ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。


8:24
[Scene 3: Max and David's lab. David is explaining something to Phoebe with the aid of a whiteboard.]
シーン3: マックスとデビッドの研究室。デビッドはホワイトボードを使って、フィービーに何かを説明しているところ。
デビッド: But, you can't actually test this theory. Because today's particle accelerators are nowhere near powerful enough to simulate these conditions. (でも、実際にはこの理論を検証することはできないんだ。なぜなら現代の粒子加速器は、この状況のシミュレーションをするに足るほどのパワーには遠く及ばないんだ。)
フィービー: Okay, alright. I have a question then. (わかった。それじゃあ、質問。)
デビッド: Yeah. (うん。)
フィービー: Um, were you planning on kissing me ever? (私にキスしようと考えてた?)
デビッド: Uh, that's definitely a, uh, valid question. And, uh, the answer would be [Writes YES on the board] yes. Yes, I was. But, see, I wanted it to be this phenomenal kiss that happened at this phenomenal moment because, well, 'cause it's you. (あぁ、それはまさに正当な質問だね。そして、答えは… [ホワイトボードに YES と書く]イエスだ。そう、僕は君にキスしようと思ってた。でもほら、僕はそれを、素晴らしい瞬間に起こる素晴らしいキスにしたいと思ってたんだ。なぜなら、君だから。)
フィービー: Sure. (確かに。)
デビッド: Right. But, see, the longer I waited, the more phenomenal the kiss had to be. And now, we've reached a place where it's just gotta be one of those things where I just like... sweep everything off the table and throw you down on it. And, uh, I'm not really a, uh, sweeping sorta fella. (そうなんだ。でも、ほら、僕が長く待てば待つほど、そのキスはより素晴らしくならないといけなくなったんだよ。そして今、よくあるパターンのところまで来ている、テーブルからすべてのものを払いのけて、君をテーブルに押し倒すっていうやつの。そして、僕はそんなに「払いのけるタイプの男」じゃないだろ。)
フィービー: Oh, David, I, I think you are a "sweeping sorta fella." I mean, you're a sweeper trapped inside a physicist's body. (あぁ、デビッド。私はあなたが「払いのけるタイプの男」だと思うわ。ほら、あなたは物理学者の身体の中にとらわれたスイーパー(払いのける人)なのよ。)
デビッド: Really? (そうなの?)
フィービー: Oh, yeah, oh, I'm sure of it. You should just do it. Just sweep and throw me. (ええ、そうよ、それは確かだわ。ただそうしたらいいのよ。ただ、払いのけて私を押し倒して。)
デビッド: ...Now? Now? (…今? 今?)
フィービー: Oh, yeah, right now. Just.... (ええ、そうよ、今すぐ。ただ(そうして)…。)
デビッド: Okay, okay, okay. [Gets ready to sweep, and then picks up a laptop computer] Y'know what? This is just really expensive. Okay. [Puts it down elsewhere. Then picks up a microscope] And I'll take- this was a gift. [Moves it] (わかった、わかった、わかった。[(机の上を)一掃する準備に取り掛かる、そしてラップトップ・コンピュータを持ち上げる] ねえ。これは本当に高価なんだ。よし。[そのコンピュータを別の場所に置く。そして顕微鏡を持ち上げる]そして僕はこれを…これは贈り物だったんだ。[それを動かす])
フィービー: Now you're just kinda tidying up. (あなたはただ片付けてるだけって感じだわ。)
デビッド: Okay, what the hell, what the hell. [Sweeps the remaining papers off the desk and grabs Phoebe] You want me to actually throw you or you-you wanna just hop? (わかった、どうでもいい、どうでもいい。[残っている用紙をデスクから払いのけて、フィービーを掴む] 僕が君を押し倒した方がいい? それとも自分で飛び乗りたい?)
