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キャロルの家。ロスが赤ちゃんに独り言のように語りかけている。
ロス: And everyone's telling me, "You gotta pick a major! You gotta pick a major!" So on a dare, I picked paleontology. And you have no idea what I'm saying, because, let's face it, you're a fetus. You're just happy you don't have gills anymore. (それでみんなが僕に言うんだよ、「専攻(科目)を選ばなきゃ! 専攻を選ばなきゃ!」ってね。それで思い切って、僕は古生物学を選んだんだ。君には僕が何を言っているか全然わからないだろうね、だって、ほら現実を直視してみようよ、君は胎児なんだから。君はもうエラがないことがただ幸せなんだよね。)
キャロル: Look, you don't have to talk to it. You can sing to it if you want to. (ねぇ、その子に話しかけなくてもいいのよ。もしそうしたいのならその子に歌ってもいいのよ。)
ロス: Oh, please. I am not singing to your stomach, okay? (あぁ、よしてよ。僕は君のお腹に向かって歌を歌ったりしないよ、いい?)
スーザンが帰宅する。
スーザン: How's it going? (どんな感じ?)
ロス: Shh! Here we come, walkin' down the street Get the funniest looks from Everyone we meet Hey, hey! Hey, uh, did you just feel that? (シーッ! [ロスは歌い出す] ♪ さあ行くよ 通りを歩いて行く 出会う人みんなが面白い顔をするよ ヘイヘイ!♪ ねぇ、今の感じた?)
キャロル: I did. (感じたわ。)
ロス: Does it always--? (それっていつも…?)
キャロル: No, no. That was the first! (いいえ、いいえ。今のが初めてよ!)
スーザン: Keep singing! Keep singing! (歌い続けて! 歌い続けて!)
ロス: And I can't wait to meet you When you come out I'll buy you a bagel And then we'll go to the zoo (♪そして僕は君に会うのが待ちきれない 君が出てきたら僕は君にベーグルを買ってあげる そしてそれから君と僕は動物園に行くんだ♪)
スーザン: I felt it that time! (今の感じたわ!)
ロス: Hey, hey, I'm your daddy I'm the one without any breasts (♪ヘイヘイ 僕はパパだよ 胸がない方(のパパ)だ♪)
major は「(大学の)専攻科目」。What's your major? なら「専攻(科目)は何ですか?」という質問。
動詞として使うと major in で「(大学で)〜を専攻する」という意味になります。
dare はジーニアス英和辞典で以下のように出ています。
dare=(名詞)(通例 a 〜)挑戦、あえてすること
on a dare(米)=(英)as [for] a dare 挑戦されたので、度胸試しとして
Macmillan Dictonary では、
dare : an attempt to persuade someone to do something dangerous in order to prove that they are brave
on a dare: When he was 14, he had stayed out all night on a dare.
