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10:29
ジョーイがセントラルパークに入る。笑っていたフレンズたちが笑うのをやめる。
ジョーイ: So I guess you all saw it. (それで、お前ら全員、それを見たんだな。)
レイチェル: Saw what? (見たって何を?)
フィービー: No, we were just laughing. You know how laughter can be infectious. (いいえ。私たちはただ笑っていただけよ。笑いって伝染しやすいって知ってるでしょ。)
ジョーイが入ってくる前は大笑いしていたのに、ジョーイが来たのに気づいた途端、笑うのをやめ、笑いそうになるのをこらえたような顔をしているフレンズたち。
ジョーイはその様子を見て、全員、俺の例のポスターを見たんだな? と言っています。
フィービーはそれを否定し、「私たちはただ笑ってただけ、ほら、笑いって伝染しやすいものでしょ」と返します。
You know how laughter can be infectious. を直訳すると、「笑いがどのように infectious になり得るか、あなたは知ってるでしょ」というところで、「あなたも知ってるように、笑いって伝染しやすいものだから」ということですね。
ある人が笑っているのを見て、つられて笑いが移っちゃっただけよ、のように説明した感じですが、infectious という言葉は元々「病気が伝染性の」という意味があります。
an infectious disease なら「伝染病」で、infection は「伝染、感染」です。
その「伝染性の」という意味から、「(笑いや悲しみなどが)伝染する、うつりやすい、伝わりやすい」という意味になったのですね。
性病のポスターのことなんて知らないかのように言っていながらも、「笑いも伝染する(infectious)から」と言ったフィービーにみんなは大爆笑し、言ったフィービー本人も「オゥ!」という風に口を押さえています。
意図せず、例の病気繋がりの言葉を言っちゃった、みたいな感じのリアクションですね。
その様子から、やっぱりみんなはそのポスターを見ていて、そのことで笑っていたことがわかるという仕組みです。
その後、さらに街のあちこちにでかでかとポスターが掲げられるシーンが挿入されていきます。
11:05
モニカの家。ジョーイが入ってくる。
モニカ: Hey.
ジョーイ: Set another place for Thanksgiving. My entire family thinks I have VD. (感謝祭用にもう1つ場所を用意して。俺の家族全員が、俺を性病だと思ってるんだ。)
チャンドラー: Tonight, on a very special Blossom... (今夜、特別編の「ブロッサム」では…)
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モニカが感謝祭の料理を準備していると、ジョーイが寂しそうな様子で入ってきます。
家族愛の強いジョーイは「感謝祭は家族と過ごす」と言っていたのに、こちらにやってきたので、モニカが驚いた顔をすると、ジョーイは、Set another place for Thanksgiving. My entire family thinks I have VD. と言います。
Set another place for Thanksgiving. を直訳すると「感謝祭用にもう一つ場所をセットして」という命令形になるでしょう。
感謝祭の食事の準備をしているモニカに対して、「感謝祭の席をもう一人分用意して」と言っているのですね。
My entire family thinks I have VD. は「俺の家族全体(全員)が、俺が性病を持っていると思っている」。
「俺はあのポスターのせいで性病だと思わて、家族と過ごせなくなったから、こっちでご飯食べさせて」ということですね。
その話を聞いて、料理中のモニカとフィービーは料理の手を止め、同情の表情を浮かべています。
その後のチャンドラーのセリフ、Tonight, on a very special Blossom... について。
Blossom の部分がイタリックになっていますが、この Blossom というのは番組名(ドラマ名)。
それではその Blossom という番組について。
Blossom は90年代前半のアメリカのシットコム(シチュエーション・コメディー)。
日本でもNHK教育テレビで放映されていました。両親が離婚して、父と兄二人と暮らす10代の女の子ブロッサム(Blossom)が主人公。
ロス役のデビッド・シュワイマー(英語読みではシュウィマー)がゲスト出演したこともあるようです。
Wikipedia 日本語版: ブロッサム (テレビドラマ)
そしてチャンドラーのセリフにある、Tonight, on a very special Blossom... という表現について。
(注)ここから Blossom の話が延々続きます。
映画やドラマのデータベースサイト Internet Movie Database (IMDb) の以下のページ
IMDb : Blossom / Connections
に、ブロッサムと他の作品との関連事項が並べられています。
今回のフレンズ1-9 で言及された件も載っているのですが、それ以外にも以下のような記述がありました。
Pawa pafu garuzu: A Very Special Blossom/Daylight Savings (1999) (TV Episode)
Title reference, as some episodes started with the phrase "Tonight, on a very special 'Blossom.'"
訳させていただきますと、
『パワーパフガールズ』(The Powerpuff Girls)の1999年のエピソード「A Very Special Blossom/Daylight Savings」
タイトルの出典、(ブロッサムの)いくつかのエピソードは Tonight, on a very special 'Blossom.' というフレーズで始まったので。
パワーパフガールズはアメリカ製作のアニメで、日本でも放映されていましたね。
Wikipedia 日本語版: パワーパフガールズ
各話リストの第2シーズン(1999年-2000年)第7話が
A Very Special Blossom と Daylight Savings だったようで、
テレビ東京での放映は
28話 A Very Special Blossom(邦題:うそつきはダメよ!)