フィービー: I can hop. [She hops onto the table] (自分で飛び乗れるわ。[フィービーはテーブルの上に飛び乗る])
[They kiss, finally]
ついに二人はキスする。
particle accelerator は「粒子加速器」。
be nowhere near を直訳すると「〜の近くにはいない」なので「〜には遠く及ばない」。この状況をシミュレートできるほどのパワーを持つとは到底言えない、というニュアンス。
plan on doing は「〜する予定である、するつもりである」。
valid question は「正当な・妥当な質問」。
phenomenal は「驚くべき、驚異的な」ということから「素晴らしい」という意味でも使われます。
phenomenon (複数形 phenomena)は「現象、事象」「驚異的なもの」。
素晴らしいを表現する形容詞にはいろいろありますが、「現象」の形容詞形を使っているところに、彼の科学者っぽいところが見えていると言えるでしょう。
「素晴らしい瞬間の素晴らしいキスにしたかった」、つまり、そのキスを特別なものにしたかった、と言った後、デビッドは 'cause it's you と言っています。
It's you. は「君だ、君なんだ」ということですが、この場合は「君だから、君とのキスだから」というニュアンスで使われています。
the longer I waited, the more phenomenal the kiss had to be. は「The+比較級(A), the+比較級(B)」の形で、「Aすればするほど、ますますB」という意味。
「より長く待てば待つほど、そのキスはより素晴らしくならないといけなくなった」ということ。
sweep everything off the table and throw you down on it は「テーブルからあらゆるものを一掃して、君をテーブルの上に押し倒す」。
throw は「オーバースロー」などのように「投げる」を意味する動詞ですが、「素早い動きで激しく動かす」ニュアンスがあり、「人を〜の状態に投じる、陥らせる」という意味でも使われます。
throw someone down を「投げる」の意味で訳すと「人を投げ下ろす、下に向かって放り投げる」のような意味になってしまいますが、今回は喧嘩のように相手にケガをさせてしまうほど高いところから人を投げ下ろすわけではないので、「荒々しく押し倒す」のようなイメージが近いでしょう。
日本語の「押し倒す」を英訳すると push someone down になりますが、今回の throw someone down も「人を素早い動きで down の状態にする」ということなので「押し倒す」に近い感覚になるということです。
sweep は「掃除する、(ほうきなどで)掃く」で、この場合は、テーブルの上に乗っているものを、手でサーッ、バーッと落としてしまう様子で、「さっと払いのける、払い落とす、なぎ払う」という感じになります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、、
sweep : PUSH SOMETHING SOMEWHERE
to move something to a particular place or in a particular direction with a brushing or swinging movement
つまり、「ものを、ある場所へ、またはある方向へ動かすこと、払いのける、または、揺り動かす動きで」。
I'm not really a sweeping sorta fella. は「僕はそんなに、テーブルのものをバーっとどけるようなタイプの男じゃない」。
not really は部分否定で、「それほど・そんなに〜ではない」。
sorta = sort of で「〜のような、〜みたいな」。
fella = fellow で「やつ、野郎」。guy と同じニュアンスの単語です。
physics は「物理学」で、physicist は「物理学者」。
you're a sweeper trapped inside a physicist's body. は「あなたは、物理学者の身体の中にとらわれたスイーパー(sweep する人)なのよ」。
自分ではそういうタイプじゃない、って言うけど、外側の見かけが真面目な物理学者なだけで、本当のあなたは机のものをバーッと払いのけちゃうような sweeper なのよ、自分でそれに気づいていないだけよ、とフィービーは言っていることになります。
I'm sure of it. は「自信があるわ。確信しているわ」「そうよ、間違いないわ」というニュアンス。
情熱的な状況では、何かを壊してしまっても構わない! みたいな心情になりそうなところ、デビッドは一つ一つ品物を確認して、これは高価だ、これはもらいものだ、と言いながら、場所を移動させています。
それを見たフィービーは、Now you're just kinda tidying up. と言っています。
tidy up は「片付ける、整頓する」。
あなたがやっているのは sweep じゃなくて、ただ tidy up してるだけだわ、ということですが、「払いのけてるんじゃなくて、片付けてるだけ」という意味を表すと同時に、「ほうきで掃くように掃除してるんじゃなくて、物を移動して片付けてるだけ」のように、「掃除と片付け」のような同じジャンルの言葉を使っている面白さもあるのかな、と思ったりしました。
その後、デビッドは、what the hell と言いながら、残った紙を払いのけています。
What the hell! は「一体全体どうなってるんだ」という意味でも使われますが、この場合は「どうということはない、大したことではない、かまうもんか」というニュアンス。
Macmillan Dictionary では、
what the hell : used for showing that something does not matter
例)I'm supposed to be on a diet, but what the hell!
