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21:32
チャンドラー: Y'know, I uh.. just thought I'd throw this out here. I'm no math whiz, but I do believe there are three girls and three guys right here. [Makes kiss noise] (ほら、ここでこの件をそれとなく言おうと思ってたんだけどさ。俺は数学の達人じゃないけど、今ここには3人の女子と3人の男がいるな、って俺は(確かに)思うんだよ。[ん、ん、とキスの音を出す])
フィービー: Oh, I don't feel like kissing anyone tonight. (あぁ、私は今夜は誰ともキスしたくない気分よ。)
レイチェル: I can't kiss anyone. (私は(唇が腫れているから)誰ともキスできないわ。)
モニカ: So I'm kissing everyone? (それじゃあ、私が全員にキスする(ことになる)の?)
ジョーイ: No, no, no, you can't kiss Ross. That's your brother. (いやいやいや、モニカはロスにキスしちゃだめだ。あいつはお前の兄貴だぞ。)
ロス: Perfect. Perfect. So now everybody's getting kissed but me. (完璧。完璧だよ。それじゃあ、今から僕以外のみんなはキスされるんだな。)
チャンドラー: All right, somebody kiss me. Somebody kiss me! It's midnight! Somebody kiss me! It’s midnight. (よし、誰か俺にキスして。誰か俺にキスして! 真夜中だ! 誰か俺にキスして! 真夜中だぞ。)
ジョーイ: All right, all right, all right. [Kisses him. Ross takes a photo] There. (わかった、わかった、わかった。[ジョーイはチャンドラーにキスする。ロスが写真を撮る]ほらな。)
真夜中となり、パーティーに参加しているカップルたちがキスする中、キスの相手がおらず取り残された状態のフレンズ6人。
throw out は「外へ投げ出す」ということから、「〜を投げ捨てる、放り出す」という意味で使われますが、ここでは「(考えなどを)さりげなく・それとなく言う、ほのめかす」という意味で使われています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
throw out an idea : to suggest an idea
つまり「考えを提案する」と出ています。
whiz は「名人、達人」を意味する口語。
ウィズという音からウィザード(wizard=魔法使い)を連想してしまうかもしれませんが、h が入っていないことからもわかるように whiz は wizard の略語ではなく、whiz は元々、動詞「風を切ってピューと飛ぶ」、名詞「ピュー(という風を切る音)」のように擬音語から来た単語。
ピューと素早く物事をこなす感覚から「名人、達人」という意味になった、ということだろうと。
魔法使いの wizard の語源は wise 「賢い、賢明な、博学の」であるとのこと。
俺は数学の達人じゃないけど、3人ずつ男女がいるってことは、ぴったり数が合うんじゃないかな? それぞれがペアになったらちょうど誰もあぶれないでキスできるよ、と言っていることになります。
デビッドと切ない別れをしたばかりのフィービーは今夜は誰ともキスしようって気分にはならない、と言います。
レイチェルも「私もキスできない」と言っていますが、これはタクシーに乗る時に女性と喧嘩になって、現在、唇が腫れているため。
レイチェルが人と喧嘩してボロボロになって帰ってきたのは、脚本上、キスできない理由を作るためだったということです。
女性3人のうち、2人がダメだと言うので、残ったモニカは「私が男全員にキスするの?」と言っています。
ジョーイは「ロスとモニカは兄妹だからキスしちゃだめだ」と指摘し、ロスは「じゃあ、僕だけキスされないってことか」と怒ります。
Perfect. は言葉としては「完璧な」ですが、ここでは皮肉。最悪な状況の時に Oh, great. 「あぁ、もう最高だよ」と言ったりするのと同じです。
getting kissed but me の get kissed は「キスされる、キスしてもらう」という感覚。
but me の but は「〜を除いて、〜以外に」という意味の前置詞。
Somebody kiss me. は Kiss me. 「俺にキスして」に主語の somebody 「誰か」を付けた形。
「誰かが俺にキスする」という文なら、Somebody kisses me. のように 3単現の -s がつくことになりますから、その違いに注意しましょう。
「誰かキスして!」と、子供みたいにピョンピョン飛び跳ねているチャンドラーに、ジョーイがキスをして、その瞬間、ロスが写真を撮る、という流れでシーンは終わります。
22:09
[Credits scene: Still the party. Time lapse]
クレジットシーン。まだパーティ―中。時間が経過。
ロス: [Watching Marcel and talking to Rachel] I wanted this to work so much. I'm still in there, you know? Changing his diapers. Picking his fleas. But he's just phoning it in. It's just so hard to accept the fact that something you love so much doesn't love you back, you know? ([マルセルを見ながら、レイチェルと話している] このことがとてもうまく行ってほしかったんだ。僕はまだ頑張ってるんだよ、だろ? 彼のおしめを取り替えて。彼のノミを取って。でも彼は適当におざなりな対応を返してくるだけなんだ。とても愛している相手が、愛し返してくれないという事実を認めるのは、ただすっごくつらいよね。)
レイチェル: I think that bitch cracked my tooth. (あの女、私の歯を折ったみたいだわ。)
I wanted this to work so much. の work は自動詞で「うまくいく」。
マルセルを見ながらそう言っているので、マルセルと僕(ロス)との関係について語っていることがわかります。
change his diapers は「彼のおしめを取り替える」。
pick his fleas は「彼のノミを取る」。
フリーマーケットの看板に、free market と書いてあるのを時々見かけますが、本来、フリーマーケットとは「のみの市」のことなのでで、英語の綴りは flea market になります。
he's just phoning it in について。
phone in は一般的には「電話を入れる、電話で報告する、電話で参加する」という意味。
今回のセリフでの意味については、以下のネットスラング辞典である Urban Dictionary の語義が参考になると思います。
Urban Dictionary : phone it in
phone it in
672 up, 76 down
Perform an act in a perfunctory, uncommitted fashion, as if it didn't matter.
