2020年10月24日

彼みたいな男のために325頁もめくらない[読まない] フレンズ1-11改その8

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7:33
[Cut to Mrs. Bing on the telephone]
電話中のミセス・ビング(ノーラ)に画面がカットする。
ノーラ: Yeah, any messages for room 226? (えぇ、226号室へ何か伝言は入ってない?)
[Ross emerges from a toilet marked 'Chicas']
ロスは Chicas (スペイン語で「女の子」の意味)のマークがあるトイレから出てくる。
ノーラ: You okay there, slugger? (大丈夫、スラッガー?)
ロス: Oh, yeah. I'm fine, I'm fine. [A woman emerges from the toilet behind him and he tries to pretend he was in the other one] (あぁ、はい。僕は大丈夫、大丈夫です。[彼の後ろのトイレから女性が出てきたので、ロスは別のトイレから出てきたようなふりをする])
ノーラ: What is with you tonight? (あなた、今夜はどうしたの?)
ロス: Nothing. Nothing, nothing, nothing. (何も。何も、何も何もないです。)
ノーラ: [To phone] Okay, thank you. [To Ross] It's the Italian hand-licker, isn't it? ([電話に] えぇ、ありがとう。[ロスに] イタリアの手舐め男のせいでしょ?)
ロス: No. It's the one he's licking. (いいえ。彼が舐めてる方(のせい)です。)
ノーラ: She's supposed to be with you. (彼女はあなたと一緒にいる[付き合う]ことになるわ。)
ロス: You're good. (優しいですね。)
ノーラ: Oh, Ross, listen to me. I have sold 100 million copies of my books, and y'know why? (まぁ、ロス、聞いて。私はこれまでに自分の本を1億部も売ってきたの、なぜだかわかる?)
ロス: The girl on the cover with her nipples showing? (乳首を見せてる表紙の女の子(のおかげ)?)
ノーラ: No, because I know how to write men that women fall in love with. Believe me, I cannot sell a Paolo. People will not turn 325 for a Paolo. C'mon, the guy's a secondary character, just a... y'know, complication you eventually kill off. (いいえ、それは女性が恋に落ちるような男性の描き方を私が知ってるからよ。信じて、私はパウロを売り込むことなんかできないわ。パウロみたいな男のために人は325ページもめくらない[読まない]もの。ねぇ、あの男は脇役のキャラクターよ、ただ、ほら、最後には殺して退場させるような、(話を)複雑化するためだけの(要素)ね。)
ロス: When? ((殺されるのは)いつですか?)
ノーラ: He's not a hero. You know who our hero is? (彼はヒーローじゃないわ。私たちのヒーローが誰だか知ってる?)
ロス: The guy on the cover with his nipples showing? (乳首を見せてる表紙の男?)
ノーラ: No, it's you. (いいえ、あなたよ。)
ロス: Please. (やめてくださいよ。)
ノーラ: No, really. Come on. You're smart. You're sexy. (いいえ、ほんとに。ねぇ。あなたは頭がいいし。あなたはセクシーだし。)
ロス: Right. (そうですよねぇ。)
ノーラ: Come on, kiddo. You're gonna be fine, believe me. (よしてよ、坊や。あなたは大丈夫よ、信じて。)
[She kisses him on the cheek]
ノーラはロスの頬にキスをする。
ロス: Uh-oh... (あ、あぁ…)
[...Then full on the mouth]
…それから、口でキスをする。
[Enter Joey]
ジョーイ登場。
ジョーイ: Uhhhh.... I'll just pee in the street. (あぁぁぁ… 俺、通りでおしっこしてくるわ。)
[Commercial]
コマーシャル

slugger は日本でも野球で「スラッガー」と使われる通り「野球の強打者」という意味。またボクシングでハードなパンチを繰り出す強打者のことも指します。
動詞 slug が「ボールを強打する、人を(握った拳で)強打する」という意味があることから来ています。
ここでは、野球やボクシングは関係ないものの、「強打する男」→「強い男」のイメージでそう呼び掛けたのでしょう。
その後、ロスの出てきたトイレから女性が出てきたので、ロスはあわあわしています。
トイレの扉に書いてある文字 Chicas はスペイン語で「女の子」の意味。
ベロベロに酔っぱらっているロスがトイレの男女を間違えたのは、メキシコ料理店だからスペイン語で書かれていたことも一つの原因なのでしょう。

It's the Italian hand-licker, isn't it? は「イタリア人の手舐め男のことでしょ、手舐め男のせいでしょ?」。
ここでの It's ... は「問題の焦点・ポイントは…である」という感覚。
「(今こんな状況・状態であるのは)…が原因だ」と訳してもよいでしょう。
「それって…よね、…でしょ」のように漠然と表現しても、そのニュアンスは出る気はします。