となっていたようです。
パワーパフガールズのエピソードタイトルに、なぜブロッサムが入っているかというと、パワーパフガールズの主人公の名前がブロッサム(Blossom)だからのようですね。
A Very Special Blossom(とても特別なブロッサム)というタイトルは、Tonight, on a very special 'Blossom.'(今夜、”ブロッサム”のとても特別なエピソードで」という言い回しをもじったもの、ということのようです。
ブロッサムのコネクションズのページには、他にも very special (episode) という記述がいくつも見つかりますので、on a very special (episode of) Blossom というフレーズは、それだけ多くの人に認識されているということになるのでしょうね。
オンラインスラング辞典である Urban Dictionary にも very special episode という項目がありました。
Urban Dictionary : very special episode
引用させていただきますと、
Very special episode
A type of episode of a TV show telling viewers that this is an important episode. Touched on subjects such as child molestation, AIDS, and rape. Popularized by sitcoms from the 80's and 90's such as "Diff'rent Strokes", "Mr. Belvedere", and "Blossom".
例)Tonight, on a very special episode of Blossom...
つまり、「これは重要なエピソードであるということを視聴者に伝える、テレビ番組のある種類(タイプ)のエピソード。子供への性的いたずら、エイズ、レイプなどの話題に触れられたもの(エピソード)。Diff'rent Strokes(邦題:アーノルド坊やは人気者)や Mr. Belvedere(邦題なし)や Blossom(邦題:ブロッサム)などの80年代から90年代のシットコムで一般的になった」。
例)今夜、ブロッサムの非常に特別なエピソードで(は)…
Wikipedia 英語版: Blossom (TV series) の See also に
Very special episode というリンクがあって、そのリンク先がこちら。
Wikipedia 英語版: Very special episode
ウィキペディアの説明を引用させていただきますと、
"Very special episode" is an advertising term originally used in American television promos to refer to an episode of a sitcom or drama series which deals with a difficult or controversial social issue. The usage of the term peaked in the 1980s.
「ベリー・スペシャル・エピソード」は元々、アメリカのテレビの宣伝(番組紹介)で使われた広告用語、難しく、論争を招く(物議をかもす)ような社会問題を扱う、シットコムまたはドラマのエピソードを言及するための。その用語の使用は1980年代にピークを迎えた」。
この Very special episode のウィキペディアに Notable examples(有名・顕著な例)という項目があるのですが、残念ながらこの中に「ブロッサム」は入っていません(そもそも、ブロッサムのリンク先からたどってきたのに、なんでやねーん!)。
ですが、Urban Dictionary や Wikipedia の説明が一致しているように、「議論を呼びそうな社会問題を取り扱っているエピソード」のことを very special episode と表現すること、80年代(から90年代にかけて)によく使われた言い回しであることは間違いないようですね。
そのように very special episode という言い回しがあるのがわかったところで、チャンドラーのセリフ Tonight, on a very special Blossom... に戻ります。
直訳すると「今夜、超・スペシャルの「ブロッサム」では…」というところで、「今夜の「ブロッサム」特別編では…」のような感覚でしょう。
海外ドラマでは、最初の「前回までの〇〇では」という部分で、Previously on 24 のように on+番組名という表現が出てきます(基本、1話完結型のフレンズも、前後編に分かれている場合には、後編の最初に Previously on Friends... というフレーズが出てきますよね)。
今回のチャンドラーのセリフの on もそれと同じニュアンスでしょう。
日本のテレビのCM中の番宣でも「今夜の〇〇スペシャルは…」のような前振りの後、見どころを紹介したりするのと同じ感覚でしょうね。
アーバンやウィキペディアの説明にあったように、社会的な問題となり得るような題材を扱ったエピソードでは、a very special (episode of) Blossom という表現が使われていたとのことなので、「家族の一人が、他の家族たち全員に性病だと思われた」という話を聞いて、シットコム「ブロッサム」の特別編にありそうな物議をかもすような話だな、という意味で、ジョーイのセリフの後に「今夜の「ブロッサム」特別編では…」と続けてみせたことになるでしょう。
ちなみに、今回は「シットコムのフレンズで、シットコムのブロッサム」が言及されたわけですが、別のシットコム繋がりのお話をもうひとつ。
主人公ブロッサム・ルソーを演じるメイム・ビアリク(マイム・ビアーリク)は、最近だと同じくシットコムの「ビッグバン・セオリー」のエイミー役で出演しています。
Wikipedia 日本語版: メイム・ビアリク
エイミー役で出演するのは s3-23(シーズン3の最終エピソード)からですが、実は、ビッグバン・セオリーの s1-13 で、メイム・ビアリクについて言及するセリフが出てきます。
physics bowl(物理のクイズ大会)は4人1組で出ることになっているところ、シェルドンが抜けることになり、最後の4人目を誰にするかで相談しているシーン(9:30)。
ラージ: You know who is apparently very smart? It's the girl who played TV's Blossom. She got a PhD in neuroscience or something. (どうやらとても賢いらしい人が誰か知ってる? テレビ(番組)でブロッサムを演じてた女の子だよ。彼女は神経科学か何かの博士号を持ってるんだ。)
メイム・ビアリクのウィキペディアにも「2007年には、神経科学の博士号を取得している」とありますので、その事実に基づいたセリフなわけですね。
そんな風に「人気ドラマの女優」として言及された彼女が、後に神経科学者の役で登場するところが実に面白いと思いました。
Blossom の話から、あれこれ脱線してしまいました。ここまで読んで下さった方、ありがとうございました<(_ _)>
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