例)She sang the National Anthem, but she was just phoning it in as far as I could tell.
つまり、「おざなりで、全力を傾けることのないやり方で行動すること、まるで重要なことではないかのように」。
例文は、「彼女は国歌を歌ったが、私のわかる限りでは、ただおざなりでそうしていただけだった」。
また、ネット辞書 Wictionary にも以下のように出ています。
Wictionary : phone in
Verb
phone in
3. (idiomatic) To fulfill a responsibility with a minimum effort rather than the appropriate level of effort.
つまり、「(慣用的表現) 適切なレベルの努力というよりもむしろ最小の努力で責任を果たすこと」。
言い換えると、「責任を果たすのに必要な最小レベルの努力しかしない」ということですから、上の Urban Dictionary の perfunctory, uncommitted 「おざなりで、全力を傾けることのない」に通じるものがあります。
ロスに言わせると、「僕はこんなに尽くしてるっていうのに、マルセルの方はおざなりの、必要最小限の反応を返してくるだけなんだ」ということなのでしょう。
無反応や無視ってことはないけど、「ん、ありがと」程度にチラッと視線を向けるだけで、適当にあしらわれている感じがする、ということだろうと。
ここからは私の推測ですが、どうして元々は「電話で報告する」という意味の phone it in がそういう「おざなりな対応」みたいな意味になるかについて少し考えてみると、、、
実際に本人が出向いて行って、直接報告したり意見を言ったりするのと比較すると、「電話という機械越しに、顔も合わせずに報告する」という行為が、心がこもっていないように受け取られる、熱意がないように取られる、という感覚から来たのかも…と思ったりします。
現代社会においては、電話やメールでは失礼、という感覚もずいぶん減ったとは思いますが、直接会う(in person)の方が、電話で話す(on/over the phone)よりも、熱心さが感じられる、ということは今でもあるのかな、という気はします。
先のエピソードになりますが、フレンズ3-6その13 で、
エリック: But, he told me over the phone... (でも、チャンドラーは電話で僕に言ったんですよ…)
ヘッケルさん: He told me in person. (チャンドラーは私に直接言ったぞ。)
というやり取りがあり、この会話からも、over the phone よりは in person の方が信頼できる、心がこもっているという感覚が感じられると思います。
bitch は元々「メス犬」という意味ですが、嫌な女のことを「あの女」と軽蔑的に表現する時の言葉としてよく使われます。
crack は「〜にひびを入れる、〜を割る」。口をもごもごして、口の中で歯が欠けているのがわかったような様子ですから、「歯を折った」という感覚が近いでしょう。
ロスがマルセルとの関係について一生懸命語っていたのに、レイチェルは自分の歯のことを言っていて、レイチェルがロスの話をあまり真剣に聞いていなかったことが見てとれます。
マルセルだけではなく、レイチェルにも「おざなりの対応(phone it in)」をされた、という面白さかな、と思いました。
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https://twitter.com/yuuki_mori_2019/status/1280939883935092738
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コメントありがとうございます。
みんなのセリフのやりとりが、リズミカルな音楽と映像によって、とてもポップで楽しいものになっていますね♪
私も楽しませていただきました。ありがとうございました<(_ _)>
だいぶ最新の記事に追いついてきました。
改なしの本エピソードの回で当時は解説部分には入っていなかったのでコメントで質問させていただいた”phone it in”について今回丁寧に解説していただきありがとうございます。
最近は特に英語の勉強をしているわけではないので英語の聞き取り力はかなり落ちています。
ただテレビはよく見るようになったので英語の外国映画も多く接してはいます。二か国語放送だともっぱら吹替え音声を選んでしまいますが、字幕スーパーの放送ではなるべく英語聞き取りを意識しています。
時々はフレンズのDVDやテレビ放送録画も見直したいと思います。
こんにちは。コメントありがとうございます。
以前の記事で phone it in へのご質問をいただけたこと、大変ありがたく思っています。当時、いろいろと調べることができたおかげで、今回の改の記事の解説もスムーズに書くことができました。
洋画の字幕版はテレビで結構放映されることがありますよね。たまたまテレビでやっているのを見たら、私もつい見入ってしまったりします^^
またフレンズも見直したいと言っていただけて嬉しいです♪