2018年07月20日

走らせる、動かす、支配する フレンズ1-6改その25

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16:47
オーロラ: So which one of the two guys will you listen to? (それでその2人の男のうちどっちの人の話をあなたは聞くの?)
チャンドラー: I don't know. I-I have to listen to both of them. They don't exactly let each other finish. (わからない。俺は両方の話を聞かないといけないんだ。二人とも相手の話を最後まで言わせようとしないんだよ。)
オーロラ: Which one? (どっちなの?)
チャンドラー: The second guy. (2番目の男だ。)
オーロラ: I see. (GETS UP TO LEAVE) Well, call me if you change your mind. (わかったわ。[立ち上がり去ろうとする] ねぇ、気持ちが変わったら電話して。)
(SHE KISSES HIM. HE HOLDS HER AND KISSES HER PASSIONATELY)
オーロラはチャンドラーにキスする。チャンドラーはオーロラを抱き、情熱的にキスする。
チャンドラー: Sorry, the first guy runs the lips. (ごめん、1番目の男が唇を操ってるんだ。)
(SHE LEAVES. CHANDLER SIGHS AND FALLS BACK ON HIS BED)
オーロラは去る。チャンドラーはため息をつき、ベッドに後ろ向きに倒れる。

which one of the two guys は「その(心の中で葛藤している)二人の男性のうちのどちらを」。
finish は「言い終わる」で、let someone finish は「人に話を最後まで言わせる」。
"Let me finish." だと「最後まで言わせて。最後まで話をさせて。話を最後までちゃんと聞いて」という決まり文句になります。
口論になってしまって、お互いが、"Let me finish!" "Let ME finish!" と言い合っているシーンもよく見かけます。
「俺の話を聞けよ」「おまえこそ」という感じで、このようなやりとりでは、2文目の me を強く発音することで、「それはこっちが言いたいセリフだ。お前こそ“俺の話を”最後まで聞けよ」というニュアンスが出ます。
上のチャンドラーのセリフでは、心の中の二人のチャンドラーは言い争いをしていて、相手の発言が終わらないうちから、自分がしゃべってしまうんだ、と言っています。
どちらも自分の言いたいことを一方的に言うばかりで、相手の言うことを聞こうとしないから、話がまとまらないんだということですね。

「二人の人間のどっちの言い分も聞かなきゃいけない」というチャンドラーに「どちらか決めて」というようにオーロラは Which one? と選択を迫ります。
「2番目の男」、つまりハートが大きくなったグリンチのように「物質的なものよりも、心・気持ちの方が大切」だと思っている男の方だと答えたチャンドラー。
オーロラはそれ以上説得することはあきらめ、「気持ちが変わったら電話して」と言っています。
淡々とそう語る様子からは、過去にもそんな風に誰かと別れたことがあったのだろう、と思わせる部分がありますね。
オーロラはさよならの挨拶として軽いキスをするのですが、チャンドラーは彼女を抱いて情熱的なキスをしてしまいます。
自分から別れを選んでおいてそんなキスをしてしまったことを反省し、「ごめん」と謝った後、the first guy runs the lips. と続けます。

run は自動詞で「走る」、他動詞で「走らせる」ですが、「(機械や車)を動かす、運転する」「(店・会社などを)経営する、運営する」「〜を支配する」という意味があります。
「走らせる」という感覚が、目的語を「動かす」感覚につながる、ということですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
run : BE IN CHARGE OF [transitive] to control or be in charge of a company, an organization, or system
つまり「会社、組織、システムをコントロールすること、またはそれらを管理していること」。

2番目の男、つまり、オーロラとは別れるべきだと言う男の意見を聞くよ、と言ったチャンドラーですが、やはり別れがたくて思わず情熱的なキスをしてしまい、今のキスは1番目の男がやったことだ、という意味で、the first guy runs the lips. 「俺が君にキスした今の唇は、1番目の男が支配してるんだ」と説明しているのですね。

run を使った動作を表す表現に、run one's fingers/hand through one's/someone's hair というものがありますので、併せてご紹介しておきます。
直訳すると「自分の指/手を(自分の/誰かの)髪の毛に通すように走らせる」ということで、手櫛(てぐし)のように指を髪の毛に通すことを指します。
自分の髪であれば、手で髪をかき上げるようなしぐさで、相手の髪であれば、彼氏が彼女の髪を指で優しく撫でているようなロマンティックなイメージですね。

LAAD では、
run : MOVE SOMETHING OVER A SURFACE [transitive always + adv./prep.] to move or rub something lightly along a surface
run something down/through/along something
例)He ran his fingers through her hair.

つまり「表面上に何かを動かす(他動詞、常に副詞・前置詞を伴う)表面に沿って、何かを動かす、または軽くこする」。例文は「彼は彼女の髪の毛に自分の指を通した」。

今回のチャンドラーのセリフが仮に The first guy ran his lips over yours. のような形だったら、「1番目の男が君の唇の上に自分の唇を走らせた」と訳すことができますが、このような「対象物の上に〜を軽く走らせる」という意味の場合、上のロングマンの語義にもあるように副詞や前置詞で「走らせている場所」を示す必要があります。
今回のチャンドラーのセリフ the first guy runs the lips の場合はそのような場所を示す表現が入っていませんので、「走らせる」よりも「コントロールしている、操っている」という意味の方がふさわしいでしょう。

また、このセリフは ran という過去形ではなく run という現在形が使われているので、厳密に訳すと「今の唇は1番目の男が操っていた」というよりは「(その)唇を操っているのは1番目の男である」という方が近いです。
別れるべきと思っていて、それが正しいとわかってるんだけど、つい唇がおイタしちゃった。その唇だけが「このまま楽しめ!」と主張する1番目の男の支配下にあるんだよね、と言ってみせた感覚になるでしょう。


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posted by Rach at 11:55| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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