盗んだのか)(原題:How the Grinch Stole Christmas!)に出てくる、クリスマスを嫌っているキャラクターの名前。
この後、フレンズでも何度かドクター・スースの本のタイトルが登場します。それくらい、アメリカ人の子供たちには超有名な児童作家であり、グリンチも超有名なキャラクターだということですね。

2000年には、監督:ロン・ハワード、主演:ジム・キャリーで、『グリンチ』(原題:Dr. Seuss' How the Grinch Stole Christmas!)のタイトルで映画化もされましたので、日本でもこのキャラクターのことをご存じな方は結構おられるのではないかと思います。
さらには、この記事を書いている今から5か月後の2018年12月14日に、「ミニオンズ」などを手掛けたイルミネーションの最新作として、3DCGアニメーション映画の『グリンチ』が公開されます。
映画『グリンチ』公式サイト
日本語吹替版で大泉洋さんがグリンチの声を担当されることが今日の5:00頃に発表されたようです(今から9時間前!)。
オリジナルの英語版でグリンチの声を担当するのは、『シャーロック』でシャーロックを演じているベネディクト・カンバーバッチさんで、こちらも楽しみですね♪
そのように近年になってもまた映像化されるというところにも、グリンチというキャラクターの有名具合がよく表れていると思います。

★なお、ここから今回のチャンドラーのセリフを説明するに当たり、「グリンチ」の絵本や過去の映像作品のシーンの説明をすることになります。
12月公開の新作で初めてグリンチという作品に触れる方にとってはネタバレになってしまいますので、ご注意下さい★


well up は「(こんこんと)わき上がる」
過去記事、エンタープライズ号を攻撃しようとしてる フレンズ1-2改その34 で、ロスの子供の超音波映像を感動した様子で見ているモニカに言った、ロス: Are you welling up? (泣きそうになってるの?)というセリフで well up が出てきました。
ですから、it's the guy who wells up every time SV の形で「SがVするたびにわき上がる(出現してくる)男」だと言っていることになります。
measuring device は「測定するデバイス」ですから「測定器」。
grow three sizes は「3サイズ成長する、大きくなる」。

この「グリンチ」の原作の絵本のお話を簡潔にまとめると、、、

クリスマスの大嫌いなグリンチが、村人の家々からプレゼントやツリーを盗むことで「クリスマスを盗もうとする」けれども、それらが盗まれても村人たちは喜びの歌を歌っていた。
クリスマスの本質は店で買うような「もの」ではないことにグリンチが気づき、グリンチの小さかったハートのサイズが大きくなる。
グリンチは盗んだものを村人に返し、最後には自らごちそうの肉を切り分ける。

という内容になっています。

「グリンチのハートが3サイズ大きくなる」という部分、まずは原作の絵本で確認してみました。
有名な絵本なのでいろんなバージョンがありますが、私が数年前に買ったのはこのバージョン↓
Amazon.co.jp: How the Grinch Stole Christmas! (Classic Seuss)
How the Grinch Stole Christmas! (Classic Seuss)

その原作絵本では、グリンチのハートのサイズに関する記述が2箇所出てきます。
まずは絵本の冒頭で、
But I think that the most likely reason of all
May have been that his heart was two sizes too small.

そして絵本のラスト直前で、
Well... in Who-ville they say
That the Grinch's small heart
Grew three sizes that day!


「最初は2サイズ小さかったハートが、3サイズ大きくなった」ということで、チャンドラーのセリフ the Grinch's heart grows three sizes は、絵本での表現 the Grinch's small heart grew three sizes に倣ったものであることがよくわかります。

このように、絵本では the Grinch's small heart grew three sizes という表現は出てくるのですが、測定器(measuring device)という言葉は出てきません。
今回の フレンズ1-6 のアメリカでの放映は1994年10月なので、2000年公開のジム・キャリーの「グリンチ」はまだ公開されていませんでした。
チャンドラーが言っているのは、1966年にアメリカでテレビスペシャル番組として放映された『How the Grinch Stole Christmas!』の一場面のようです。
IMDb : How the Grinch Stole Christmas! (1966)

使命感に燃えて(笑)、以下の北米版(import版)を購入し、実際の映像を確認してみました。
Amazon.co.jp: How the Grinch Stole Christmas: 50th Anniversary [DVD] [Import]
How the Grinch Stole Christmas: 50th Anniversary [DVD] [Import]

26分の短い作品ですが、チャンドラーが言っていた測定器を壊すシーンは以下のようなものでした。

「クリスマスはお店から来るんじゃない」とグリンチが気づいた後、村から盗んだプレゼントやツリーが山ほど積まれたソリが、雪山から滑り落ちそうになり、グリンチはソリが落ちないようにとっさにそれを掴みます。
23:20 に絵本と同じ内容のナレーションが流れ、グリンチのハート(心臓)のあたりに、横から心臓の大きさが見えるモニターが出てきて、彼のハートが、一回り(ひとまわり)、二回り(ふたまわり)、三回り(みまわり?)大きくなって、ついにはモニターの枠がピヨ〜ンという金属の弾けるような音と共に壊れる、という映像になっていました。
原作の絵本では「フーヴィル(村)の人々の話では、その日、グリンチの小さなハートが3サイズ大きくなったとのこと」という語りのみになっていたのを、1966年のテレビスペシャルでは「ハートが大きくなってついにはモニターが壊れた(計測不能になった)」という映像で表現したことになります。

