2020年06月26日

心を引き裂いて憂鬱の底に陥れる フレンズ1-11改その1

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シーズン1 第11話
The One With Mrs. Bing
原題訳:ミセス・ビングの話
邦題:チャンドラーのママ登場!


[Pre-intro scene: Monica and Phoebe are walking to a newsstand]
イントロ前のシーン。モニカとフィービーは新聞販売店に歩いていく。
フィービー: Do you think they have yesterday's Daily News? (昨日のデイリーニューズあると思う?)
モニカ: Why? (どうして?)
フィービー: I just wanna check my horoscope to see if it was right. (私の星占いが当たってたかどうか、チェックしたくて。)
モニカ: Oh my God. [Grabs Phoebe and turns her away] Phoebe. Don't look now. Behind you is a guy who has the potential to break our hearts and plunge us into a pit of depression. (まぁなんてこと。[フィービーを掴んで、彼女の向きを変える] フィービー、今は見ちゃだめ。あなたの後ろに男性がいるのよ、私たちの心を引き裂いて、私たちを憂鬱の底に陥れる可能性を持った男性がね。)
フィービー: Where? [Turns to face him] Ooh. Come to Mama! (どこに? [振り返って彼の方を見る] うー、ママのところにいらっしゃい!)
モニカ: He's coming. Be cool! Be cool! Be cool! (彼が来るわ。落ち着いて! 落ち着いて! 落ち着いて!)
[The guy walks past them]
その男性が二人の横を通り過ぎる。
男性: Nice hat. (素敵な帽子だね。)
モニカとフィービー: [unison] Thanks. ([声をそろえて] ありがと。)
[The guy walks on]
その男性は歩いていく。
フィービー: We should do something. Whistle. (私たち、何かしなくちゃ。フューって音、出して]。)
モニカ: We are not going to whistle. (フューなんて音、出さないわよ。)
フィービー: Come on, do it! (ねえ、やって!)
モニカ: No! (いやよ!)
フィービー: Do it! Do it! Do it! (やって! やって! やって!)
モニカ: [Shouts to the guy] Whoo-hoo! ([その男性に向かって叫ぶ] ウーフー!)
[The guy turns round, startled. Monica points to Phoebe. The guy gets hit by a truck]
その男性は驚いて振り返る。モニカはフィービーを指さす。その男性はトラックにぶつかられる。
フィービー: I can't believe you did that! (あなたがあんなことするなんて信じられないわ!)

Daily News 「デイリーニューズ」はニューヨークのタブロイド紙。horoscope は「星占い、占星術」。
昨日の新聞に載ってた占いが本当に当たったかどうか確かめたいと言っているのがフィービーらしくて面白いです。

Behind you is a guy who... は、A guy who... is behind you. が倒置になった形。
a guy who... 「…する人」の who 以下の説明が長くなっているので、それを主語にすると主語が重たくなってしまうため、「あなたの後ろにいるのは…する人なのよ」のように、先に Behind you を持ってきたことになります。
「あなたの後ろにある男性がいるのよ」と先に言っておいてから、関係代名詞 who を使って、その男性の説明を詳しく語っているという、英語っぽい構造になっています。

have the potential to は「〜する可能性がある、する可能性を持つ」。
plunge us into a pit of depression は「私たちを憂鬱の底に陥れる」。
plunge は自動詞だと「急に下がる、急落する」、他動詞だと「…を〜の状態に陥れる、落ち込ませる」。
pit は「穴、くぼみ、落とし穴」。
the pit of darkness, the pit of hell または the pit で「地獄、奈落(ならく)」の意味があるので、the pit of depression は「憂鬱地獄、落ち込み・憂鬱の底」のようなニュアンス。

Come to Mama! について。
直訳すると「ママのところに来なさい、おいで!」ということで、母親が歩き始めたばかりの子供に言う言葉。
そこから、こちらに向かってくるものについて、それが欲しい、自分のところに来て欲しいと思った時に「(坊や、)私[ママ]のところにおいで」というニュアンスで使います。

レディー・ガガのアルバム「ジョアン」(Joanne)にも Come To Mama という曲がありますが、これは文字通りの「ママのところにおいで・いらっしゃい」という意味のようです。

Be cool! は「冷静に、落ち着いて!」。
彼のことをかっこいい!と騒いでいるのを気取られないように、平静を装え、ということ。

Nice hat と褒めてくれたものの、そのまま歩き去ってしまいそうなので、何とか彼を引き留めなきゃという意味で「何かしなくちゃ」とフィービーは言っています。
whistle は「口笛を吹く、口笛で呼ぶ、口笛で合図をする」。
メロディを奏でる「口笛」だけではなく、口でピー、ヒューという高い音を出すことも含みます。

Macmillan Dictionary では、音楽を奏でる口笛以外の意味で、以下の意味も出ています。
whistle : to make a high sound by forcing air through your mouth in order to get someone's attention, or to show that you like or dislike something
つまり「口を通して空気を押し出すことで高い音を出すこと、誰かの注意を引くために、または、自分がそれが好き、または嫌いであることを示すために」。
少し後のシーンでわかるように、今回のモニカの whistle はまさに「相手の注意を引くために出す高い音」を指しているということです。

なお口笛は日本語で「ホイッスル」と表記されますが、英語の発音は「ウィソー」という感じ。
串田アキラさんの「キン肉マン Go Fight!」で、Go! Go! Muscle! が(マッスルではなく)マソー! になるのと同じ原理ですね^^

文字で whistle と書かれてあるのを見れば「ホイッスル…あぁ、口笛か」とわかるでしょうが、実際の英語が日本でのカタカナ語からかけ離れた音であった場合には気づきにくいことも多いです。
英語学習に使う作品に「英語字幕があるもの」をお勧めしているのも「日本語化していて知っているはずの単語でも、英語では音が全く異なる」場合が多々あるからで、意味がわからない音を何度も聞いてわかろうとすることに時間を割くよりは、1回テストで聞いてみて、わからないと思った単語は、すぐに綴りや意味を確認した方がいいと私は考えています。

「ヒュー!ってやって!」「やらない!」という問答が続きますが、フィービーの圧に負けたモニカがサイレンのような声を出します。
去っていこうとした男性は驚いて振り向き、モニカは「この人(フィービー)がやれって言うもんだから」のようにフィービーを指さし、女子二人は微笑むのですが、モニカの声に気を取られ道路の中央に立ち止まってしまった男性は、走ってきた救急車にぶつかってしまうことになります。
走ってきた救急車の前方の文字が *AMBULANCE* を鏡文字(かがみもじ)にしたものが書かれていますが、これは前の車が後ろを走る救急車をバックミラーで見た時に、AMBULANCE(救急車)と読めるようにしたもの。

彼に何か合図を送れ、とさんざんけしかけたのはフィービーなのに、とんでもない結果になると、「あんなことするなんて信じられない」と自分勝手なことを言うフィービー。
吉本新喜劇でも、秘密をポロッとしゃべってしまった本人が「誰が言うたんや?」と言って、一斉に「お前や!」とツッコまれるパターンがありますが、このような笑いのパターンは日英共通するところがあり、楽しいです。


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posted by Rach at 17:34| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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