つまり、「何かが重要ではない、と示すために使われる」。例文は「私はダイエット中ってことになっているけど、でも、でもそれがどうしたの?[どうってことないわ]」
hop は「ホップ・ステップ・ジャンプ」のように日本語になっていますが、「ひょいと跳ぶ・飛ぶ」という意味。
hop on/onto... だと「…の上にひょい・ぴょんと飛び乗る」になります。
「あなたは sweep して throw me down するような人なのよ」と言っていたフィービーですが、「僕が throw you down するか、君が自分で hop するか」と言われたフィービーは、「私が hop した方が早そうね」という感じで I can hop. と言い、自ら机に飛び乗るのも面白いです。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。


この前NHKの朝の番組で紹介されてたんですが、指さすだけで翻訳できてしまうスキャン式電子辞書なるものが発売されてるようです。便利な世の中になったものだなぁと思います。Amazonで18000円くらいするそうです。Rachさんには必要ないでしょうけど。
指差すだけで翻訳&学習!らくらく読解力向上、革新的なスキャン式電子辞書Yiida
https://www.makuake.com/project/yiida/
デビッドの台詞の趣旨を整理すると次のようになるかと思います。
1. I wanted it to be this phenomenal kiss.
2. The longer I waited, the more phenomenal the kiss had to be.
3. Now, it has to be one of those where I sweep everything off the table and ...
デビッドは、「タイミングを待っているうちにキスの phenomenal 度が上がり、パッションに衝き動かされてするようなキスでないといけないところまできてしまった。しかし自分は sweep するタイプではないから行動に移せないでいる」と言っているようです。
sweep and throw からのキスは phenomenal と言えると思いますが、「素晴らしい」という日本語のニュアンスとは微妙に違ってきます。また、これを「よくあるパターン」とすると、上の 1, 2 から 3 への流れが切れ、デビッドのロジックが伝わりにくくなるように思います。
コメントありがとうございます。
そのスキャン式電子辞書、面白いですね。「指をあてると認識する」というのが斬新で、自らキーで入力する必要もなくなるというのが先進的だと思います。翻訳作業の必要性はますます高まっていきますから、これからも便利で面白い機器が登場するのだろうと思うと、とても楽しみです(^^)
mqさんへ
コメントありがとうございます。
「キスの phenomenal 度」「パッションに衝き動かされてするようなキスでないといけないところまで」のお話、納得です。
記事では引用しなかったのですが、LAAD と Macmillan 共に、
phenomenal : extremely impressive or surprising
と説明されていたので、「すごい、素晴らしい」的な意味を私はイメージしていました。そのような意味の単語にはいろいろあるけれど、phenomenon 「現象」に注目することが多い科学者として、あえてその形容詞形を使ったという科学者っぽい言葉選びなのだと考えたのですが、文字通りの「自然現象の」というニュアンスで考えるべきだったということですね。
「よくあるパターンのところまで来ている」は、私の説明が言葉足らずだったのですが、理性より野性が勝つような「衝動的な愛の行動」として「相手を押し倒す」というのがよくあるパターンである、という意味でした。mqさんのおっしゃるように phenomenal 「パッションに衝き動かされてするような」の流れでの「よくあるパターン」という意味で、それを考えても phenomenal をそのような意味で解釈した方が確かに流れも自然になると思います。
貴重なご意見ありがとうございました。
私の言葉も足りなくて Rach さんに誤解させてしまったようです。この phenomenal はもちろん「自然現象の」ではなく、extremely impressive or surprising の意味です (デビッドが科学者だからこの語を使ったわけではないと思います)。
デビッドは、フィービに物理の講釈をしている間も、内心では「驚くような」タイミングで「印象の強い」キスをしようと狙っていたのでしょう。ところが、なかなかよいと思えるタイミングが来ないうちに、時間だけたってしまいました。デビッドは、おそらく相手を焦らすことになった分だけその埋め合わせとしてますます印象的なキスをしなければならなくなった、と感じているようです。フィービに催促されたいまとなっては、少し手荒なことでもしなければ追いつかない、ということだと思います。
Rach さんの日本語訳も、やはり「テーブルの上のものを払いのけて女性を押し倒してするような「素晴らしい (phenomenal)」キスでなければならないところまできている」という意味だったということですね。
こんにちは。ご丁寧なお返事ありがとうございます。
「自然現象の」という意味ではなかった、科学者だからこの語を使ったわけではない、とのお話、納得しました。
時間だけたってしまったので、ますます印象的なキスをしなければならなくなった、という流れも、確かにそう考えるとしっくりきます。
詳しいご説明ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
sweep everything off the table の off は「分離」を表しますので、「テーブルに載っているもの」すなわち「テーブルに接触しているもの」をテーブルから「離す、分離する」形で sweep する、というニュアンスになると思います。
納得していただけたとのこと、良かったです。
ご丁寧なお返事ありがとうございました。