2019年01月22日

見えないからっておしゃれしちゃいけないわけじゃない フレンズ1-8改その10

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は7位、「にほんブログ村」は9位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


8:23
[Scene 4: Nana's house. Ross, Mrs. Geller and Aunt Lillian are going through clothes]
シーン4: おばあちゃんの家。ロス、ミセス・ゲラー(ゲラーママ)、リリアンおばさんが服をチェックしているところ。
ロス: I thought it was gonna be a closed casket. ((外から見えない)閉じた棺になるんだと思ってたんだけど。)
ゲラーママ: Well, that doesn't mean she can't look nice. (えぇ、だからって素敵に見えちゃいけないってことはないわ。)
[They open a cupboard which, amongst other things, contains a chest of drawers]
彼らは戸棚を開ける、他の物の間に、引き出し付きの箪笥(たんす)(整理箪笥)がある。
ゲラーママ: Sweetie, you think you can get in there? (スウィーティ、あなた、そこに入れると思う?)
ロス: [Sarcastic] I don't see why not. ([皮肉っぽく]もちろんだよ[無理だという理由が見つからないよ]。)
[He tries pushing against the chest of drawers. Then he opens one of the drawers and climbs into the closet using that; he falls behind the chest of drawers with a shout]
ロスは整理箪笥を押そうとする。それからロスは引き出しの一つを開けて、それを使ってクローゼットの中に入る。ロスは叫び声を上げて、整理箪笥の後ろに落ちる。
ロス: Here's my retainer! (ここに僕のリテイナーがある!)

casket は「棺(ひつぎ)」。他に棺を表す単語には coffin もあります。
Wikipedia 英語版: Coffin に興味深い記述がありましたので、引用させていただきますと、、
A distinction is often made between coffin and casket: the latter is generally understood to denote a four-sided (almost always rectangular) funerary box, while a coffin is usually six-sided.
訳させていただくと「しばしば、コフィンとキャスケットには区別がつけられる。キャスケットは一般的に、四辺の(ほとんどの場合、長方形の)葬儀用の箱(棺)を意味すると理解されている。一方、コフィンはたいてい六辺である」。

つまり、一般的には、上から見た形が長方形なのがキャスケットで、六角形なのがコフィンということですね。
ドラキュラが眠っている棺をカタカナでコフィンと表現することがあるように、ドラキュラの棺の形(六角形)の方がコフィンだと考えれば良いのだろうと思います。

a closed casket は「閉じられた棺」ということなので、外から姿が見えない状態を指します。
どんな服を着てるかわからない形状の棺なのに、着せる服を探さないといけないわけ? とロスは思っているわけですが、それに対してママは That doesn't mean she can't look nice. と返します。

look nice は「素敵に見える」。
直訳すると「棺の蓋が閉じられていて中身が見えないということは、おばあちゃんがきれいに見えちゃいけない、ということを意味しない」ということ。
中身が見えないからって、おしゃれしちゃいけないってわけじゃないでしょ、おしゃれしてもかまわないでしょ、ということですね。
人には見えなくても、棺の中でもちゃんとした服装をさせたい、という娘心かつ女心ということになるでしょう。

おばあちゃんの手持ちの服を見てみようと戸棚を開けたところ、引き出し付きの大きな整理箪笥がドンと置いてあって、行く手を阻んでいます。
その中に入れないと服が探せないので、ママが「中に入れるかしら?」と尋ねると、ロスは I don't see why not. と返します。

直訳すると「どうしてダメ・無理なのかわからない」という感覚で、「ダメなわけはない。当然できるさ」→「もちろん中に入れると思うよ」と返したニュアンスになります。
実際には、入ろうにもどうすればいいのかわからない感じの邪魔具合ですから、ト書きに「皮肉っぽく」とあるように「当然できる」は皮肉ですね。
「こんなとこ入れるわけないじゃん」と言いたい気持ちだけれど「ロス、入れるかしらね?」とさも簡単に入れるかのように頼んできたママに対して、「あぁ、入れると思うよ。誰が見ても当然入れるって思えるでしょ。入れないわけがない」と正反対のことを言ってみせたことになります。

