2019年12月25日

その映画を見に行った人と似ている フレンズ1-10改その6

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5:42
[Scene 2: Mon+Rach's apartment. Again, no Joey. The gang are decorating for Christmas]
シーン2: モニカとレイチェルのアパートメント。また、ジョーイはいない。フレンズ(ギャング)たちはクリスマスの飾り付けをしている。
ロス: Come here, Marcel. Sit here. [Marcel wanders off] (こっちにおいで、マルセル。ここに座って。[マルセルは離れる])
レイチェル: Pheebs, I can't believe he hasn't kissed you yet. I mean, God, by my sixth date with Paolo, I mean, he had already named both my breasts. Ooh. Did I just share too much? (フィービー、彼がまだあなたにキスしてないなんて信じられないわ。ほら、パウロとの6回目のデートまでに、彼は私の両胸に名前を付けたのよ。あぁ。私、(みんなに)話し過ぎちゃったかしら?)
ロス: Just a smidge. (ほんの少しね。)
フィービー: David's like, y'know, a scientist guy. He's very methodical. (デビッドは、ほら、科学者さんなのよ。彼はとても几帳面な人なの。)
モニカ: I think it's romantic. (ロマンティックだと思うわ。)
フィービー: Me too! Oh! Did you ever see An Officer and a Gentleman? (私もそう思うの! あぁ! 「愛と青春の旅立ち」(って映画)見た?)
レイチェル: Yeah! (ええ!)
フィービー: Well, he's kinda like the guy I went to see that with. Except, except he-he's smarter and gentler and sweeter. I just- I just wanna be with him all the time. You know, day and night. And night and day. And special occasions. (そうね、デビッドは私がその映画を一緒に見に行った人と似た感じなの。デビッドの方がもっと賢くて、もっと穏やかで、もっと優しいんだけど。私はただ、私はただ、彼とずっと一緒にいたいの。ほら、昼も夜も。そして夜も昼も。そして、特別な機会も。)
チャンドラー: Wait a minute, wait. I see where this is going. You're gonna ask him to New Year's, aren't you. You're gonna break the pact. She's gonna break the pact. (ちょっと待て、待て。この話の先が(どうなるか)わかるぞ。フィービーは大みそかに彼をデートに誘うつもりなんだろ。君は協定を破るつもりなんだ。彼女は協定を破るつもりだぞ。)
フィービー: No, no, no, no, no, no. Yeah, could I just...? (いえいえいえいえ。ええ、構わないかしら…?)
チャンドラー: Yeah, 'cause I already asked Janice. (ああ、なぜなら俺はすでにジャニスを誘ったからね。)
モニカ: What?! (何ですって?!)
ロス: C'mon, this was a pact! This was your pact! (おいおい、これは協定だったんだぞ! これはお前の[お前が言い出した]協定だったんだ!)
チャンドラー: I snapped, okay? I couldn't handle the pressure and I snapped! (俺はキレちゃった[耐えられなかった]んだよ、いいか? そのプレッシャーに対処することができなくて、キレたんだ!)
モニカ: Yeah, but Janice? That-that was like the worst breakup in history! (そう、でも、ジャニスなの? あれは歴史上最悪の別れ、って感じだったのに!)
チャンドラー: I'm not saying it was a good idea. I'm saying I snapped! (いいアイデアだなんて俺は言ってない。俺はキレたんだって言ってるだろ!)

