2020年01月08日

思ってもないことを言ってしまった フレンズ1-10改その7

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(遅ればせながら)明けましておめでとうございます。
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7:13
[Enter Joey. His shoes have bells on, which jingle as he walks. He is wearing a long coat.]
ジョーイ登場。ジョーイの靴にはベルがついていて、彼が歩くたびにチリンチリンと鳴る。彼は長いコートを着ている。
ジョーイ: Hi. Hi, sorry I'm late. (やあ、遅くなってごめん。)
[He removes the coat to reveal an elf costume]
ジョーイがコートを脱ぐと、エルフのコスチュームが現れる。
チャンドラー: Too many jokes. Must mock Joey. (ジョーク多すぎだよ。お前はジョーイの真似をしてバカにしてるに違いない。)(→訂正:(思いつく)ジョークが多すぎる。ジョーイに(ジョークを言って)からかわないと(頭がパンクしてしまう)。訂正ここまで)
ジョーイ: Nice shoes, huh? [He wiggles his foot and the bells tinkle] (いい靴だろ、な? [足を小刻みに揺らすとベルがチリンチリンと鳴る])
チャンドラー: God, you're killing me! (あぁ、お前を見てると笑い死にしそうだよ。)

Too many jokes は「あまりにも多すぎる冗談」ですから「冗談やりすぎ、冗談にもほどがある」という感じでしょう。
Must mock Joey. は、主語の You が省略された形。
must は「〜しなければならない」ではなくて「〜に違いない」という意味。
mock は「〜の真似をしてばかにする、からかう、ふざける、あざける」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
mock : verb (formal) to show that you think that someone or something seems stupid or amusing, by laughing at them, making jokes about them etc. in an unkind way (SYN: make fun of)
例)The other boys started mocking his accent (= copying it in a way that makes it seem funny.)
つまり「誰かまたは何かが愚かである、または面白いように見えると自分が考えていることを示すこと、意地の悪い方法で、それらを笑ったり、それらのことをジョークにすることなどによって」。例文は「他の少年たちは彼のアクセントをばかにし始めた(=面白く思えるような方法でそれを真似する)」。

この例文からも、アクセントをからかうために、それを面白おかしく真似る、というニュアンスがよくわかると思います。
ですから、You must mock Joey. は「お前は、ジョーイの真似をしてジョーイをばかにしてるに違いない」。
ジョーイが elf 「エルフ、小さな妖精」の格好をしているのを見て、「ジョーイがエルフの真似をしてる」のではなく「エルフがジョーイの真似をしてる」と言ったことになるでしょう。
ただ真似するのではなく、「ばかにした感じで真似る」ということですから、ジョーイのエルフのコスチュームがバカげた恰好だと言っていることにもなります。
You're killing me! の kill は「殺す」ですが、ここでは「死にそうになるほど笑わせる」ということ。
(2020.1.22 追記)
Too many jokes. Must mock Joey. の解釈について、コメント欄でご意見を頂戴しました。
この must は「〜に違いない」ではなく、「〜しなければならない」の意味でした。
コメント欄にて追記しておりますので、併せてご覧いただけると幸いです。
(追記はここまで)


7:37
[Marcel knocks over some kitchen tools]
マルセルがキッチン用具を倒す。
モニカ: Ross! He's playing with my spatulas again! (ロス! マルセルがまた私の調理べらをおもちゃにしてるわ!)
ロス: Okay, look, he's not gonna hurt them, right? (わかったよ、ねぇ、マルセルはそれを傷つけるわけじゃないんだから、だろ?)
モニカ: Do you always have to bring him here? (ロスはいつもマルセルをここに連れてこないといけないわけ?)
ロス: I didn't wanna leave him alone. Alright? We- we had our first fight this morning. I think it has to do with my working late. I said some things that I didn't mean. And he- he threw some feces. (彼を一人にしておきたくなかったんだよ、わかるだろ? 僕たちは今朝、初めての喧嘩をしたんだ。僕が遅くまで仕事しているのと関係があるんだと思う。僕は本気でそう思ったわけではない(思ってもいなかったような)ことをいろいろと言ってしまった。そしたら彼は、彼はうんちを投げてきたんだ。)
チャンドラー: Y'know, if you're gonna work late, I can look in on him for you. (なあ、もしロスの仕事の帰りが遅くなるなら、お前のために俺が彼の面倒を見てやることもできるぞ。)
ロス: Oh, that'd be great! Okay. But if you do, make sure it seems like you're there to see him, okay, and you're not like doing it as a favor to me. (さぁ、そうしてくれるとありがたい! よし、でももしそうしてくれるなら、彼に会うためにそこに来たように、そして僕のためにそうしているんじゃないと見えるようにしてくれ。)
チャンドラー: Okay. But if he asks, I'm not going to lie. (わかったよ。でももし彼が尋ねてきたら、俺は嘘はつかないぞ。)