ノーラはパウロを the Italian hand-licker 「イタリア(人)の手舐め男」と表現しています。
少し前のシーンで、レイチェルがパウロに何かを食べさせた時に、レイチェルの手も舐めていたことを言っているわけですが、ロスがパウロを嫌いなことを知っていて、また、ノーラ自身もパウロをあまり良く思っていないことがわかる言い回しだと思います。

ロスの返事 It's the one he's licking. は、licker(パウロ)が原因・問題じゃなくて、彼が舐められてる対象の方が問題なんです、パウロのことはどうでもよくて、僕が気にしているのはレイチェルの方なんです、ということ。
パウロが何をしようと興味はないが、レイチェルが男に手を舐められているのがいやなんです、ということになるでしょう。

I have sold 100 million copies of my books, and y'know why? について。
日本語で「コピー」というと、「複写、転写、写し」のニュアンスが強いですが、本や雑誌を何部という場合には、このように copy という単語を使います。
I have sold 100 million copies of my books. を直訳すると、「私は私の本を1億部(これまでに)売ってきた」ということで、現在に至るまでそれだけ売れた、ということを表す現在完了形です。ノーラは今でも作家を続けているので今後も本は売れ続けるでしょうから、「今までのところはこれだけ売れた」という感覚から、現在完了形を使うことになります。

ロスは本が売れている理由を、The girl (on the cover with...) だと言っています。
with her nipples showing は「乳首を見せた状態で」ということ。
何とも露骨な表現ですが、表紙に裸かそれに近い姿の女性が描かれていて、その表紙につられてみんな買うんでしょ? みたいなジョークです。

sell は「売る」なので、「売り込む、価値を納得させる、(人に〜を)良いと思わせる」。
turn (over) the pages は「ページをめくる」なので、People will not turn 325 for a Paolo. は「パウロみたいな男のために、読者は 325ページものページをめくりはしない」、つまり「325ページも読まない」。
固有名詞に a をつけた形の a Paolo で「パウロのような男、パウロのようなタイプの男」という意味になります。
「ああいうタイプの男を主役にしたら、誰も本を最後まで読み通してくれないわ。つまらなくなって途中で読むのをやめちゃうわ」ということで、パウロは男性としてそれほど魅力的ではないことを、恋愛小説家らしく説明したことになるでしょう。

secondary character は「二次的な役、脇役、サブキャラ」。
complication は「複雑(化)、紛糾、やっかいな問題」なので、just a complication は「物語や筋書きを複雑にするためにいるだけの存在」というニュアンスでしょう。
メインキャラクターだけでは話が単調になるので、そういう脇役を登場させれば、話が複雑になり、いろんなドラマを生む効果がある、という感じです。

eventually は「最終的には、結局は、最後には、いずれは」。
kill off は「全滅、絶滅させる」という意味で使われることが多いですが、この場合は、「殺して(小説の筋書きから)退場させる」というニュアンスだと思われます。
「殺されるってそれはいつ?」「じゃあそのサブキャラのパウロはいつ殺される予定なんですか?」という意味で、即座に When? と尋ねるロスが面白いです。

最初に You know why? と尋ねたのと同じ感覚で、今度は、You know who our hero is? と尋ねるノーラ。
それに対して、girl を guy に変えただけの「同じセリフの男バージョン」になっているのが楽しいです。
ヒーローは表紙の裸の男でしょ、と、またエッチな表紙が読者を引き付けるんだ、という話を言っていることになります。
The girl on the cover with... というセリフがあった後、しばらく経ってから、また、The guy on the cover with... という同じパターンのセリフが出てきた時に、英語で聞いて「またその話かい!」とクスッと笑えるようになるといいですね。

ロスの Please. は「やめて下さいよ。そんな気休めや励ましを言うのはよして下さいよ」という感覚。
「僕が恋愛小説のヒーローになれるなんて…」と、ノーラの言葉をただの社交辞令だと思っている様子が伺えます。
「あなたはセクシーだし」と言われた後のロスの Right. も言葉としては「そうですね」という肯定ですが、本音は「またそんなこと(気休めを)言って」という否定の気持ち。
kiddo は、子供や年下の人物への親しい呼び掛け語で、あなたよりずっと年上の私には、本当の男性の魅力がわかるのよ、と言いたげな感じが出ている気がします。

ロスを励ますように頬にキスしたノーラですが、その後、二人は口でキスしてしまいます。
ちょうどそこにトイレしにきたジョーイが現われて、大変なものを目撃してしまったとばかりに「(ここのトイレじゃなく)通りでおしっこしてくるわ」と言って去っていくのも笑えます。


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posted by Rach at 13:00| Comment(0) | フレンズ シーズン1改 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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