頼むだけ頼むと、ママとおばさんはロスの方を見ようともせず、ロスは一人で箪笥を押してみたりしますが、ついには引き出しの一つを出して、そこに足をかけて箪笥によじ登ります。
上に届いた時にバランスを崩して、箪笥の向こう側に落ちてしまい、叫び声でさすがの女性陣も気づきますが、ロスは箪笥の後ろで何かを見つけたらしく、Here's my retainer! と叫びます。

retainer は「(歯列矯正に使う)リテイナー、歯列固定・保定装置」。
歯列矯正器で歯を移動させ歯並びを整え、その矯正器を外した後に、元の位置に戻らないように歯の位置を安定させるために付ける装置のこと。
矯正する時に歯に付けている器具のことを日本語では「ブラケット」と言いますが、英語では braces と呼ばれます。
保定装置の方は、日本語でも「リテイナー」と呼ばれます。
日本では歯型の形の透明なプラスチックのマウスピースが用いられる場合が多いように思いますが、ワイヤー付きのもあるようです。
Wikipedia 英語版: Retainer (orthodontics)
retain は動詞で「保持する、維持する」という意味。

戸棚の中に整理箪笥が突っ込んであって、その奥には何が落ちているかもうわからない状態になっているという感じですね。
めったに動かさない家具を動かすと、昔なつかしいものが出てきたりすることがありますが、このシーンの場合は、ロスが子供の頃に使っていたリテイナーが十数年ぶりに出てきた、ということになるでしょう。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 19:10| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさん、おはようございます。

ちょっと「あれ?」と思ったところがあったのでコメントです。

>[They open a cupboard which, amongst other things, contains a chest of drawers]

このスクリプトは英国人が書いたのかしら?

というのは cupboard を辞書で引くと

>1 《米》食器棚,食器だんす
>2 《主に英》(衣類・食物用)戸棚,押し入れ(《米》closet).
>プログレッシブ英和中辞典 第3版

となっていて米国人なら closet と書くんじゃないかなと思った次第です。

ハリーポッターではハリーがダーズリー家の「暗い物置で住んでる」が「living in a dark cupboard」となっていて、カップボードの中に住んでるって・・魔法で自分を小さくして住んでるのかしら・・なんて解釈の仕方をしかけたことが(^^;)

あくまで勝手な推測です。

では。
Posted by aki-kiyo at 2019年01月24日 10:22
aki-kiyoさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。

確かにこの形状のものは、普通は closet になりそうですよね。
お察しの通り、スクリプトを書いた方はイギリス人の方のようで、単語の綴りもイギリス式だったりすることがあります。

私が使っている研究社 新英和中辞典の cupboard のところには特に英米の区分けは書いていなかったのですが、関連表現として、skeleton in the cupboard が載っていて、その参照先を見てみると、

skeleton in the closet [《英》 cupboard]
外聞をはばかる家庭内(など)の秘密、内輪の恥

と表記されていました。
私がよく聞くのはクローゼットの方ですが、ここで closet ではなく cupboard を使うのは「英(イギリス)」ということらしいので、やはり、「米国の closet が 英国では cupboard」という区分けは存在するように思えますね。

アメリカ英語の辞書である、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では以下のように出ていました。
cupboard : a piece of furniture for storing clothes, plates, food etc. that is usually attached to a wall and has shelves and a door
つまり「服、皿、食料などを保存するための家具。たいていは壁に取り付けられていて、棚と扉がある」。
アメリカ専用の辞書に「衣服を保存する」と書いてあるので、アメリカでも「衣類戸棚」の意味で使うことはあり得るようで、それを考えると、教えていただいたプログレッシブの語義にあった「主に英」という表現にも納得できます。アメリカでは closet と言うことが多いが、衣類戸棚の意味で cupboard と言わないわけでもない、というところでしょうね。

ハリポタは映画は全部観たのですが、原作は読んでいなくて、cupboard の件は知りませんでした。カップボードと考えてしまうと、確かに「ん?」となりますよね^^

興味深いコメントありがとうございました(^^)
Posted by Rach at 2019年01月29日 19:57
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。