spatula は「調理用のへら」。
play with は「〜で遊ぶ」ということで「もてあそぶ、おもちゃにする、いたずらする」。
hurt は「傷つける」で、もてあそんでるだけで壊すわけじゃないんだから、ということ。
「毎度毎度うちに連れてこないといけないわけ?」と言われて、ロスは事情を説明しています。
「彼を一人にしておけない、一人残しておけない」と言った後、we had our first fight this morning. と続けます。
「同居して以来、初めての喧嘩」のように、まるで一緒に暮らし始めた恋人同士のような説明になっており、その後もずっとそんな感じで説明が続いていくのが笑いのポイントです。
have to do with は「〜と関係・関連がある」。
work late は「遅くまで働く、残業する」ですから、my working late は「僕が遅くまで残業すること」。
喧嘩の原因は僕が仕事で遅かったことに関係あると思うんだ、ということ。
mean は「意図する、〜のつもりで言う、本気で言う」なので I said some things that I didn't mean. は「自分が意図しなかったことを言った、そんなつもりで言ったわけじゃないようなことを口にしてしまった」。
喧嘩する中で、つい思ってもいないようなひどい言葉を言ってしまったんだ、ということです。
feces は「うんち」で、発音は「フィーシィーズ」という感じ。

look in on は「人をちょっと訪ねる、様子を見に訪れる」。
That'd be great! は That would be great! ということで、相手が何か良い提案をしてくれた時に、「そうだとうれしい。そうだと(そうしてくれると)ありがたい」というニュアンス。
「もしそうしてくれるなら」「そうであれば」という仮定の意味が、would に含まれています。
make sure (that) SV は「必ずSがVするように取り計らう、間違いなくSがVするようにする」。
as a favor to me は「僕への親切・好意として」。
マルセルを訪ねるのは、チャンドラーの意志でやっていることで、僕に頼まれたから僕のためにそれをやっていると思われないように気をつけて、ということ。

チャンドラーが来たのはあくまでチャンドラーがマルセルに会いたかったからってことにしといてくれよ、と言われたチャンドラーは、Okay. But if he asks, I'm not going to lie. と返します。
猿であるマルセルが質問するはずもないのに、もし聞かれたら俺は正直に答えるぞ、ということ。
人語を解さない猿のマルセルに「僕に言われて来たって思わせないように気を付けて」などと注意を払うことはないんじゃないの? と言いたいということです。


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posted by Rach at 22:01| Comment(6) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは

誰かがジョーイの真似をしていると解釈する場合、すでに真似をしている最中なので You must be mocking Joey. と、進行形を使う必要があるかと思います。

Friends では他にも Are you mocking me? Are you joking? You've got to be kidding me. などの台詞が使われています。これを例えば You've got to kid me. に変えて同じ場面で使うことはできないでしょう。

記事に引用されている LAAD の説明を読むと、「真似をする」ことが mock の必須要件ではないことがわかります。意地悪なジョークを言うだけでもよいわけです。チャンドラーの台詞は、Too many jokes. I must mock Joey. と考えるのが自然です。

字幕の日本語訳の「ジョーイの偽物」という発想は、おそらく「mock=真似をする」という先入観があって、それに辻褄を合わせた結果と推察されます。
Posted by mq at 2020年01月11日 13:41
明けましておめでとうございます。
Joey が Elf って何? と思って、「 friends,Joey,elf 」で検索したら程よい動画が見つかりまして、「うんうん、何となくこのシーン覚えてるぞ」でした。 それよりも、また彼らが “地で笑っている” 部分を発見しました!
Joey が Elf 姿で現れると、モニカとレイチェルが “地で笑っています”。 
コメディーって得ですよね。 演技できなくて噴き出してしまっても、「どうせ笑うシーンなんだからいいでしょ!」みたいな感じで Retake なしで済ませられますもんね。
Posted by 愛読者 at 2020年01月12日 16:59
AIスピーカーで英語のポッドニュースを聞いていると最近よく“メグジット”と聞こえるのがよくあります。 なんだか、“ブレグジット”に似てるなあと思っていました。 それで調べてみると、ヘンリー王子とかいう人が結婚した相手が、“SUITS/スーツ”とか言うドラマに出ている メーガン とか言う女優さんで、その人の影響で、ヘンリー王子が王位継承権を放棄して一家は年に半分は北米に住みたいのだそうです。
Megxit って、あまりに上手いので、フレンズとあまり関係ないですが投稿してしまいました、すみません。
Posted by 愛読者 at 2020年01月14日 10:14
mqさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。

You've got to be kidding me. と同じようなニュアンスで、You must be mocking Joey. のように進行形が使われるはず、というご意見には納得です。

ただ、I must mock Joey. だとして「俺はジョーイをバカにしないといけない」という意味だと考えると、「ジョーイをバカにしなくちゃ(must)」というセリフを目の前にいるジョーイにわざわざ言った意図が私にはよくわからないのです。

(以下、あくまで私の受けた印象に過ぎませんので、一つの意見として軽く読んでいただければ幸いです)

