2019年11月25日

唇がついているものを探す必死の争奪戦 フレンズ1-10改その3

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2:30
レイチェル: Hey, do you guys know what you're doing for New Year's? [They all protest and hit her with cushions] Gee, what? What is wrong with New Year's? (ねぇ、みんなは大晦日に何する(予定な)の? [全員が抗議してクッションでレイチェルを叩く] 全く、何よ? 大晦日の何が問題なの?)
チャンドラー: Nothing for you. You have Paolo. You don't have to face the horrible pressures of this holiday. Desperate scramble to find anything with lips just so you can have someone to kiss when the ball drops! Man, I'm talking loud! (レイチェルには何ともないことだよな。君にはパウロがいるんだから。レイチェルはこの祝日のひどいプレッシャーに直面する必要もない。あのボールが落ちる時に、キスする相手が(誰か)いるように、唇の付いてるものを見つけようとする必死の争奪戦にね。何てこった、俺は大声でしゃべってる!)
レイチェル: Well, for your information, Paolo's gonna be in Rome this New Year's. So I'll be just as pathetic as the rest of you. (まぁ、参考までに言っておくと、パウロは今年の大晦日はローマにいることになってるの。だから私は残りのあなたたちと同じようにみじめな状態になるわね。)
フィービー: Yeah, you wish. (えぇ、(あなたが願っているように)そうだったらいいのにね。)
チャンドラー: It's just that I'm sick of being a victim this Dick Clark holiday. I say this year, no dates, we make a pact. Just the six of us. Dinner. (ディック・クラークの祝日の犠牲者でいることにはもううんざりだ。こうしよう、今年はデートなし、俺たちは契約を結ぶ。俺たち6人だけでディナーだ。)
みんな: Yeah, okay. Alright. Sure. (そうね、オッケー。いいよ。)
チャンドラー: Y'know, I was hoping for a little more enthusiasm. (なぁ、俺はもう少し盛り上がるのを期待してたんだけどな。)
みんな: Woooo! Yeah! (ウー、イェー!)

New Year's は New Year's Day 「元旦、元日」または New Year's Eve 「大晦日(おおみそか)」のこと。
ここでは「大晦日から元旦にかけて、年末から新年にかけて」という「大晦日の夜」を指していると考えればよいでしょう。
scramble to do は「〜しようとする争い、奪い合い」。そこに形容詞の desperate がついて、「先を争って・躍起になって〜を見つけようとする必死の争奪戦」のような意味になります。
desperate は Desperate Housewives 「デスパレートな妻たち」という海外ドラマのおかげで、「必死の、がけっぷちの」というニュアンスが広く知られるようになったと思います。

anything with lips は「唇のついている[唇がある]何か」。
本来なら「キスする相手(誰か、人)」ということで、anybody to kiss と表現すればいいところを、とりあえずキスするための唇があるものなら何でもいい、という感じで、人でさえない anything with lips 「唇がついている何か」とモノのように表現しているのが面白いです。
それに対して、レイチェルにはキスする相手がいる、というセリフの時には someone to kiss のように人を表わす表現が使われているのに注目したいところです。

「キスするために、唇がついてるものを必死で探さないと!」というみじめな話をセントラルパークででっかい声で話していることに自ら気づいて、Man, I'm talking loud! は「なんてこった、俺は大きな声で話してる!」と言っているのも面白いです。

when the ball drops について。
「ボールが落ちる」というのは、タイムズスクエアで大晦日から元旦にかけて行われるビッグイベント「ボール・ドロップ」(Times Square Ball Drop)のこと。
電飾で飾られた New Year's Eve Ball が、カウントダウンと共にゆっくりと下に下りていき、ちょうどカウントダウンがゼロになったところで、新年の数字の電飾のところで止まります。
花火、紙吹雪などでみんなが新年を迎えたことを喜び合う、というイベントで、新年を迎えた瞬間に恋人同士などがキスし合うのが恒例となっています。

for your information は「ちなみに、参考までに」。FYI と略すこともあります。
pathetic は「みじめな」。
パセ…ットっていうのはサンスクリット語で…とごまかす フレンズ1-10改その1 では、pathe-- と言いかけて、パセットという別の言葉に言い換えていましたが、ロスが言おうとしていたその単語が、ここで実際に「みじめな」という意味で出てきたことになります。
仮に冒頭のシーンで、pathe- が何を言おうとしていたかわからなかった場合でも、ここでこの単語を見て意味を調べることで、「冒頭に言いかけていた単語はこれだったのか!」と気づく可能性もありますね。