by my sixth date with Paolo, I mean, he had already named both my breasts は、He had already named... by my six date. 「6回目のデートまでに、彼はすでに〜に名前を付けてしまっていた」という過去完了形。
過去完了形を使うためには「過去の基準時」が必要で、この場合は「6回目のデート=過去の基準時」です。
現在完了形であれば、今・現在が基準時で、「今に至るまでの間に既に〜してしまっていた」となりますが、今回の過去完了では、「6回目のデートまでの間にすでに〜してしまっていた」と表現していることになります。

share は「共有する」→「人に話などを聞かせる」。
少し前のシーンでも、ライブ中のフィービーが大きな声でおしゃべりしていたデビッドたちに対して Is it something that you'd like to share with the entire group? 「ここにいる人たちみんなに聞かせたいようなことなの?」というセリフで share を使っていました。
レイチェルは、人に言わなくてもいいことまで私は言っちゃったかしら、個人的な話を暴露しすぎちゃったかしら? と言っていることになります。
smidge は「ほんの少し」という意味で、smidgen, smidgin, smidgeon などの単語の省略形。
大胆な話を暴露しすぎたレイチェルに対し、ロスは「ちょっぴりね」と皮肉っぽく返したということ。

レイチェルはパウロとの6回目のデートでそこまで進んでいると言うのですが、フィービーは「デビッドは科学者ってタイプの人で、メソディカルなの」と返します。
methodical は「几帳面な、理路整然とした」。method は「方法、手法」「筋道、秩序」。
デートしてすぐに深い関係になっちゃうような人ではない、ということ。

Did you ever see An Officer and a Gentleman? について。
An Officer and a Gentleman は映画「愛と青春の旅立ち」。出演は、リチャード・ギア、デブラ・ウィンガーなど。officer は「士官」。
普通は映画の名前を出したら、その映画の主人公(この映画だとリチャード・ギア)に似ているの、、と話が続くかと思うのですが、フィービーの場合は「その映画を見に行った男性と、デビッドは似ている」というオチでした。
「その映画の出演者に似てるって話じゃないんかーい!」とツッコミたいところ。

except は接続詞で、この場合は以下に文が続いています。
Except that SV のように that節で使われる形ですが、今回はその that が省略されています。
前置詞として、except+名詞の形を取ることもあります。
接続詞の except (that)... は「…であること以外は、…は別にすれば」。
後ろから訳し上げるのではなく、前から順に訳すとすると、「(前の文章)だが、しかし…」のように逆接で繋ぐことも可能です。
何か先に文章を言って、後から except と別の条件を付け足す感覚は、これまで何度か解説した unless 「もし…でなければ、…であれば話は別だが」と似ていると言えるでしょう。
昔、その映画を一緒に見た男性と似ている、と言った後で、付け足しの追加情報として、違う部分を挙げているわけです。
デビッドと「一緒に映画を見た男性」を比較して、デビッドの方が、より smart で、gentle で、sweet だと言っています。
形容詞の比較級は、-er を語尾につけるものと、前に more を置くものとがありますが、今回は全部 -er 系の比較級となっています。
「その”映画の人”よりもデビッドの方がより素敵なのよ」とベタ褒めしているわけで、彼にゾッコンな様子が伺えます。

I just- I just wanna be with him all the time. You know, day and night. And night and day. And special occasions. について。
相手とラブラブな場合、昼も夜も、夜も昼も一緒にいたい、と表現することはよくありますが、その流れでフィービーは、「そして特別な機会も」と付け加えています。
それは、「新年は一緒に過ごそう」という協定に反して、大晦日から新年にかけても一緒にいたいという気持ちの表れで、みんなに非難されるのがわかるので、最後の方は声が小さくなっています。

I see where this is going. を直訳すると「これがどこに行こうとしているかわかる」ですから、「この先の話が見えたぞ。フィービーが何を言おうとしているかわかるぞ」という意味。
今の話の行き先、今後の展開が見えた、という感覚で、「君が言おうとしてるのはこういうことなんだろ」と言って、相手の真意を指摘する流れです。

break the pact は「協定を破る」。
You're gonna break the pact. She's gonna break the pact. のように「協定を破るつもりだ」の主語が、最初は you で、次は she になっていますが、最初はフィービーに向けた言葉で、次の言葉は周りにいるフレンズたちに「彼女(この人)は破るつもりだぞ」(どう思う? みんなそれでもいいのか?)とアピールする気持ちが入っていると言えるでしょう。