つまり「自分が勇敢であることを証明するために、その人に危険なことをするように促す試み」。on a dare の例文は「彼が14歳の時、度胸試しとして一晩中ずっと外出していた」。
マクミランの語義では「誰かにそれをするように促されて」とありますが、マクミランの例文は、他人に促されたというよりは自ら強さを証明したいという「度胸試し」のニュアンスが感じられますので、ジーニアスの訳語にある「度胸試しとして」がここではふさわしいように思います。
今回のロスのセリフの場合も「誰かにそれをしろ」と言われたというよりは「できるかどうかわからないけど思い切ってやってみる」という「度胸試し」の方が近いような気がしました。
paleontology は「古生物学」。ロスの専攻であり、今の博物館での仕事にも密接に関わる学問なので、フレンズには何度も登場する単語です。
paleontologist だと「古生物学者」で、ロスの職業を専門的に表現するとこの単語になります。
let's face it は「それに直面しよう」ということから「現実を直視しよう、事実をあるがままに受け入れよう」。
fetus は「胎児」。受精後8週間経ったものが fetus と呼ばれ、それ以前の受精卵は、embryo 「胚、胎芽」と呼ばれます。
gill は「(魚などの)エラ」。胎芽の時には魚のようなエラがあるのですが、胎児になるとそれがなくなる、ということ。
今の君は胚から胎児になって、エラが取れたぞ、ばんざーい、ってなってる頃、つまり人間としてはごくごく初期の段階だから、僕の古生物学専攻の話なんて、わけわかんないよね、と言ったことになるでしょう。
talk/sing to it の it は「お腹の中にいる(まだ性別のわからない)赤ちゃん」のこと。
普通は人間に対して it 「それ」のように表現すると「もの」扱いしたようになり失礼になるのですが、今回のように性別がわからない場合は it と表現することになります。
Oh, please. は「あぁ、どうかお願いだから」ということですが、ここでは「どうかそんなことは言わないで、勘弁して、やめてよ」というニュアンス。
stomach は「胃」ですが、内臓としての胃以外に「おなか、腹」の意味でも使います。
「そんな難しい話をしてもしょうがないから、ただ歌ってあげれば?」とキャロルは言うのですが、ロスはそんなことをしても君のお腹に歌ってるみたいだから嫌だ、と拒んでいることになります。
ロスが歌いだした歌は、テレビ番組「ザ・モンキーズ・ショー」のテーマ曲で、タイトルは、(Theme From) The Monkees (邦題は、「モンキーズのテーマ」)です。
ザ・モンキーズ(The Monkees)は、デイドリーム・ビリーバー(Daydream Believer)などのヒット曲で有名なアメリカのバンドです。
Hey! Hey! の後、We're the Monkees! ... と歌詞が続くことになるのですが、ここではお腹が動いたのを感じて、いったん歌うのをやめています。
「いつも?」「いいえ、初めて」というやりとりから、これが初めて赤ちゃんの胎動を感じた瞬間ということになり、3人は大喜びします。
胎動を感じた後、再び歌い始めますが、メロディーはそのままで、歌詞は「モンキーズのテーマ」とは全く違うものになっています。
歌詞を見てもわかる通り、ここからはロスが自分の気持ちをこのメロディーに乗せて歌います。
それまでは「お腹の赤ちゃんに話しかけるなんて、、」と否定的なロスでしたが、自分の歌に反応してくれたお陰で、自分の赤ちゃんにパパとして歌を聞かせるつもりになったことが伺えます。
I'm your daddy. I'm the one without any breasts. は「僕は君のパパだよ。僕は胸がない方だよ」。
キャロルがママだとすると、そのレズビアン・パートナーのスーザンの役割は、さしずめ赤ちゃんのパパというところでしょう。
そばにスーザンもいたので、嬉しいながらもちょっとイヤミも言ってみようということで、「僕は胸がない方のパパだけどね」→「もう一人のパパであるスーザンは、パパなんだけど胸があるんだよ」と言ってみせているわけです。
ロスとスーザンの口喧嘩は、愛する女性(キャロル)を巡る男同士の喧嘩のような感じですし、ロスにとってスーザンは、女性というより、愛する女性を奪ったライバルでしかない、ということでしょう。
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名詞の dare について各種の辞典を参照すると、そのほとんどに「挑発」の意味が含まれているように説明されています。研究社の大辞典には「無謀なことをやれるならやってみろと挑むこと, 挑戦, ...」とあります。LDOCE には on a dare = because someone has dared you to とあります。
ロスは、興味や関心というまともな理由からではなく、「周囲の挑発にのって」というふざけた理由から古生物学を専攻することに決めたという方が、台詞としても面白いと思います。
こんにちは。コメントありがとうございます。
「度胸試し」ではなく「他人に促されて」のニュアンスが近い、ということですね。
決めろ決めろとせっつかれたから「周囲の挑発にのって」選んじゃったんだ、と言っている面白さということなのですね。
貴重なご意見ありがとうございました。