You wish. は「(あなたが願っているように)そうだったらいいのにね」という意味。
wish は「実現不可能な願望」を表わす時によく使われる動詞で、You wish. も「あなたはそう願っているようだけど、実際には違う」というニュアンスがあります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
you wish! : used to tell someone that something is definitely not true or definitely won't happen, even though they might wish it
つまり「何かが全くの間違いであると、または何かが間違いなく起こらないと、人に言うために使われる、その人がそれを願っているかもしれないとしても」。

仮にレイチェルが「私にはパウロという恋人がいるから大晦日は彼と過ごすの」と言ったことに対してフィービーが You wish.「そうだったらいいのにね」と返したとすると、「そんな風にうまく行くとは限らないわ、大晦日には別れてるかもしれないわよ」という意味で流れ的にもしっくりくるのですが、今回の場合は「私もあなたたちと同じようにみじめよ」と言ったことに対して「そうだったらいいのにね」ですから、会話の流れとしては少々変な感じがします。
これについては「たまたま大晦日にパウロがいないにしても、レイチェルだけ恋人がいるという事実は変わらない」ことから、レイチェルがそのことについてコメントした場合、何を言っても気に入らないという気持ちから「あなたの思い通りにはいかないわよ」と反射的に返したということなのかなと思います。
その会話のちぐはぐな感じ、トンチンカン具合が、フィービーっぽいということかなぁと。

be sick of は be tired of と同じような意味で「〜はうんざりだ」。
Dick Clark は、ボール・ドロップを生中継する番組の司会者の名前。このエピソードの最後の方に、その番組とディック・クラークがテレビに映ります。
make a pact は「契約を結ぶ」。pact は「協定、条約」で、a nonaggression pact だと「不可侵条約」。
I was hoping for a little more enthusiasm. は「もう少し熱狂してくれるかと思ってたのに」。
was hoping という過去進行形は「そう願っていた」ということで、実際には思ったほど盛り上がっていない、熱狂的な反応がないことを言っています。
日本語で言うと「思ってたのに…」と逆接が続く感覚になります。


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posted by Rach at 14:45| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは

いくつかの辞書で You wish! の使用例を見ると、先に発言する人は、その発言内容の実現性について肯定的・楽観的であるケースが多いようです。
I'm going to be famous one day. (LDOCE)
By the time I'm 40, I'll be rich. (Cambridge)
LAAD の even though they might wish it の部分は、先に発言する人が実際に wish しているわけではなく、 You wish! と返す人が強調のために置く仮定と考えられます。

レイチェルも、大晦日にキスをする相手がいないという点で自分も他の5人と同じようにみじめになるということを事実として述べているだけで、その実現を願っているわけではありません。一方のフィービーは、つきあっている相手がいるレイチェルのみじめさと、つきあっている相手がいない他の5人のみじめさは本質的に違うと感じているのでしょう。フィービーが皮肉な調子で返す You wish! は「レイチェルのみじめさと私たち5人のみじめさが同じになるならいいけど、願ったとしてもそうはならない」と解釈できると思います。二人の視点のずれに着目すれば、話の流れにも合うのではないでしょうか。
Posted by mq at 2019年12月03日 18:48
mqさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。

「レイチェルのみじめさと私たち5人のみじめさが同じになるならいいけど、願ったとしてもそうはならない」という解釈、確かにそんな気がしますね。二人の視点のずれという話もおっしゃる通りだと思います。
貴重なご意見ありがとうございました。
Posted by Rach at 2019年12月04日 19:53
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