グリンチのハートが大きくなった時というのは「クリスマスは店で買う”もの”から来るんじゃない。クリスマスは人の心から生まれるものなんだ」→「物事の本質は物質ではなく、気持ち・心なんだ」と気づいた瞬間なわけですね。
ですからチャンドラーのセリフの「グリンチのハートが3サイズ大きくなる時に登場するやつ(男)」というのは「大事なのは気持ちだ、心だ」と主張する自分ということになります。
相手が何人の男と付き合ってても構わない、何の責任もなくただエッチを楽しむことができるんだから、というのが「物質的・物理的な行為を重視する」ことであり、「エッチできればそれでいいってわけじゃない、好きだと思う相手には自分だけを好きでいてもらいたい」というのが「気持ちや心を重視する」ことに当たるでしょう。
「大切なのはものじゃなく心なんだ」と気づいた自分を「クリスマスは”心”から来るものだと気づいたグリンチ」に例えたわけですね。
絵本では「3サイズ大きくなった」という言葉の表現のみにとどまっていましたが、「測定器を壊す」という1966年のテレビスペシャルのシーンの方がサイズが大きくなったことをよりわかりやすく視覚的に表現しているため、フレンズのセリフにもその表現を盛り込んだということでしょう。
フレンズたちは1970年前後の生まれという設定ですが、1966年のテレビスペシャルはきっと何度も再放送され、フレンズたちも子供の頃に見ていた、ということかなと思います。

ちなみに日本でも公開された2000年のジム・キャリー版の「グリンチ」では、20:53 に、ハートを測定する測定器(レントゲンのようなモニター)に彼のしぼんだ小さなハートが映り、Yes! Down a size and a half! (よーし! (ハートが)1.5サイズ縮まった!)と言うシーンがあるのですが、1:25:22 で「3サイズ大きくなった」というナレーションが入るシーンでは、グリンチが着ているサンタの服ごしに、心臓あたりの部分が大きく膨らんでいるのがわかる、という描写になっていました(つまり、3サイズの時には測定器は出てこない)。

「ハートが3サイズ大きくなる」というのは、原作の絵本にある表現で、グリンチの心の変化を示す、クライマックスシーンに欠かせない描写だと思うので、12月公開のイルミネーション版「グリンチ」でも、「ハートが3サイズ大きくなった」シーンがきっと出てくるだろうと思っています。
どのような描写でそれを表現するのか楽しみですね♪


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posted by Rach at 14:26| Comment(4) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさん、おはようございます。

聴き取りで引っかかったところが出てきました。

>Actually it's the guy who wells up every time the Grinch's heart grows three sizes and breaks that measuring device.

この文の「measuring device」が何度聴いても「machine device」に聴こえるのです。
英語字幕(ブルーレイ)でも「measuring device」となっていましたのでそれで間違いないと思うのですが・・・気になって捨て置けなくコメントしました。(笑)

では。
Posted by aki-kiyo at 2018年07月19日 10:28
aki-kiyoさんへ
おはようございます。コメントありがとうございます。

音はいったん「こうだ!」と聞こえてしまうと、なかなかそのイメージを覆すのは大変ですよね。
Netflix の字幕でも、measuring device になっていますので、おっしゃるように「それで間違いない」みたいです^^

もしこれが machine だとすると、ma-chine の後ろの方(シーン)の方にアクセントが来ますが、チャンドラーの発音は、最初の mea(メ)の方が強いので、そこが聞き分けのポイントかなという気がしました(^^)
Posted by Rach at 2018年07月20日 10:17
Rachさん、こんにちは。

早速のお返事、ありがとうございます。

>音はいったん「こうだ!」と聞こえてしまうと、なかなかそのイメージを覆すのは大変ですよね。

そうなんですよね。今回Rachさんがアドヴァイスして下さったアクセントに注意を払って再度聴いてみたのですが・・・

あ〜、やっぱりダメです。machine(マシーン)と聴こえてしまいます。(;_;)
なかなか頑固な耳・・というか脳・・ですね。(^^ゞ

しばらく間を空けて聴いてみます。

Netflix の字幕も確認していただいたようで、ありがとうございました。m(_ _)m

では。
Posted by aki-kiyo at 2018年07月20日 13:41
aki-kiyoさんへ
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
おっしゃるように、「しばらく間を空ける」というのはいいかもしれませんね。

忘れた頃に聞いた時にはまた違ったように聞こえてくれるのを願っています(^^)
Posted by Rach at 2018年07月20日 19:59
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