例えばこれが、You want me to mock you? 「(そんなにふざけまくって)俺にバカにしてほしいのか?」みたいなセリフならまだわかるのですが、おバカな格好をしている相手に「俺(or 俺たち)はジョーイをバカにしないとな」のように表現するかなぁ、と。
私の和訳がDVDの日本語訳に引っ張られている可能性は大いにあるのですが、それを抜きにしても、「バカにしなくちゃ」と言っているようには私には思えなかったのです。

このシーンを、あまり和訳にとらわれずに映像として見てみると、

Must mock Joey.
と言う時、Must の時点でジョーイの方を指さしています。
まずこのしぐさで、「省略されている主語がジョーイを指している」ように思える。

目の前にいるジョーイに対しての発言なら、I must mock you. のように you を使うのではないか?
そういう意味では、Hey, guys, it's time to mock Joey. とか、Let's mock Joey now. みたいに「他の人に呼びかけるセリフ」で Joey という固有名詞を使うならわかる。

Joey に言っているセリフで Joey という固有名詞を使っており、主語が省略されていて、主語の部分でジョーイを指さしている、というこの状況から、
「お前はジョーイを mock しているに違いない」という意味だと私は考えたのだと思います。(ただその場合は、You must be mocking Joey. のように進行形であってくれた方が確かに自然だと思います)

さらに Must mock Joey. と言われた後のジョーイの顔が、「ジョーイ(お前)をバカにしないとな」と言われた人の顔ではないように思える。
「この格好、イケてるだろ」みたいな得意げな顔をしているように見える。

いい靴だろ? と言った後、チャンドラーは Ah! You're killing me! と言っていますが、普通はこのように you を使うはずで、やはり最初の Must mock Joey. と固有名詞を使っていることに違和感を感じるわけです。

以上のように私は感じるわけですが、やはり Must be mocking Joey. という進行形になっていないというのはおっしゃる通りで、私も「お前はジョーイの真似をしてるに違いない」という意味だと断言はできません。
ただ「ジョーイをバカにしないとな」という意味だととらえるのも何だか違和感はあります。

これについてはもう少し考えてみたいと思います。また何か思いついたらここに書かせていただきます。
貴重なご意見ありがとうございました。


愛読者さんへ
明けましておめでとうございます。コメントありがとうございます。
出演者たちの”地で笑っているシーン”はとても微笑ましいですね。特に周りにいるキャラの場合は、それでリテイクになることもないですから、そういう表情を見つけられるのはとても楽しいことだと思います。

それから、メーガン妃のニュースは、最近毎日のように耳にしますし、今日も「称号返上」がニュースになっていました。アメリカ出身の女優と紹介される際、必ず SUITS の名前が出るほど、SUITS でのレイチェル・ゼイン役は有名ですよね。
私事で恐縮ですが、最新刊「海外ドラマ英和辞典」の収録ドラマに SUITS も含まれていて、作品紹介で「レイチェル役メーガン・マークルが2018年5月にイギリス王室ヘンリー王子と結婚したことは大きな話題に」と書かせていただいていたので、結婚後のニュースもずっと注目していました。その本では、SUITS のレイチェル・ゼインのセリフを6個、例文として使わせていただいています。
EU離脱と王室離脱のように、イギリスの話題として、しばしば並べて報道されていますが、Brexit や Megxit という造語には私も感心しました。
Posted by Rach at 2020年01月19日 22:55
こんにちは

ジョーイがコートを脱いだときに大いにウケている中には、「サンタの仕事を取れなかった代わりにやることになった one of his helpers とはこれだったのか」という驚きも含まれているように思います。Sorry I'm late. という台詞から、ジョーイが着替える暇を惜しんで、靴を鳴らしながら急いで帰ってきたこともわかります。ジョーイがエルフの衣装を着ている事情はみんな即座に理解したし、ジョーイ自身もこの姿でイジられることは承知の上というところでしょう。

Too many jokes. Must mock Joey. という台詞は、チャンドラーとジョーイの立ち位置からすると、ジョーイに向けた言葉ではないように思われます。「(思いつく) ジョークが多すぎる。ジョーイにジョークを言わないと(頭がパンクしてしまう) 」という内心の声をみんなに聞こえるように言ったものと解釈すると、頭をかかえる仕草の意味も説明できます。
Posted by mq at 2020年01月21日 18:30
mqさんへ
コメントありがとうございます。

「(思いつく) ジョークが多すぎる。ジョーイにジョークを言わないと(頭がパンクしてしまう) 」という内心の声をみんなに聞こえるように言った

というお話、なるほどと思いました。
Too many jokes. の意味を「ジョーイのやっていることはジョークが過ぎる」のように私は解釈していたのですが、「ジョーイの姿を見て、チャンドラーには言いたいジョークが多すぎる」ということだったわけですね。
その解釈と頭をかかえる仕草は、流れ的に確かにしっくりきます。

「ツッコミどころが多すぎて」と頭をかかえている時に、ジョーイが得意げに靴を鳴らしてみせたので、「もうこれ以上はやめてくれー」みたいな感じで God, you're killing me! と言ったということですね。

貴重なご意見、誠にありがとうございました!
Posted by Rach at 2020年01月22日 20:54
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