ですがそんな風にフィービーを非難していたチャンドラーが、実はすでにジャニスを誘っていたことを知って、ロスは This was a pact! This was your pact! と言っています。
最初が a pact で、次が your pact になっていますが、「これは協定だったんだぞ! (それも)これはお前の(提案した)協定だったんだぞ!」というニュアンス。
協定があったのにそんなことするのか、それも、言いだしっぺはお前だったのに、その本人が真っ先に裏切るのか? という感じです。

snap は「パチン、ピシャリ、ポキッと音を立てる」「ポキンと折れる、プツンと切れる」。そこから「神経が耐えられなくなる、精神的に参ってしまう」という意味にもなります。
Macmillan Dictionary では、
snap [verb] : [intransitive] to suddenly lose control and become extremely angry or upset because a situation has become too annoying or difficult
例)She was bound to snap under all that pressure.

つまり、「突然、自制心を失う、または、ものすごく怒ったり動揺したりする、状況があまりにも面倒で難しくなってしまったという理由から」。例文は「そういうプレッシャーを受けて、彼女は精神的に参ってしまうことになった」。

handle は「処理する、扱う、対処する」。
モニカに「あんな最悪な別れ方をしたジャニスを誘うなんて!」と非難がましく言われたチャンドラーは I'm not saying it was a good idea. I'm saying I snapped! と言っています。
I'm not saying A, I'm saying B! は「俺は(別に)A だなんて言ってない。B だって言ってるだろ!」という感覚。
俺だって、ジャニスを誘うのがいい考えだなんて思ってない、キレたからそうしちゃったんだ、って言ってるだろ、と開き直った発言をしていることになります。


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posted by Rach at 14:42| Comment(2) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最近は、コメントを主に拝読して勉強させていただいているのですが、コメントも閑散な時は、過去記事も拝読してみようと、今日は、Rach goes を見学してみました。 が、「うわっ! 全部、英語!」、「おまけにコメントする人も英語!」。「無理」って感じです(笑)。 
Rach goes って、竜馬がゆく、みたいなニュアンスなんでしょうか。 日付を拝見すると、ブログをお始めになって1年ぐらいのころのようで、「ニッポンの英語学習を変えるぜよ」みたいでカッコイイ題名ですね。 ともあれ、シーズン10を終えられる 2016年まで 11年間もお書きだったんですね。実に11年走り続けてこられて、まさに“竜馬がゆく”って感じで、レイチさんの青春そのものだったんでしょうね。
それ以降も、1改シリーズをお続けになる傍ら、他のコンテンツにも精通され、ドラマ全般に関する辞書や本も出版なさったり、
Rach will go on. って印象です。(タイタニックの主題歌から、この表現学びました)
以前、述べさせていただいたのですが。 フレンズ内の、とある一文について、他のブロガー達が全員、完全に間違った日本語訳を付けているのに、レイチさんだけが正しい訳を付けていました。 ただの専業主婦なんかじゃありません。スーパー主婦です。 お体にお気を付けてこれからもこれまで同様の社会貢献をなさってください。
(偶然ご覧になった他の読者さまへ。私、書きこんだ後、恥ずかしくなって、削除依頼して消してもらったことがよくあります。 あくまで本人依頼です。 実は、ブログ主様が誤解を受けないよう、これが一番書きたかったのであります(笑))
よいお年をお迎えください。
Posted by 愛読者 at 2019年12月27日 22:48
愛読者さんへ
コメントありがとうございます。そして、懐かしい昔の記事も見て下さったことも重ねてありがとうございます。

Rach goes の go は say「言う」という意味で、「今からこんなこと言いますよ」という感じのタイトルで、思うところをエッセー風にまとめたものになっています。

また、私の解説についてそのような評価のお言葉をいただけたこと、大変光栄です。そのように言っていただけたことに見合う内容となるよう、これからも精進していきたいと思います。

温かいお言葉ありがとうございました。
どうかよいお年をお迎えくださいませ。
Posted by Rach at 2019年12月29日 17:52
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